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青春忘却編
第27話 赤い雨
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また朝が来た。目を覚ます度に今の状況が夢であって欲しいと思うけど現実てのは非常だ。
「...ん?まだ寝てるのか」
パンプは鼻ちょうちんを作りながらスヤスヤ眠っている。いつもなら僕の腹の上を跳ねてるはずなんだけどな。
ジャンは起き上がり居間に移動する。
「起きたか早いな」
アドロンが椅子に座り本を読んでいた。時計を見るとまだ5時だった。
「おはよう、アドロン」
ジャンはあくびをしながら体を伸ばす。
「アドロンはいつ起きたの?」
「俺は3時から起きてるぞ」
「3時!?」
「ええ、私達は1日1時間ぐらい眠れば良いからね」
アドロンは微笑みながらページをめくる。
「なんか良いなぁ...そういえばアドロンって普通に食事してるけど食べた物はどうなるの?」
「そうだなぁ、俺もよく分からないが多分魔力とかに変換されてるんじゃないか?トイレにも行かないし...昔頑張って作ったのにちょっとショックだったな」
「そうなんだ...」
「そうだジャン、お前は今日留守番だ」
「え?どうして?」
「昨日の様子を見るに今のお前はどうやら狙われているようだからな。外に出るのは危険だ」
確かにアドロンの言う通りに今日は留守番していた方が良いな。
「そうだね、今日は留守番してるね」
「あとツイスターも置いて行く、俺はスカルドと一緒に学園まで行って来る」
「学園に?」
「ああ本を読んで思い出したんだよ。記憶を操作する魔法があることをな、だから学園長と龍神様が何か知ってるか聞きたくて...それに偽物のジャン君も気になるしね」
アドロンは手に持っている本をジャンに見せる。
「ありがとう、僕達の為にここまでしてくれて」
ジャンは少し泣きそうになる。
「おいおい泣くのは全部解決してからだぜ。さぁ朝ご飯の準備をしなきゃな、手伝ってくれ」
「うん」
アドロンとジャンは朝食の準備を始める。
「あれ?ジャンもう起きてたのか?」
パンプがあくびをしながらを目を擦っていた。
「おはようございま~す」
ツイスターの髪はすごい寝癖だ。
「zzz...」
スカルドは眠りながら翼をパタパタ動かしている。
「みんな、朝ごはんの準備ができたから顔洗って」
ジャンとアドロンはテーブルに朝食を並べる。
「「「はーい」」」
パンプ達は洗面所で顔を洗う。
「ツイスター、髪とかすね」
「ふぁーい..おねがい..しましゅ」
アドロンはクシでツイスターの髪を器用にとかし始める。
「はいOK」
「ありがとうございましゅ」
ツイスターの髪はセットできたがまだ寝ぼけているようだ。
朝食を終え、アドロンとスカルドは学園へ行く準備をする
「それじゃあ行って来る...みんな留守番頼んだよ」
「任せてください!アドロンさん」
アドロンとスカルドは出発する。
「ジャン!オレ本読みたい!」
パンプの一言にジャンが驚く。
「パンプ、本なんて読めるの?」
ジャンの疑問にツイスターが飛び出す。
「パンプさん凄いんですよ!文字を教えたらすぐに読み書きができるようになったんです」
ツイスターはジャンに昨日の留守番中の事を教える。
ジャンはさらに驚く。
「パンプ、今まで文字読めなかったの!?」
「そこですか...というか気付いていなかったのですか」
「しかもたった1日でできるようになるなんて凄いじゃないか」
ジャンはパンプを頭をワシャワシャと撫でて褒める。
「凄いだろ、だから本を読もうぜ!面白そうな魔法があったんだ」
パンプはワクワクしながら魔法図鑑の本を持ってくる。
「まさかパンプが本にハマるなんて..母さん知ったら喜ぶだろうな」
【龍神学園】
アドロンとスカルドは学園に到着した。
「はぁ~いざ行くとなるとちょっと複雑な気持ちになるなぁ」
アドロンはダルそうにカバンを持つ。
「んなこと言ってもよ、行くしかないだろアドロン」
スカルドはアドロンの前を飛びながら大きなあくびをする。
「そうだよお兄ちゃん、行かなきゃ駄目だよ...だよなぁ、でもみんなになんて説明したらいいんだか。しかもジャンの席に偽物だろ?」
「らしいな、俺まだ見てないから分からないけど」
アドロンは教室へ向かう。
「みんなも少し記憶をいじられてるって事かよ。余計な事言えねぇな。スカルド、今日は俺の体の中に入っててくれ」
「おう、分かったぜ」
(コレで良いか?)
