僕と精霊〜A journey of heroes〜

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旅人達の足跡

第61の旅 帰還者

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 ウナギ討伐の翌日、クラム達は研究所跡地を探索していた

「やっぱり逃げちゃったのかな?」
フランは瓦礫を精一杯持ち上げる
「なんか前よりも鼻が悪くなったな、全然匂いを感じない」
クラムは鼻を擦る
(トラ男じゃ出力が変わるからな)

「クラムはオオカミ男になれなくなっちゃったし、グレイトさんも無敵じゃなくなったのにどうして私の力はそのままなの?」
フランは自分の手を見て疑問を浮かべる
(それはあなたが完璧に私の力を受け取れたからですよ、クラムは力を受け取る際に不具合があったためオオカミ男にグレイトは無敵を犠牲にして新たな力を手に入れたからですね)

「そうだ!私もクラム達みたいに合体できるの?」
フランは目を輝かせる
(ええ、ですがあなたは戦闘向きの体ではありませんから、あまりオススメはできません)

「そっかぁ、残念」
フランは少し落ち込む
(フンッ!軟弱な娘だ、流石クソ鳥に選ばれただけあるな)
ビャッコはキツい口調で言う

(おや?そちらは随分と単純脳少年を選んだようで)
スザクも対抗し始める
「おいおい何やってんだよ、うわぁ!」
ビャッコは勝手にクラムから飛び出す

「そうだよ、やめっ!」
スザクもフランから飛び出す
「今日こそ決着をつけるぞクソ鳥!」
「良いでしょう、覚悟なさいこのドラ猫!」
2人は張り合う

「2人は前から知り合いなのか?」
クラムは瓦礫をどかしながら聞く

「貴様に憑く前からの付き合いだ」
「ええ、ついでにゲンプもですね」
2人は説明する

「でもお前らは俺達の中で生まれたんじゃないのか?」
疑問が増える
「魂は貴様らが生まれた時に既にあった、生まれたのは肉体の方だ」
ビャッコも瓦礫をどかし始める

「おーい!そっちはどうだー!なんか見つかったか!」
グレイトは大きな岩を投げ飛ばしながら道を作っている

「誰もいないし何もない!」
「やはり逃げたか?どう思うゲンプ?」
グレイトの体からゲンプが飛び出す

「お主の言う通り敵はもう移動したようだな、土質を調べるにおそらく昨晩の夜に出発をしているようだな」
「ふがが...」
蛇は岩を咥えながら返事をする

「老いぼれ亀公とチャラチャラヘビもまさか居るとはな」
ビャッコはため息をつく
「その憎たらしい性格、相変わらずだな小僧」
「おいおい、恥ずかしがるなよ本当は嬉しんだろ同士!」
ゲンプはニコニコしている

「なんでお前は仲間に対して口が悪いんだよ?」
クラムはビャッコに聞く
「ビャッコは同士の中で1番幼いですからね、自分が1番強いと思っているのですよ」
スザクは説明する

「余計な事を!」
ビャッコは威嚇する
「やりますか?」
スザクも翼を広げる

「もう!やめてよ!喧嘩しないで!」
フランは止めに入る

「なぁ一体何を探してるんだ?」
ニーナは瓦礫に座っている
「ん?ああ俺らが追ってるヤツが昨日まで此処に居たんだがな、移動するか」
グレイトは体を伸ばして空を見上げると異変に気づいた

「おい!みんなアレなんだ!」
グレイトは空に指を差す

「ウオォォォォ‼️」
空は裂け雄叫びが鳴り響く

「なんだ!?」
「皆の者!下に!」
皆はゲンプの足下に避難する、ビャッコとスザクは体に戻る

 空の裂け目から隕石のようなものが落ちて来る
「うわぁ!」
「くぅ!」
「のわぁ!」
衝撃波でクラム達は吹き飛ばされそうになる

 一瞬で周りは静かになる。動物達の鳴き声も消え、研究所跡地は荒野になってしまった

「イテテ、大丈夫か」
クラムは頭にたんこぶができていた
「う、うん」
「腰が...」
「何だよ一体...」

 クラムは落下物でできたクレーターを確認しに行く
「あっ!お前は!」
クラムはクレーターの中心に降りていく

「おい!ボウズ!危ねぇぞ!」
グレイトはクラムを追いかける
「我らも戻るとするか」
ゲンプもグレイトの体に戻る

「どうなってんだ!何でお前が此処に!イグニート!」
「うぅ貴様は犬っころ...という事は我は戻れたのか...」
クラムは人と同じ大きさになってしまったイグニートを運びだす

「何があったんだ?」
明らかに弱っているイグニートはふらふらと立ち上がる
「我は主人の元居た世界に行ってきた...あっちはあっちで色々大変であった」

「じゃあジャン達は元の世界に帰ったのか!」
イグニートはフランに治療されながらコクリと頷く
「主人達は無事に帰っただから..我も帰ってきた...」
イグニートの炎は少しずつだが火力を増していく

「お前は?確か主人が熱を出した時に居た、女だな?」
イグニートはニーナの方を向く
「は?俺はお前みたいなヤツ知らないぞ」
ニーナはイグニートの顔をジロジロ見る

「無理もない、あの時は我も完全な姿では無かったからな、あの時は世話になったな」
イグニートは立ち上がり深々と礼をする

「なんだニーナと知り合いなのか?」
クラムはふらつくイグニートを転ばないように支える
「ああ、あの時は確か主人の許嫁も居たはずだ」

「白夜も居たって事はあの時かな?」
クラムが思い出そうとしているとニーナが話に食いついて来る
「お前ら白夜と知り合いなのか!」

「旅仲間です」
フランは答える
「うっそ!早く言ってよ!信じらんない!」
ニーナははしゃぎ出す

「急に性格が変わったな」
クラムは驚く
「ねぇ白夜は今どこに居るか知ってるの!ねぇ!どうなの!」
ニーナはしばらくこの調子でイグニートに質問責めをした



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