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暗躍する狂気編
第12話 不安定な心
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ジャン達が魔獣と死闘を繰り広げている中、ザル達は公園の近くまで来ていた。
「どうなってんだ、公園に近づくに連れて寒気がしてきやがる!」
「ザル様!間違いありません!パンプの気配がします!」
「おーい、ザル君!」
モニーとメルも駆けつける。
「会長!来てくださったんですね」
「ああ、あっちの方から嫌な音がしたからね」
「|%>÷〒・♪☆」
「君はどうやって気づいたんだい」
モニーがザルに聞く。
「何か嫌な予感がしたんです。ジャン達が死ぬような」
「やっぱりジャン君達の命が」
ザル達が走るスピードが上げると上空で大きな爆発が起きる。
「何だ!?あの爆発は!」
「どうやらジャン君達がやったようだね」
ザル達が公園に着いた時には既にジャン達が血だらけになって倒れていた。
「おい、ジャン!パンプ!」
「ローズ!何があったのだ」
「メ、メイデン..」
「ローズ!」
助けが来て安心したローズは再び気を失う。
「慌てるな!心臓の音はまだ聞こえる。君は此処を頼む、僕は向こうの方を」
モニーは此処からは見えない所にいる白夜を音を頼りに探す。
「おーい、ザル君大丈夫かー!」
ケンナリをはじめ、教員達が来た。
「先生、早くジャン達の治療を」
「分かりました」
「ところで学園長は?」
「すみません、用事があるようで学園を留守にしています」
5分後、ケンナリ先生は無事にジャン達の治療を終えた。
「これでひとまずは大丈夫でしょう。しかしこの子はもう既に」
ケンナリ先生はグースの傷を治したが既に息を引き取っていた。
「取り敢えず学園に運びましょう」
ザルはジャンとパンプをモニーは白夜とローズを背負いながら学園に向かった。残った教員はグースの対応をした。
「私はジャン君と白夜さんの家へ行ってきます」
ケンナリはジャン達の家の方へ向かう。
「早く目を覚ませよ!ジャン!」
.
.
.
僕は目を覚ますと公園に居た。独りぼっちでなんだか久しぶりの気分だ。
「おいジャン!俺アイツらを見返してやったぞ」
なんだ、グースがいるじゃないか。
「やるじゃないか、これでもうイジメられないね」
これでコイツをいじめる奴はもういないな。いじめられたとしてもグースは負けない。まったくいい笑顔だな。
「でも、ジャン...」
なんだ?いきなり苦しくなってきた。
「な、なんか苦しくない此処?」
あれ?なんだ?何か変だ!?
「お前のせいで俺は死んじまったんだよ!!」
「うあぁぁ!!」
グースの胸には穴が空いていた。変だ、あの魔獣は倒したはず..いや
「お前も死ね」
「やめろ!許じ...で...」
そうだ、グースは死んだんだ。
.
.
.
「うあぁぁぁぁ!!」
僕は知らない場所のベットに寝ていた。夢だったんだ。びっしょりと服が重くなるほどの汗を流し、心臓が苦しくなるほどバクバク暴れてる。
「ジャンが起きたぞー!みんな!」
ザル君?みんなって...
「おい、パンプも起きたぞ!」
向こうの方からラートの声が聞こえてきた。
「ザル君!?何処なのここ!?」
ジャンは半分パニックになりながらもザルに聞く
「お、おう、まぁ落ち着け、此処は龍神学園の保健室だ」
白夜以外の1-Aメンバーがゾロゾロ保健室に入ってくる。
「良かった。ジャンさん、目が覚めたんですね」
レートがホッとしながら言う。
「やったぞー!パンプが目覚めたぞー!わっしょい!わっしょい!」
「わー!なんだこれー!降ろせー!」
向こうの方ではパンプの目覚めを1-Asメンバーが祝い、パンプを胴上げしている。
「何で僕が保健室にいるの?」
僕の問いにみんな呆れていた。
「何でって、お前公園で死にかけてたんだぞ」
あれ?でも僕達は確か..ああ、気絶したんだ。
「白夜さんは?それに..グース、中学生の子がいたでしょ!」
「白夜ならさっき目覚めたが..1人にしてくれって屋上に行っちまったよ。あと、その中学生ってやつなんだが...」
「グースって子はもう...」
ザル君は少し言いづらそうな顔をしていたけど、僕は答えをもう知っていたんだ。
「そうか...僕はグースを守れなかったのか..」
涙が溢れてきた。泣いたって何も変わらないのに..
