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石像大戦編

後日談第八話 同時同機搭乗

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  僕は戦った。無数に戦った。無限に戦った。ずっとずっと戦っていた。ひとりきりで。ひとりぼっちで。一年ぐらい戦ったんじゃないかってぐらい、戦った。長かった。でも終わらない。相手が尽きない。僕の創造力も限界に近づいていた。徐々に手負いも増えていく。傷が増えていく。石像が飛んでくる。躱すことができないで、岩が刺さる。機体に岩が、次々と刺さる。


 機体は動けなくなっていた。



「もう、終わりかな」


 敵はまだまだ無数にいた。全然終わらなかった。終わりなんて無いのかも知れない。勝ちのない、価値のない、負け確定ゲーム。そう、最初から負けは仕組まれていて、決まっていたのかもしれない。


「本当にそうかな」


 声が聞こえた。


 僕は答える。


「そうだよ、きっとそうだ」

「また私のために頑張ってよ」

「なんだよ、それ。幻想のくせに。俺の思い出のくせに」


 そう、この声はきっと幻想。幻。


 この世界の創造力に突け込んで、彼女まで出しやがった。僕には本当に、まだまだ戦えということらしい。


「この機体、名前知ってる?」

「REIWAだよ。僕が名付けた」

「そうだね。でも、その前の名前があるんだよ。だって、私が使っていたから。この機体」

「瀬都奈が?」

「そう、わたしが」


 彼女は目の前に、形を持って現れた。声だけじゃない。これは、彼女の残滓か……。この機体を使っていたというのは、本当なのか……。残滓を、それを使って、幻から顕現したのか……。瀬都奈……。本当に瀬都奈か。瀬都奈なのか。なあ、瀬都奈。


 君は、君は……。僕は、僕は君に。


「僕は会いたかったよ、瀬都奈。君に」

「私も会いたかった、健」


 瀬都奈は最初はもっと簡素なロボットで戦っていたという。でも、それは、それが目立ちすぎたから相手に紛れるように円盤型のユーフォーを未来線として、タイムマシンとして使い、光線で戦っていたという。


「でもだめね。どこかで見たことのあるような、その程度の創造力じゃ、空想上の世界の相手には勝てない。でもあなたは、私の力を使って、私と似たような力を使いこなして、そしてその機体で前回圧勝してみせた。私が、何十年も永遠と戦い続けているような、そんな相手に」

「そっか、そうだったんだ」



 僕と彼女は同じような、似たような境遇に居たんだ。それが遥か未来なのか、平成最後の年であるかの違いで。敵は同じ、地球外知的生命体。空想上の世界を生み出した張本人。第三世界、プレーン空間の元締めにして、僕らと同じ境遇の生物。


「わかった、わかったよ。へっ、弱気になっていたぜ。へたりそうになっていたぜ。大丈夫、もう大丈夫。何度来たって同じさ。何回やっても同じさ。おととい来やがれってんだ、この野郎。いくぞ!!」


「うん!」



 同時同機搭乗。



 人型空想上兵器。再起動。



 機体。__NAME?




 二人でハンドルを握って、見合って、頷いた。叫ぶ機体の名前を。僕名付けた名前とさっき教えてもらったばかりの名前を。





「「起動! AKEHOSHI・REIWA!!」」






  __OK! completed!!









 さあ、行こう。瀬都奈。


 AKEHOSHI・REIWA、推して参る!






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