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英雄誕生伝編

第46話 神となった者、挑む者達

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【龍神町】
 今日も休日だが、パンプ達は学園長と共に学園に集まっていた。龍神も本来の姿で学園の真上で待機していた。

「あと1時間か...」
学園長は幼少の記憶に浸りながらも晴天の空を見上げる。



【150年前 竜の里】

 ジャン達はほとんどの魔獣を倒した。辺りには魔獣の残骸が散らばっている。
「ハァ...ハァ...終わったのか...」
ジャンは息を切らしながらも死骸を数える。
「とりあえず片付いたな」
ユウスケはため息をついて、その場に座る。

「ゼノ、お前凄い魔力だな、なんで隠してたんだよ!」
クランクはゼノの背中をポンと叩く。
「へへへ!」

「ゼノ!構えろ!なんだ!この禍々しい魔力は!?」
竜ノ神は震え出す。
「どうしたの竜ノ神?」
「...来る!!」

 木々を薙ぎ倒しながらケンザキが魔獣の群れと里の方へ向かってきた。
「お前ケンザキだな!」
「まだ生きてやがったか!」
ジャンとユウスケは身構える。

「ご名答~ユウスケさ~んじゃないですか~それにジャン・バーン!」
ケンザキは形相を変え、ジャンを睨みつける。

「ショウイチ義兄ちゃん!」
スズメは前に出る。
「おい!勝手に行くな!」
ユウスケは声をかけたがスズメには届かない。

「うぐ...!」
次の瞬間、スズメはケンザキの触手によって胸を貫かれた。
「ぐっ...なんで...!」
スズメは胴体に空いた風穴から血を吹き出しだから力尽きる。

「この体、い~らない!」
ケンザキはショウイチの体を破り捨てて真の姿を現した。ケンザキは肉片で無理矢理組み立てられた人間のような姿をしていた。

「うげぇ気持ちわりぃな!」
ノックはドン引きする。

「いイい~ねネねネね!!さサさサっッっッそソそソそくクくクくク!!」
ケンザキはスズメの死体や魔獣の死骸を取り込んでいく。

「なんてこった!」
ユウスケは汗を流す。
「なナナななじじむむぞぞ!」
ケンザキは後ろにいる魔獣達も生きたまま取り込んでいく。

「ひっ!..やるぞ!」
ゼノは一瞬怯えるがすぐに魔力をたぎらせた。
「ううううおおおおおお!!」
ケンザキの姿はどんどん変化していき、激しい光を放つ。

「うわっ!」
ジャン達はあまりの眩しさに手をかざしたがクランクだけは直視している。
「敵ながら素晴らしい力だ!」
クランクは口角を上げる。

 光の中から下半身は虎、上半身は人間、腕は6本、黒い翼が4本生えているケンザキが現れた。
「溢れる!もう私は魔人などという次元では無い!!真なる神だ!!」

「ドラゴンブレス!!」
怯む事なく竜ノ神は口から凄まじい威力の光の波動を放つ。

「そんな攻撃、神なる私の前に無力...」
油断大敵、ケンザキの腕が3本吹き飛ぶ。
「なっ!」

「今のが我の全力...」
竜ノ神は力を使い果たし、地面に足を付ける。
「竜ノ神!」
ゼノは竜ノ神を背負う。

「おのれ!このトカゲが!!」
ケンザキの周りに無数の魔法陣が現れ、黒い魔球が発射される。

 黒い魔球が当たった岩や木々は溶け始める。
「わぁ!危ない!」
全員は黒い魔球を躱す。

「ジャン黙って聞いてくれ、今からアイツを倒すための武器を持ってくる。みんなで時間を稼いでくれ」
ユウスケは小声でジャンに話すとジャンは頷いた。

「よし...死ぬなよ」
ユウスケは里の方へ走る。

「どこへ行く!」
ケンザキはユウスケに向かって巨大な魔弾を飛ばす

ふう!!」
ジャンは圧倒的スピードで魔弾に追いつく。
りん!!」
ジャンの分身が魔弾を盾となり消える。
!!」
残りの分身が魔銃マガンで集中砲火を始める。

「小賢しいわ!」
ケンザキの腕を一振りで分身達は消し飛ぶ。