「僕、ちょっと外の風に当たってくるよ」
涙が止まってくれない、悪いのは僕じゃないか。僕が弱かったから..僕と出会ったせいで..まただ、前にもこんな事があった気がする。自分に反吐が出る。
とぼとぼと1人歩いていくジャンに誰も言葉をかけることが出来なかった。
屋上に立ち入ると強い日差しで目が眩んだ。あの悲劇を、醜い僕を笑うかのように太陽がギラギラしている。屋上を見渡すと白夜さんが隅の方に座っていた。
「白夜さん」
「あら、ジャンさん目を覚ましたのですね..」
白夜さんは泣いていた。涙をこらえていたけど僕にはすぐ分かった。
「僕もっと強くならなきゃいけない」
「でも、あの魔獣倒したのジャンさんなのでしょ?」
「でもグースを守れなかった」
「ジャンさんのせいではありませんわ、あの時わたくしがしっかり止めていれば...」
「それは違うわ白夜!」
ローズがパンプと一緒に走ってきた。
「私があの時、白夜と一緒に行動していれば!」
「オレがもっと早く、治療できていれば良かった!」
パンプとローズもえんえん泣いている。
「もう辞めようよ...グースは戻ってこないんだよ」
僕は責任から逃げたかった。重い十字架に耐えきれないからこんな無責任なことが言えたんだ。
「僕らはこれから大切な人を守るためにもっと強くならなきゃいけない、もっともっと」
「ジャン、いつもとなんか変だぞ」
ジャンの様子が違うことにパンプだけが気付いた。
「そんなことない!パンプに何がわかるって言うんだ!」
意味もなくパンプを怒鳴ってしまった。
「ご、ごめん」
「ジャン様、パンプさん、ただいま迎えに参りました」
セバスが僕達を迎えに来た。
「セバス..セバス!」
「おつらかったでしょう。もうご安心ください」
セバスを見たら涙がまた溢れてきた。小さかった頃みたいに泣いてしまった。
「アミィ様も校門でお待ちしております。白夜様方もご一緒に」
「ありがとうございます」
僕達は帰る前にザル君達に礼をした。
「ザル君、それにみんな、ありがとう。いろいろ心配かけちゃって」
「良いってことよ!さっさと元気になれよ」
「うん」
「よし、俺もクラス委員長だしなぁ、お前らの帰り付き添うぜ」
ジャン達はザルとメイデンと共に学園を出た。
「ごめん、迷惑ばかりかけて」
「何を突然言うのですかジャン様。今回の件、わたくしセバスが不甲斐無いばかりに」
「謝ることないわよ、あなた達が背負うことじゃないわ」
「らしくねぇな、お前はいつも通り笑ってれば良いんだよ」
「ザル様、今そういうのは..」
「やっぱりジャンおかしいぞ、急に怒ったり、謝ったり」
「人間にはそういう時があるの。まったくアンタは」
「ローズ、いじわる言わないの」
「はいはい」
「ごめん、まだ気持ちの整理が付かなくて」
なんだかいろんな感情が押し寄せてくる。耐えられる気がしない。
「学園から話は聞いているわ、ジャンにパンプちゃん、スフールちゃん、ローズちゃん、みんな魔獣を倒すために一生懸命頑張ったんでしょ」
「そうだぜ、お前らヌシクラスの魔獣によく生き残ったもんだぜ」
アミィとザルはフォローの言葉をかけるが4人は浮かない顔をしていた。
しばらく歩いていると、あの公園が見えてきた。公園にはガラの悪い2人の男が居た。
「昨日此処でで魔獣が出たみたいだぜ」
「ハッハッハ!それじゃグースの野郎は魔獣にぶっ殺されたんじゃねーの!」
「最高!だがよ、あのゴミ野郎が居なくなるのはちと寂しいな」
「「だってボコボコになったアイツの顔を最高だったんだもんな!」」
「ジャン様、気にしてはいけません。あのような外道構う必要ありません」
