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青春忘却編 

第29話 混沌四重奏

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 シュンの母アイカと無事に合流する事が出来た。
「あれ?もしかして、シュンさんのお母様はジャンさんのことを覚えているのですか?」
「もちろん覚えてるよ、最初は大きくなってたから分からなかったけど」
ツイスターの疑問にアイカは大きく頷く。

「何で母さんは覚えてるんだよ!え?て事はあの人本当に俺の従兄弟!?」
シュンは母の肩を掴みながら疑問を並べる。
「バカね、少し考えれば分かるでしょ範囲よ範囲、アンタそれでも私の息子?」
アイカはシュンの手を振り払い答える。

「あっそっか!」
「おいおいシュンさん、失礼だが話を聞くにアンタのお袋さんは研究所から来たらしいじゃないか、本当に信用していいのか?」
「そ、そうだぜ」
アドロンとスカルドはアイカを怪しむ。

「まぁ私を疑うって事はアンタ、ウチの子より賢いね。でも私があの研究所で働いていたのはある目的があったから」
「ある目的?」
「ダイドウ・ケンザキ、私の可愛い弟を...ジャンのお父さんを殺した男、ヤツが研究所のトップに居る。私は仇を打つ為にあの研究所に所属していた」
アイカの言葉にツイスターの中で点と点が繋がり始めた。

「っ!アドロンさん!大変ですジャンさん!きっとお父様の仇を討つ為に!」
「そういう事かよ、あのバカ...今すぐ行くよ!」
「途中まで案内するよ」


【科学軍の国 研究所】

「隊長!総司令官がお見えになりました!」
「直ちに迎えるぞ!全員配置につけ!」
1人の隊員はレッドカーペットを敷き、他の者達は膝をつき花を投げる。

「ケンザキ総司令官!どうぞこちらに!」
隊長は豪華な椅子を用意する。
「お~悪いね~」
総司令官ケンザキはレッドカーペットの上を悠々と歩き、堂々と椅子に座る。

「今回はどのような件でこの研究所にいらしたのですか?」
隊長はゴマを擦りながらケンザキに訊ねる。

「う~ん、そうだね~あのサンプルAとかいうヤツ、僕ちゃんの友達に似てたんだよね~だ~から~僕ちゃん直々、サンプルAを始末するか勧誘しようかと思ってね~」
ケンザキは椅子にだらしない格好で寝っ転がり答える。

「で、ですが、サンプルAはエネルギー開発に重要な存在で...へ?」
隊長はケンザキに意見しようとした時、胸元に違和感を感じる。

 隊長の胸元には注射器が刺さっていた。
「ケンザキ総司令官!何を...うぼっ、がババ、グウォーー!!」
注射器を刺された隊長の体はみるみる魔獣のように醜く変貌する。

