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【36話】次のクエストはウォーウルフの群れに決めました
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クエスト掲示板には、多種多様なクエストが貼られている。
中身は時間帯によって異なるが、クエストの数は膨大で、全てが掲示板から無くなるようなことは無い。冒険者ギルドの職員たちが新たなクエストを作成、クエストを受け付け、提示するからだ。
しかしながら、ノアとロイルの二人は、今日は既にクエストを一つこなしている。既に夕方となり、この時間帯では大したクエストも残っていない。
「うーん、どれがいいかなぁ……」
クエストを通さずとも、魔物を倒して魔石を持ち帰れば、換金することが出来る。
但し、冒険者ギルドのクエストを通すと通さないとでは、魔石の額も貢献度も落ちてしまう。だから冒険者たちは掲示板を見てクエストを受注し、そのついでにクエスト外の魔物を倒すことがあれば、ついでに魔石を換金するといった形を取っていた。
ついでの魔石を手元に残し、それと条件の合ったクエストが発注されるまで待つ者もいるが、ただでさえ武具や魔道具で荷物があるのに、無駄な魔石を持ち歩くのは危険にも繋がる行為なので、そのほとんどが手元に残さず換金するようにしている。
「ゴブリンもコボルトも無いね。スライムはあるけど」
スライム一体当たりの討伐報酬は、大銅貨一枚。ぶよぶよの体内に備わった魔石を壊さなければ、叩いても斬っても死なないのが特徴だ。
攻撃手段は主に体当たりであり、冒険者ではなく一般人でも追い払ったり倒したりすることが出来るだろう。
また、魔法耐性に乏しく、ノアが持つ【ファイヤーボール】や【アイシクル】にも滅法弱い。
体内の魔石ごと魔法で包まれてしまうことで、逃げることなく蒸発してしまうのだ。
スライムの魔石は他の魔物のものよりも色が澄んでおり、とても綺麗だ。形を崩さずに換金することが出来れば、ゴブリンの魔石と同等の価値にもなる。
しかしながら、スライムを倒すには魔石を破壊する必要がある。
故に、魔石の欠片を持ち帰るしか方法が無く、結果として報酬は大銅貨一枚に落ち着いている。
「ただ、スライムは群れないし物陰に隠れるのが得意だからね。【魔眼】で探すことは出来るけど、数をこなすのは大変だと思うよ」
では、どうするのか。
二人はスライム狩りを断念し、別のクエストを探すことにした。しかし思うように見つからない。
「ノア。ゴブリン討伐で稼いだ分があるし、今日は止めとく?」
「うん、良さそうなのがないし、そうしようかな……」
クエスト掲示板に張り付いていた二人だが、今日はこれ以上クエストを受注しないことにしよう。そう決めた矢先の出来事だった。
「あっ」
冒険者ギルドの職員が、新しいクエストを貼りに掲示板へと近づいてきた。
そのクエストの内容を見た二人は、互いに顔を合わせて頷く。
「ロイル。あのクエスト……受けてみる?」
「賛成。僕たちなら問題なく倒せるはずだ」
意見が一致し、口元を緩ませる。
そのクエストとは、ウォーウルフの討伐。それも一体ではなく、群れの討伐であった。
中身は時間帯によって異なるが、クエストの数は膨大で、全てが掲示板から無くなるようなことは無い。冒険者ギルドの職員たちが新たなクエストを作成、クエストを受け付け、提示するからだ。
しかしながら、ノアとロイルの二人は、今日は既にクエストを一つこなしている。既に夕方となり、この時間帯では大したクエストも残っていない。
「うーん、どれがいいかなぁ……」
クエストを通さずとも、魔物を倒して魔石を持ち帰れば、換金することが出来る。
但し、冒険者ギルドのクエストを通すと通さないとでは、魔石の額も貢献度も落ちてしまう。だから冒険者たちは掲示板を見てクエストを受注し、そのついでにクエスト外の魔物を倒すことがあれば、ついでに魔石を換金するといった形を取っていた。
ついでの魔石を手元に残し、それと条件の合ったクエストが発注されるまで待つ者もいるが、ただでさえ武具や魔道具で荷物があるのに、無駄な魔石を持ち歩くのは危険にも繋がる行為なので、そのほとんどが手元に残さず換金するようにしている。
「ゴブリンもコボルトも無いね。スライムはあるけど」
スライム一体当たりの討伐報酬は、大銅貨一枚。ぶよぶよの体内に備わった魔石を壊さなければ、叩いても斬っても死なないのが特徴だ。
攻撃手段は主に体当たりであり、冒険者ではなく一般人でも追い払ったり倒したりすることが出来るだろう。
また、魔法耐性に乏しく、ノアが持つ【ファイヤーボール】や【アイシクル】にも滅法弱い。
体内の魔石ごと魔法で包まれてしまうことで、逃げることなく蒸発してしまうのだ。
スライムの魔石は他の魔物のものよりも色が澄んでおり、とても綺麗だ。形を崩さずに換金することが出来れば、ゴブリンの魔石と同等の価値にもなる。
しかしながら、スライムを倒すには魔石を破壊する必要がある。
故に、魔石の欠片を持ち帰るしか方法が無く、結果として報酬は大銅貨一枚に落ち着いている。
「ただ、スライムは群れないし物陰に隠れるのが得意だからね。【魔眼】で探すことは出来るけど、数をこなすのは大変だと思うよ」
では、どうするのか。
二人はスライム狩りを断念し、別のクエストを探すことにした。しかし思うように見つからない。
「ノア。ゴブリン討伐で稼いだ分があるし、今日は止めとく?」
「うん、良さそうなのがないし、そうしようかな……」
クエスト掲示板に張り付いていた二人だが、今日はこれ以上クエストを受注しないことにしよう。そう決めた矢先の出来事だった。
「あっ」
冒険者ギルドの職員が、新しいクエストを貼りに掲示板へと近づいてきた。
そのクエストの内容を見た二人は、互いに顔を合わせて頷く。
「ロイル。あのクエスト……受けてみる?」
「賛成。僕たちなら問題なく倒せるはずだ」
意見が一致し、口元を緩ませる。
そのクエストとは、ウォーウルフの討伐。それも一体ではなく、群れの討伐であった。
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