「良いぞ」
スカルドはアドロンの体の中に潜り込む。
アドロンが教室のドアを開くとザル達の視線が一気にアドロンに向けられる。
「おうアドロン、大丈夫だったか?2日間も休んで」
ザルがアドロンに声をかける。
「ちょっと用事があってな」
アドロンはそう答え自分の席に着く。
(なんかいつもの教室と雰囲気が違うな。スカルド、みんなにバレないようにどこでも良いから体を出せ)
(え?分かった)
アドロンの後頭部から髪に隠れながらスカルドはこっそりと顔を出す。スカルドの視界を通して、アドロンは教室全体の様子を観察する。
(...!やっぱりいやがった)
(あれが偽ジャンか)
明らかに見覚えのない男がジャンの席で白夜と会話をしていた。
「どうしたんですか、アドロンさん?」
ウリエラが困惑したアドロンの顔を覗き込む。
「い、いや何でもない。気にするな」
スカルドは再びアドロンの体内に潜り込み。
「そうですか、先日のダメージがまだ残っていたかと思っていたので」
「心配をかけてすまなかったな...ねぇねぇウリエラ、今日はパンプって来てる?」
「パンプ?誰の事でしょうか?」
ウリエラの反応を見るにどうやらジャンの偽物はいるがパンプの偽物はいないようだ。
「ああ、ごめんごめん。昨日読んだ本の内容がこんがらがっちゃった...おいおいしっかりしてくれよ」
「ふふふ、面白そうな本ですね。今度私にも見せてもらえませんか?」
「お、おう」
適当に話を誤魔化しながらも少しずつ情報が集まってきた。
朝のHRが始まり、ケンナリが日程を話している。アドロンとスカルド以外この異変に気付いていない。
(さてどうするか)
(とりあえず。ホームルームが終わったら話してみたらどうだ?本人に聞けば色々分かるんじゃないか?)
(そうだな)
【数分後】
アドロンは偽ジャンに話を聞く事にした。
「あ、あのジャンさん、ちょっと話したいことがあるので屋上まで来ていただけませんか」
「良いですよ、それじゃあスフール」
「ええ、すぐ来てね」
アドロン達を見送る白夜の顔は少し赤くなっていた。
(なんか白夜さん、偽物にベタ惚れって感じだね)
(マジかよ)
(なぁアドロン?これはジャンに言った方が良いか?)
(やめとけ)
【アドロン家 地下1階】
パンプは魔法図鑑を読みながらジャンに何かを教えている。
「ジャン!次はここをこうする」
「こうかな?」
ジャンは壺に魔力を込めるが何も起こらない
「違う!こうだよ!」
「こうか!」
ジャンはパンプに教えられた通りにもう1度壺に魔力を込めると壺が2つになった。
「増えた!?」
「それだ!」
「凄いやパンプ!これはなんて言う魔法なんだい?」
「えーと、なになに?」
パンプは魔法図鑑を読み上げる。
「バインって言う魔法だって」
「バインか、面白い魔法だね、他にどんな魔法があるの?」
「今調べる」
パンプは魔法図鑑のページをめくる。
「ふふっ、2人とも楽しそうですね」
「魔法図鑑って凄いなぁ..」
「ジャンさんは読んだ事ないのですか?」
「うん、母さんが昔から危ないから読んじゃダメだって言ってたから、だから僕が使える魔法と知ってる魔法は全部母さんに教えてもらった..あと独学」
「なるほど」
「ジャン!次はだな!」
「うん!..あっ」
ジャンは立ち上がった表紙にポケットからメモ帳を落とす。
「落としましたよ」
「ありがとうツイスター、そういえばコレまだ読んでなかったな」
