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美しき街 ネイコプラグ

第12の旅 貴族と奴隷

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 G-6715
研究所

「博士、新薬開発は順調に進んでおります」
1人の研究員が報告をする
「そうか、ラットに使った結果はどうだ?」

「はい、コレを」
研究員はネズミが入っているカゴを取り出す
「なんだ特に変化がないじゃ無いか」
博士は眉間にシワを寄せる
「いえ、よく見てください」
研究員はカゴの中に石ころを投げ入れる

「キシャー!」
ネズミが唸り声を上げるとカゴの中に小さな人型の黒い影が現れた

「コレは!?」
博士は黒い影にくいつく
「はい、コレはラットが警戒したことによって出現した存在です」
黒い影は石ころを粉々に砕く

「す、素晴らしい!コレを人間に使えば最強の兵士になるぞ!」
博士は笑う


 一方その頃ジャン達は次の街に向かって森を歩いていた。

「クラム、白夜さんこの森を抜ければ街に到着するよ」
ジャンとクラム、白夜は森の狭い道を歩いていた。パンプはジャンのカバンの中、ツイスターとスカルドはクラムの上着のポケットの中、ローズは白夜の腕を中で眠っている

「それにしても此処はジメジメしますね」
「ああ、それにそこら中から生き物の臭いがする」
クラムは警戒をしている

 暗い森の中に光りが入ってくる
「ジャン、あれ街じゃないか!」
クラムは走る
「おい!クラム待てよ」
ジャンも走る
「2人とも待ってください!」
白夜も2人を追いかける

