57 / 131
青春忘却編
第26話 だって友達だもん
しおりを挟む
僕達はしばらくアドロンの家でお世話になることになった。気掛かりな事は多いが友達が居るってだけでなんか落ち着ける。
【深夜】
「ゔゔ...流石にあの卵焼きを食べればこうなるな...」
ジャンはお腹を壊しトイレに篭っていた。
「しかし、何でパンプ達はアレをガツガツ食べても平気なんだよ、うっ...」
【翌日】
「ジャンさん、朝ごはんができましたよー!」
「ジャン!起きろー」
ツイスターはジャンを起こす、いつも通りパンプはジャンの腹の上を跳ねる。
「う、うん」
ジャンの目の下には大きなクマができていた。
「おっ!起きたか...おはようございますジャン君、その顔だと眠れなかったみたいだね。大変だよね..ごめん」
「いや眠れなかったのは...まぁ良いや」
アドロンはエプロンを着ながら朝食をテーブルに運ぶ。
「ジャン、すまないが今日はお前の家に行っても良いか?」
アドロンは朝食を食べながら提案をする。
「僕の家に何か用でもある?」
「ああ、昨日の話を聞くかぎりお前らが忘れられた原因は科学軍の技術とかと関係あるんじゃないかと思ってな...それで、今ジャン君のお家にいる科学軍の人達に詳しい事を聞こうと思って」
アドロンは提案する。
「シュン兄達か..確かに良いかも、朝食が済んだら行こう」
ジャンはお茶を飲んで支度を始める。
【数分後】
「えー!オレらは留守番かよ!」
パンプはほっぺを膨らませてジャンの足にしがみつく。
「私達も一緒なので安心してください」
「そうだぜパンプ、ここには色んな物があるぞ」
ツイスターとスカルドはパンプをジャンから引き離す。
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!」
それでもパンプは駄々をこね続けた。
「仕方ないだろ?行っても母さん達は僕らを覚えてない」
「それはそうだけど...」
「な?次会う時はちゃんと思い出してて欲しいだろ?」
「うん」
なんとかパンプを説得する事ができた。
「それじゃあ、良い子にしてるんだよパンプ」
「おう..」
「家は頼んだぞ、ツイスター、スカルド」
「はい!」
「任せとけ!」
ジャンとアドロンは出発する。
「ところでアドロン、学園には行かなくていいの?」
「何言ってんだよ。お前がこんなことになってんのに学園なんて行ってられるかよ...そうですよ、ジャン君は私達にとって大切な友達だしね」
「あ、ありがとう」
ジャンは照れる。
2人はジャンの家に到着した。
「本当にパンプ君を置いて来て良かったの?」
アドロンは玄関の前でジャンに聞く。
「良いんだよ、今のままじゃまたパンプが悲しむだけだし」
ジャンは少しうつむきながら答える。
「そうか、じゃあ行くぞ」
「うん」
覚悟を決めたジャンはパンプから貰った宝石を使って髪を黄色に染め、パーティ用の伊達メガネを装着する。
「どちら様で?」
扉をノックするとセバスが出てきた。
「あの、シュンさんはおりますか?」
ジャンはセバスに初対面のように尋ねる。
「シュン様でしたら、ただいま庭の方におりますので案内させていただきます」
セバスはジャン達を庭まで案内する。
「シュン様!お客様でございます!」
「すまないセバス、手が離せないからちょっと待ってくれ!」
「先輩、ここはどうすれば」
「そこのネジはしっかり締めてくれ」
シュンはマツリ何かの装置を試行錯誤しながら製作している。
「申し訳ございません、準備が整うまで客間でお待ちください」
セバスはジャン達を客間まで案内する。
「あらセバスさん、お客様がいらしたの?」
「はいアミィ様」
「お菓子を用意しなきゃね」
アミィはジャン達にお菓子を用意する。
【数分後】
オイルなどで服が真っ黒になっているシュンが客間に来た。
「ごめんごめん、今重要な物を作っていてね。ってアドロン君じゃないか!」
「ど、どうもシュンさん、こうしてお話するのは初めてですね」
「そうだな、ところで今日はどんな用事で来たんだい?何かあったんだろ?今日は普通に学校の日だし」
シュンは紅茶を飲む。
「あ、あのえっと...単刀直入に聞く、忘れた記憶を取り戻すことはできるか?」
「ハハッ噂通り君は一気に豹変するようだね。もちろんできるよ。記憶を完全に消すなんて不可能だからね、復元もできるよ」