「なんですかそのメモ帳?」
「貰ったんだよ、研究所から僕らを逃がしてくれた人から」
ジャンはメモ帳を開いてみる。
「ジャン!まだかー!」
「パンプも一緒に読むよ!」
「うぅー..分かった」
「私も一緒に」
ジャン達はアイカが託したメモ帳を読み始めた。
【龍神学園屋上】
「君とこう話すのはなんだか久しぶりだね、アドロン君」
偽ジャンの態度は教室に居た時とは全く違う、死んだ魚のような目をしている。
「おいおいなんのこった?偽物、テメェと話すは初めてだ?」
「僕はジャンだよ、今までもそうだったろ?アドロン君」
偽ジャンは右手でアドロンの頭を掴んで魔力を注ぐ。
「これでいいかな、アドロン君、君は僕とはいつから一緒にいるかな?」
リアはアドロンの頭から右手を離し奇妙な質問をする
「知らねぇな!」
アドロンは偽ジャンの右腕をへし折り、腹に重い一撃を喰らわせる。
「グッ...!?い、痛ぇ!」
「安心してください、何か問題があれば治してあげますよ...まぁその必要は無さそうだがな」
「な、何故、ぼ、僕の記憶操作が効かないんだ!」
偽ジャンは体を震わせながらアドロンに指を差す。
「直にくらって理解した。記憶を操作する魔法、確かに存在したぜ...生憎ですが私達には効きません。あなたは何を企んでいるのですか!答えなさい!」
アドロンは右腕を剣に変形させる。
「駄目だな、完全に君に対して恐怖を覚えちゃったよ!」
偽ジャンは自分の頭を掴み魔力を込める。
「アドロン君、僕はただ友達を作りたいだけに決まってるじゃないか」
(コイツ、自分の恐怖心を消しやがったのか)
(でもそんなことをして意味があるの?結局私達の方が強いし)
(油断はダメだぜ、いつでも俺の力を使えるぜ)
「ヘラヘラしていられるのも今のうちです...テメェが本音を吐くまでじっくりいたぶるまでよ、スカルド!」
(おう!)
アドロンは体を鋼鉄化させて尋問を始める。
【数十分後】
「少しは吐く気になったか?」
アドロンは偽ジャンの足を鋼鉄で固めて腹を殴り続ける。
「ぜ、全然...」
(この野郎、恐怖心だけじゃなく痛みの記憶まで消してやがる)
(じゃあもうアレをやるしかないね)
「チッ!仕方ねぇ、最終手段だ」
アドロンは両腕を合わせてギロチン台に作り出す。
「な、何をする気ですか!?」
「お前が悪いんだぜ、吐くもの吐かないからよぉ、いくらお前が記憶を操作できるっつっても殺しちまえば関係ないだろ」
ギロチン台は偽ジャンの首を捕らえ確実な死の恐怖を与える。
「い、いいのか!?ぼ、僕を殺したら、お前の欲しい答えは絶対に手に入らなくなるんだぞ!」
偽ジャンはもがくが無駄に終わった。
「馬鹿かお前、その程度で俺らの気が揺らぐとでも思ったか?それにジャンなら得意の炎でこのぐらい簡単に脱出できるぜ」
アドロンはニタリと笑い、ギロチンの刃はジリジリと台を昇り始める。
「お、おい、嘘だろ、な、なぁ、ま、待てよ」
リアは本気で焦り始めるがギロチンの刃は上がり続ける。
「や、やめて!」
白夜がアドロンを止める。
「白夜さん、危ないから下がってて!...スカルド!」
「白夜、アドロンの邪魔をしないでくれよ」
スカルドはアドロンの体から飛び出し白夜を引き離す。
「離しなさい!いくらアドロンさんのすることだとしてもこれだけは!ジャンさんを離してください!」
白夜は声を荒げる同時に激しい雷雨が降り始めた。
「クククッ」
