僕と精霊〜A journey of heroes〜

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悪夢街ザラムーン

第25の旅 おやすみなさい

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 ???

「何処だ此処!」
気づくとジャンは何も無い所へ来ていた
「パンプ!みんな!何処に居るの!」

 少し眩しい光が見えたと思うとそこにはパンプ達が居た
「みんな!」
ジャンは皆の方へ向かって走って居るはずなのに距離はどんどん離れていく

『我が主人よ、主人は何を望む』
ジャンの前に燃えさかる巨人が凄まじい熱気の獄炎とともに現れる

「お前は!」
『我は主人の中で生まれし異常者イレギュラーだったかな?主人らがそう呼んでいる存在だ、名はイグニート以後よろしく我が主人』
イグニートは鋭い爪でジャンの胸元を突く

「嫌だね、お前のせいで散々な目にあったんだぞ!」
ジャンは爪を払い除ける
『フハハハハ!あの暴走は主人自身の力、むしろ止めた我に感謝をして欲しいぐらいだ』
イグニートはジャンと同じサイズになる

「止めた?元はと言えばお前のせいだろ」
『そう言われると否定はできないな、だが隙をついてお前らの暴走エネルギーを食い尽くしたのは本当だ、おかげさまで我は完全な姿になることができたしお前はもう暴走することは無いwin-winというヤツだ』
イグニートはジャンの体に入り込む

(それでも不満だと言うのであれば我の力を好きに使え、我の名を呼べばいつでも駆けつけてやる、ではさらばだ)
イグニートの声は遠ざかっていく


「おい待て!」
ジャンは馬車の中で目を覚ます
「おお!目覚めたか、心配させやがって2日間も寝てたんだぞお前」
ザルはジャンの肩をグラグラ揺らす

「ザ、ザル君!?なんで?」
混乱しているジャンを見てザルは呆れる
「おいおいしっかりしてくれよ、夢でも見てたのかよ」

「此処は?」
ジャンは窓から周りの景色を覗く
「ザラムーンだか言う街だ、お前が寝てる間に着いた」

 屋根からパンプとメイデンがやって来る
「ジャン!起きた!」
パンプはジャンに抱きつく
「調子はいかがですかジャンさん?」

「大丈夫ありがとメイデン、ところで他のみんなは?」
「アイツらなら買い出しと金儲けに行ったぞ、そうだウリエラ達とも合流したぞ」
ザルは暇そうに爪を磨いている

「ザル君は留守番?」
「ああ、なーんかこの街は嫌な雰囲気がピリピリするから外に出たくないんだよ」
よく見るとザルとメイデンは何かに警戒をしている

「なぁジャン!オレらもどっか行こうぜ!なぁ!」
パンプはジャンの肩の上で駄々をこねる

「分かったよ、僕も少し外の風に当たりたい気分だったし散歩に行って来るよ、行くよパンプ」
「おー!」
2人は馬車を出る

「気をつけろよ病みあがりコンビ!」
ザル達は2人を見送り馬車に残る


「あっ!ジャンさん」
空からウリエラがやって来る
「久しぶりだねウリエラさん」

「ちょうど聞きたかったことがあったんですよ、あの地図についてですけど」
「コレの事?」
ジャンはカバンから地図を取り出す

「はい、その地図って何処で手に入れたんですか?人間の技術では到底作れる物ではないと思うのですが」
ウリエラは少し怪しむ

「貰ったんだよ、この世界に来た時にグランなんたらって言う神様?ウリエラさん何か知ってる?」
「ああ、オレらをこの世界に飛ばした悪いヤツだ」
ジャンとパンプの言葉を聞いてウリエラは震える

「ぶ、無礼ですよ!グランドール様は私達の世界を管理してるとても凄い神様なんですよ!と、とにかくこの地図は大事にしてください!」
ウリエラは地図をジャンに返す

「やっぱり知ってたんだ、その神様と今すぐ話したりする事って出来るかな?」
ジャンは手を合わせてお願いする
「グランドール様です、一応できますよ、でも会話ぐらいしか出来ませんよ、加護をいただこうなんてことは無理ですからね」
ウリエラは天に祈りを捧げる

「グランドール様、貴方様に伝えたいことがある人間が1人おります、どうか耳を傾けてください」
ウリエラは跪くと空から光のカーテンが地上に舞い降りる

「ジャンさんどうぞ」
落ち着いた表情でウリエラは指示をする
「グランドール様、実は旅の途中でこのような物を見つけました」
ジャンは上着のポケットから以前回収した注射器を取り出し掲げる

「どうかこの中の成分を調べていただきたいのです」
(その願い聞きいれました)
注射器と共に光のカーテンが消える

「終わりました、ところで今渡したものは一体?」
「前に訪れた街で異常者イレギュラー達があの薬を取引してたんだよ、それでちょっと怪しいって思って」
ジャンは説明をする

「なるほどそういうことですか、とりあえず結果を待つしかありませんね、では私はこの事を皆さんに伝えて来ます、あっ!そうだえいっ!」
ウリエラはジャンに向かって何かの光を放ち空へ飛んでいく

