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【32話】ロイルと一緒に洞窟の中に入ってみました
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ノアとロイルの二人が受けたクエストの討伐目標、ロックアント。
その魔物が巣食う洞窟の入口へと到着した。
「……なんだか賑わってる」
「ここ、採掘場も兼ねてるみたいだね」
魔物自体は出てくるが、最初に提案した鉄鉱石の採掘クエストは、この洞窟でも実行することが可能なようだった。
現に入り口付近には、採掘道具を持った冒険者パーティーの姿を幾つか確認することが出来る。洞窟内には、更に別のパーティーもいるに違いない。
「人気の狩場って感じかな」
魔物が出るので、採掘クエストを受注した者からすれば余計な危険があると思われるかもしれないが、この洞窟の魔物退治のクエストを受ける者も当然ながら存在する。たとえば、ノアとロイルの二人だ。
この二人のように、洞窟内に入って魔物を狩る冒険者がいれば、採掘する側は安心して作業に徹することが出来る。故に、ここも比較的安全な採掘場と言えよう。
「重そう……」
採掘を進めるパーティーの一つが、鉄鉱石を次から次に木で出来た荷車の台に載せていく。あの手の運搬道具を持っていれば、採掘クエストでもそれなりの報酬を得ることが出来るのかもしれない。ただ、見張り役や採掘役、運び役など、大勢が必要になってくる。
ノアとロイルは二人パーティーなので、同じことをしようとしても難しいだろう。
勿論、するつもりはない。ロイルが傍にいてくれるなら、ノアは魔物狩りも怖くないと思えるようになっていた。
「じゃあ、僕たちは僕たちに出来ることをしよう」
「うん」
洞窟の外にいる冒険者たちと挨拶を交わし、二人は薄暗い中へと足を踏み入れる。
この洞窟は、王都から最も近い場所にある。内部には魔法による灯が設置されており、松明無しでも問題なく進むことが可能だ。これは採掘場として頻繁に冒険者が足を運ぶのも大きな要因の一つであった。
だが、それも前半までだ。
「――そろそろこれが必要かな」
洞窟内部を暫く進むと、魔法の灯りが届かない空間へと辿り着く。
採掘場として利用しているのはここまでのようで、この先に進む者は自分で灯りを用意する必要があるようだ。
故に、魔物狩りに来た冒険者たちは、各々が灯りを持つ必要がある。
ロイルが手提げ袋から取り出したもの、それは小さな筒状の魔道具だ。
蓋を開けると灯が漏れる。
「凄い……まさかそんな高価なものを持っていたなんて……」
魔道具はピンキリだが、この手の魔道具は一度使用すれば壊れるものがほとんどだ。
しかしロイルが持っているものは、魔力さえ注入すれば、何度でも繰り返し使用可能なものであった。
「前に使ったことがあるからね」
「前に……? 洞窟に潜ったことがあるの?」
「洞窟じゃないよ。でも、凄く暗くて狭い場所だったから、灯りを求めて自作したんだ」
自作、とロイルは言った。
いやそれよりも、灯りを求める状況とは一体……とノアは眉を潜める。
聞いてもいいのだろうか。それとも聞かずにいるほうがいいのか。
少し迷ったノアだが、結局は聞かずにいることにした。
その魔物が巣食う洞窟の入口へと到着した。
「……なんだか賑わってる」
「ここ、採掘場も兼ねてるみたいだね」
魔物自体は出てくるが、最初に提案した鉄鉱石の採掘クエストは、この洞窟でも実行することが可能なようだった。
現に入り口付近には、採掘道具を持った冒険者パーティーの姿を幾つか確認することが出来る。洞窟内には、更に別のパーティーもいるに違いない。
「人気の狩場って感じかな」
魔物が出るので、採掘クエストを受注した者からすれば余計な危険があると思われるかもしれないが、この洞窟の魔物退治のクエストを受ける者も当然ながら存在する。たとえば、ノアとロイルの二人だ。
この二人のように、洞窟内に入って魔物を狩る冒険者がいれば、採掘する側は安心して作業に徹することが出来る。故に、ここも比較的安全な採掘場と言えよう。
「重そう……」
採掘を進めるパーティーの一つが、鉄鉱石を次から次に木で出来た荷車の台に載せていく。あの手の運搬道具を持っていれば、採掘クエストでもそれなりの報酬を得ることが出来るのかもしれない。ただ、見張り役や採掘役、運び役など、大勢が必要になってくる。
ノアとロイルは二人パーティーなので、同じことをしようとしても難しいだろう。
勿論、するつもりはない。ロイルが傍にいてくれるなら、ノアは魔物狩りも怖くないと思えるようになっていた。
「じゃあ、僕たちは僕たちに出来ることをしよう」
「うん」
洞窟の外にいる冒険者たちと挨拶を交わし、二人は薄暗い中へと足を踏み入れる。
この洞窟は、王都から最も近い場所にある。内部には魔法による灯が設置されており、松明無しでも問題なく進むことが可能だ。これは採掘場として頻繁に冒険者が足を運ぶのも大きな要因の一つであった。
だが、それも前半までだ。
「――そろそろこれが必要かな」
洞窟内部を暫く進むと、魔法の灯りが届かない空間へと辿り着く。
採掘場として利用しているのはここまでのようで、この先に進む者は自分で灯りを用意する必要があるようだ。
故に、魔物狩りに来た冒険者たちは、各々が灯りを持つ必要がある。
ロイルが手提げ袋から取り出したもの、それは小さな筒状の魔道具だ。
蓋を開けると灯が漏れる。
「凄い……まさかそんな高価なものを持っていたなんて……」
魔道具はピンキリだが、この手の魔道具は一度使用すれば壊れるものがほとんどだ。
しかしロイルが持っているものは、魔力さえ注入すれば、何度でも繰り返し使用可能なものであった。
「前に使ったことがあるからね」
「前に……? 洞窟に潜ったことがあるの?」
「洞窟じゃないよ。でも、凄く暗くて狭い場所だったから、灯りを求めて自作したんだ」
自作、とロイルは言った。
いやそれよりも、灯りを求める状況とは一体……とノアは眉を潜める。
聞いてもいいのだろうか。それとも聞かずにいるほうがいいのか。
少し迷ったノアだが、結局は聞かずにいることにした。
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