30 / 39
令嬢は甦る
清廉なる薫香
しおりを挟む
ミルラが体を起こそうとするのを、私はそっと支えた。
「ミルラ、大丈夫?…どうしてこんな…」
「《ああ、まだ生きていたのか。使い終わったと思ったのに》」
バロウズが当たり前のように私のそばまでやってきていた。
「《それは私の許しもなく核を持ち出したから、私が古井戸に投げ込んでおいたんだ。万能の鱗粉を出せなくなった枯れかけのミルラの木など、ただでかくて邪魔になるからね》」
私は慌ててミルラをポケット滑りこませた。革袋が入っているから、下へ落ちたりしないはず。
「《あっ!ちょっと!こんなとこ!》」
よかった、しゃべれるみたい。
「ごめんね、ちょっと狭いけど」
ミルラはうう、と苦しげな声をあげたけれど、おとなしくなった。早くバロウズをどこかに行かせて、出してあげなきゃ。
「《へえ、そいつを庇うんだ?キンバリーの癖に》」
「貴様、誰かは解らんが、キンバリー家を愚弄するなら赦してはおけん」
義兄様が駆け寄ってきて私をバロウズからかくした。
「《役立たずの下郎がいくらいたところでなにができる?相手は数百年生きた人の悪意そのもの。ああ…前はキンバリー王と騎士どもが禁忌の森へ封じたんだったか?だが、奴は甦った…そうだろ?失敗だったんだ!国を奪われ、娘は殺された!キンバリーは負け犬だな!》」
げらげらとバロウズが笑う。
「なんだかわからないけどめちゃくちゃ腹の立つ奴だね」
第二皇子殿下が言って、バロウズの足元に何か黒い矢のようなものを放った。
「《!?なんだ、人間風情が高貴な精霊の真似事か?》」
バシッ、バシッと立て続けに魔術師たちも矢を放つ。当たっても傷つけられはしないようなのだが、衝撃はあるのかバロウズが後ろに下がる。
「まさかぁ、わざと当てるつもりはないですよ…足元にデカイ虫がいるもので、あたっちゃったなあ!」
バロウズが鞭のように蔓をつかって後ろへ飛び退くのと、地面から何かが噴き出して来るのは同時だった。
「ああん、捕まえそこねちゃった」
ドロドロしたそれが、見る間に女の顔をつけた巨大な虫の姿になる。びいん、とその声が公爵邸に響く。ガタガタとガラスが震えて、バラやダリアの花がいまにも振り落とされそうなほど揺れた。
「でもいいわ、ありがとうカーラントベルク侯爵令息さま。私の喉に刺さった骨を取ってくれて。おかげでなんでもできちゃう!」
そう言って、ミュシャは笑った。ぬめる液体が、笑った口から流れ出ている。
レイモンド様は訳が解らぬといった様子で、私のほうをみた。
「…あのブローチ、どこにあったんですか?」
「あの化け物を追っているときに、皇宮の井戸のふちに落ちていたんだ。かなり没薬の香りがしたから、てっきりきみのものだと。もってきてはいけなかったんだね?」
いいえ、と私はレイモンド様に首をふった。
「おかげでミルラを助けられました。ありがとうございます。ただ、あの井戸、多分アレの体の一部です」
ひぇっ、とレイモンド様がミュシャを見た。何かで濡れたようで、ぬいで持っていた上着をあわてて遠くへ投げた。手を突っ込んで拾ってくれたのね?よく食べられなかったわね。
「ああん、そんな顔しないでぇ?私は嫌じゃありませんでしたわ。とっても気持ちよかったのに…レイモンド様ってお呼びしても?」
すっごく気持ち悪い。レイモンド様は顔を青くして、いやいや、と首をふっている。私は気の毒になって、レイモンド様にハンカチを差し出した。けれど、そのハンカチはなぜかお義兄さまが受け取り、
「レイモンド、もっと近くに行ってやれ」
「お義兄様!?」
なんて危険な。でも、本当にどうしようかしら、井戸と全く別の場所に出てしまったから、封じるにしても……
「《ふん、こんな虫けら一匹退治し損ねるとはキンバリーも大したことはないな》」
バロウズが安全そうな場所から嘲笑った。
「《そうだ、そいつ退治してやろうか?願い事を叶えてやると約束したんだったな》」
レイモンド様と共に閉じ込められた迷宮で、バロウズは確かにそう言っていた。
「《だが、タダでってわけにはいかないが》」
そうこう言っているうちにも、ミュシャは公爵邸の庭を暴れまわっている。皇子殿下と魔術師たちはなんとか応戦しているけれど、ほおっておけば屋敷本体へもその暴力はおよびそうだった。
被害が及ぶことを危ぶまれた皇子宮と違い、公爵邸は使用人たちを逃がしていない。中には数百という人数の使用人が残っている。
「ナンシーさん達が…」
マリアも不安そうだわ。
仕方ない、このまま黙って見過ごしておくわけにはいかないわ。私がバロウズに返事をしようとした瞬間、とつぜん私のスカートが光り、ポケットからその光が飛び出していった。
「駄目よミルラ!」
私は叫んだ。ミルラが見つけたのは、私のポケットにあった火打箱だ。ミュシャを封じるために、鱗粉を燻すための道具だった。
「お義兄様、止めて!」
私に言われてお義兄様は火打箱をおいかける。
カチ、カチ、と火打箱から音がした。
「ミルラ!やめて!」
ミルラは核に火を放とうとしていた。