「なぁ神様って本当だったんだな」
「そうだね僕もこれから真面目に生きよ」
2人は散歩を続ける


 公園

「なぁジャン、お前の中に変なの入ってないか?」
パンプはジャンの異変に気づく

「うーん僕もよく分からないんだよ、熱が出て倒れてから変な声が聞こえるようになったり、さっきも変な夢を見たんだよ」
ジャンは自分の心臓に手を当てる

「変な声?変な夢?どんなやつなんだ?」
パンプはジャンの心臓の鼓動を聞きながら尋ねる
「確か...イグニート?」
ジャンがそう言葉を発すると背中から夢に出てきた巨人が飛び出してくる

「呼んだかい我が主人よ!」
イグニートは陽気に挨拶をしてくる
「な、なんだコレ!」
「どういうことだよジャン!」
2人は尻餅をつく

「さっき言ったじゃないか、呼べば駆けつけると」
イグニートはその巨体で2人を覗き込む

「お前は!ジャンの中から感じた嫌なヤツだな!」
パンプはイグニートに攻撃を仕掛けようとする

「まぁ待て半身よ、我と汝は兄弟のようなものだ、どちらも主人とは命の鎖で結ばれている言わば運命共同体だ、不毛な喧嘩はやめようじゃないか」
イグニートは説明をする

「つまりお前は仲間ってことか?」
「そうですとも
イグニートの言葉にパンプは耳をピンと立てる

「オレがお兄ちゃんか~!なんか良いな、よしお前は今日からオレの弟だ!」
パンプは自分の胸をポンと叩く

「あのー、とりあえず引っ込んでくれるかな?周りの人に見られてて恥ずかしいんだけど」
「なんと!」
イグニートは周りを見て子供や老人にジロジロ見られてることに気づく

「これは失礼、では困った時は呼んでくれ主人、兄上、ではさらば」
イグニートはジャンの体に戻る

「オレがお兄ちゃんか~!ウフフ!」
パンプはニヤける
「僕も早く弟か妹の顔を見たいなぁ」
ジャンはベンチに座り公園で遊ぶ兄弟を見る

「なんの騒ぎかと思ったらお前らか」
クラムとフランが一緒にやって来る
「2人も散歩?」
ジャンがそう聞くとフランは顔を赤くした

「えっとアレだデータをしてる」
よく見ると2人は手を繋いでいる
「クラム、デート!」
フランはクラムの腕をぎゅっと抱きしめる

「あら~良い感じじゃない、邪魔しちゃ悪いし行こっかパンプ」
「ん?ああ」
ジャン達は公園を出る

「あ!そうだ!白夜達なら商店街の方にいるぞ!」
クラムはジャンにそう告げてデートを続ける

「よし、ぼ、僕も商店街にでも行こうかな」
ジャンは少し顔を赤くしながら言う


 商店街

「うーんどうしましょうか?」
白夜は2つのランプを見比べている
「何悩んでるのよ白夜?」

「このどっちが馬車に似合うか見てるのよ」
「悩むんなら2つの買っちゃいなさいよ」
ローズはめんどくさそうに言う

「でもそうすると資金が」
「じゃあそっちので良いわよ!」
ローズは適当に右の少し大きいランプを選ぶ

「ローズが選ぶんだから間違いないわね」
白夜はランプを購入する

「白夜さん..」
ジャンは少し緊張している
「ジャンさん!お体は大丈夫ですか?」
白夜はジャンに抱きつく

「あ、うん大丈夫だよ、白夜さん、あのこの前はごめん突き飛ばしちゃたりして」
ジャンは頭を下げる
「気にしないでください、アレはジャンさんではないんでしょ?雰囲気も違ったし」

「うん、まぁそうなんだけど実際突き飛ばしたのは僕の体だし...」
ジャンは申し訳なさそうにする
「それじゃあこれで!」
白夜はジャンの頬にキスをする

「なっ!」
ジャンは顔を真っ赤にする
「うわぁ!」
パンプも驚く

「ちょっと白夜!なんであなたがするのよ!」
ローズは白夜のスカートを引っ張る
「良いじゃない、久しぶりにしたい気分だったの」
白夜は微笑んで店を出る

「たくもう!白夜のそういう所って本当に変わってるわね」
ローズは呆れる
「そう?」
「なんかお母さんに似てきてるんじゃないの?」
ローズは苦笑いする

「なぁジャン!速く行かないと置いてかれるぞ」
パンプはジャンの腕を引っ張る
「う、うん」
ジャンはドキドキしながらキスされた頬を触る
(なんだろう、いつもよりなんかドキドキしたな)


 日も落ち、街は真っ暗になる
宿前

「2人1部屋だってさ、ペットは自由だから精霊達は良いとして誰がどの部屋にする?」
レートは皆に聞く

「提案があります!部屋割りをくじで決めませんか?」
ウリエラは自分の羽根に色をつけてくじを作る
「パンプさん達は私と一緒であれば大丈夫でしょう」
精霊達はガブリラに集まる

「良いね、面白そうだ」
ザルは賛成し、羽根を引く

「さぁ皆さん引いてください」
ジャン達も1本ずつ羽根を引いていく

「引きましたね、では色ごとに分かれてください」

赤 ジャン 白夜
青 クラム フラン
黄 ラート レート
黒 ザル ウリエラ
ガブリラ 他の精霊達

 部屋割りが確定するとウリエラは少しニヤける
「それでは皆さん明日も早いのでおやすみなさい、良い睡眠を!」
解散をし、それぞれ次の日に備え始める









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