「何がおかしい?気でも狂ったか?」
ギロチンの刃は止まらない。
「やめろーー!」
白夜は声が掠れるほど叫びながら、大鎌でアドロンを斬りつける。
「ぐっ...!おい!何しやがる!」
(お兄ちゃん!白夜さんの様子がおかしい)
「分かってる、大体理由もな!」
アドロンはギロチンの刃を止める。
「テメェ!白夜に何をした!」
アドロンの問いに偽ジャンは笑い始めた。
「ちょっとねぇ、その女の記憶をいじったんだよ!その女どうやらオリジナルの事が好きだったらしくてねぇ!その好意を全て僕の物にしたんだよ!ハッハッハ!最高だろ?」
(なんて酷いことを)
(オリジナル..ジャンの事か)
「このっ!」
「へ、へ?...」
アドロンの蹴りによって、鼻を折られた偽ジャンの顔面から血がダラダラと流れ始める。
「何をするの...やめてよ..やめて」
「白夜!大人しくしてくれ!」
スカルドは鋼鉄化をし、白夜を拘束する。
「離しなさい!」
「おい!お、お前!分かってるのか?ぼ、僕を殺したら、その女の精神はズタズタになるんだぞ!分かるだろ!大切な人が目の前で殺されたどうなるかぐらい!」
「知ってるよ...反吐が出るぐらいにな」
悪天候がアドロンに雷を直撃させて邪魔をする。
「アドロン!」
「ははは、ザマァみろ!」
しかし、アドロンはピンピンしていた。
「神様は許してくれねぇみてぇだが、もう止められないぜ」
「た、助けてくれよ!な、なぁ!?」
「「黙れ!」」
「へ?」
アドロンの顔にヒビが入っている。
「「白夜には悪いがお前は死んでもらう」」
2つの声が重なる時、再びギロチンの刃を動きだす。
「は、はぁ?う、嘘だろ、おいおい、じ、冗談はよしてくれよ」
着実に確実にギロチンは高度を上げる。
「やめてぇ!」
白夜の声は弱々しくなっていく
「わ、分かった!話す!全部話すぞ!」
偽ジャンは観念して全てを吐いた。自分が科学軍のスパイである事、ただ命令されて動いている事を。
「全部話したぞ!これで僕は助かるんだよな!」
偽ジャンは荒い声で助けを求めるがギロチンは止まらない。
「「お前の罪...」」
「え?」
ギロチンの刃は一段下がり始める。
「1つ、俺達の友達を弄んだこと」
「おい、話しただろ」
刃は更に1段下がる
「2つ、乙女の心を貶したこと」
「や、やめろ!」
もう一段
「「そして最後、お前は友を泣かせた!」」
「あぁ...レヴォル..万歳」
雷が轟き、空が光る。
(すまない...白夜さん)
ザーザー振る雨の中で血塗れのアドロンは学園を後にする。
「アドロン君!」
校門の前で傘をさした人がアドロンに近づく。
【アドロンの家 地下3階訓練室】
「パンプ!すごいじゃないか!」
「どんなもんだい!」
パンプは宝石を纏い、朱色のオオカミに変身する。
「凄いや!まるで本物だ!動けるの?」
「もちろん!」
パンプは部屋を駆けまわり、本家顔負けレベルの雄叫びを上げる。
「うおぉ!すごい!」
ジャンは拍手し、パンプは元に戻る。
「ジャン!オレ腹減ったぞ」
パンプの腹の音がする。
「今日はこのぐらいにしておくか、戦いに備えないと」
「おう!」
ジャン達はハシゴを上る。
【地下1階】
「さぁジャンさん達にお昼ご飯を持っていかないと」
ツイスターは形が崩れたおにぎりをおぼんに乗せて運ぶ。
「ぐっ...!」
突然ツイスターの背中に激痛が走り、その場に倒れる
(アドロンさん、何かあったようですね...)