セバスがジャンを落ち着かせようとした時、もう遅かった。
「ジャン様いけません!」
「テメェら今の言葉取り消せ」
ジャンは2人の胸ぐらを締め上げる。
「オ、オイオイ、なんか文句でもあんのかよ!」
「グースをいじめてたのテメェらか?」
「まさか、アイツの知り合いってカンジ?ダッセーよ、八つ当たりは!」
ジャンは2人を勢いよく地面に叩きつける。
「おい!な、何マジになってんだよ」
不良の声はジャンには届かない、もう止まらない。
「ひっ!」
「テメェらが死ねば良かったのによ」
ジャンは手から火柱を作り出して、不良達の顔に向ける。
「おいそれ以上はまずいぞ、ジャン」
咄嗟に飛び出したザルはジャンを後ろから抑え、不良達を蹴り飛ばす。
「放せ!」
抵抗をするジャンの火柱は火力を増していく。
「あ、ああぁ...」
不良の1人は腰を抜かして気を失う。
「ジャン様!失礼致します!」
セバスがジャンの腹に拳を入れて気絶させる。隙を見てもう1人の不良が逃げ去ってしまった。
「やっぱりジャン変だった!..アミィどうした?」
「..っ!なんでもないわ、大丈夫..大丈夫だから」
「おや、これは?」
セバスがジャンの首元に妙な傷がある事に気づいた。
「パンプさんこの傷治せますか?」
「そのぐらいなら」
パンプがジャンの傷が治すと同時に傷口から針のようなものが飛びしてきた。
「これは針?」
ザルが針を摘みながらじっくり観察しているとジャンが目を覚ます。
「あれ、僕は..一体?」
「お目覚めですかジャン様」
「やっと正気に戻りやがったか、お前今..まぁ良い。お元気そうで」
ザルは呆れた顔でホッと息を吐く。
「え!?何があったの」
「覚えていないのかよ!?」
「てか此処、公園!?どういう事?」
ジャンは本当に何があったのか覚えていないようだ。
「まぁ良いや、取り敢えず俺はこの針を学園長に見せてくる。メイデン」
「はい」
ザルはそう言い、メイデンと学園の方へ向かう。
「さぁ私達も帰りましょ」
「は、はい」
アミィが仕切り、ジャン達も家へ向かう。
「どういう事?ねぇセバス、何があったの?」
「後でお話しします」
「ジャン、とりあえず帰ったら寝なさい。それと理由はどうあれ乱暴なことをしたんだから今日のおやつは無し。パンプちゃんもね」
僕がやってしまった事は悪い事なんだ。母さんの顔を見て、なんとなく分かった。
「えー!何でオレもー!」
パンプが駄々をこねる。
「パンプちゃんはパートナーなんだから連帯責任よ」
「レンタイセキニンってなんだよー!」
泣きじゃくるパンプを見て白夜とローズはいつものように笑った。
【同時刻 某国 研究所】
「博士、新兵器は人間にも効くというデータが取れましたが...」
「何だ言ってみろ」
「人間に使った場合、ストレスが溜まった状態でないと効果が出ません」
「更にもう1点、新兵器を回収されました。このままでは」
「一時的に暴走させることが出来れば十分だ。それに魔法軍の猿どもに新兵器の解読など出来るはずがない。あのサンプルも元は我々の国のものだ」
「どうなってんだ、公園に近づくに連れて寒気がしてきやがる!」
「ザル様!間違いありません!パンプの気配がします!」
「おーい、ザル君!」
モニーとメルも駆けつける。
「会長!来てくださったんですね」
「ああ、あっちの方から嫌な音がしたからね」
「|%>÷〒・♪☆」
「君はどうやって気づいたんだい」
モニーがザルに聞く。
「何か嫌な予感がしたんです。ジャン達が死ぬような」
「やっぱりジャン君達の命が」
ザル達が走るスピードが上げると上空で大きな爆発が起きる。
「何だ!?あの爆発は!」
「どうやらジャン君達がやったようだね」
ザル達が公園に着いた時には既にジャン達が血だらけになって倒れていた。
「おい、ジャン!パンプ!」
「ローズ!何があったのだ」
「メ、メイデン..」
「ローズ!」
助けが来て安心したローズは再び気を失う。
「慌てるな!心臓の音はまだ聞こえる。君は此処を頼む、僕は向こうの方を」
モニーは此処からは見えない所にいる白夜を音を頼りに探す。
「おーい、ザル君大丈夫かー!」
ケンナリをはじめ、教員達が来た。
「先生、早くジャン達の治療を」
「分かりました」
「ところで学園長は?」
「すみません、用事があるようで学園を留守にしています」
5分後、ケンナリ先生は無事にジャン達の治療を終えた。
「これでひとまずは大丈夫でしょう。しかしこの子はもう既に」
ケンナリ先生はグースの傷を治したが既に息を引き取っていた。
「取り敢えず学園に運びましょう」
ザルはジャンとパンプをモニーは白夜とローズを背負いながら学園に向かった。残った教員はグースの対応をした。
「私はジャン君と白夜さんの家へ行ってきます」
ケンナリはジャン達の家の方へ向かう。
「早く目を覚ませよ!ジャン!」
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僕は目を覚ますと公園に居た。独りぼっちでなんだか久しぶりの気分だ。
「おいジャン!俺アイツらを見返してやったぞ」
なんだ、グースがいるじゃないか。
「やるじゃないか、これでもうイジメられないね」
これでコイツをいじめる奴はもういないな。いじめられたとしてもグースは負けない。まったくいい笑顔だな。
「でも、ジャン...」
なんだ?いきなり苦しくなってきた。
「な、なんか苦しくない此処?」
あれ?なんだ?何か変だ!?
「お前のせいで俺は死んじまったんだよ!!」
「うあぁぁ!!」
グースの胸には穴が空いていた。変だ、あの魔獣は倒したはず..いや
「お前も死ね」
「やめろ!許じ...で...」
そうだ、グースは死んだんだ。
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「うあぁぁぁぁ!!」
僕は知らない場所のベットに寝ていた。夢だったんだ。びっしょりと服が重くなるほどの汗を流し、心臓が苦しくなるほどバクバク暴れてる。
「ジャンが起きたぞー!みんな!」
ザル君?みんなって...
「おい、パンプも起きたぞ!」
向こうの方からラートの声が聞こえてきた。
「ザル君!?何処なのここ!?」
ジャンは半分パニックになりながらもザルに聞く
「お、おう、まぁ落ち着け、此処は龍神学園の保健室だ」
白夜以外の1-Aメンバーがゾロゾロ保健室に入ってくる。
「良かった。ジャンさん、目が覚めたんですね」
レートがホッとしながら言う。
「やったぞー!パンプが目覚めたぞー!わっしょい!わっしょい!」
「わー!なんだこれー!降ろせー!」
向こうの方ではパンプの目覚めを1-Asメンバーが祝い、パンプを胴上げしている。
「何で僕が保健室にいるの?」
僕の問いにみんな呆れていた。
「何でって、お前公園で死にかけてたんだぞ」
あれ?でも僕達は確か..ああ、気絶したんだ。
「白夜さんは?それに..グース、中学生の子がいたでしょ!」
「白夜ならさっき目覚めたが..1人にしてくれって屋上に行っちまったよ。あと、その中学生ってやつなんだが...」
「グースって子はもう...」
ザル君は少し言いづらそうな顔をしていたけど、僕は答えをもう知っていたんだ。
「そうか...僕はグースを守れなかったのか..」
涙が溢れてきた。泣いたって何も変わらないのに..