 ジャンの体内の魔力をたぎらせて髪は赤くする。
「リバース!!ざん!!」
ジャンはケンザキの顔面目掛けて全力の拳をぶつける。

「きまった!」
クランクはガッツポーズをする。
「無駄だ....」
「なっ!?」
ジャンの一撃にケンザキはびくともしていなかった。


 一方その頃、戦線離脱をしたユウスケはタイムマシンを分解していた。
「これでいける!」
ユウスケはタイムマシンのエネルギータンクを取り出し、再び最前線へと向かう。



「効いていない!?」
ノックは焦る。
「魔力を消耗しすぎたな!力が分散した!」
クランクは分析する。

「邪魔だ」
「グワァァ...!」
ケンザキは軽く腕を振るとジャンは吹き飛ばされ、大岩に体が埋まった。

「殺すぞ..下等生物共が」
ケンザキは剣を作り出して斬撃を飛ばす。

「うわぁぁぁ!!」
ゼノも木の枝から巨大な剣を作り出して斬撃を受け止める。
「ぐっぐぐぐ...!!」
ゼノは踏ん張るが押される。

 ゼノの剣にヒビが入る。
「ゼノ!」
クランクはゼノを突き飛ばす。

 ゼノは斬撃を逃れることができたがクランクの左腕が吹っ飛ばされた。
「ぐっ!」
クランクは落ちた左腕を回収する。

「させるか!」
ケンザキはクランクの左腕を吸い込んで自身の腕を再生させた。

「クソ!やむを得ん...ぐっあ"あ"!」
クランクは腕の切断部分に回復魔法を使い止血する。
「クランクさん!それじゃあ腕が!」
断面を塞がった事で腕の修復は不可能になってしまった。

「兄さんは下がって!俺が!」
「僕も!」
ノックとゼノが前に出る。

「フフフッ!ハッハッハ!もう面倒くさいわ!消し飛べ!!」
ケンザキから凄まじい圧の魔力が溢れ出す。

 魔力に蝕まれた物はどんどん消えていく。
「マズイ!このままだとボウズが!」
ノックはジャンが飛ばされた方を見る。

「フハハッ!素晴らしいパワーだ!」
ケンザキは周囲の物や小動物を消し飛ばしながら笑う。

「ゼノ...」
「竜ノ神!大丈夫なの!」
「今残っている力を全てゼノに送る...!相殺ぐらいはできるだろう...」
竜ノ神はそう言いゼノに巻き付いて力を送る。

「やってみせるよ!」
ゼノは木の枝を投げ捨て両手を合わせると巨大な魔法陣が出てきた。

「俺もいくぜ!」
ユウスケが駆けつけ、エネルギータンクを装填したバズーカを構える。

「いっけーー!!」
ゼノが魔力を込めると魔法陣から眩い光線が発射される
「ふんっ!」
引き金を引くとバズーカからエネルギー弾が発射され、反動でユウスケは後ろ方へとに吹っ飛んだ。

 激しいエネルギーのぶつかり合いが起き、周辺の空間が歪み出す。
「おのれユウスケ!こちらも全力だ!」
ケンザキはオーラの出力を最大にする

「俺らもヤバいな!一時撤退だ!」
ノックはゼノと竜ノ神を抱えてクランク達と里の方に撤退する。

「しまった!ジャン!」
ユウスケは戻ろうとしたがノックに止められる。

「諦めろ!死ぬぞ!」
「クソッ!」
「ジャン様!」

 巨大な爆発にジャンは飲まれてしまった。
「ジャン!」
「ジャン様!!」


【現代 龍神学園】

「オイ!アレなんだ!」
空に巨大な穴が生まれた。
「空が裂けている!?」
パンプ達は穴の中から感じる異様な気配に身構える。

「何か落ちてくるわ!」
アミィは穴から落ちてくる人を見つける。
「ジャンだ!」
パンプは叫ぶ。

 ボロボロのジャンが空から降ってきた。
「龍神!」
「分かっている!」
学園長の声をかけると龍神はジャンを回収しに空を飛ぶ。


「何だあの穴!学園の方だ!行くぞメイデン!」
ザルは共鳴をし、メイデンに乗り学園へ向かう

「白夜!アレ!」
「おい!レート!」
「うん!」
「アドロンさん!」
「ガブリラ!行くわよ!」
「空が...」
それぞれ学園へ向かい始める。
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