「え?」
ジャンは意外な答えに安心感を感じる。
「記憶を戻すって!そんなことできるの!あっ!できるんですか?」
シュンの一言に食いつくジャン。
「うん戻せるよ、部品さえ有れば装置を作る事ができるしね。で、どんな事を思い出したいんだい?何か大事な物でも無くしたのかい?」
「僕が思い出すじゃなくて、僕を思い出してもらうんです」
「....なるほど、つまり君は何者かによって周りの人間に忘れられてしまったという訳かい?」
シュンは大体の状況を理解し、スマホを操作し始めた。
「やけに詳しいですね。やはり先日の件、関わっているんですか?」
「被害者としてね。僕とマツリちゃんは真っ白だよ。信用してもらえないと思うけど」
アドロンの疑念にシュンは怯まなかった。
「それに記憶改変は科学軍の国じゃ結構使われてる技術だからね。証拠隠滅とかに使われているんだよ」
シュンはスマホでジャン達に装置を見せる。
「君を忘れてしまった人々は誰なんだい?」
「え、えっとあなたです」
「うんうん...え?マジ?」
「はい」
シュンは知らないうちにに記憶から消えたジャンの顔をまじまじと観察する。
「今は少し変装してるので」
「何故?」
「やっぱりその..忘れられるって結構傷付くから」
「確かに..ごめん」
「ジャンさんはあなただけではなく、家族、友人達からも忘れられてしまったんです」
アドロンはジャンに同情しながら言う。
「ジャン君で良いかな、君は俺とどんな関係だったんだい?」
シュンはジャンに尋ねる。
「い、従兄弟です...」
ジャンは答える。
「え?て事は..いや待て..じゃあ今いるジャンは..いやこれは黙っておいた方が良いな、ややこしくなる」
「あとここは僕の家です」
ジャンの答えを聞き、シュンは深刻な顔をする。
「マツリちゃん!ちょっと来てくれる?」
「はーい今行きます!アミィさん、お皿ここには置いときますね」
シュンはマツリを呼び、状況を説明する。
「そう言う訳で早急に記憶返還装置を作らなければいけない」
シュンはマツリに説明し終える。
「つまり、この人はシュン先輩やアミィさんにとって大切な人という訳ですね!任せてください!」
「あのすみません1つ疑問があるんですが、何故私はジャンさんのことを覚えていられたんですか?...そういえばそうだな、何で俺だけが覚えていたんだ?」
アドロンはシュンに聞く。
「おそらく、君の体が人形だからだと思う」
「俺の体が人形だから?」
「そう、記憶をいじくる時は基本的に脳に電磁波っていう物を飛ばす必要があるんだ。ビリビリッとね、でも君には肝心の脳はおろか臓器そのものがないんだよ」
シュンはスマホでレントゲン写真を表示するがアドロンの体内には何も映らなかった。
「よく分からんが中身が空っぽだからか」
アドロンは納得する。
「それじゃあ、俺らは今から部品の調達に行かなきゃ行けないからこれで」
「あっ!待ってシュンにぃ..シュンさん!コレを」
ジャンはアイカから貰ったメモ帳をシュンに渡す。
「これ母さんの文字だ」
シュンはメモの内容を写真に撮りジャンに返す。
「このメモがあるって事は母さんに信用されてるって事だね」
「僕達を研究所から逃してくれた。僕の事も覚えていてくれた」
「参考にさせてもらうよ。君達の事、必ず助けてみせる」
「失礼します!」
シュンとマツリは席を外した。
とりあえず収穫はあった。僕はアドロンと一緒に僕の家を後にした。
「これで一歩前進ってところかな」
「オイオイ、まだ肝心の黒幕が...」
「ありがとうアドロン、アドロンがいなかったらここまで来れなかったよ」
ジャンはアドロンの手を掴みお礼をする。
「そ、そんな私は当然のことを...そうだぜ、それに頑張るのはこれからだ」
アドロンはジャンの肩に手を置く。
「そうだね...ん?」
ジャンは空を見上げると何かがこちらに急接近している。
『対象を確認、ジャン・バーン直ちに捕獲します』
「アレはあの時の!アドロン!離れて!」
「ああ、敵だな」
アドロンは距離を取る。
「うわぁ!」
飛んできた人型の機械はジャンに突撃をしてきた。ジャンは吹っ飛ばされ塀に体を打ちつける。
「ジャン!」
「いっ..!アドロン逃げて...」
いきなり不意打ちかよ..致命傷だよこれ..