「《俺はどうせ枯れかけの木なんだ!アシュレイ、バロウズのいいなりになんかなっちゃ駄目だ!》」
お義兄様はとうとう、火打箱を取り返した、だけど、既に核はあかあかと炎をあげて燃え始めていた。
炎をあげて燃える核を抱えたミルラは、まるで炎の妖精みたいにみえた。
傷ついた羽で高く高く、青い空へと飛び上がり、そしてミュシャの頭上めがけて一直線に落ちてきた。
「い、やああああああ!」
一瞬にしてミュシャの髪は燃え上がり、どろりとその顔が溶け始める。
「うそ、うそうそうそ!あつうい!誰か助けて、皇子様ぁ!レイモンドさまああ!」
ぐにゃぐにゃとかたちを変えながらも、燃え広がるミュシャは、見た目の醜悪さとはうらはらに爽やかで甘い香りを立ち上らせている。
「没薬の匂い…妖精は?お姉様の妖精は無事ですか!?」
マリアが私に尋ねるけど、私は答えられない。
ここからじゃ、ミルラがどうなったのか見えないけれど、怖くて見に行けない。
ただ、いや、いや、とちいさくいいながら、いつの間にか涙が溢れてほほを濡らしている。わたし、なんで泣いてるの?
「《かわいそうなアシュレイ。人間のせいで友達が死んだね》」
バロウズはなにを言ってるの?
「《役立たずの騎士に魔術師。お前に毒をのませた人殺しの下僕ども。アレだって何百年か前は人間だった》」
まだ燃え盛りながらのたうち回っているミュシャを指差す。
「《こんなところ、うんざりだろ?フィヨールトに行けば、お前のお気に入りの妖精にも会える。もう諦めろよ、見限ってしまえ》」
「…ミルラがいるの?」
バロウズはちょっと意外そうに目を見開いた。
「《ああ!いるさ。ごまんといる、さあ、行こうじゃないか》」
「駄目だアシュレイ、耳を貸すな!」
お義兄様が、あわてて私の手を取ろうとするけれど、なぜかすりぬけてしまう。バロウズは私の手をひいて、つるバラの茂みを回り込もうとしていた。
けれどそこに、落ちているものを見つけて私は足をとめた。
「あ、待って…」
それは、あのブローチの燃え残り…小鳥が加えていた結晶だった。それを、注意ぶかく革袋へ入れる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そんなもの、何の役にもたたないただの砂利石じゃないか…まあ、粉にすればお前の飲むのに丁度いい鱗粉になるな!」
べらべらと話し続けるバロウズに、私は再び足をとめた。
いつの間にか、私とバロウズは例の薔薇の迷宮を歩いている。
「バロウズ、願い事を聞いてくれるのよね」
バロウズは少しだけ先まであるいていたが、戻ってきて不快そうに眉をよせた。
「欲深いところはキンバリーそのものだな。だが約束したからには叶えてやろう。何だ」
いちいち言い方が不愉快なのは我慢しよう。
「マリアと私の体を、元に戻して」
ああ、とバロウズは眉をあげた。
「フィヨールトに入ったら戻してやるよ、キンバリーの娘の癖に珍しくて綺麗だからな、どこへ飾っても自慢できるだろう」
ぐっ、と私は拳をにぎりしめた。
「…ミルラには、どうやったら会えるの」
うん?とバロウズは振り返った。
「ああ、岬のほうへゆけばミルラの木がある。そこへ行けばいいだろう」
心底面倒臭そうな言い方をしながらも、バロウズは私の手を離さない。逃がしてなるものかと思っているのだろう。装飾品としての価値しかない私でも、逃げられるのはイヤなのね。
それっきり、私たちは黙々と薔薇の回廊を歩いた。
ポケットがぽうっと温かく感じる。フィヨールトが近づいてきたから、革袋のなかで、ミルラの核が反応しているのだ。
ミルラは、生きているんだわ。なら絶対、諦めたりしない!ぐ、と歯をいちど噛み締めてほほえんだ。
「ミルラ、大丈夫?…どうしてこんな…」
「《ああ、まだ生きていたのか。使い終わったと思ったのに》」
バロウズが当たり前のように私のそばまでやってきていた。
「《それは私の許しもなく核を持ち出したから、私が古井戸に投げ込んでおいたんだ。万能の鱗粉を出せなくなった枯れかけのミルラの木など、ただでかくて邪魔になるからね》」
私は慌ててミルラをポケット滑りこませた。革袋が入っているから、下へ落ちたりしないはず。
「《あっ!ちょっと!こんなとこ!》」
よかった、しゃべれるみたい。
「ごめんね、ちょっと狭いけど」
ミルラはうう、と苦しげな声をあげたけれど、おとなしくなった。早くバロウズをどこかに行かせて、出してあげなきゃ。
「《へえ、そいつを庇うんだ?キンバリーの癖に》」
「貴様、誰かは解らんが、キンバリー家を愚弄するなら赦してはおけん」
義兄様が駆け寄ってきて私をバロウズからかくした。
「《役立たずの下郎がいくらいたところでなにができる?相手は数百年生きた人の悪意そのもの。ああ…前はキンバリー王と騎士どもが禁忌の森へ封じたんだったか?だが、奴は甦った…そうだろ?失敗だったんだ!国を奪われ、娘は殺された!キンバリーは負け犬だな!》」
げらげらとバロウズが笑う。
「なんだかわからないけどめちゃくちゃ腹の立つ奴だね」
