魔力ゼロと判明した途端、婚約破棄されて両親から勘当を言い渡されました。でも実は世界最高レベルの魔力総量だったみたいです

ひじり

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【35話】もう一つクエストを受けることにしました

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「あっ、とりあえず……ロックアントの魔石を取り出そう?」

 首をそのまま持って帰っても構わないのだが、魔石を持ち帰らなければクエストクリアにはならない。魔物の部位は魔道具や武具の素材としても重宝されるので買い取ってもらえるのだが、今回の目的はロックアントの討伐クエストだ。

 二人はぐちゃぐちゃになったロックアントの胴体部から魔石を見つけ出し、それを革袋へと仕舞った。

「これは荷物になるから、置いていこうかな」

 頭部をどうするか悩んだロイルだったが、帰り道で新たな魔物と遭遇しないとも限らない。荷物は出来るだけ少なくしておこうと考え、その場に放置することを決めた。

 魔道具で明るくなった洞窟内を戻っていくと、やがて別の魔法の灯りが二人を出迎える。採掘場所に辿り着いたようだ。ここからは魔道具も必要ないので、ノアは蓋をしてそれをロイルに渡そうとする。

「それはノアが持っておいて」
「いいの?」
「僕はこれがあるから、ね?」

 そう言いながら、ロイルは自分の目を指さした。既に周辺には鉄鉱石の採掘目的の冒険者の姿があり、【隠蔽】で【魔眼】を隠した状態だが、理由を告げてノアを納得させる。
 夜目が利くわけではないが、魔力の流れを視ることが出来る時点で、暗闇の中でも移動可能なのがロイルの凄いところだ。

 言われた通り、ノアは魔道具を自分の革袋に仕舞い込む。
 そして、二人は太陽の下へと出てきた。

 寄り道することなく、冒険者ギルドに戻った二人は、ロックアントの魔石を受付嬢へと手渡す。問題なくクエストクリアとなり、無事報酬を受け取った。

「ロックアント一体で、大銅貨五枚。ゴブリンよりも少ないのか」
「うん。ロックアントは比較的動きも遅くてゴブリンみたいに群れないでしょう? それに攻撃的な種類じゃないから」
「なるほどね、それなら納得かな」

 何はともあれ、今日の成果は大銅貨五枚だ。
 これでは一人分の宿泊費と食事代で消えてしまうだろう。

「洞窟内で戦い辛い割には、稼げなかったなあ」
「うん。危険はあるけど、やっぱりゴブリンやコボルトの方がいいかも」

 ロイルの【魔眼】と、魔力量を増やしたノアの二人ならば、ゴブリンやコボルト程度の魔物は苦にもならないだろう。
 次回からはもっと稼げるクエストを探すべきかもしれない。

「それじゃあまだ時間もあるし、せっかくだからもう一つ受注しようか」
「えっ、今からもう一つクエストを受けるの?」
「うん。それとも今日は休む?」
「……ううん、わたしなら大丈夫。ロイルと一緒にクエストする!」

 実は物足りなかった。
 せっかく魔力量が上がったのだから、ノアは自分も戦ってロイルにいいところを見せたかったのだ。

「じゃあ決まり! 掲示板を見に行こう」
「うん!」

 二人は二つ目のクエストを受ける為、再び掲示板の前へと向かうのだった。
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