『直ちに対象ジャン・バーンを捕獲します』
アイツ、合同授業の時で出てきた機械人間。僕を狙ってるのか?
「テメェ!」
アドロンは左腕を剣に変形させて斬りかかる。
剣と鋼鉄のボディがぶつかり、鋭い金属音が鳴り響く。
『敵対反応アリ直ちに戦闘を開始します。バトルフィールド展開します』
機械は手から作り出した球体エネルギーを地面に投げ捨てる。
広がる高エネルギーによって住宅地は何もない異常な空間に変化する。
「ジャン、ここは一旦引くぞ!」
「う、うん」
アドロンは足をローラースケートに変形させ、ジャンを担ぎ逃げようとした
「グワァァァ!」
アドロンは何もないところで何かに衝突し、体中に電撃が走る。
「どうなってやがる!こいつは!」
「多分、ゲホッゲホッ..見えない壁みたいなもので僕ら...を逃げられないようにしているんだよ」
「ジャン、お前は喋るな、ちょっと待ってろ少しだけだが傷口を塞いでやるからよ」
アドロンはをジャンの傷口に自分の体の一部を液体にして埋め込む。
「ありがとう、これで動ける」
ジャンは立ち上がり戦闘準備をする。
「無理するなよ、応急処置だ。骨は何本か折れてるぞ」
「今やらなきゃもう終わりだよ、一緒に戦うよアドロン!」
「おう!...はい!」
2人は目の前の機械を睨みつける。
ジャンは魔銃を構えて前に出る。
『戦闘データ解析中』
「おいジャン、お前アイツの事を知っているようだな。どんな魔獣だこりゃ?」
「アイツは魔獣じゃない。科学軍の兵器、機械だよ」
「あの機械竜と同じか、ならアイツは電気に弱いはずだ」
アドロンは以前の機械との戦闘を思い出し、分析を始める。
『戦闘開始!』
機械の拳をジャンは受け止める。
「ぐっ!」
やっばいな、共鳴してないとキツイぞコレ。
「このっ!」
ジャンは機械の腹部に向けてゼロ距離射撃をし、距離を取る。
「ごめん今魔力練るだけで限界、アドロンは使えるの?」
「ああ多少はな」
「ならコレに電気の魔力を込めて」
ジャンはアドロンに魔銃のマガジンを投げる。
「これに込めれば良いんだな!」
アドロンは受け取ったマガジンに魔力を込める。
『敵対反応を排除する』
「しまった!」
機械は軌道を急変させてアドロンに飛び蹴りをくらわせ、マガジンを地面に落とす。
「チッ!」
機械の猛攻を防ぐ為にアドロンは咄嗟に腕を盾にして守りに入る。
「クッソ!このままじゃキリがねぇ!...私に任せて」
更にもう片方の腕を大砲に変形させて弾を発射する。
機械は至近距離で砲撃を喰らい後退する。
「いつの間にこんなことできるようになったんだよ...すごいでしょ、前の機械竜の武器の真似をしてみたの...結構体力使うなコレ」
アドロンはすかさずマガジンを拾いジャンに投げる。
「受け取れ!」
ジャンはマガジンをキャッチする。
「セット!」
マガジンを魔銃にセットする。
「フルバースト!」
電気を纏った魔銃から高密度の電撃波が放たれる。
「このっ!」
『ジガガガガガガガガガガガガ...』
電撃波を受け止めた機械は自身が作り出した壁に挟まれ粉々になる。
異常な空間が消え、元の住宅地に戻る。
「戻った!?...これも科学軍の技術なのか?」
アドロンは辺りを見渡す。
「ふぅ終わった~」
ジャンはその場に倒れ込む。
「無理しすぎだ、まぁお前のおかげで勝てたんだけどな」
「お互い様...」
満身創痍の2人は少し休憩をした。
「おーい!ジャン!」
「パンプ!」
パンプ達がやって来た。
「大丈夫か!なんか凄いのがきたぞ」
「なんとかね、ごめん痛かったでしょ」
パンプはジャンの傷口に緑の宝石を打ち込む。
「いてて、ありがとうパンプ」
「申し訳ございません、アドロンさん」
ツイスターは頭を下げる。
「気にするな、敵は倒した」
「傷は大丈夫か?」
スカルドはアドロンの傷口を確認する。
「ああ大丈夫、それより腹減ったな。何か食いにでも行こう、俺が奢る」
気付けば夕暮れ、僕達は外食をしに繁華街へ向かった。
【深夜】
「ゔゔ...流石にあの卵焼きを食べればこうなるな...」
ジャンはお腹を壊しトイレに篭っていた。
「しかし、何でパンプ達はアレをガツガツ食べても平気なんだよ、うっ...」
【翌日】
「ジャンさん、朝ごはんができましたよー!」
「ジャン!起きろー」
ツイスターはジャンを起こす、いつも通りパンプはジャンの腹の上を跳ねる。
「う、うん」
ジャンの目の下には大きなクマができていた。
「おっ!起きたか...おはようございますジャン君、その顔だと眠れなかったみたいだね。大変だよね..ごめん」
「いや眠れなかったのは...まぁ良いや」
アドロンはエプロンを着ながら朝食をテーブルに運ぶ。
「ジャン、すまないが今日はお前の家に行っても良いか?」
アドロンは朝食を食べながら提案をする。
「僕の家に何か用でもある?」
「ああ、昨日の話を聞くかぎりお前らが忘れられた原因は科学軍の技術とかと関係あるんじゃないかと思ってな...それで、今ジャン君のお家にいる科学軍の人達に詳しい事を聞こうと思って」
アドロンは提案する。
「シュン兄達か..確かに良いかも、朝食が済んだら行こう」
ジャンはお茶を飲んで支度を始める。
【数分後】
「えー!オレらは留守番かよ!」
パンプはほっぺを膨らませてジャンの足にしがみつく。
「私達も一緒なので安心してください」
「そうだぜパンプ、ここには色んな物があるぞ」
ツイスターとスカルドはパンプをジャンから引き離す。
「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!」
それでもパンプは駄々をこね続けた。
「仕方ないだろ?行っても母さん達は僕らを覚えてない」
「それはそうだけど...」
「な?次会う時はちゃんと思い出してて欲しいだろ?」
「うん」
なんとかパンプを説得する事ができた。
「それじゃあ、良い子にしてるんだよパンプ」
「おう..」
「家は頼んだぞ、ツイスター、スカルド」
「はい!」
「任せとけ!」
ジャンとアドロンは出発する。
「ところでアドロン、学園には行かなくていいの?」
「何言ってんだよ。お前がこんなことになってんのに学園なんて行ってられるかよ...そうですよ、ジャン君は私達にとって大切な友達だしね」
「あ、ありがとう」
ジャンは照れる。
2人はジャンの家に到着した。
「本当にパンプ君を置いて来て良かったの?」
アドロンは玄関の前でジャンに聞く。
「良いんだよ、今のままじゃまたパンプが悲しむだけだし」
ジャンは少しうつむきながら答える。
「そうか、じゃあ行くぞ」
「うん」
覚悟を決めたジャンはパンプから貰った宝石を使って髪を黄色に染め、パーティ用の伊達メガネを装着する。
「どちら様で?」
扉をノックするとセバスが出てきた。
「あの、シュンさんはおりますか?」
ジャンはセバスに初対面のように尋ねる。
「シュン様でしたら、ただいま庭の方におりますので案内させていただきます」
セバスはジャン達を庭まで案内する。
「シュン様!お客様でございます!」
「すまないセバス、手が離せないからちょっと待ってくれ!」
「先輩、ここはどうすれば」
「そこのネジはしっかり締めてくれ」
シュンはマツリ何かの装置を試行錯誤しながら製作している。
「申し訳ございません、準備が整うまで客間でお待ちください」
セバスはジャン達を客間まで案内する。
「あらセバスさん、お客様がいらしたの?」
「はいアミィ様」
「お菓子を用意しなきゃね」
アミィはジャン達にお菓子を用意する。
【数分後】
オイルなどで服が真っ黒になっているシュンが客間に来た。
「ごめんごめん、今重要な物を作っていてね。ってアドロン君じゃないか!」
「ど、どうもシュンさん、こうしてお話するのは初めてですね」
「そうだな、ところで今日はどんな用事で来たんだい?何かあったんだろ?今日は普通に学校の日だし」
シュンは紅茶を飲む。
「あ、あのえっと...単刀直入に聞く、忘れた記憶を取り戻すことはできるか?」
「ハハッ噂通り君は一気に豹変するようだね。もちろんできるよ。記憶を完全に消すなんて不可能だからね、復元もできるよ」
「え?」
ジャンは意外な答えに安心感を感じる。
「記憶を戻すって!そんなことできるの!あっ!できるんですか?」