「僕、ちょっと外の風に当たってくるよ」
涙が止まってくれない、悪いのは僕じゃないか。僕が弱かったから..僕と出会ったせいで..まただ、前にもこんな事があった気がする。自分に反吐が出る。
とぼとぼと1人歩いていくジャンに誰も言葉をかけることが出来なかった。
屋上に立ち入ると強い日差しで目が眩んだ。あの悲劇を、醜い僕を笑うかのように太陽がギラギラしている。屋上を見渡すと白夜さんが隅の方に座っていた。
「白夜さん」
「あら、ジャンさん目を覚ましたのですね..」
白夜さんは泣いていた。涙をこらえていたけど僕にはすぐ分かった。
「僕もっと強くならなきゃいけない」
「でも、あの魔獣倒したのジャンさんなのでしょ?」
「でもグースを守れなかった」
「ジャンさんのせいではありませんわ、あの時わたくしがしっかり止めていれば...」
「それは違うわ白夜!」
ローズがパンプと一緒に走ってきた。
「私があの時、白夜と一緒に行動していれば!」
「オレがもっと早く、治療できていれば良かった!」
パンプとローズもえんえん泣いている。
「もう辞めようよ...グースは戻ってこないんだよ」
僕は責任から逃げたかった。重い十字架に耐えきれないからこんな無責任なことが言えたんだ。
「僕らはこれから大切な人を守るためにもっと強くならなきゃいけない、もっともっと」
「ジャン、いつもとなんか変だぞ」
ジャンの様子が違うことにパンプだけが気付いた。
「そんなことない!パンプに何がわかるって言うんだ!」
意味もなくパンプを怒鳴ってしまった。
「ご、ごめん」
「ジャン様、パンプさん、ただいま迎えに参りました」
セバスが僕達を迎えに来た。
「セバス..セバス!」
「おつらかったでしょう。もうご安心ください」
セバスを見たら涙がまた溢れてきた。小さかった頃みたいに泣いてしまった。
「アミィ様も校門でお待ちしております。白夜様方もご一緒に」
「ありがとうございます」
僕達は帰る前にザル君達に礼をした。
「ザル君、それにみんな、ありがとう。いろいろ心配かけちゃって」
「良いってことよ!さっさと元気になれよ」
「うん」
「よし、俺もクラス委員長だしなぁ、お前らの帰り付き添うぜ」
ジャン達はザルとメイデンと共に学園を出た。
「ごめん、迷惑ばかりかけて」
「何を突然言うのですかジャン様。今回の件、わたくしセバスが不甲斐無いばかりに」
「謝ることないわよ、あなた達が背負うことじゃないわ」
「らしくねぇな、お前はいつも通り笑ってれば良いんだよ」
「ザル様、今そういうのは..」
「やっぱりジャンおかしいぞ、急に怒ったり、謝ったり」
「人間にはそういう時があるの。まったくアンタは」
「ローズ、いじわる言わないの」
「はいはい」
「ごめん、まだ気持ちの整理が付かなくて」
なんだかいろんな感情が押し寄せてくる。耐えられる気がしない。
「学園から話は聞いているわ、ジャンにパンプちゃん、スフールちゃん、ローズちゃん、みんな魔獣を倒すために一生懸命頑張ったんでしょ」
「そうだぜ、お前らヌシクラスの魔獣によく生き残ったもんだぜ」
アミィとザルはフォローの言葉をかけるが4人は浮かない顔をしていた。
しばらく歩いていると、あの公園が見えてきた。公園にはガラの悪い2人の男が居た。
「昨日此処でで魔獣が出たみたいだぜ」