「おいおい、速くしろよジャン、うわっ!」
クラムは街を目の前に人にぶつかり、転ぶ
「クラム!だから気をつけろって言ったじゃないか」
ジャンは呆れる

「ん、んー!街に着いたんですか?」
ツイスターは目を覚ます
「イテテ、うーんなんだよ~」
スカルドも頭を抑えながら起きる

「わ、悪い、前を見てなかった」
クラムは立ち上がりながら謝る
「貴様!何をするんだ!」
男の近くにいた小さな馬が怒鳴る

「あれ?ザルさんにメイデンじゃありませんか!」
ツイスターはクラムのポケットから飛び出す
「本当だ!ザルとメイデンだ!」
スカルドもポケットから飛び出す

「お前達は!」
ザルという男はツイスターとスカルドに気づき喜ぶ

「やっと、やっと会えたぜ!やったぞメイデン!」
ザルはジャン達のクラスメイトでジャンの親友だ
「はい!ザル様!」
メイデンはザルのパートナーでユニコーンの精霊だ

「クラム、ちゃんと謝った?って!ザル君じゃないか!」
ジャンはザルの方へ走る

「おお!ジャン!」
ザルはさらに喜ぶ
「うるさいぞジャン、眠れないじゃないか~」
パンプはカバンから顔を出しあくびをする

「んあ!メイデンだ!ザルもいるぞ!ジャン!」
パンプはパッチリ目を覚ます
「はは、パンプは相変わらずだな」
ザルは笑う

「お前、そんなんでジャンさんを守れてるのか?」
メイデンは心配する
「へへーんだ!ここまでの旅はオレがいたから安全だったんだぜ」
パンプは鼻を高くしながら言う

「おいおいおい!パンプ!この旅が上手く行ってるのは俺のおかげだ!」
クラムはパンプに対抗する
「いやいや、僕だよ」
ジャンも対抗する

「おいおい、お前ら」
ザルは呆れる
「ちょっとちょっと!何よその話題は!この旅が上手く行ってるのは白夜のおかげよ!」
ローズを抱えながら白夜が森から出てくる

「白夜にローズも居たのか!」
「ハァハァ、2人とも少しは待ってくださいよ」
白夜は息を切らしている

「あっ!ザルさん!」
白夜もザルに気づく
「よっ!」
ザルは気さくな挨拶をする

 精霊達は集まって遊び始める
「あの、ザル様このお方達は?」
ザルの後ろからボロボロの布切れを着た少女が出てくる

「なぁなぁ、コイツとこの可愛子ちゃんもジャン達の仲間なのか」
クラムはジャンに聞く
「ザル君とメイデンは僕達の仲間だけど、そっちの女の子は知らない子だよ」

「フラン、コイツらは俺達の仲間だ、自己紹介をするんだ」
ザルはフランという名の少女の背中を押す

「は、はい!わ、私の名前はフラン、フランです、姓もない汚らしいクズです!」
フランは震える声で名乗る

「こらこらフラン、お前は汚らしくも無いし、クズでも無い、自信を持つんだ」
ザルは少し強く言う
「ひぃ!も、申し訳ございません!ど、どうかお許しを!」
フランはザルに縋り付くように謝り続ける

「僕はジャン・バーンよろしく」
「俺はクラム・クルムよろしく頼むぜ」
「私はスフール・白夜よろしくね」
3人は手を出すとフランはザルの後ろに隠れてしまう

「すまない、話は街に入ってからしよう、おいお前ら!行くぞ!」
「「「「はーい!」」」」
ザル達は精霊達を呼び戻し、街へ入る

 ネイコプラグ
此処はとても綺麗な景色で有名な観光地

「フランは俺とメイデンが旅をしている途中で出会った異常者イレギュラーってヤツなんだ、どんな傷でも癒すっていう力があるんだよ」
フランはそう説明しているザルの服をずっと握っている

「傷を癒すって俺のヒーリングジュエルみたいな物なのか?」
パンプは指で宝石を回しながら聞く

「彼女の力はパンプの技とは比にならないほど治癒が早い、しかも体力の消費はない」
ザルはパンプが投げた宝石をキャッチして答える

「なんか悔しい」
パンプは少しムスッとする
「ですがフラン様はこの力を利用され、ある貴族に奴隷にされていたのです」
メイデンはザルの代わりに説明をする

「で、ザル君がその貴族を倒して、彼女を助けたんだね」
ジャンがそう言うとザルは首を横に振った

「いや俺は勝てなかった、隙を見てフランと一緒に国から逃げた」
「ザル君が負けた!?一体どんなヤツだったんの?」
ジャンは驚き聞く

「分からない、攻撃を仕掛けた途端、俺の腹が斬られていたんだほんの一瞬で」
ザルは汗を流す
「わたくしにも認識が出来ませんでした、おそらく何らかの力を持っています」
メイデンは歯を食いしばり悔しがる

「力を持っているか...フランは何か知ってるの?」
「ひ、ひぃ!」
ジャンはフランから貴族の力を聞こうとしたが彼女はザルの後ろに隠れてしまう

「すまない、まだ人を信じることができないみたいなんだ」
フランは震えながらガッシリとザルに抱きつく

「こりゃ重症だな、どれ」
クラムは髪をかきむしりながらザルの背後に回り込む
「お、おい何をするつもりだ?」
ザルはクラムを止めようとする

「ベロベロバー‼️」
クラムは顔だけオオカミにしてフランを驚かせようとする
「...ぐっ!ぶふ、あははは!」
フランは大きな声で笑う

「なっ!?」
ザルが驚く
「はっ!も、申し訳ありません!笑ってしまうなんて!この!」
フランは自分の顔を叩く

「おいおい、何やってんだよ何で自分の顔を叩くんだよ」
クラムはフランを止める
「だ、ダメなんです笑ったら、怒られてしまいます」

「ガァァァ‼️」
クラムはフランの目の前で吠える
「へ?」

「いい、お前は笑って良いの!もうお前は奴隷じゃないだろ、いつまでもズルズル引きづらない!」
そう言ってクラムはジャンの方へ戻る

「な、なぁジャン、ソイツはなんなんだ?」
ザルは冷や汗を流しながらジャンに聞く
「ああ、コイツはクラム、フランと同じ異常者イレギュラーでオオカミ男、そのせいで村で自由に生活ができなくなってたんだよ」

「おん...なじ?」
フランは少し顔を出すと同時に馬車が走ってくる音がしてきた

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