シュンの一言に食いつくジャン。
「うん戻せるよ、部品さえ有れば装置を作る事ができるしね。で、どんな事を思い出したいんだい?何か大事な物でも無くしたのかい?」
「僕が思い出すじゃなくて、僕を思い出してもらうんです」
「....なるほど、つまり君は何者かによって周りの人間に忘れられてしまったという訳かい?」
シュンは大体の状況を理解し、スマホを操作し始めた。
「やけに詳しいですね。やはり先日の件、関わっているんですか?」
「被害者としてね。僕とマツリちゃんは真っ白だよ。信用してもらえないと思うけど」
アドロンの疑念にシュンは怯まなかった。
「それに記憶改変は科学軍の国じゃ結構使われてる技術だからね。証拠隠滅とかに使われているんだよ」
シュンはスマホでジャン達に装置を見せる。
「君を忘れてしまった人々は誰なんだい?」
「え、えっとあなたです」
「うんうん...え?マジ?」
「はい」
シュンは知らないうちにに記憶から消えたジャンの顔をまじまじと観察する。
「今は少し変装してるので」
「何故?」
「やっぱりその..忘れられるって結構傷付くから」
「確かに..ごめん」
「ジャンさんはあなただけではなく、家族、友人達からも忘れられてしまったんです」
アドロンはジャンに同情しながら言う。
「ジャン君で良いかな、君は俺とどんな関係だったんだい?」
シュンはジャンに尋ねる。
「い、従兄弟です...」
ジャンは答える。
「え?て事は..いや待て..じゃあ今いるジャンは..いやこれは黙っておいた方が良いな、ややこしくなる」
「あとここは僕の家です」
ジャンの答えを聞き、シュンは深刻な顔をする。
「マツリちゃん!ちょっと来てくれる?」
「はーい今行きます!アミィさん、お皿ここには置いときますね」
シュンはマツリを呼び、状況を説明する。
「そう言う訳で早急に記憶返還装置を作らなければいけない」
シュンはマツリに説明し終える。
「つまり、この人はシュン先輩やアミィさんにとって大切な人という訳ですね!任せてください!」
「あのすみません1つ疑問があるんですが、何故私はジャンさんのことを覚えていられたんですか?...そういえばそうだな、何で俺だけが覚えていたんだ?」
アドロンはシュンに聞く。
「おそらく、君の体が人形だからだと思う」
「俺の体が人形だから?」
「そう、記憶をいじくる時は基本的に脳に電磁波っていう物を飛ばす必要があるんだ。ビリビリッとね、でも君には肝心の脳はおろか臓器そのものがないんだよ」
シュンはスマホでレントゲン写真を表示するがアドロンの体内には何も映らなかった。
「よく分からんが中身が空っぽだからか」
アドロンは納得する。
「それじゃあ、俺らは今から部品の調達に行かなきゃ行けないからこれで」
「あっ!待ってシュンにぃ..シュンさん!コレを」
ジャンはアイカから貰ったメモ帳をシュンに渡す。
「これ母さんの文字だ」
シュンはメモの内容を写真に撮りジャンに返す。
「このメモがあるって事は母さんに信用されてるって事だね」
「僕達を研究所から逃してくれた。僕の事も覚えていてくれた」
「参考にさせてもらうよ。君達の事、必ず助けてみせる」
「失礼します!」
シュンとマツリは席を外した。
とりあえず収穫はあった。僕はアドロンと一緒に僕の家を後にした。
「これで一歩前進ってところかな」
「オイオイ、まだ肝心の黒幕が...」
「ありがとうアドロン、アドロンがいなかったらここまで来れなかったよ」
ジャンはアドロンの手を掴みお礼をする。
「そ、そんな私は当然のことを...そうだぜ、それに頑張るのはこれからだ」
アドロンはジャンの肩に手を置く。
「そうだね...ん?」
ジャンは空を見上げると何かがこちらに急接近している。
『対象を確認、ジャン・バーン直ちに捕獲します』
「アレはあの時の!アドロン!離れて!」
「ああ、敵だな」
アドロンは距離を取る。
「うわぁ!」
飛んできた人型の機械はジャンに突撃をしてきた。ジャンは吹っ飛ばされ塀に体を打ちつける。
「ジャン!」
「いっ..!アドロン逃げて...」
いきなり不意打ちかよ..致命傷だよこれ..
『直ちに対象ジャン・バーンを捕獲します』
アイツ、合同授業の時で出てきた機械人間。僕を狙ってるのか?
「テメェ!」
アドロンは左腕を剣に変形させて斬りかかる。
剣と鋼鉄のボディがぶつかり、鋭い金属音が鳴り響く。
『敵対反応アリ直ちに戦闘を開始します。バトルフィールド展開します』
機械は手から作り出した球体エネルギーを地面に投げ捨てる。
広がる高エネルギーによって住宅地は何もない異常な空間に変化する。
「ジャン、ここは一旦引くぞ!」
「う、うん」
アドロンは足をローラースケートに変形させ、ジャンを担ぎ逃げようとした
「グワァァァ!」
アドロンは何もないところで何かに衝突し、体中に電撃が走る。
「どうなってやがる!こいつは!」
「多分、ゲホッゲホッ..見えない壁みたいなもので僕ら...を逃げられないようにしているんだよ」
「ジャン、お前は喋るな、ちょっと待ってろ少しだけだが傷口を塞いでやるからよ」
アドロンはをジャンの傷口に自分の体の一部を液体にして埋め込む。
「ありがとう、これで動ける」
ジャンは立ち上がり戦闘準備をする。
「無理するなよ、応急処置だ。骨は何本か折れてるぞ」
「今やらなきゃもう終わりだよ、一緒に戦うよアドロン!」
「おう!...はい!」
2人は目の前の機械を睨みつける。
ジャンは魔銃を構えて前に出る。
『戦闘データ解析中』
「おいジャン、お前アイツの事を知っているようだな。どんな魔獣だこりゃ?」
「アイツは魔獣じゃない。科学軍の兵器、機械だよ」
「あの機械竜と同じか、ならアイツは電気に弱いはずだ」
アドロンは以前の機械との戦闘を思い出し、分析を始める。
『戦闘開始!』
機械の拳をジャンは受け止める。
「ぐっ!」
やっばいな、共鳴してないとキツイぞコレ。
「このっ!」
ジャンは機械の腹部に向けてゼロ距離射撃をし、距離を取る。
「ごめん今魔力練るだけで限界、アドロンは使えるの?」
「ああ多少はな」
「ならコレに電気の魔力を込めて」
ジャンはアドロンに魔銃のマガジンを投げる。
「これに込めれば良いんだな!」
アドロンは受け取ったマガジンに魔力を込める。
『敵対反応を排除する』
「しまった!」
機械は軌道を急変させてアドロンに飛び蹴りをくらわせ、マガジンを地面に落とす。
「チッ!」
機械の猛攻を防ぐ為にアドロンは咄嗟に腕を盾にして守りに入る。
「クッソ!このままじゃキリがねぇ!...私に任せて」
更にもう片方の腕を大砲に変形させて弾を発射する。
機械は至近距離で砲撃を喰らい後退する。
「いつの間にこんなことできるようになったんだよ...すごいでしょ、前の機械竜の武器の真似をしてみたの...結構体力使うなコレ」
アドロンはすかさずマガジンを拾いジャンに投げる。
「受け取れ!」
ジャンはマガジンをキャッチする。
「セット!」
マガジンを魔銃にセットする。
「フルバースト!」
電気を纏った魔銃から高密度の電撃波が放たれる。
「このっ!」
『ジガガガガガガガガガガガガ...』
電撃波を受け止めた機械は自身が作り出した壁に挟まれ粉々になる。
異常な空間が消え、元の住宅地に戻る。
「戻った!?...これも科学軍の技術なのか?」
アドロンは辺りを見渡す。
「ふぅ終わった~」
ジャンはその場に倒れ込む。
「無理しすぎだ、まぁお前のおかげで勝てたんだけどな」
「お互い様...」
満身創痍の2人は少し休憩をした。
「おーい!ジャン!」
「パンプ!」
パンプ達がやって来た。
「大丈夫か!なんか凄いのがきたぞ」
「なんとかね、ごめん痛かったでしょ」
パンプはジャンの傷口に緑の宝石を打ち込む。
「いてて、ありがとうパンプ」
「申し訳ございません、アドロンさん」
ツイスターは頭を下げる。
「気にするな、敵は倒した」
「傷は大丈夫か?」
スカルドはアドロンの傷口を確認する。
「ああ大丈夫、それより腹減ったな。何か食いにでも行こう、俺が奢る」
気付けば夕暮れ、僕達は外食をしに繁華街へ向かった。
11
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる