上 下
115 / 150
旅人達の足跡

第58の旅 4人目

しおりを挟む
海辺
 クラム達はグレイトの家で今後の計画について考えていた

「ジャン達はもう居ない...俺らはどうすれば良いんだ..」
クラムは椅子に座りながら深刻に考える
「そういえば私、いつもみんなに頼ってばっかだった、旅の仕方なんてよく分からないよ...」
フランは塞ぎ込んでしまう

「おいお前ら、飯できたぞ」
グレイトはテーブルに皿を並べる
「落ち込んでても何も始まんないぞ、食いな」
そう言ってグレイトは皿にピラフを盛った

「おっさんは次にどうするべきか分かるか?」
クラムは椅子から立ち上がる
「そんなの知るか自分で考えな...まぁ俺がお前だったら今出来ることを全部やるけどな」
グレイトは水を用意しながら言う

「やれる事を全部か...」
クラムは考える
「時間はあまりないがゆっくり考えな、ほらさっさと食いな冷めちまうぞ、お嬢ちゃんも遠慮せずに」

「は、はい..」
2人は椅子に座ってピラフを食べる
「ここら辺は海も綺麗だし釣りをするのにも結構良いとこだ、飯食ったら気分転換に散歩でもして来い」

「なぁおっさんも俺らと一緒に旅をしてくれないか?今は強いヤツが居れば助かるんだ」
クラムはグレイトに頼み込む
「別に良いぞ、もう守る場所も無くなっちまってやる事が無いからな、その代わり最後までやり切れよ俺は中途半端な事が大嫌いだからな」
グレイトはスプーンをクラムに向ける

「もちろんだ!俺も中途半端は嫌だ」
クラムはピラフを一気食いをして水をグイッと飲み干す
「良い意気込みだ俺は旅の支度をしてくる、皿は台所に置いといてくれ」
グレイトは奥の部屋へ行く

「ねぇクラムはどうしてそんなに前向きになれるの?」
フランはスプーンで皿をトントン突く
「だって前向きならないとやってけないだろ?どんなに辛い状況だって結局自分達で何とかしないといつまでも変わらないぜ」
クラムは皿を台所に運ぶ

「やっぱりクラムは強いよ、私なんて先の事なんて考えたくもないよ」
「俺も父さんと母さんが死んだ時はそうだったぜ、でも先の事なんて考えなくたって先は来るんだ、だからそんなに悩む必要はないと思う、あれ食欲無いのか?」

「うん、ちょっと食欲が湧かなくて私の分も食べてくれる?」
フランは皿をクラムの方に差し出す
「マジで!おっさんの料理は美味いぜ!今度は食えると良いな」
クラムはピラフをガツガツ食べる

 昼食を終え、2人は海辺を散歩をしていた

「スゲェ!おっさんが言ってた通りだ!綺麗な海だ!」
2人は水平線を眺める
「うぅ...う!」
フランはその場で膝から崩れ落ちて吐き出してしまう

「フラン!大丈夫か!」
クラムはフランの背中を抑える
「ごめんクラム、ごめんなさい...うぅ!」
フランは涙を流しながら謝り続ける

「お前、まさか」
クラムは何を察してフランを抱きしめる
「ごめんなさい..ごめんなさい」

「言っただろ死にたくなったら言えって、約束しただろいっぱい愛してやるって」
クラムは更に強く抱きしめる
「ごめんなさい..こんな時だって言うのにやっぱり私は弱い」
フランの容体は落ち着いてきた

「良いんだ、フランは確かに強くない、でもお前が居ないと俺は悲しいしそんなの嫌だ、それに俺は何度もお前に命を救われてる」
クラムはフランを背負う

「たがらよこうやって助け合えば俺らは困難を乗り越えられる、今までもそうしてきただろ?ちょっと人数は減っちゃったけど」
クラムは海沿いに沿って歩き始める、フランは水平線を見つめ続ける

「クラム...」
「そうだなこれからも一緒に頑張ろうな」

「クラム...」
「最初は大変かもしんないけどおっさんもいるしなんとかなるぜ」

「クラム!」
「どうした?うわぁ!?」
クラムも水平線を見ると巨大な魚の魔獣が吹っ飛んできた

「うりゃあ!」
クラムは咄嗟に魔獣を避ける
「フランは少し離れてて、俺が倒す」
クラムは体に力を込めるが何も起きない

「あれ?何でだ!オオカミになれない!」
クラムは何度も試すがオオカミ男になれなかった
「どうなってるんだ!」
(クラムよ、貴様はもうオオカミではなくトラだ、イメージを変えろ)

「ビャッコ!?そう言うことか!分かった!」
クラムはトラをイメージして体に力を込める
「ハァァァ‼️」
イメージを力にクラムの筋肉が膨張し、爪と牙は鋭くなる

「フーフー!難しいな」
クラムの体から蒸気が漏れ出す
(慣れるまで時間はかかるだろう)
「とりあえずアイツをぶった切る」

「待って...この子は戦う気は無い」
魔獣は背中から血を流してる少女が降りてくる
「な、何だ!どうなってんだ?」
クラムは変身を解く

「この子は怪我をした俺を運んでくれただけだ、悪い子じゃない」
少女はそう言い残して倒れる、魔獣も海に帰っていく

「うわぁ!大変だ!フランすぐに手当てを!」
「は、はい!」
フランは少女の怪我を癒す
「クラム、どうしよう怪我は治ったのに目を覚さない」
フランは焦る

「とりあえずおっさんの家に運ぼうぜ」
2人は少女を運ぶ


「おいおい、どういうこった?何で準備をしてる間にもう1人増えてるんだよ、仕方ねぇベッドに寝かせてろ」
グレイトは顔に手を当てる






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

僕と精霊〜The last magic〜

一般人
ファンタジー
 ジャン・バーン(17)と相棒の精霊カーバンクルのパンプ。2人の最後の戦いが今始まろうとしている。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ダンマス(異端者)

AN@RCHY
ファンタジー
 幼女女神に召喚で呼び出されたシュウ。  元の世界に戻れないことを知って自由気ままに過ごすことを決めた。  人の作ったレールなんかのってやらねえぞ!  地球での痕跡をすべて消されて、幼女女神に召喚された風間修。そこで突然、ダンジョンマスターになって他のダンジョンマスターたちと競えと言われた。  戻りたくても戻る事の出来ない現実を受け入れ、異世界へ旅立つ。  始めこそ異世界だとワクワクしていたが、すぐに碇石からズレおかしなことを始めた。  小説になろうで『AN@CHY』名義で投稿している、同タイトルをアルファポリスにも投稿させていただきます。  向こうの小説を多少修正して投稿しています。  修正をかけながらなので更新ペースは不明です。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

処理中です...