「君、僕ちゃんに意見する気~?生意気だねぇ~」
ケンザキはニヤけながら隊長が完全に魔獣になる姿を見届ける。

 研究員達の背筋が震え、研究所には不気味な空気が流れ始めた。


【研究所付近】

「ジュエルバースト!!」
「フレイムボール!!」
共鳴したジャンとパンプは戦闘マシンの軍勢を次々と薙ぎ倒していく。

「ジャン!キリがないぞ!」
「ああ分かってる、一気にぶっ飛ばすか」
そう言うとジャンはライフル形状に変形させた魔銃マガンを構える。

「バイン!」
ジャンが魔法を唱えると魔銃マガンが2丁になる。
「いくぜ!」
ジャンは2丁の引き金を引き、マシンの群勢に乱射する。

「オレもいくぜ!ブレードジュエル!」
パンプの両手に宝石の剣を作り出し、マシンを次々と両断していく。

 壊れたマシンはどんどん爆発し、同時に戦いが激しくなっていく。


「オラァ!」
「セット!」
ジャンは2丁の魔銃のマガジンを取り出し魔力を込め、再び装填する。
「バイン、ダブル!」
2丁の魔銃の銃口にバインの魔法陣が出現した。

「パンプ!」
「おう!」
ジャンはパンプに上空に投げ飛ばしてもらい、広範囲に大量の敵を狙う。

「ダブル...バースト」
魔銃の引き金を引くと複製された特大火球の雨がマシンの群勢を襲い始める。

 戦いを終え、辺りは荒地になる。
「よーし、全部倒した」
「やったな!オレらまた強くなったぞ」
共鳴を解いた2人はハイタッチする。

「でも、かなり魔力と体力を使っちゃったね」
ジャンは手を膝に置いて息を整える。
「ジャン!まだ何か来るぞ!」
「えっ!?まだ居るの!」
パンプの鼻は何かの匂いに反応する。

「ほんとだなんか来るぞ!」
「サンプルA、サンプルB発見、直ちに捕獲します」
鉄仮面を被った黒スーツが砂嵐を上げながら2人の元へ向かって来る。

「何だよあれ!」
「分からない!でもなんか嗅いだ事ある匂いだ!」
ジャンとパンプは戦闘態勢に入る。

「体力的に共鳴は無理だ、パンプ!サポートお願い!」
ジャンは肩にパンプを乗せて、魔銃を構え直す。
「おう!ブーストジュエル!」
ジュエルによってジャンの髪は赤く染め上がり、魔力は活性化される。


【魔法軍の国 龍神町】
 アドロンはシュン達に研究所までの道のりを地図にしてもらっていた。

(すみませんアドロンさん、私がもっと早く気付いていれば)
「気にするな、あんなに近くにいたのに俺らも気付けなかった」
(そうだ、俺も悪い..!何か来るぞ!)
アドロンが感じた気配は間違いではない。何かが勢いよく落ちてきた。

「何だ!?」
舞い上がった煙の中から人型のマシンが現れる。
『裏切り者を排除する』

「また、コイツか」
アドロンはうんざりしながらも戦闘態勢に入る。
「この鉄の人は昨日戦いました。私達が対処します」
「アドロン君!地図だ!此処は任せた!」
「ありがとうございます、ここから別行動という事で!」
「死ぬんじゃないよ」
アドロンは2人に向けてサムズアップをし、全身に魔力をたぎらせる。

「さっさと片付けるか」
アドロンはマシンに電撃を放つ。

『ジジジ..ミッション妨害発生!対処します』
電撃を喰らったはずのマシンは支障無く動き続ける。
「何!?」
マシンは背中のジェットを噴射し、アドロンに殴りかかる。

(危ない!)
スカルドは咄嗟にアドロンを鋼鉄化させて攻撃を防ぐ。
「ありがとうスカルド...コイツ!昨日と違うみたいだな、本気でいくぜ!」
(はい!)
(おう!)
混沌の鎧ルシルフル!」
アドロンの体の表面が禍々しい鎧に変化し、背中から神々しいツイスターの翼と禍々しいスカルドの翼が生え始める。

「この鉄屑が!すぐにバラしてやるよ!」
アドロンは両腕を剣に変形させてマシンに斬り掛かる。

『アドロン・ジーナスのデータを算出...』
マシンは頭部の中心にある真っ赤な目のようなカメラでアドロンの動きを予測する。
「ゼヤァァ!」

『データ算出完了!プログラム実行』
マシンはアドロンの斬撃を受け止める。
「何!?」
アドロンは地面に顔面を押さえつけられ、重い反撃をくらってしまった。

「グワァァァ!」
アドロンの鎧にヒビが入る。

(このままじゃ俺がバラバラにされちまうな)
(お兄ちゃん!どうするの、このままじゃ)
(落ち着いて下さい!まだ手はあります)
(姉ちゃん、なんか良い案があるのか?)
死闘を繰り広げながらアドロンの体内では作戦会議が行われていた。

