上 下
139 / 150
ドタバタテスト編

第74話 成果を発揮しろ!

しおりを挟む
 無事に筆記テストは終わり、ジャン達は精霊と人間に分かれて実技テストの会場へ移動をする

「なぁ、現代魔法の問2の答えってだよな?」
ラートはザルに聞く
「さぁ?そこまで覚えてない」
ザルは頭をかきながら言う

「え?そこはじゃありませんでしたっけ?」
ウリエラも会話に乱入する
「あの問題ってじゃないの?」
話が進むにつれ、レートは不安になってくる

「やばい自信無くなってきた...」
生徒間に不安な空気が溢れ出してきた

「では、実技テストを開始します」
ケンナリはざわつき軽いパニックになっている生徒達を導くように指示を出す

「最初は回復魔法から順番にウリエラさんから順番にいきますよ」
「はい」
ウリエラは前に出る

「あれ?回復魔法って一体誰を回復させればよろしいんですか先生?」
ウリエラはケンナリに質問する

「ああ、説明するのを忘れていましたね」
そう言いながらケンナリは自分の腕の骨をへし折る
「ひっ!」
ウリエラは翼を逆立てる

「よしと、さぁこの腕を直してもらおうか」 
ぐんにゃりと不自然に折れてる腕を近づけられたウリエラは青ざめながらも回復魔法を使う

「うん!良いね合格!じゃあ次..ラート君」
ケンナリは治ったばかりの腕を再び折る
「ひ、ひ、人間の考えが時々分からなくなります」
ウリエラは泣きそうな顔でジャン達の下へ戻る

「ありゃ人間にも分かんねぇよ」
「分かりたくもないな」
ジャンとザルは死んだ目でケンナリを見つめる

「先生は痛みとか感じないんすか?」
ラートは気になって聞いてみる
「まぁ痛いが、みんなの為だ。我慢できる」
ケンナリの前向きな姿勢にラートは泣いてしまう

「すげぇよ先生..」
ラートも回復魔法を使い、ジャン達の下へ戻る
「さぁ次」

 この後もケンナリは腕を折っては治されてを繰り返し、次の攻撃魔法のテストへ順調に進んでいった

「白夜さんはどんな魔法を使うんですか?」
ウリエラは白夜に聞く
「私は炎魔法でいきます」

「やはりジャンさんに教わった魔法を使うんですね」
ウリエラは不敵な笑みを浮かべる
「なぜその事を?」

「ウリエラ、お前はまた覗いてたな?...だからこの前変な視線を感じたのか!」
2人の背後からアドロンがやって来た

「アドロンさん!?わ、私には何を言っているのかさっぱり...まぁでも、天使としてこの町の人々を見守らなくてはいけないのでその過程...」
ウリエラの話はしばらく続く

「気にするな、アイツはお前らカップルのラブラブ加減を定期的に観察をしているんだよ...お兄ちゃん、それじゃあウリエラさんの評判が悪くなっちゃうよ」
アドロンはそう言い残してケンナリの方へ歩いて行く

「はわわ、申し訳ございません白夜さん」
ウリエラは頭を下げる
「良いのよ、天使だもの少しぐらいなら構わないわ」

「次、スフールさん」
ついに白夜の番がくる
「私の番..」

「頑張って来てくださいね!」
ウリエラはガッツポーズを取って白夜を応援する
「ありがとうございます」
白夜はケンナリの方へ一歩一歩向かって行く



数日後

 緊張のテスト結果公開の日

「やべぇクソ緊張する」
「ご主人、こんな時こそ深呼吸ですぜ」
ボノムはラートをなだめる

「リベラ、筆記大丈夫かなぁ」
リベラは教室の花を手入れしながら言う

 いつも通りジャン達は何気ない会話をしている
「なぁパンプ、お前らはどんなテストを受けたんだ?」
「そういえば聞いてなかったわね、ローズはどんなテストを受けたの?」

「ん?なんだったっけ?」
パンプはおでこの宝石を点滅させて考える
「アンタは1分間に50個の宝石を作り出せってヤツだったでしょ、私は3体以上の呪い人形の操作、まぁ簡単なモノだったわよ」

「簡単?お前正気かよ、アレのどこが簡単だって言うんだよ」
スカルドが泣きそうな顔で言う
「そういえばスカルドはあの日以来少し元気ないな」
ジャンはスカルドを心配する

「ああ、アンタのは確か鋼鉄化した状態で50tの衝撃を耐えろだったっけ?」
ローズはスカルドに同情の目線を送る
「そうだぜ、あんなの拷問だ」

「あなたが普段から真面目に授業を受けていればもう少し楽になったのでは?」
ツイスターはスカルドに指摘する
「ね、姉ちゃん..」
スカルドは落ち込む

「ツイスターは雷を落とせだっけ?アレも凄かったわ」
「ああ!ゴロゴロって凄い音だった!」
パンプはコレだけ覚えていたようだ

「我々の力はちょっと工夫をすれば凄まじい力を生み出す事ができるってウィリム先生が言っていたので、でもパンプさんには敵いませんよ」
ツイスターは謙遜する

「みんな席に着いてくれ、テストを返却するぞ」
教室のドアが開き、ケンナリが山積みのプリントを持ちながらやって来た

「先生、赤点はありましたか?」
レートは恐る恐る質問をする
「それは見れば分かりますよ」
ケンナリの言葉に生徒達の心拍数が上がる

「ではウリエラさん達から出席番号順に取りに来てください」
プリントを返却された顔を見れば結果がよく分かる

「スフールさんとローズさん」
白夜達はプリントを受け取る
「最後にジャン君とパンプ君」
ジャン達がプリントを受け取り席に着くと教室に歓声が上がる

「よっしゃー!全員進級だー!」
ザルはプリントを投げる
「良かったー、これで安心だ」
レートは魂が抜けるほど息を吐く

「良かったね白夜さん!」
「うん!」
白夜は満面の笑みを見せて返事をする


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

転生したら戦国最強のチワワだった~プニプニ無双で天下統一~

偽モスコ先生
ファンタジー
チワワをこよなく愛する高校生、犬上武(いぬがみたけし)は、乗用車に轢かれそうになったチワワをかばって昇天してしまった。そして、女神の手によって異世界へと転生させられてしまう。 転生先は戦国時代の日本によく似た世界。だが身体はチワワになってしまっている。 「いと尊し!」「いと尊し!」 「いとプニプニ!」「いとモフモフ!」 歴史に詳しいわけでもない。チート能力だってない。あるのは通常よりも異常なまでに柔らかい肉球とふっさふさの毛並みだけ。 そんな武は、織田信長の代わりのチワワとして戦国を生きていくはめに。 チワワになってしまった元高校生男子とおバカな武将たちが送る、なんちゃって歴史もの風コメディー! ※たまにシリアスになったり、残酷な描写が出たりします。予めご了承ください。 ※日本の歴史を参考にしてはいますが、あくまで異世界が舞台です。

貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。

譚音アルン
ファンタジー
ブラック企業に勤めてたのがいつの間にか死んでたっぽい。気がつくと異世界の伯爵令嬢(第五子で三女)に転生していた。前世働き過ぎだったから今世はニートになろう、そう決めた私ことマリアージュ・キャンディの奮闘記。 ※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。 ※2020-01-16より執筆開始。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

目覚めれば異世界!ところ変われば!

秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。 ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま! 目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。 公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。 命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。 身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!

処理中です...