「ツイスター!あれ?ツイスター!」
パンプはツイスターを呼んだが返事がない。
「ツイスター!?」
ジャンが倒れているツイスターを見つける。
「あ、ああ、ジャンさんすみません、少しフラッとしちゃって」
「喋らないで、パンプ!水を!」
ジャンはツイスターをベットに運ぶ。
【学園屋上】
「白夜!ここにいるのー!」
ローズが白夜を探しに屋上に来た。
「...!?」
雨が上がりギラつく太陽の下に血と雨で濡れた白夜が偽ジャンの生首を抱きしめて座れ込んでいた
「あっ...あ、あ...」
「白夜!しっかりしてよ!白夜!白夜ー!」
アドロンも学園には行けなくなってしまった。
「...ん?まだ寝てるのか」
パンプは鼻ちょうちんを作りながらスヤスヤ眠っている。いつもなら僕の腹の上を跳ねてるはずなんだけどな。
ジャンは起き上がり居間に移動する。
「起きたか早いな」
アドロンが椅子に座り本を読んでいた。時計を見るとまだ5時だった。
「おはよう、アドロン」
ジャンはあくびをしながら体を伸ばす。
「アドロンはいつ起きたの?」
「俺は3時から起きてるぞ」
「3時!?」
「ええ、私達は1日1時間ぐらい眠れば良いからね」
アドロンは微笑みながらページをめくる。
「なんか良いなぁ...そういえばアドロンって普通に食事してるけど食べた物はどうなるの?」
「そうだなぁ、俺もよく分からないが多分魔力とかに変換されてるんじゃないか?トイレにも行かないし...昔頑張って作ったのにちょっとショックだったな」
「そうなんだ...」
「そうだジャン、お前は今日留守番だ」
「え?どうして?」
「昨日の様子を見るに今のお前はどうやら狙われているようだからな。外に出るのは危険だ」
確かにアドロンの言う通りに今日は留守番していた方が良いな。
「そうだね、今日は留守番してるね」
「あとツイスターも置いて行く、俺はスカルドと一緒に学園まで行って来る」
「学園に?」
「ああ本を読んで思い出したんだよ。記憶を操作する魔法があることをな、だから学園長と龍神様が何か知ってるか聞きたくて...それに偽物のジャン君も気になるしね」
アドロンは手に持っている本をジャンに見せる。
「ありがとう、僕達の為にここまでしてくれて」
ジャンは少し泣きそうになる。
「おいおい泣くのは全部解決してからだぜ。さぁ朝ご飯の準備をしなきゃな、手伝ってくれ」
「うん」
アドロンとジャンは朝食の準備を始める。
「あれ?ジャンもう起きてたのか?」
パンプがあくびをしながらを目を擦っていた。
「おはようございま~す」
ツイスターの髪はすごい寝癖だ。
「zzz...」
スカルドは眠りながら翼をパタパタ動かしている。
「みんな、朝ごはんの準備ができたから顔洗って」
ジャンとアドロンはテーブルに朝食を並べる。
「「「はーい」」」
パンプ達は洗面所で顔を洗う。
「ツイスター、髪とかすね」
「ふぁーい..おねがい..しましゅ」
アドロンはクシでツイスターの髪を器用にとかし始める。
「はいOK」
「ありがとうございましゅ」
ツイスターの髪はセットできたがまだ寝ぼけているようだ。
朝食を終え、アドロンとスカルドは学園へ行く準備をする
「それじゃあ行って来る...みんな留守番頼んだよ」
「任せてください!アドロンさん」
アドロンとスカルドは出発する。
「ジャン!オレ本読みたい!」
パンプの一言にジャンが驚く。
「パンプ、本なんて読めるの?」
ジャンの疑問にツイスターが飛び出す。
「パンプさん凄いんですよ!文字を教えたらすぐに読み書きができるようになったんです」
ツイスターはジャンに昨日の留守番中の事を教える。
ジャンはさらに驚く。
「パンプ、今まで文字読めなかったの!?」
「そこですか...というか気付いていなかったのですか」
「しかもたった1日でできるようになるなんて凄いじゃないか」
ジャンはパンプを頭をワシャワシャと撫でて褒める。
「凄いだろ、だから本を読もうぜ!面白そうな魔法があったんだ」
パンプはワクワクしながら魔法図鑑の本を持ってくる。
「まさかパンプが本にハマるなんて..母さん知ったら喜ぶだろうな」
【龍神学園】
アドロンとスカルドは学園に到着した。
「はぁ~いざ行くとなるとちょっと複雑な気持ちになるなぁ」
アドロンはダルそうにカバンを持つ。
「んなこと言ってもよ、行くしかないだろアドロン」
スカルドはアドロンの前を飛びながら大きなあくびをする。
「そうだよお兄ちゃん、行かなきゃ駄目だよ...だよなぁ、でもみんなになんて説明したらいいんだか。しかもジャンの席に偽物だろ?」
「らしいな、俺まだ見てないから分からないけど」
アドロンは教室へ向かう。
「みんなも少し記憶をいじられてるって事かよ。余計な事言えねぇな。スカルド、今日は俺の体の中に入っててくれ」
「おう、分かったぜ」
(コレで良いか?)
