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暗躍する狂気編
番外編3 Bad Birthday
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今から10年前、ロンとロアという双子の兄妹が居た。兄のロンと妹のロアはとても仲が良くいつも公園で遊んでいました。
この日は2人の誕生日。いつも通り2人は公園でおままごとをしていました。
「はい、お茶ですよ」
「うわぁーすっごく美味しい!」
「ドロシーにも」
ロアには大切にしている人形があります。それがドロシーです。
しかし、おままごとはいつも途中で終わってしまいます。なぜなら
「おいお前、男のくせにおままごとなんて気持ち悪いな」
「こっちは気持ち悪い人形、お似合いだな」
ロン達は小学生のいじめっ子3人組にいじめられているのです。
「痛いよ!やめて!助けてお兄ちゃん!」
「ロアをいじめるな!」
ロアは泣きながら兄に助けを求めます。しかし、ロンは手も足もでず、妹と一緒に殴る蹴るの暴行をくわえられてしまいました。
日も暮れ、ボロボロになった2人は家に帰らなくてはいけません。だけど、2人は家に居ることが大嫌い。いつもお父さんに殴られるからです。お母さんが見ていない所で2人は虐待を受けているのです。
2人が家に帰ると突然、パンッと何かの破裂音がしました。
「お誕生日おめでとう、2人とも!」
母が2人をクラッカーの祝砲で迎えてくれました。
「ロア達、今日から6歳になるの?」
「そうよあなた達は6歳になったの。来年からはいよいよ小学生、さぁケーキ作ったからパパとお風呂に入ってきなさい。ドロシーはお母さんが持っててあげる」
「う、うん..」
ロアの問いに母は優しく答えてくれました。
ロアはドロシーを母に預けて兄と一緒に風呂へ向かった。しかし、風呂には既に父が入っていたのです。2人は最初は戸惑いましたが母を待たせる訳にはいかないので勇気を出して風呂に入る事にしました。
「チッ、なんだテメーらか」
父は不機嫌そうに2人を迎えたが2人のボロボロの体を見て何か不穏な事を思いつく。
「おお、怪我をしているじゃないか洗ってやるよ」
父は2人の傷口をゴシゴシと乱暴に洗った。
「あ"あ"ぁ!イ”ダイ“」
「やめてよ!パパ!いたい!!」
痛みに耐えきれずにロアが父の手を叩いてしまいました。
「てっ!生意気だな!クソ!」
父は2人の頭に拳を振り下ろしました。
母は風呂場から大きな音がするのを聞きつけてやって来ました。
「ちょっとあなた、何してるの!まさかまた子供達に!」
母は父に対して激怒をし、ロンとロアをすぐに風呂から上がらせ傷の手当てを始めました。
「ごめんなさい、2人とも私が気づいてあげられなくて」
母は泣きながら謝っていましたが2人にはよく分かりませんでした。
次の瞬間、2人の顔に血がべっとりと垂れてきました。父が包丁で母を殺してしまったのです。母は血まみれになって倒れ込んでしまいました。
「俺に逆らうからいけないんだ...」
完全に狂っているその男は包丁で何度も何度も母を刺し続けた。
「ロア...逃げよう!」
「ママ..!ママ!」
「ロア!」
ロンは震える妹の手を引きながら家を飛び出す。
「おい、どこに行った!ガキ共!」
男は実の子である、ロンとロアを殺そうと家具を蹴り飛ばしながら探し始めた。
「ロア泣くな、逃げるぞ」
ロンは泣きそうな声で妹の手を強く握る。
「ママ..いやっ!ドロシーも助けなきゃ」
しかし、ロアがその場にしゃがみ込んで泣き続ける。
「お兄ちゃんがドロシーを取りに行ってあげるから、ロアはここで待ってろ。良い子だから」
ロンは優しく妹を説得するがなかなか泣き止んでくれない。
「1人はイヤ!ロアも連れてって」
「危なくなったらすぐ逃げるんだぞ」
「うん」
ロアは涙を拭いて兄の手を掴む。
2人は再び家に戻り、母の亡骸からドロシー人形を救出する事ができた。
「すぐに逃げるぞ」
「うん!」
ロアはドロシーを抱きしめながら兄と一緒に走って、家を出ようとしたがダメだった。
「みぃつけた!」
ロンとロアは無惨に殺された。バラバラだった。玄関は血まみれになり、2人の人生はここで終わった。2人の誕生日だというのに...確かに2人は死んだはずだった。
神の悪戯なのか、漂う2人の魂が深い兄妹愛と強い怨みによって混ざり合い、ドロシー人形に宿ったのだ。
・
・
・
「ひっ!ば、バケモノ!?」
男は突然動き出した人形に腰を抜かす。
「...っ!」
「は、離せ!ま、待っ!」
玄関はさらに血で染まった。
ジーナス家、一夜にして家族全員が死亡したと一時期話題となったこの家庭。中には殺人鬼を見たという者もいた。殺人鬼の特徴は子供ぐらいの背丈だったとか。
この日は2人の誕生日。いつも通り2人は公園でおままごとをしていました。
「はい、お茶ですよ」
「うわぁーすっごく美味しい!」
「ドロシーにも」
ロアには大切にしている人形があります。それがドロシーです。
しかし、おままごとはいつも途中で終わってしまいます。なぜなら
「おいお前、男のくせにおままごとなんて気持ち悪いな」
「こっちは気持ち悪い人形、お似合いだな」
ロン達は小学生のいじめっ子3人組にいじめられているのです。
「痛いよ!やめて!助けてお兄ちゃん!」
「ロアをいじめるな!」
ロアは泣きながら兄に助けを求めます。しかし、ロンは手も足もでず、妹と一緒に殴る蹴るの暴行をくわえられてしまいました。
日も暮れ、ボロボロになった2人は家に帰らなくてはいけません。だけど、2人は家に居ることが大嫌い。いつもお父さんに殴られるからです。お母さんが見ていない所で2人は虐待を受けているのです。
2人が家に帰ると突然、パンッと何かの破裂音がしました。
「お誕生日おめでとう、2人とも!」
母が2人をクラッカーの祝砲で迎えてくれました。
「ロア達、今日から6歳になるの?」
「そうよあなた達は6歳になったの。来年からはいよいよ小学生、さぁケーキ作ったからパパとお風呂に入ってきなさい。ドロシーはお母さんが持っててあげる」
「う、うん..」
ロアの問いに母は優しく答えてくれました。
ロアはドロシーを母に預けて兄と一緒に風呂へ向かった。しかし、風呂には既に父が入っていたのです。2人は最初は戸惑いましたが母を待たせる訳にはいかないので勇気を出して風呂に入る事にしました。
「チッ、なんだテメーらか」
父は不機嫌そうに2人を迎えたが2人のボロボロの体を見て何か不穏な事を思いつく。
「おお、怪我をしているじゃないか洗ってやるよ」
父は2人の傷口をゴシゴシと乱暴に洗った。
「あ"あ"ぁ!イ”ダイ“」
「やめてよ!パパ!いたい!!」
痛みに耐えきれずにロアが父の手を叩いてしまいました。
「てっ!生意気だな!クソ!」
父は2人の頭に拳を振り下ろしました。
母は風呂場から大きな音がするのを聞きつけてやって来ました。
「ちょっとあなた、何してるの!まさかまた子供達に!」
母は父に対して激怒をし、ロンとロアをすぐに風呂から上がらせ傷の手当てを始めました。
「ごめんなさい、2人とも私が気づいてあげられなくて」
母は泣きながら謝っていましたが2人にはよく分かりませんでした。
次の瞬間、2人の顔に血がべっとりと垂れてきました。父が包丁で母を殺してしまったのです。母は血まみれになって倒れ込んでしまいました。
「俺に逆らうからいけないんだ...」
完全に狂っているその男は包丁で何度も何度も母を刺し続けた。
「ロア...逃げよう!」
「ママ..!ママ!」
「ロア!」
ロンは震える妹の手を引きながら家を飛び出す。
「おい、どこに行った!ガキ共!」
男は実の子である、ロンとロアを殺そうと家具を蹴り飛ばしながら探し始めた。
「ロア泣くな、逃げるぞ」
ロンは泣きそうな声で妹の手を強く握る。
「ママ..いやっ!ドロシーも助けなきゃ」
しかし、ロアがその場にしゃがみ込んで泣き続ける。
「お兄ちゃんがドロシーを取りに行ってあげるから、ロアはここで待ってろ。良い子だから」
ロンは優しく妹を説得するがなかなか泣き止んでくれない。
「1人はイヤ!ロアも連れてって」
「危なくなったらすぐ逃げるんだぞ」
「うん」
ロアは涙を拭いて兄の手を掴む。
2人は再び家に戻り、母の亡骸からドロシー人形を救出する事ができた。
「すぐに逃げるぞ」
「うん!」
ロアはドロシーを抱きしめながら兄と一緒に走って、家を出ようとしたがダメだった。
「みぃつけた!」
ロンとロアは無惨に殺された。バラバラだった。玄関は血まみれになり、2人の人生はここで終わった。2人の誕生日だというのに...確かに2人は死んだはずだった。
神の悪戯なのか、漂う2人の魂が深い兄妹愛と強い怨みによって混ざり合い、ドロシー人形に宿ったのだ。
・
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・
「ひっ!ば、バケモノ!?」
男は突然動き出した人形に腰を抜かす。
「...っ!」
「は、離せ!ま、待っ!」
玄関はさらに血で染まった。
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