第二皇子殿下が言って、バロウズの足元に何か黒い矢のようなものを放った。
「《!?なんだ、人間風情が高貴な精霊の真似事か?》」
バシッ、バシッと立て続けに魔術師たちも矢を放つ。当たっても傷つけられはしないようなのだが、衝撃はあるのかバロウズが後ろに下がる。
「まさかぁ、わざと当てるつもりはないですよ…足元にデカイ虫がいるもので、あたっちゃったなあ!」
バロウズが鞭のように蔓をつかって後ろへ飛び退くのと、地面から何かが噴き出して来るのは同時だった。
「ああん、捕まえそこねちゃった」
ドロドロしたそれが、見る間に女の顔をつけた巨大な虫の姿になる。びいん、とその声が公爵邸に響く。ガタガタとガラスが震えて、バラやダリアの花がいまにも振り落とされそうなほど揺れた。
「でもいいわ、ありがとうカーラントベルク侯爵令息さま。私の喉に刺さった骨を取ってくれて。おかげでなんでもできちゃう!」
そう言って、ミュシャは笑った。ぬめる液体が、笑った口から流れ出ている。
レイモンド様は訳が解らぬといった様子で、私のほうをみた。
「…あのブローチ、どこにあったんですか?」
「あの化け物を追っているときに、皇宮の井戸のふちに落ちていたんだ。かなり没薬の香りがしたから、てっきりきみのものだと。もってきてはいけなかったんだね?」
いいえ、と私はレイモンド様に首をふった。
「おかげでミルラを助けられました。ありがとうございます。ただ、あの井戸、多分アレの体の一部です」
ひぇっ、とレイモンド様がミュシャを見た。何かで濡れたようで、ぬいで持っていた上着をあわてて遠くへ投げた。手を突っ込んで拾ってくれたのね?よく食べられなかったわね。
「ああん、そんな顔しないでぇ?私は嫌じゃありませんでしたわ。とっても気持ちよかったのに…レイモンド様ってお呼びしても?」
すっごく気持ち悪い。レイモンド様は顔を青くして、いやいや、と首をふっている。私は気の毒になって、レイモンド様にハンカチを差し出した。けれど、そのハンカチはなぜかお義兄さまが受け取り、
「レイモンド、もっと近くに行ってやれ」
「お義兄様!?」
なんて危険な。でも、本当にどうしようかしら、井戸と全く別の場所に出てしまったから、封じるにしても……
「《ふん、こんな虫けら一匹退治し損ねるとはキンバリーも大したことはないな》」
バロウズが安全そうな場所から嘲笑った。
「《そうだ、そいつ退治してやろうか?願い事を叶えてやると約束したんだったな》」
レイモンド様と共に閉じ込められた迷宮で、バロウズは確かにそう言っていた。
「《だが、タダでってわけにはいかないが》」
そうこう言っているうちにも、ミュシャは公爵邸の庭を暴れまわっている。皇子殿下と魔術師たちはなんとか応戦しているけれど、ほおっておけば屋敷本体へもその暴力はおよびそうだった。
被害が及ぶことを危ぶまれた皇子宮と違い、公爵邸は使用人たちを逃がしていない。中には数百という人数の使用人が残っている。
「ナンシーさん達が…」
マリアも不安そうだわ。
仕方ない、このまま黙って見過ごしておくわけにはいかないわ。私がバロウズに返事をしようとした瞬間、とつぜん私のスカートが光り、ポケットからその光が飛び出していった。
「駄目よミルラ!」
私は叫んだ。ミルラが見つけたのは、私のポケットにあった火打箱だ。ミュシャを封じるために、鱗粉を燻すための道具だった。
「お義兄様、止めて!」
私に言われてお義兄様は火打箱をおいかける。
カチ、カチ、と火打箱から音がした。
「ミルラ!やめて!」
ミルラは核に火を放とうとしていた。
「《俺はどうせ枯れかけの木なんだ!アシュレイ、バロウズのいいなりになんかなっちゃ駄目だ!》」
お義兄様はとうとう、火打箱を取り返した、だけど、既に核はあかあかと炎をあげて燃え始めていた。
炎をあげて燃える核を抱えたミルラは、まるで炎の妖精みたいにみえた。
傷ついた羽で高く高く、青い空へと飛び上がり、そしてミュシャの頭上めがけて一直線に落ちてきた。
「い、やああああああ!」
一瞬にしてミュシャの髪は燃え上がり、どろりとその顔が溶け始める。
「うそ、うそうそうそ!あつうい!誰か助けて、皇子様ぁ!レイモンドさまああ!」
ぐにゃぐにゃとかたちを変えながらも、燃え広がるミュシャは、見た目の醜悪さとはうらはらに爽やかで甘い香りを立ち上らせている。
「没薬の匂い…妖精は?お姉様の妖精は無事ですか!?」
マリアが私に尋ねるけど、私は答えられない。
ここからじゃ、ミルラがどうなったのか見えないけれど、怖くて見に行けない。
ただ、いや、いや、とちいさくいいながら、いつの間にか涙が溢れてほほを濡らしている。わたし、なんで泣いてるの?
「《かわいそうなアシュレイ。人間のせいで友達が死んだね》」
バロウズはなにを言ってるの?
「《役立たずの騎士に魔術師。お前に毒をのませた人殺しの下僕ども。アレだって何百年か前は人間だった》」
まだ燃え盛りながらのたうち回っているミュシャを指差す。