「良いぞ」
スカルドはアドロンの体の中に潜り込む。
アドロンが教室のドアを開くとザル達の視線が一気にアドロンに向けられる。
「おうアドロン、大丈夫だったか?2日間も休んで」
ザルがアドロンに声をかける。
「ちょっと用事があってな」
アドロンはそう答え自分の席に着く。
(なんかいつもの教室と雰囲気が違うな。スカルド、みんなにバレないようにどこでも良いから体を出せ)
(え?分かった)
アドロンの後頭部から髪に隠れながらスカルドはこっそりと顔を出す。スカルドの視界を通して、アドロンは教室全体の様子を観察する。
(...!やっぱりいやがった)
(あれが偽ジャンか)
明らかに見覚えのない男がジャンの席で白夜と会話をしていた。
「どうしたんですか、アドロンさん?」
ウリエラが困惑したアドロンの顔を覗き込む。
「い、いや何でもない。気にするな」
スカルドは再びアドロンの体内に潜り込み。
「そうですか、先日のダメージがまだ残っていたかと思っていたので」
「心配をかけてすまなかったな...ねぇねぇウリエラ、今日はパンプって来てる?」
「パンプ?誰の事でしょうか?」
ウリエラの反応を見るにどうやらジャンの偽物はいるがパンプの偽物はいないようだ。
「ああ、ごめんごめん。昨日読んだ本の内容がこんがらがっちゃった...おいおいしっかりしてくれよ」
「ふふふ、面白そうな本ですね。今度私にも見せてもらえませんか?」
「お、おう」
適当に話を誤魔化しながらも少しずつ情報が集まってきた。
朝のHRが始まり、ケンナリが日程を話している。アドロンとスカルド以外この異変に気付いていない。
(さてどうするか)
(とりあえず。ホームルームが終わったら話してみたらどうだ?本人に聞けば色々分かるんじゃないか?)
(そうだな)
【数分後】
アドロンは偽ジャンに話を聞く事にした。
「あ、あのジャンさん、ちょっと話したいことがあるので屋上まで来ていただけませんか」
「良いですよ、それじゃあスフール」
「ええ、すぐ来てね」
アドロン達を見送る白夜の顔は少し赤くなっていた。
(なんか白夜さん、偽物にベタ惚れって感じだね)
(マジかよ)
(なぁアドロン?これはジャンに言った方が良いか?)
(やめとけ)
【アドロン家 地下1階】
パンプは魔法図鑑を読みながらジャンに何かを教えている。
「ジャン!次はここをこうする」
「こうかな?」
ジャンは壺に魔力を込めるが何も起こらない
「違う!こうだよ!」
「こうか!」
ジャンはパンプに教えられた通りにもう1度壺に魔力を込めると壺が2つになった。
「増えた!?」
「それだ!」
「凄いやパンプ!これはなんて言う魔法なんだい?」
「えーと、なになに?」
パンプは魔法図鑑を読み上げる。
「バインって言う魔法だって」
「バインか、面白い魔法だね、他にどんな魔法があるの?」
「今調べる」
パンプは魔法図鑑のページをめくる。
「ふふっ、2人とも楽しそうですね」
「魔法図鑑って凄いなぁ..」
「ジャンさんは読んだ事ないのですか?」
「うん、母さんが昔から危ないから読んじゃダメだって言ってたから、だから僕が使える魔法と知ってる魔法は全部母さんに教えてもらった..あと独学」
「なるほど」
「ジャン!次はだな!」
「うん!..あっ」
ジャンは立ち上がった表紙にポケットからメモ帳を落とす。
「落としましたよ」
「ありがとうツイスター、そういえばコレまだ読んでなかったな」
「なんですかそのメモ帳?」
「貰ったんだよ、研究所から僕らを逃がしてくれた人から」
ジャンはメモ帳を開いてみる。
「ジャン!まだかー!」
「パンプも一緒に読むよ!」
「うぅー..分かった」
「私も一緒に」
ジャン達はアイカが託したメモ帳を読み始めた。
【龍神学園屋上】
「君とこう話すのはなんだか久しぶりだね、アドロン君」
偽ジャンの態度は教室に居た時とは全く違う、死んだ魚のような目をしている。
「おいおいなんのこった?偽物、テメェと話すは初めてだ?」
「僕はジャンだよ、今までもそうだったろ?アドロン君」
偽ジャンは右手でアドロンの頭を掴んで魔力を注ぐ。
「これでいいかな、アドロン君、君は僕とはいつから一緒にいるかな?」
リアはアドロンの頭から右手を離し奇妙な質問をする
「知らねぇな!」
アドロンは偽ジャンの右腕をへし折り、腹に重い一撃を喰らわせる。
「グッ...!?い、痛ぇ!」
「安心してください、何か問題があれば治してあげますよ...まぁその必要は無さそうだがな」
「な、何故、ぼ、僕の記憶操作が効かないんだ!」
偽ジャンは体を震わせながらアドロンに指を差す。
「直にくらって理解した。記憶を操作する魔法、確かに存在したぜ...生憎ですが私達には効きません。あなたは何を企んでいるのですか!答えなさい!」
アドロンは右腕を剣に変形させる。
「駄目だな、完全に君に対して恐怖を覚えちゃったよ!」
偽ジャンは自分の頭を掴み魔力を込める。
「アドロン君、僕はただ友達を作りたいだけに決まってるじゃないか」
(コイツ、自分の恐怖心を消しやがったのか)
(でもそんなことをして意味があるの?結局私達の方が強いし)
(油断はダメだぜ、いつでも俺の力を使えるぜ)
「ヘラヘラしていられるのも今のうちです...テメェが本音を吐くまでじっくりいたぶるまでよ、スカルド!」
(おう!)
アドロンは体を鋼鉄化させて尋問を始める。
【数十分後】
「少しは吐く気になったか?」
アドロンは偽ジャンの足を鋼鉄で固めて腹を殴り続ける。
「ぜ、全然...」
(この野郎、恐怖心だけじゃなく痛みの記憶まで消してやがる)
(じゃあもうアレをやるしかないね)
「チッ!仕方ねぇ、最終手段だ」
アドロンは両腕を合わせてギロチン台に作り出す。
「な、何をする気ですか!?」
「お前が悪いんだぜ、吐くもの吐かないからよぉ、いくらお前が記憶を操作できるっつっても殺しちまえば関係ないだろ」
ギロチン台は偽ジャンの首を捕らえ確実な死の恐怖を与える。
「い、いいのか!?ぼ、僕を殺したら、お前の欲しい答えは絶対に手に入らなくなるんだぞ!」
偽ジャンはもがくが無駄に終わった。
「馬鹿かお前、その程度で俺らの気が揺らぐとでも思ったか?それにジャンなら得意の炎でこのぐらい簡単に脱出できるぜ」
アドロンはニタリと笑い、ギロチンの刃はジリジリと台を昇り始める。
「お、おい、嘘だろ、な、なぁ、ま、待てよ」
リアは本気で焦り始めるがギロチンの刃は上がり続ける。
「や、やめて!」
白夜がアドロンを止める。
「白夜さん、危ないから下がってて!...スカルド!」
「白夜、アドロンの邪魔をしないでくれよ」
スカルドはアドロンの体から飛び出し白夜を引き離す。
「離しなさい!いくらアドロンさんのすることだとしてもこれだけは!ジャンさんを離してください!」
白夜は声を荒げる同時に激しい雷雨が降り始めた。
「クククッ」
「何がおかしい?気でも狂ったか?」
ギロチンの刃は止まらない。
「やめろーー!」
白夜は声が掠れるほど叫びながら、大鎌でアドロンを斬りつける。
「ぐっ...!おい!何しやがる!」
(お兄ちゃん!白夜さんの様子がおかしい)
「分かってる、大体理由もな!」
アドロンはギロチンの刃を止める。
「テメェ!白夜に何をした!」
アドロンの問いに偽ジャンは笑い始めた。
「ちょっとねぇ、その女の記憶をいじったんだよ!その女どうやらオリジナルの事が好きだったらしくてねぇ!その好意を全て僕の物にしたんだよ!ハッハッハ!最高だろ?」
