僕と精霊〜A journey of heroes〜

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旅の終わり編

思い出の結晶

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「もう8年前か...」
ラートは首飾りを握って公園の中に入る

 ラートはベンチの雪を払い落として座ってみる
「はぁ...変わんないなこの公園もあの時と一緒だ」

 意外と静かなもんだな、平日の午前中なんてそんなもんか、みんな学校に行って、授業を受けて友達とくだらない事をやって、俺自身もそうだ。そのはずなのだが、俺は今何故か此処に居る。

「ねぇ1人なの?私と遊んでくれる」
ラートの前には小学生ぐらいの女の子が立っていた
「お嬢ちゃんも1人?」

「うん!でもね友達を待ってるの!」
休校日なのだろうか女の子は誰かを待っているようだ
「そうか、じゃあ友達が来るまでお兄ちゃんが遊んであげるよ」
女の子はラートの手を引っ張って広い方へ行く

「じゃあね一緒に雪だるま作ろ!」
女の子は素手で一生懸命雪玉を転がし始める
「つめてっ」
ラートは雪を触って手を引く

「あははお兄ちゃん変なの、雪は冷たいんだよ」
ラートは女の子に笑われる
「そ、そうだね、お兄ちゃんなんか雪が久しぶりな感じがして...」

「変なのいつも触ってるのに」
女の子は雪玉を転がし続ける
「?」
ラートは一瞬だけ何か違和感を感じたが負けじと雪玉を転がし始める

「お嬢ちゃんのお友達はいつ頃になったら来るんだい?」
ラートの雪玉は女の子のよりも大きくなっていく
「分からない、ずっと待ってるんだけど来てくれないんだ」
女の子はラートの雪玉に自分の雪玉を乗せる

「え?それってちゃんと約束はしたのかい?」
「うん!ちゃんとしたよ、嘘ついたら針千本飲ませるぞって」
女の子は小指を出しながら言う

「えっとね、友達の名前はラート君って言うの」
女の子の言葉がラートの頭の中をぐちゃぐちゃにする
「それは酷い友達だね...」

「ううん!きっと何か理由があるんだよ、ラーちゃんは今まで約束破った事無いもん、それにね!初めて私にできた友達なの!」
女の子の嬉しそうな顔を見てラートは確信と共に膝から崩れ落ちる

「ごめんねシャーナ...」
ラートは涙を流しながら首飾りを差し出す
「このネックレス...そっか私、ラーちゃんにプレゼントして死んだんだった...」
女の子の足が少しずつ透けてきた

「ごめん、ずっと俺の事を此処で待っててくれたんだね」
ラートはシャーナの小さな肩を掴む
「でもラーちゃん来てくれた、約束守ってくれたんだね」
シャーナがニッコリ笑うのを見てラートは罪悪感に蝕まれる

「でも俺のせいでシャーナは...」
「私嬉しかったな、そのネックレスをずっと大事に持っててくれたなんて、私ラーちゃんが大好き!」
シャーナはラートの頬にキスをする

「俺も大好きだよ、だからプレゼント...俺にとってとっても大切な宝物...」
ラートは首飾りをシャーナの首にかける
「ありがと、私生まれ変わったらラーちゃんのお嫁さんになるね」
シャーナはそう言いながら首飾りと一緒に消え去る

 そっか..今まで待っててくれたんだね。お盆でも会えなかったから嫌われたと思ってたけど、俺はなんて鈍感で馬鹿なヤツなんだ...

 ラートはベンチに再び座ってしばらく真っ白な空を見続けた














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