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「ん~、いやいやどれもお美味しそうですね。さすがは商人の国のお店なことはあります。先ほど食べた串焼きも美味でしたし……っと、では私はこれとこれをお願いしますね」
メニュー表をさらっと見て、キルファンは適当に注文をする。
「あ~、あと! お湯の入った急須と湯呑みを三つ追加しますが、できますか? はい、できますね」
思い出したかのように店員を呼び止め、追加をお願いする。
注文が一段落したあと、ふう、と息を吐いて口元を緩め、キルファンは飲み屋の店内を見渡す。
「……いやはや本当に、この国は最高ですね。どのお店を試しても食べ物が美味しいです」
串焼きを食べるキルファンは、確かに幸せそうな表情をしているように見えた。
異国の文化や食べ物に戸惑いを覚えつつも吸収し、それを思う存分楽しむ。そうやってキルファンはローマリアでの日々を過ごしていた。
「それになにより、皆さんが優しい。それに限りますね」
ナーナルとエレンの顔を見ながら告げる。
その意見には二人も異議なしだ。
この国の人たちが、新参者のナーナルに協力してくれたから、今がある。
もし、手を取り合ってもらえなければ、今頃どうなっていたことやら。
しかしながら、キルファンは眉を潜める。
「……ただ、騙す人もいます。嘘を見抜く術を身に着ける必要があることも学びましたね」
「ティリスのことかしら」
ナーナルが問う。それに対して返事をすることなく、キルファンは少し自嘲気味に笑うに留めた。
「お二人の目的は、これですね?」
先に、急須と湯呑みが届く。
手持ちの巾着から、キルファンが取り出したもの。それは茶葉の入った茶袋だ。
それを実際に使ってみせるために、キルファンは急須を追加で頼んだのだ。
「どうして分かったの?」
「私、商売人だから分かります。二人とも商売人の顔をしていますね」
一度、ティリスに騙されてはいるが、人を観察することにも長けているのだろう。ナーナルとエレンの目的をあっさりと見抜いた。
「実は、キルファンさんが茶葉を扱う商人との噂を耳にしまして」
「ははぁ、それで私を訊ねてくれたわけですか……。それはとても光栄ですね。ではその期待に応えるためにも、早速試しましょう」
茶葉を急須の中に入れて、慣れた手つきで二人に茶を淹れる。
ナーナルとエレンは、それに口をつけた。
「これは……」
思わず声が漏れる。
なんと落ち着く味わいだろうか。
「どうです? 我が国の茶には、心を安らげる効果がありますね」
「……エレン」
「ああ」
互いに目を合わせ、頷く。二人とも同意見のようだ。
この茶葉を、メインの一つに据えたい。
「満足しましたね?」
「ええ、とても」
「それはとてもよかったです。ではここまでは前座ということで……さて、次はお二人の話を聞かせてもらえますか?」
楽しげに笑うキルファンは、商売人の顔つきになっていた。
メニュー表をさらっと見て、キルファンは適当に注文をする。
「あ~、あと! お湯の入った急須と湯呑みを三つ追加しますが、できますか? はい、できますね」
思い出したかのように店員を呼び止め、追加をお願いする。
注文が一段落したあと、ふう、と息を吐いて口元を緩め、キルファンは飲み屋の店内を見渡す。
「……いやはや本当に、この国は最高ですね。どのお店を試しても食べ物が美味しいです」
串焼きを食べるキルファンは、確かに幸せそうな表情をしているように見えた。
異国の文化や食べ物に戸惑いを覚えつつも吸収し、それを思う存分楽しむ。そうやってキルファンはローマリアでの日々を過ごしていた。
「それになにより、皆さんが優しい。それに限りますね」
ナーナルとエレンの顔を見ながら告げる。
その意見には二人も異議なしだ。
この国の人たちが、新参者のナーナルに協力してくれたから、今がある。
もし、手を取り合ってもらえなければ、今頃どうなっていたことやら。
しかしながら、キルファンは眉を潜める。
「……ただ、騙す人もいます。嘘を見抜く術を身に着ける必要があることも学びましたね」
「ティリスのことかしら」
ナーナルが問う。それに対して返事をすることなく、キルファンは少し自嘲気味に笑うに留めた。
「お二人の目的は、これですね?」
先に、急須と湯呑みが届く。
手持ちの巾着から、キルファンが取り出したもの。それは茶葉の入った茶袋だ。
それを実際に使ってみせるために、キルファンは急須を追加で頼んだのだ。
「どうして分かったの?」
「私、商売人だから分かります。二人とも商売人の顔をしていますね」
一度、ティリスに騙されてはいるが、人を観察することにも長けているのだろう。ナーナルとエレンの目的をあっさりと見抜いた。
「実は、キルファンさんが茶葉を扱う商人との噂を耳にしまして」
「ははぁ、それで私を訊ねてくれたわけですか……。それはとても光栄ですね。ではその期待に応えるためにも、早速試しましょう」
茶葉を急須の中に入れて、慣れた手つきで二人に茶を淹れる。
ナーナルとエレンは、それに口をつけた。
「これは……」
思わず声が漏れる。
なんと落ち着く味わいだろうか。
「どうです? 我が国の茶には、心を安らげる効果がありますね」
「……エレン」
「ああ」
互いに目を合わせ、頷く。二人とも同意見のようだ。
この茶葉を、メインの一つに据えたい。
「満足しましたね?」
「ええ、とても」
「それはとてもよかったです。ではここまでは前座ということで……さて、次はお二人の話を聞かせてもらえますか?」
楽しげに笑うキルファンは、商売人の顔つきになっていた。
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