僕と精霊 〜魔法と科学と宝石の輝き〜

一般人

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大乱戦編 

番外編5 少女と子犬

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 ジャンが生まれるずっと前、これは少女と精霊の出会いの物語。

【バーン家】
「ママ!今日ね私ね、精霊さんとけーやくするの!」
少女はそう言うと外へ駆け出した。
「あらそうなのー契約するのね...あー!ちょっと待ちなさい!アミィ!」
そうこの少女は幼き頃のアミィである。

「こうして、これでヨシっと!」
アミィは公園の砂場に魔法陣を描き、儀式の準備をする。

「なーにやってるの、アミィ」
アミィは声がする方へ振り向く。
「あ、お姉ちゃん!お姉ちゃんも手伝ってよ!」

 アミィの姉、サラがやって来た。
「へへっ面白そうだね、手伝うよ」
サラも一緒に魔法陣を描き始める。

「よし!これで準備OKよ!さぁ儀式を始めましょ。アミィ」
「うん!」
2人は儀式を始めると魔法陣が輝き出す。

「こらー!アミィ危ないからやめなさーい!」
母が走ってアミィを止めに来た。
「もう終わっちゃったよ」
アミィが笑顔で振り向くと魔法陣は輝きを止めていた。

「えー!大丈夫?体に変化はない?」 
母はアミィのことを持ち上げて体の隅々までチェックする。

「もーお母さん、大袈裟だよ」
「何言ってんのよ!アナタはお姉ちゃんなんだからしっかりアミィのこと止めなさいよ!」
母はサラにゲンコツをする。

「てて、もういいじゃない!お母さんのケチ!ねぇアミィ!...あれアミィ?」
サラと母はアミィを見るとそこには子犬も一緒にいた。

「あなたが私の精霊さん?お名前なんて言うの?」
アミィはしゃがみながら子犬に尋ねる。
「ボクの名前?うーん何だろう?」
どうやら子犬に名前は無いようだ。

「ほら、見てよお母さん!こんなに可愛い子じゃない」
「そ、そうねぇ。この子なら大丈夫ね、しっかり面倒見るのよ」
「はーい!」
アミィ達は家に戻り始める。

「くぅーん」
しかし、子犬は寂しそうにその場を動かない。
「どうしたの?一緒に行こ」
アミィが手を差し伸べるが子犬は体を震わせていた。

「ボクを置いていかない?」
「置いていかないよ、ほら!」
アミィは子犬を抱き抱えて母を追う。

「アミィ、その子はなんて名前つけるの?」
「うーん...まだ決めてない」
帰り道、皆で子犬の名前を考えてみたが良い名前は思いつかなった。

「早くつけてあげないとねー」
「そうだ!精霊さん一緒に絵本を読も!」
「あっ!こら待ちなさい!危ないわよ!」
「もう、お母さん..心配しすぎ」
天真爛漫、アミィは子犬を抱えたまま家に向かって走り出す。


「絵本って何?」
「絵本はね!何でも知ってるんだよ!きっと精霊さんのお名前も知ってるよ!」
アミィはワクワクしながら家に入り、絵本をいっぱい用意する。

「ほら、これとかどう?」
アミィは子犬に一冊の絵本を見せる。絵本の題名は『わたしのしつじ』だった。

「羊?」
「メェメェじゃないよ、しつじ!カッコいいんだよ!」
「かっこいいの?」
「うん!」

「私が読んであげる」
子犬は絵本を朗読してもらった。
「うぉぉー!すごい」

 絵本を飲み終え、子犬はアミィの前に立って決心する。
「ボクの名前!セバスが良い!」
子犬は絵本を読み終えるとそう言い出した
「セバス...あ!この絵本に出てくる執事さんのお名前ね」
アミィがそう言うと子犬は頷き、もう1度絵本を読む。

「うん!あ!そうだ!私アミィ!5歳!」
「あ、アミィか..よーし、わ、わたくしは!セバスとも、申します!ア、アミィ様!」
子犬は恥ずかしがりながら絵本に出てくる執事セバスの口調を真似する。

「よろしくね!セバスさん!」
アミィは笑顔で答えた。


 こうして、アミィとセバスは出会った。そして、セバスはアミィとバーン家の人間を守る執事、番犬になる事を誓った。
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