僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

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英雄誕生伝編

第51話 それぞれの明日へ

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 ケンザキとの死闘から約1週間後

【150年前 竜の里】

 この日は延期されたゼノの里長就任の日だ。
「それではゼノ、前に出てください」
「はい!」
前里長リーラの指示に従い、ゼノは段上に上がる。

「それでは挨拶を」
「あの、えっと...」
ゼノは緊張して黙り込む。

「ほらゼノ、周りを見てごらんなさい」
ゼノはリーラの言う通りに顔を上げ周りの人達を見るとみんなゼノのことを微笑みながら見ていた。

「おいゼノ!しっかりしろ!」
ノックが盛り上げるように声を上げると周りの人達も声を上げた。

「「「「ゼーノ!ゼーノ!ゼーノ!ゼーノ!」」」」
歓声が上がる。

「みんなゼノの事を認めてるんですよ。自信を持ちなさい」
リーラはゼノの頭を撫でる。

 ゼノが少し前に出ると歓声が止まる。
「みんな!僕、里長になる!みんなから頼られる里長に絶対なるよ!」
ゼノは宣言すると拍手が起こる。

「科学軍が攻めて来たぞー!」
クランクが里の門から走って来た。
「里長!指示を!」
里民はゼノに指示を求める。

「みんな!戦うよ!」
ゼノの指示とともに戦争が始まる。


 ゼノとクランクの活躍により、戦闘は数時間で幕を閉じ、日は落ちた。

【リーラの家】

 里長になったためリーラの家に住む事になったゼノは怪我の手当てをしてもらっていた。
「ゼノ、初日にしては良かったですよ。ところで竜ノ神は何処に?」
リーラはゼノの傷口に薬を塗る。
「いっ!...竜ノ神なら疲れて寝ちゃいました」
ゼノは痛みに堪える。

「里長...」
ゼノが何か言おうとするとリーラは微笑む。
「私はもう里長じゃありません」

「じゃあなんて呼べば良いんですか?」
ゼノは困った顔をする。
「好きな呼び方で良いですよ」
「じゃあ里お」
「却下」
再びゼノは考え込む。

「じ、じゃあ...お母さん...」
ゼノはボソッと小声で言う。
「はい?聞こえませんよ」
リーラは聞き返す。

「お母さん!」
ゼノは恥ずかしそうに大声で言う。
「ま!」

「里長は僕の親が死んでからずっと面倒を見てくれた。だからお母さん」
ゼノは綺麗な装飾のネックレスをリーラに渡す。

「コレは?」
「この前拾った、お母さんにプレゼント」

「ゼノ...」
リーラは涙を流す。
「ごめんなさい!やっぱり嫌だよねお母さんなんて..」
ゼノは頭を下げようとするとリーラに抱きつかれた。

「違うのです、私は嬉しいんですよ、両親を殺されてから臆病になってしまったあなたがこんなにも逞しくなっていた事を」
リーラの抱きしめる力は強くなる。

「痛いよ、お母さん」
「許しなさい」
リーラは更に強くゼノを抱きしめる。

「この首飾りは私の宝物にします」
リーラはそう言い、ネックレスを首にかける。


【現代 新・魔法科学総合ドーム】
 
 この日はドームに魔法軍、科学軍の両国の国民が集まった。もちろんテロ対策もバッチリ、周りは警備員だらけだ。

 ドーム内では先日の魔獣の襲撃、ケンザキを筆頭に行われたテロ行為、悪魔復活の禁忌などによる犠牲者の報告、この騒動を収めるのに協力した者への賞状贈呈式が行われていた。

「それでは代表者ジャン・バーンさんお願いします」
アナウンスの指示に従い、ジャンは壇上に上がる。今回の件で魔法軍と科学軍のハーフであるジャンは代表としてスピーチを行う事になった。だが、大勢の人々の注目を浴び、緊張で動きがぎこちない。

「ジャンのやつ緊張してるな」
ザルは小声でメイデンとパンプに話して笑う。
「ジャン!ガンバレ!」
パンプは大声で応援する。

(パンプ...余計恥ずかしいよ..)
ジャンは覚悟を決めマイクを顔に近づけると同時に周りは一気に静かになる。

「僕の父は科学軍の国の人間です」
ジャンの声がドーム外まで響き渡る。

「そして僕の母は魔法軍の国の人間です」
会場はザワザワし始める。
「今回の騒動で僕は真剣に考えました。ダイドウ・ケンザキが作り出した組織レヴォルについて...彼らは皆僕と同じハーフで皆過去に差別や迫害を受けてきていました。そして、純血を恨んでいました。このままこの問題を放置していると魔法軍と科学軍がまた戦争を始まり、僕らは家族同士で争いをしなければならないのかと」
ジャンは少し悲しそうな顔をする。

「だからこそ!僕は今こそ!正式に発展戦争の終結を両国に誓ってほしいのです!」
再び会場はざわめく。

「ケンザキは支配によって争いを消そうとした。だけど僕は共存という選択を取って争いを消したいと思います。代表挨拶としてはちょっと違う事を言っていると思いますがコレが今僕が伝えたい想いです」
ジャンは深々と礼をして壇上から降りる。

 拍手は起こらなかった、しばらく沈黙が続いたが1人の男が声を上げた。
「ジャン!俺は賛成だぞ!いつまでも昔の奴らが起こした戦争に巻き込まれるのは反対だ!」
ザルは会場に声を響かせる。
「ザル君..」

「そうだ!俺も反対だ!戦争で大事な家族を傷つけたくなんかない!」
「私も!」
シュンとマツリも声を上げる。
「シュン兄にマツリさんも..」

「そうだ!俺もだ!」
「私も!」
「僕も!」
次々と会場中から声が上がり始める。

「あの子の言う通りだ!」
「「「終戦!終戦!終戦!」」」
会場が声で揺れるこれには両国のお偉いさん達も反応せざるを得ない。

 その後、両国の代表者の宣言により、発展戦争は完全に終戦を迎えた。終戦のきっかけとなったジャンは両国の新聞に戦争を終わらせた少年としてしばらく記事の一面に載った。
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