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新人戦編 ―前編―
第21話 本当の理由
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「じゃあ2つ目の質問――どうして私なの? 指導なら教授たちがいるでしょ? それこそ指導のエキスパートなのよ?」
「それは――」
アルヴィスは名前を広めたい理由を追究されると思っていたが、予想外にすんなりと聞き逃してくれたことに内心安堵し、その優しさに甘えて自身からも触れずにエリザベスの2つ目の質問に答えだした。
「正直、序列4位というのが1番の理由だよ」
エリザベスは表情1つ変えることなく無言で頷き、続きを待った。
「4位ってことはランクもかなり高いんだろ? なら先生達とも引けを取らないはずだ。いくらエキスパートっていっても先生相手じゃ何かと不便だろうしな 、生徒同士のほうが有難い」
「じゃあ、1番じゃない理由は?」
「そっ……それは秘密じゃダメか?」
「だーめ」
ちょっと重くなってきた空気を軽くするためか、エリザベスはここでおどけたように舌をチラと出し却下した。
その表情に頬を赤くしつつアルヴィスは少しぶっきらぼうに応える。
「く、悔しかったんだよ……」
「え?」
「悔しかったって言ったんだ! 前にやったエリザとの模擬戦。俺はこれで負けたことがないからな。だから――」
アルヴィスは自分の右手を拳に変え見つめ話す。と同時にその拳をエリザベスに向けて突き出した。
「――リベンジだ!」
(その表情を見るとこっちのほうが1番の理由の気がするけど)
「そっか。んーどうしようかなぁー」
エリザベスは小さな口元に指を当てしばし考える仕草をし――口を開いた。
「悪いけど、君の指導者は出来ないわ」
「な!?」
「だってそもそも私と君とでは魔法のタイプが違いすぎるし。そうでしょ?」
「た、たしかに……」
「でも――」
エリザベスは人差し指を立てアルヴィスの眼前に突き出し、ニコッと微笑んだ。
「模擬戦の相手ならしてあげる」
「――!? ほ、本当か!? 本当にいいのか!?」
「嘘なんてわざわざつかないよ。それに、そんな嬉しそうな満面な笑みを向けられたあとじゃ今さら無かったことに出来ないよ」
「ヨッシャァァァッ!!」
アルヴィスは勢いよく立ち上がりガッツポーズをした。すると周りの生徒たちが何事かとこちらを一斉に注目してきた。
これにはさすがのアルヴィス本人もエリザベスも恥ずかしくなり揃って顔を伏せ身を縮めた。もちろんアルヴィスに関しては着席をしてだ。
辺りがまた談笑で騒がしくなるまで待ち、ようやっとアルヴィス達も話が再開出来るようになると、アルヴィスはエリザベスに気になっていた質問を投げ掛けた。
「なぁ、エリザ。ここにも何体ものサーヴァントがいるけど、みんなじゃないよな? エリザも連れてないし。なんでだ?」
「サーヴァントって言っても、自分と一緒に戦うことだけが役目じゃないからね。例えば屋敷で働くメイドをサーヴァントにさせている貴族もいるし、馬車を馬じゃなくてサーヴァントの人もいる。それにサーヴァントを持っている学生のほうが少ないくらいだよ?」
「へぇー、そうなのか。じゃあエリザもさすがに持っていないのか?」
「…………私のはちょっと特別でね。いつか機会があれば見せてあげるよ」
「あ、あぁ、その時はよろしく頼む」
エリザの表情が少し曇ったので、アルヴィスはこれ以上詳しくは聞かないことにした。
変わりに先程から話ばかりで食事が進んでいないので、食べることを促し夕食を楽しんだ。
「それは――」
アルヴィスは名前を広めたい理由を追究されると思っていたが、予想外にすんなりと聞き逃してくれたことに内心安堵し、その優しさに甘えて自身からも触れずにエリザベスの2つ目の質問に答えだした。
「正直、序列4位というのが1番の理由だよ」
エリザベスは表情1つ変えることなく無言で頷き、続きを待った。
「4位ってことはランクもかなり高いんだろ? なら先生達とも引けを取らないはずだ。いくらエキスパートっていっても先生相手じゃ何かと不便だろうしな 、生徒同士のほうが有難い」
「じゃあ、1番じゃない理由は?」
「そっ……それは秘密じゃダメか?」
「だーめ」
ちょっと重くなってきた空気を軽くするためか、エリザベスはここでおどけたように舌をチラと出し却下した。
その表情に頬を赤くしつつアルヴィスは少しぶっきらぼうに応える。
「く、悔しかったんだよ……」
「え?」
「悔しかったって言ったんだ! 前にやったエリザとの模擬戦。俺はこれで負けたことがないからな。だから――」
アルヴィスは自分の右手を拳に変え見つめ話す。と同時にその拳をエリザベスに向けて突き出した。
「――リベンジだ!」
(その表情を見るとこっちのほうが1番の理由の気がするけど)
「そっか。んーどうしようかなぁー」
エリザベスは小さな口元に指を当てしばし考える仕草をし――口を開いた。
「悪いけど、君の指導者は出来ないわ」
「な!?」
「だってそもそも私と君とでは魔法のタイプが違いすぎるし。そうでしょ?」
「た、たしかに……」
「でも――」
エリザベスは人差し指を立てアルヴィスの眼前に突き出し、ニコッと微笑んだ。
「模擬戦の相手ならしてあげる」
「――!? ほ、本当か!? 本当にいいのか!?」
「嘘なんてわざわざつかないよ。それに、そんな嬉しそうな満面な笑みを向けられたあとじゃ今さら無かったことに出来ないよ」
「ヨッシャァァァッ!!」
アルヴィスは勢いよく立ち上がりガッツポーズをした。すると周りの生徒たちが何事かとこちらを一斉に注目してきた。
これにはさすがのアルヴィス本人もエリザベスも恥ずかしくなり揃って顔を伏せ身を縮めた。もちろんアルヴィスに関しては着席をしてだ。
辺りがまた談笑で騒がしくなるまで待ち、ようやっとアルヴィス達も話が再開出来るようになると、アルヴィスはエリザベスに気になっていた質問を投げ掛けた。
「なぁ、エリザ。ここにも何体ものサーヴァントがいるけど、みんなじゃないよな? エリザも連れてないし。なんでだ?」
「サーヴァントって言っても、自分と一緒に戦うことだけが役目じゃないからね。例えば屋敷で働くメイドをサーヴァントにさせている貴族もいるし、馬車を馬じゃなくてサーヴァントの人もいる。それにサーヴァントを持っている学生のほうが少ないくらいだよ?」
「へぇー、そうなのか。じゃあエリザもさすがに持っていないのか?」
「…………私のはちょっと特別でね。いつか機会があれば見せてあげるよ」
「あ、あぁ、その時はよろしく頼む」
エリザの表情が少し曇ったので、アルヴィスはこれ以上詳しくは聞かないことにした。
変わりに先程から話ばかりで食事が進んでいないので、食べることを促し夕食を楽しんだ。
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