「ハッハッハ!それじゃグースの野郎は魔獣にぶっ殺されたんじゃねーの!」
「最高!だがよ、あのゴミ野郎が居なくなるのはちと寂しいな」
「「だってボコボコになったアイツの顔を最高だったんだもんな!」」
「ジャン様、気にしてはいけません。あのような外道構う必要ありません」
セバスがジャンを落ち着かせようとした時、もう遅かった。
「ジャン様いけません!」
「テメェら今の言葉取り消せ」
ジャンは2人の胸ぐらを締め上げる。
「オ、オイオイ、なんか文句でもあんのかよ!」
「グースをいじめてたのテメェらか?」
「まさか、アイツの知り合いってカンジ?ダッセーよ、八つ当たりは!」
ジャンは2人を勢いよく地面に叩きつける。
「おい!な、何マジになってんだよ」
不良の声はジャンには届かない、もう止まらない。
「ひっ!」
「テメェらが死ねば良かったのによ」
ジャンは手から火柱を作り出して、不良達の顔に向ける。
「おいそれ以上はまずいぞ、ジャン」
咄嗟に飛び出したザルはジャンを後ろから抑え、不良達を蹴り飛ばす。
「放せ!」
抵抗をするジャンの火柱は火力を増していく。
「あ、ああぁ...」
不良の1人は腰を抜かして気を失う。
「ジャン様!失礼致します!」
セバスがジャンの腹に拳を入れて気絶させる。隙を見てもう1人の不良が逃げ去ってしまった。
「やっぱりジャン変だった!..アミィどうした?」
「..っ!なんでもないわ、大丈夫..大丈夫だから」
「おや、これは?」
セバスがジャンの首元に妙な傷がある事に気づいた。
「パンプさんこの傷治せますか?」
「そのぐらいなら」
パンプがジャンの傷が治すと同時に傷口から針のようなものが飛びしてきた。
「これは針?」
ザルが針を摘みながらじっくり観察しているとジャンが目を覚ます。
「あれ、僕は..一体?」
「お目覚めですかジャン様」
「やっと正気に戻りやがったか、お前今..まぁ良い。お元気そうで」
ザルは呆れた顔でホッと息を吐く。
「え!?何があったの」
「覚えていないのかよ!?」
「てか此処、公園!?どういう事?」
ジャンは本当に何があったのか覚えていないようだ。
「まぁ良いや、取り敢えず俺はこの針を学園長に見せてくる。メイデン」
「はい」
ザルはそう言い、メイデンと学園の方へ向かう。
「さぁ私達も帰りましょ」
「は、はい」
アミィが仕切り、ジャン達も家へ向かう。
「どういう事?ねぇセバス、何があったの?」
「後でお話しします」
「ジャン、とりあえず帰ったら寝なさい。それと理由はどうあれ乱暴なことをしたんだから今日のおやつは無し。パンプちゃんもね」
僕がやってしまった事は悪い事なんだ。母さんの顔を見て、なんとなく分かった。
「えー!何でオレもー!」
パンプが駄々をこねる。
「パンプちゃんはパートナーなんだから連帯責任よ」
「レンタイセキニンってなんだよー!」
泣きじゃくるパンプを見て白夜とローズはいつものように笑った。
【同時刻 某国 研究所】
「博士、新兵器は人間にも効くというデータが取れましたが...」
「何だ言ってみろ」
「人間に使った場合、ストレスが溜まった状態でないと効果が出ません」
「更にもう1点、新兵器を回収されました。このままでは」
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