上 下
41 / 150
漁師達の村 ランザルトン

第17の旅 ゆったり浴びよう潮風を

しおりを挟む
 G-6715
研究所

 傷だらけのダーリンは治療カプセルに入っていた
「ダーリン、早く目を覚ましてよ、私ダーリンに触れてないとおかしくなりそうよ!」
ハニーは治療カプセルを爪で引っ掻きまくる

「ハニー君、そうかっかしないでくれないかい?気持ちは分かるんだけど」
奥の部屋から男がやって来た

「うっさいわね❗️アンタに何が分かるのよ❗️」
ハニーは治療カプセルを叩き、ヒビを入れる

「キャー❗️ダーリン❗️ごめんなさい!私ったら!うわーん!」
泣き出すハニーを呆れながら男は見ている

(忙しい子だなぁ、乙女の心ってヤツ?分かんないなぁ)
「おっ!そうだ!ハニー君、ダーリン君の為にも強くなりたくないかい?」
男は上着のポケットから注射器を2本取り出す

 
 朝日に照らされる自然豊かな山道

「なぁなぁ!その共鳴ってなんなんだよ!俺もできるのか?」
馬車の中でクラムはジャンに聞く

「さぁ、どうだろう?アレ実は僕もよく分かんないだよなぁ」
ジャンは少し考えて答える

「なぁ!白夜はどうなんだ?」
クラムは白夜の肩を掴む
「さ、さぁ?私もよく分からないので...」
白夜は困った顔をする

「まぁアンタには無理よ、だって精霊石を持ってないでしょ」
ローズは馬鹿にするような目で答える

「なんだよその精霊石って?こういうヤツか?」
クラムはポケットから赤いビー玉を取り出す
「違うよ、精霊石っていうのはこういうヤツ」
ジャンは胸の精霊石をクラムに見せる

「なんだよ違うのか...」
クラムはビー玉を見つめながら落ち込む
「クラムさん!そんな物まだ持ってたんですか!ばっちぃですよ」
ツイスターは注意する

「てかそれ何だ?」
ジャンはクラムに聞く
「うん?ああ、血だよ、前の街にいた敵が流したんだよ、綺麗だから取っておいたんだよ」
ジャンは呆れる

「クラム、お前いつか病気になるぞ、とにかく汚いから捨てろよ」
ジャンはため息をつく
「ええー!嫌だよ、コレは俺のコレクションだ!」
クラムは駄々をこねる

「分かった分かった、ちょっと待ってろ」
ジャンは馬車の扉を開けて屋根に登る
「ジャンも風に当たるのか?」
パンプ達は屋根の上で景色を眺めていた

「パンプちょっと頼みがあるだけど宝石出せるか?」
「別にいいけど」
パンプは真っ赤に輝く宝石を作り出す

「ありがと、よいしょと!」
ジャンは屋根に座り宝石に紐を通す
「何作ってんだジャン?」
ラートとスカルドはジャンに聞く

「まぁアレだよ、おしゃぶりみたいなもんだよ、クラムがうるさいから」
ジャンは慎重に紐を通している

「お前、クラムと仲良いな、まるで弟みてぇだな」
ラートは笑顔で言う
「アイツはほっとけないからね、1人だと何をしでかすか分かんないし」
ジャンは苦笑いをする

「確かにそうだな」
ラートは笑う
「ケケッ!ジャンさんはそういうプレゼントを白夜さんにも渡した方がいいと思いますぜ」
ボノムはジャンを冷やかす

「野暮な事は言うもんじゃないぜ」
「ケケケッ!」
ボノムはケラケラ笑う

「よし、これでよしと」
ジャンは宝石のネックレスを完成させる
「ありがと」
ジャンは馬車の中に戻る

「ただいま、はいクラム」
ジャンはクラムにネックレスを渡す
「うおおお!スゲェ!綺麗だ!良いのか!」
クラムは喜びながらビー玉を捨てる

「今回は特別だぞ」
嬉しそうにネックレスをつけるクラムを見てジャンは微笑む

 フランはその様子を指を咥えながら見ている
「どうしたフラン?」
ザルは心配する
「な、なんでもありません!気にしないでください!」
フランは顔を赤くする

「もしかして、クラムさんと同じ物が欲しいんですか?」
白夜は優しく聞く
「ま、ま、ま、ま、まさか!そ、そんな訳ないじゃないですか!私ごときがそんな欲深いことを!」
フランは激しく動揺する

「なんだ欲しいのか!じゃあ俺のやるよ!」
クラムはフランにネックレスを渡す
「良かったな、フラン」
ザルはフランの頭を撫でる

「良かったですね」
「似合ってますよ」
白夜とツイスターは微笑む
「...はい、ありがとうございます」
フランは涙を堪えながらクラムに礼を言う

「アンタにしては良いことするじゃない」
ローズはクラムの肩に手を乗せる
「してはとは何だしてはとは!」
クラムはローズの鼻を指で突く

「クラムの分はまたパンプに頼んで作ってもらうよ」
「ああ構わないぜ、それにしても此処らへん魚臭くないか?」
クラムは鼻をピクピク動かす

「みんな、次の村に到着するよ!」
レートは手綱を引きながら皆に声をかける
「スッゲー!アレなんだ!?」
パンプが指差す方向には大きな漁船があった

「アレは?漁船か?此処は漁師達の村なのかな」
ラートは目を凝らしながら村を見る
「海に出てまで釣りをするって発想、人間っておもろいなぁ」
ボノムは感心している

 レートは馬車を村の宿屋に止めた
「マスターお疲れ様です」
グライドは屋根の上から声をかける
「ふぅ、馬の操縦も結構疲れるもんだな」
レートは手綱から手を離し、首を回す

「レートお疲れ、先に宿屋で休んでて良いよ、僕達は少しこの村を見てくる」
ジャン達は村の様子を見に行く

「分かった、いってらしゃい」
レートは馬に人参を渡し、グライドと一緒に宿屋に入る
「ブルルン!」
「ブヒーン!」
馬は人参を美味しそうに食べる


 ジャン、白夜のAグループ、ザル、ラートのBグループ、クラム、フランのCグループに分かれて行動を始めた

 Aグループ

「ランゼルトン、漁師の村ねぇ」
ローズは白夜の腕の中でゆったりと村の景色を眺める
「村にはほとんど人が居ないみたいだね」
ジャンは散歩をしている老人達を見ながら言う

「ジャン!魚の匂いだ!オレ腹減った!」
パンプは店に並べられている魚を食べようとする
「パンプさんダメですよ、ちゃんと買わないと」
白夜はパンプを止める

「ちょっとだけだから!ふべぇ‼️」
売り物の魚が突然パンプの顔を尾ではたく
「なんだ!?」
売り物の魚がどんどん空へと舞い上がっていく

「どうなってるのよ!?なんで魚が空を飛ぶのよ!」
皆は異様な光景を見て仰天する
「ジャン!追うぞ!」
パンプは魚を追って空へと舞い上がる

「パンプ待て!おい!」
パンプはジャンの言うことを聞かずに行ってしまう
「ジャンさん、私達も追いかけましょう」

「白夜さん、ローズ!しっかり掴まってて!」
「はい?」
「え?」
ジャンは2人を抱えると足から炎を噴射して空を飛び始める

「「キャー‼️」」
ジャンはパンプと魚の大群を追う


 Bグループ

 ザル達は海辺を散歩していた
「なーんかこうやって散歩すんのも久しぶりだなぁ」
「そうですね」
メイデンはザルの横を優雅に舞う

「しっかし空気がうまいなぁ!」
「そうですな、まぁ少し暑いですが」
ボノムは汗を流す

「おーい!そこの兄ちゃん達!手伝ってくれ!」
漁師の人達が大量の魚を荷台に乗せて運んでいた

「スゲェありゃ大量だな」
ザルは感心しながら手伝いに行く
「おめぇらはそこら辺で遊んでろ」
ラートは2人にそう言いザルについて行く

「2人ですか」
メイデンはため息をつく
「海で2人言うたらアレしかありまへんね」
ボノムはケラケラ笑う
「そうですね久しぶりにやりますか」
メイデンも笑う

「「魔導相撲!」」


 Cグループ

 クラム達は静かな川辺を歩いていた
「はぁ~良い所ですね此処は」
ツイスターは翼を広げる

「川にも魚がいっぱいいる」
スカルドは川に顔を突っ込む
「見たことない魚だ美味いのかな?」
クラムはヨダレを垂らす

「...ふふっ」
フランはネックレスを眺めながら笑う
「そのネックレス気に入ってるようですね」
ツイスターはフランに話しかける

「...ひっ!あ、あのその」
「良いじゃないですか、素敵ですよ」
ツイスターはフランの顔を翼で撫でる
「は、はい...ありがとうございます...」
フランは顔を赤くしながらボソッと言う

「おーい!気持ちいいぞ!」
クラムは服を脱ぎ川でスカルドと水をかけ合っていた
「まぁクラムさん、風邪を引いちゃいますよ」
ツイスターは翼で顔を隠しながら言う

「...んん」
フランも裸足になって川に足を入れる
「きゃ!」
あまりの水の冷たさに思わず声を出してしまう

「お前可愛いな!」
クラムは笑いながら言う
「わ、私ごときに可愛いなんて、きゃあ❗️」
フランは慌てて足を滑らせる

「おっと、大丈夫か?」
クラムはフランの手を掴む
「あ、ありがとうございます」
フランは湯気が出るほど顔を真っ赤にする

「どうした?熱でもあるのか?」
「おいおい」
「お怪我はありませんか?」
皆はフランを心配する

「は、は、はい、ありがとうございます」
フランは川から出て、靴を履く
「クラムさんも服を着てくださいね」
「はーい」
クラムは服を着る

「おーい!そこの若いの!一緒に釣りでもせんか?」
釣りをしている老人がクラム達に声をかける

「釣り?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚約破棄に向けて悪役令嬢始めました

樹里
ファンタジー
王太子殿下との婚約破棄を切っ掛けに、何度も人生を戻され、その度に絶望に落とされる公爵家の娘、ヴィヴィアンナ・ローレンス。 嘆いても、泣いても、この呪われた運命から逃れられないのであれば、せめて自分の意志で、自分の手で人生を華麗に散らしてみせましょう。 私は――立派な悪役令嬢になります!

旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。 武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。

魔術師セナリアンの憂いごと

野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。 偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。 シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。 現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。 ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。 公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。 魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。 厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。

神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央
ファンタジー
高校生紺野陸はある日の登校中、車に轢かれそうな女の子を助ける。 え?助けた女の子が神様? しかもその神様に俺が助けられたの? 助かったのはいいけど、異世界に行く事になったって? これが話に聞く異世界転移ってやつなの? 異世界生活……なんとか、なるのかなあ……? なんとか異世界で生活してたら、今度は犬を助けたと思ったらドラゴン? 契約したらチート能力? 異世界で俺は何かをしたいとは思っていたけど、色々と盛り過ぎじゃないかな? ちょっと待って、このドラゴン凄いモフモフじゃない? 平凡で何となく生きていたモフモフ好きな学生が異世界転移でドラゴンや神様とあれやこれやしていくお話し。 基本シリアス少な目、モフモフ成分有りで書いていこうと思います。 女性キャラが多いため、様々なご指摘があったので念のため、タグに【ハーレム?】を追加致しました。 9/18よりエルフの出るお話になりましたのでタグにエルフを追加致しました。 1話2800文字~3500文字以内で投稿させていただきます。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載させて頂いております。

現代知識チートからの王国再建~転生第三王子は王国を発展させたい!~二大強国に挟まれた弱小王国の巻き返し!

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
東にバルドハイン帝国、西にエルファスト魔法王国という二大強国に挟まれたクリトニア王国は、両国の緩衝役を担っている中立国家である。   農作業が盛んで穀物類が豊富だけど、経済を発展させるだけの技術力を持たないクリトニア王国は常に両大国から嫌がらせを受けても耐え忍ぶしかなかった。   一年前に父である国王陛下が原因不明の病に倒れ、王太子であるローランド兄上が国王代理として国政を担うことになった。   経験が浅く、慣れない政務に疲れたローランド兄上は、いつものように僕― イアン・クリトニアの部屋へやってきて弱音を漏らす。   第三王子イアンの上にはローランド王太子の他に、エミリア第一王女、アデル第二王子がいる。   そして現在、王国内では、法衣貴族と地方貴族がローランド王子派、アデル王子派と分かれて、王位継承争いが勃発していた。   そこへ間が悪いことにバルドハイン帝国軍が王国との国境線に軍を派兵してきた。   国境での小競り合いはいつものことなので、地方貴族に任せておけばいいのに、功を焦ったアデル兄上が王宮騎士団と共に国境へ向かったという。   このままでは帝国と王国との全面戦争にもなりかねないと心配したイアンとエミリア姉上は、アデル兄上を説得するため、王宮騎士団を追いかけて王都を出発した。   《この物語は、二強国に挟まれた弱小国を、第三王子のイアンが前世の日本の知識を駆使し、兄姉達と協力して周囲の人達を巻き込んで、大国へと成り上がっていく物語である》

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...