「《こんなところ、うんざりだろ?フィヨールトに行けば、お前のお気に入りの妖精にも会える。もう諦めろよ、見限ってしまえ》」
「…ミルラがいるの?」
バロウズはちょっと意外そうに目を見開いた。
「《ああ!いるさ。ごまんといる、さあ、行こうじゃないか》」
「駄目だアシュレイ、耳を貸すな!」
お義兄様が、あわてて私の手を取ろうとするけれど、なぜかすりぬけてしまう。バロウズは私の手をひいて、つるバラの茂みを回り込もうとしていた。
けれどそこに、落ちているものを見つけて私は足をとめた。
「あ、待って…」
それは、あのブローチの燃え残り…小鳥が加えていた結晶だった。それを、注意ぶかく革袋へ入れる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そんなもの、何の役にもたたないただの砂利石じゃないか…まあ、粉にすればお前の飲むのに丁度いい鱗粉になるな!」
べらべらと話し続けるバロウズに、私は再び足をとめた。
いつの間にか、私とバロウズは例の薔薇の迷宮を歩いている。
「バロウズ、願い事を聞いてくれるのよね」
バロウズは少しだけ先まであるいていたが、戻ってきて不快そうに眉をよせた。
「欲深いところはキンバリーそのものだな。だが約束したからには叶えてやろう。何だ」
いちいち言い方が不愉快なのは我慢しよう。
「マリアと私の体を、元に戻して」
ああ、とバロウズは眉をあげた。
「フィヨールトに入ったら戻してやるよ、キンバリーの娘の癖に珍しくて綺麗だからな、どこへ飾っても自慢できるだろう」
ぐっ、と私は拳をにぎりしめた。
「…ミルラには、どうやったら会えるの」
うん?とバロウズは振り返った。
「ああ、岬のほうへゆけばミルラの木がある。そこへ行けばいいだろう」
心底面倒臭そうな言い方をしながらも、バロウズは私の手を離さない。逃がしてなるものかと思っているのだろう。装飾品としての価値しかない私でも、逃げられるのはイヤなのね。
それっきり、私たちは黙々と薔薇の回廊を歩いた。
ポケットがぽうっと温かく感じる。フィヨールトが近づいてきたから、革袋のなかで、ミルラの核が反応しているのだ。
ミルラは、生きているんだわ。なら絶対、諦めたりしない!ぐ、と歯をいちど噛み締めてほほえんだ。
225
お気に入りに追加
5,335
あなたにおすすめの小説
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します
けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」
五年間、婚約者として尽くしてきたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。
他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。
だが、彼らは知らなかった――。
ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。
そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。
「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」
逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。
「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」
ブチギレるお兄様。
貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!?
「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!?
果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか?
「私の未来は、私が決めます!」
皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。

【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。
紺
ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」
実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて……
「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」
信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。
微ざまぁあり。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる