魔力ゼロと判明した途端、婚約破棄されて両親から勘当を言い渡されました。でも実は世界最高レベルの魔力総量だったみたいです

ひじり

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【28話】今日も、同じ部屋で寝ます

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「今日はノアとデート出来て楽しかったよ」
「わたしも、凄く楽しかった……また時間があれば、してほしいな……」

 隙間なくくっつけられたベッドに、二人は座っている。
 本当は、魔力量の底上げを行い、そしてクエストを受注するはずだったのだが、魔力酔いが思いのほか酷かったので、予定を変更することになった。
 でもそのおかげで、ノアは充実した一日を送ることが出来たので、むしろ魔力酔いに感謝している。

 それに、魔力酔いを起こしたとはいえ、魔力量の底上げ自体は上手くいっていた。
 ロイルの【魔眼】のおかげで、ノアの魔力量は十マナから二十マナへと更に増えている。このままのペースで増やすことが出来れば、あと三日足らずで銀等級に匹敵する魔力量を扱えるようになるだろう。

「ロイル、明日はきっと頑張れる気がするから、お願い出来る?」
「任せてよ」

 ロイルの【魔眼】を用いた魔力量の底上げは、強制的であり非常に強引な手段だ。当然、魔力酔いを同時に引き起こしてしまう。
 だが、一度魔力酔いを経験したことにより、身構えることが出来るようになり、何度も経験するうちに、徐々に慣れてくるはずだ。
 だから明日はスムーズに出来るだろうと、ノアは気合を入れる。

「おやすみなさい、ロイル」
「おやすみ、ノア」

 薄闇の中、ノアはベッドに横になり、隣にいるロイルへと声をかける。
 すると、ロイルの優しい声色が返ってくる。

 声のする方に視線を向けると、そこにはロイルがいる。
 自分は冒険者だ。魔物を倒して報酬を得て、生きていくのが常だ。だというのに、こんなにも幸せな気持ちになっていいのだろうか、とノアは考える。

「……ちょっとくらい、いい、よね……」

 自分に問いかけ、自分を納得させる。
 今まで十分頑張ってきたつもりだ。これぐらいは構わないだろう。神様だって許してくれるはずだ、と。
 明日からまた頑張るから、と。

 幸せな空間に満足しつつ、ノアの瞼は次第に重くなる。
 やがて、深い眠りへと落ちる。
 そして翌朝、ノアが目を覚ますと、

「……あれ、ロイル?」

 隣のベッドに寝ていたはずのロイルがいなくなっていた。
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