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【31話】新しいクエストを受注してみました
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結局、この日の午前だけで、ノアは自分の魔力量を二十マナから五十マナまで増やすことに成功した。
但し、やり方は一つずつ。
焦らず慎重に、ゆっくりじっくり反応を楽しみ堪能するかのように……。
「きつくない、ノア?」
「うん……なんだかちょっと身体が、ほ……ほて、火照った感じだけど、全然辛くないよ」
「ふうん? それならよかった。このやり方で毎日魔力量を増やすことが出来そうだね」
「毎日これを……う、うん」
辛くはないが、毎日となると、体が火照りすぎて頭がおかしくなりそうだ。
しかしそれはそれで自分がどうなってしまうか気になるし、火照った先を知ってみたいとも考えてしまう。
頭をぶんぶんと振りながらも、ノアは思考をむちゃくちゃにしていく。
「じゃあ、ぼちぼちクエストでも探そうか」
午後になったので、二人はクエスト掲示板の前へと移動する。
朝一で貼り出されるものが第一陣で、午後からのものが第二陣となる。ノアとロイルのように午後から動く予定の冒険者たちは、後者のクエストの中から実力に見合ったものを探し出す。
「ねえ、ロイル。これなんてどうかな?」
「なになに? ダンジョン内で採掘出来る鉄鉱石を……」
二人並んでクエストの一つ一つを吟味し、どれが良さそうか意見を出し合う。
そして互いに納得出来たら、それを受注する。
不満を持ったままでは、クエストクリアに至るまでに支障があるかもしれない。そうならない為の、すり合わせ作業だ。
「ふうん、魔物が居ない洞窟か。これなら確かに危なくないかも」
「だよね? あっ、でも持って帰るのが大変かなぁ……」
「そうだね。それに採掘作業って結構重労働だと思うし」
魔物と退治する危険が無いのはアリだが、採掘作業には専用の道具も必要になってくるし、そもそも二人には鉄鉱石を運ぶ手段が無かった。どうにかして運び出したとしても、その割には報酬も少なめで、難易度が低い点を除けば労力に見合わないだろう。
「だからこっちの方がいいんじゃない?」
「こっち? ……って、今度はロックアント退治?」
「そうそう。今のノアなら、採掘作業よりも魔物退治の方が無理なく出来るよ」
魔物退治には危険がつきものだが、今のノアは魔力ゼロではない。鉄鉱石の採掘クエストよりも、むしろこちらの方が短時間で楽に報酬を得ることが出来るだろう。
「でも、ロックアントって固い魔物だよ? それに洞窟内にいるから魔法は撃ちにくいし……」
「うん、だから今日は僕が戦うよ」
「ロイルが?」
ノアはまだ、ロイルが戦うところを見ていない。
所持スキルの【魔眼】によって他者の魔力量を増やすとは出来るが、果たして自分自身の腕前はいかほどなのだろうか。ノアは興味があった。
しかし、冒険者になったばかりのロイルは、初めはまともな武具も持っていなかった。本当に大丈夫なのかと不安になる。
「ノアほど魔力量は多くないし、人並みだと思うけど、多分ロックアントなら問題なく倒せると思うんだよね」
「ん……そこまで言うなら反対はしないけど……ロイル、無理はしないって約束してね?」
ノアが不安を口にすると、ロイルは嬉しそうに笑った。
「ノアに心配されるのも悪くないね」
「もう……本気で心配してるんだから、茶化さないで」
「うん。ありがとう、ノア」
それじゃあこのクエストで決まりだ、とロイルは掲示板から依頼書を剥がす。そのまま受付へと持っていき、受注作業を行った。
「もしもの時は、わたしも頑張る」
「ノアに【ヒール】してもらったことないから、今日のクエストが終わったらお願いしようかな」
「任せて」
そして二人は、パーティーとして二度目のクエストへと向かった。
但し、やり方は一つずつ。
焦らず慎重に、ゆっくりじっくり反応を楽しみ堪能するかのように……。
「きつくない、ノア?」
「うん……なんだかちょっと身体が、ほ……ほて、火照った感じだけど、全然辛くないよ」
「ふうん? それならよかった。このやり方で毎日魔力量を増やすことが出来そうだね」
「毎日これを……う、うん」
辛くはないが、毎日となると、体が火照りすぎて頭がおかしくなりそうだ。
しかしそれはそれで自分がどうなってしまうか気になるし、火照った先を知ってみたいとも考えてしまう。
頭をぶんぶんと振りながらも、ノアは思考をむちゃくちゃにしていく。
「じゃあ、ぼちぼちクエストでも探そうか」
午後になったので、二人はクエスト掲示板の前へと移動する。
朝一で貼り出されるものが第一陣で、午後からのものが第二陣となる。ノアとロイルのように午後から動く予定の冒険者たちは、後者のクエストの中から実力に見合ったものを探し出す。
「ねえ、ロイル。これなんてどうかな?」
「なになに? ダンジョン内で採掘出来る鉄鉱石を……」
二人並んでクエストの一つ一つを吟味し、どれが良さそうか意見を出し合う。
そして互いに納得出来たら、それを受注する。
不満を持ったままでは、クエストクリアに至るまでに支障があるかもしれない。そうならない為の、すり合わせ作業だ。
「ふうん、魔物が居ない洞窟か。これなら確かに危なくないかも」
「だよね? あっ、でも持って帰るのが大変かなぁ……」
「そうだね。それに採掘作業って結構重労働だと思うし」
魔物と退治する危険が無いのはアリだが、採掘作業には専用の道具も必要になってくるし、そもそも二人には鉄鉱石を運ぶ手段が無かった。どうにかして運び出したとしても、その割には報酬も少なめで、難易度が低い点を除けば労力に見合わないだろう。
「だからこっちの方がいいんじゃない?」
「こっち? ……って、今度はロックアント退治?」
「そうそう。今のノアなら、採掘作業よりも魔物退治の方が無理なく出来るよ」
魔物退治には危険がつきものだが、今のノアは魔力ゼロではない。鉄鉱石の採掘クエストよりも、むしろこちらの方が短時間で楽に報酬を得ることが出来るだろう。
「でも、ロックアントって固い魔物だよ? それに洞窟内にいるから魔法は撃ちにくいし……」
「うん、だから今日は僕が戦うよ」
「ロイルが?」
ノアはまだ、ロイルが戦うところを見ていない。
所持スキルの【魔眼】によって他者の魔力量を増やすとは出来るが、果たして自分自身の腕前はいかほどなのだろうか。ノアは興味があった。
しかし、冒険者になったばかりのロイルは、初めはまともな武具も持っていなかった。本当に大丈夫なのかと不安になる。
「ノアほど魔力量は多くないし、人並みだと思うけど、多分ロックアントなら問題なく倒せると思うんだよね」
「ん……そこまで言うなら反対はしないけど……ロイル、無理はしないって約束してね?」
ノアが不安を口にすると、ロイルは嬉しそうに笑った。
「ノアに心配されるのも悪くないね」
「もう……本気で心配してるんだから、茶化さないで」
「うん。ありがとう、ノア」
それじゃあこのクエストで決まりだ、とロイルは掲示板から依頼書を剥がす。そのまま受付へと持っていき、受注作業を行った。
「もしもの時は、わたしも頑張る」
「ノアに【ヒール】してもらったことないから、今日のクエストが終わったらお願いしようかな」
「任せて」
そして二人は、パーティーとして二度目のクエストへと向かった。
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