(なんて酷いことを)
(オリジナル..ジャンの事か)
「このっ!」
「へ、へ?...」
アドロンの蹴りによって、鼻を折られた偽ジャンの顔面から血がダラダラと流れ始める。
「何をするの...やめてよ..やめて」
「白夜!大人しくしてくれ!」
スカルドは鋼鉄化をし、白夜を拘束する。
「離しなさい!」
「おい!お、お前!分かってるのか?ぼ、僕を殺したら、その女の精神はズタズタになるんだぞ!分かるだろ!大切な人が目の前で殺されたどうなるかぐらい!」
「知ってるよ...反吐が出るぐらいにな」
悪天候がアドロンに雷を直撃させて邪魔をする。
「アドロン!」
「ははは、ザマァみろ!」
しかし、アドロンはピンピンしていた。
「神様は許してくれねぇみてぇだが、もう止められないぜ」
「た、助けてくれよ!な、なぁ!?」
「「黙れ!」」
「へ?」
アドロンの顔にヒビが入っている。
「「白夜には悪いがお前は死んでもらう」」
2つの声が重なる時、再びギロチンの刃を動きだす。
「は、はぁ?う、嘘だろ、おいおい、じ、冗談はよしてくれよ」
着実に確実にギロチンは高度を上げる。
「やめてぇ!」
白夜の声は弱々しくなっていく
「わ、分かった!話す!全部話すぞ!」
偽ジャンは観念して全てを吐いた。自分が科学軍のスパイである事、ただ命令されて動いている事を。
「全部話したぞ!これで僕は助かるんだよな!」
偽ジャンは荒い声で助けを求めるがギロチンは止まらない。
「「お前の罪...」」
「え?」
ギロチンの刃は一段下がり始める。
「1つ、俺達の友達を弄んだこと」
「おい、話しただろ」
刃は更に1段下がる
「2つ、乙女の心を貶したこと」
「や、やめろ!」
もう一段
「「そして最後、お前は友を泣かせた!」」
「あぁ...レヴォル..万歳」
雷が轟き、空が光る。
(すまない...白夜さん)
ザーザー振る雨の中で血塗れのアドロンは学園を後にする。
「アドロン君!」
校門の前で傘をさした人がアドロンに近づく。
【アドロンの家 地下3階訓練室】
「パンプ!すごいじゃないか!」
「どんなもんだい!」
パンプは宝石を纏い、朱色のオオカミに変身する。
「凄いや!まるで本物だ!動けるの?」
「もちろん!」
パンプは部屋を駆けまわり、本家顔負けレベルの雄叫びを上げる。
「うおぉ!すごい!」
ジャンは拍手し、パンプは元に戻る。
「ジャン!オレ腹減ったぞ」
パンプの腹の音がする。
「今日はこのぐらいにしておくか、戦いに備えないと」
「おう!」
ジャン達はハシゴを上る。
【地下1階】
「さぁジャンさん達にお昼ご飯を持っていかないと」
ツイスターは形が崩れたおにぎりをおぼんに乗せて運ぶ。
「ぐっ...!」
突然ツイスターの背中に激痛が走り、その場に倒れる
(アドロンさん、何かあったようですね...)
「ツイスター!あれ?ツイスター!」
パンプはツイスターを呼んだが返事がない。
「ツイスター!?」
ジャンが倒れているツイスターを見つける。
「あ、ああ、ジャンさんすみません、少しフラッとしちゃって」
「喋らないで、パンプ!水を!」
ジャンはツイスターをベットに運ぶ。
【学園屋上】
「白夜!ここにいるのー!」
ローズが白夜を探しに屋上に来た。
「...!?」
雨が上がりギラつく太陽の下に血と雨で濡れた白夜が偽ジャンの生首を抱きしめて座れ込んでいた
「あっ...あ、あ...」
「白夜!しっかりしてよ!白夜!白夜ー!」
アドロンも学園には行けなくなってしまった。
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