(私達もやるんですよ、共鳴を!)
(スゲェや、でもどうやってやるんだ?)
(ジャン君達はたしか..心を合わせるって言ってたね)
(やってみる価値はあるな、よしみんな!俺に合わせろ!)
アドロンの2つの精霊石から光を放たれた。
『強力な魔力反応をキャッチ!データにありません』

 精霊石の力が鎧のヒビを消し、更なる変化を始めた。翼は肥大化し、光と闇の輝きが膨張する。

「「「「混沌の鎧・四重奏ルシルフル・カルテット!!」」」」
新たな鎧の誕生に教会の鐘の祝福が町に鳴り響く。

『データ収集を開始!』
「「はぁ!」」
アドロンは翼から無数の電流を纏った鋼鉄の羽を飛ばし、マシンに突き刺す。

『データ収集..中止...デストロイモード移行』
危険を察知したマシンは全身から兵器を展開し、全てアドロンに標準を向ける。

『3.2.1..』
((((一点集中!!))))
アドロンは鎧を解き、右腕を巨大な剣に変形させる。ツイスターとスカルドと2人の魂が剣に集まる。

「「「「プレスト!」」」」
アドロンは目にも止まらぬ速さでマシンの近づく。

「「「「フィナーレ!!」」」」
豪快に振り回させれた剣は兵器をマシン諸共両断する。

『ギ...ギギ..データを..送...信..』
基盤剥き出しで最後の役目を果たしたマシンは爆散する。

(やった!なんとかなりました!)
(なんか凄かったな!)
「ふぅ、流石に堪えるぜ...これ、結構疲れるね」
アドロンはその場に座り込んで休憩する。

「数秒が限界でしたね」
ツイスターはアドロンの体から出てくる。
「あー疲れたー」
スカルドも出てくる。

「4つの心を合わせるってなると普通の共鳴より力を使うって事か?...ジャン君達、大丈夫かな」
休むアドロン達に6人の影が近づく。


「おい!アドロン!」
アドロンが怒鳴り声を上げる者を見上げるとそこにはザル達がいた。
「お前らか...やっぱり来るよね」
アドロンは瓦礫に手を付けながら立ち上がる。

「テメェ、よくもジャンを殺しやがったな」
ザルは険しい顔をしながらアドロンに武器を向ける。
「どうせ何言おうが今のお前らじゃ話にならないんだよ、失せろ」
「申し訳ありません。今はあなた達に構っている暇はありませんので」
アドロンはツイスターとスカルドに支えられながら、ふらつく足を動かす。

「何処へ行こうってんだ!テメェは今ここで俺らが...倒す!」
ザルはメイデンと共鳴して戦闘態勢に入る。

「仲間を殺すなんて..地獄へ行く事になりますよ」
ウリエラとガブリラは天使の力の一部を解放し、弓を構える

「アドロン君とは出来るだけ戦いたくはなかったけど」
「やるしかありませんねマスター」
「白夜が今行方不明になってるらしいじゃねーか、お前なんか知ってんじゃねーか」
「やってやりやしょうぜ、ご主人!」
ラートとレートも戦闘態勢に入る。

「バカ野郎共が...今戦ってる場合じゃないんです!分かってください!」
「リベラ達は!」
「よせリベラ、コイツは人間じゃねぇ。人間の心が無いんだ。ここで倒すぞ」

「ちょっとザルさん!今のは聞き捨てなりませんね!」
「おいツイスター、俺らは良いんだ。気にするな」
「いーや!今のは俺も許さない!アドロンの気持ちも分からないクセに」
ザルの発言がツイスター達の逆鱗に触れてしまった。

「ふん、所詮は汚らしい精霊。ゴミの臭いがするぞ」
「メイデン!なんて酷い事を...おいザル、テメェ家畜の躾もロクに出来ねぇみてぇだな。分かったよ、此処に居る全員、まとめてぶっ倒す。だから2度と俺らに関わるんじゃねぇぞ」
アドロンは右腕を剣に変形させ、最悪の再会と同時に戦いが始まる。
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