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第一章 忘れられた青年
第一話
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「受付番号、206番の方~」
お、やっと俺の番か。休みだからか、今日はやけに人が多い。俺の知り合いは誰も居ないことが救い……いや、俺を見たって誰もわからないのか。
「本日は、探索者への登録でお越しいただいたということでよろしいですか?」
「はい」
「では、必要書類をお願いします」
探索者登録に必要なのは保険証や住民票などの本人確認書類のみ。口座番号をその場で登録する場合のみ、必要書類に記入をして提出しなければならない。今回、俺は両方とも提出する。口座から直接支払いできれば楽だしね。
「……はい、確認できました。5分ほどで発行できますので、こちらで少しお待ち下さい」
「わかりました」
ダンジョン関連の技術が進んだためかはわからないが、こういう書類の照会や、データベースへの情報登録をする時間が年々短くなってきているらしい。拘束時間とか、気に掛ける時間とかがものすごく短くなるから、本当にありがたい。
父から聞いた話だと、20年前にはデータベースへの情報登録に一ヶ月以上かかっていたらしいからな。それが今じゃあ5分だ……いや、流石に進歩しすぎだろ。
「――できました。こちらが、あなたの探索者免許となります。ここからは、探索者に関する説明と注意事項をご説明させていただきますね」
今は亡き父の事を考えている間に、探索者証の発行は完了していた。5分も考え事してたかな……?まぁ、あんまり気にしなくていいか。
「まず、ランクに関する説明です。ダンジョン、モンスター、そして探索者には、それぞれF、E、D、C、B、A、Sと、7段階のランクが設定されています。
攻略を推奨されているダンジョンは、自分と同じか、1つ上のランクとされています。登録したばかりはFランクですので、FランクとEランクのダンジョンですね。
ランクは深さによって決まりますので、上層はどこのダンジョンでもあまり万位度は高くありません。Sランクのダンジョンでも、潜る階層を見誤らなければ、まったく問題ありません。早く経験を積みたいのであれば、高ランクのダンジョンに潜ってみるのも良いかも知れませんね。
次に、ダンジョン内で使用する武器や防具に関してです。これらは、ダンジョン協会が認可している専門店へ赴き、探索者証を提示すれば購入可能です。支払いは、現金やクレジットカードの他にも、口座登録をしている探索者証で支払うこともできます。
武器をダンジョン外へ持ち出すこと自体は許されていますが、緊急時や、使用を許されている場所以外での使用、またはそのような素振りをしてしまうと、正当防衛以外では犯罪となりますので、お気をつけください。
最後に、ダンジョンから産出されたアイテムに関してです。ダンジョンから産出されたアイテムの所有権は入手した人にありますので、お近くの売却所で売却するのも、自分のものとして使用するのも、ご自由です。
ですが、あまりにも危険なものは、機関から買い取り申請が来る場合もございます。前例としまして、ある探索者様が持ち帰り、鑑定を依頼したポーションが周りにも感染する致死毒であったため、機関が買い取り、処分したという例もございます。
この申請に了承するかどうかは任意ですが、そのアイテムによって民間人の死者が発生してしまうと、懲役を科される場合もございますので、了承しないというのはあまり推奨しておりません。
ここまででなにか質問はございますか?」
ふむ、全部聞いたことのある話だな……だけど、これまでに前例がなかったせいで、どこを見ても記述されていない点が一つだけあるんだよな……
「……新しいダンジョンを偶然発見した場合などは、どうなるのでしょうか?」
これは、俺が一番気になっていたことだ。昨日の……今日というべきか?……夜に表示されたお知らせに、しれっと俺の家にダンジョンが出現したって書いてあったけど、正直、どうすりゃいいのかわからなかったからな。
「ダンジョンを発見した場合でも、報告の義務はありません。しかし、それを秘匿して攻略をせず、『迷宮災害』が起こってしまった場合には、アイテムの場合と同じく、懲役が科される場合がございますので、こちらも報告を推奨しています」
うーん......どうしよ。しばらくは報告しなくてもいいかな?報告書とかを書く羽目になりそうだし、接収されて、俺の家がなくなるのは流石に厳しい。
「なるほど、ありがとうございます」
「ご質問はもう大丈夫でしょうか?」
「はい。聞きたかったことは、さっきのものだけでしたので」
「それでは、これで探索者としての登録は終了です。ダンジョンへ進入する際は、くれぐれも気をつけてくださいね」
「はい。ありがとうございました」
そうお礼を言って、俺は立ち上がる。あとは装備を買って、ダンジョンでモンスターを倒してステータスを得たら、今日やるべきことは終わりだ。
さて、武器はどんなものを使おうか。大剣、槍、槌、短剣、片手剣、刀、弓、杖……あげだしたらきりがないな。
専門店に行って、お店の方に色々聞いてみるか。きっと、そういうことに関しては詳しいだろう――――
お、やっと俺の番か。休みだからか、今日はやけに人が多い。俺の知り合いは誰も居ないことが救い……いや、俺を見たって誰もわからないのか。
「本日は、探索者への登録でお越しいただいたということでよろしいですか?」
「はい」
「では、必要書類をお願いします」
探索者登録に必要なのは保険証や住民票などの本人確認書類のみ。口座番号をその場で登録する場合のみ、必要書類に記入をして提出しなければならない。今回、俺は両方とも提出する。口座から直接支払いできれば楽だしね。
「……はい、確認できました。5分ほどで発行できますので、こちらで少しお待ち下さい」
「わかりました」
ダンジョン関連の技術が進んだためかはわからないが、こういう書類の照会や、データベースへの情報登録をする時間が年々短くなってきているらしい。拘束時間とか、気に掛ける時間とかがものすごく短くなるから、本当にありがたい。
父から聞いた話だと、20年前にはデータベースへの情報登録に一ヶ月以上かかっていたらしいからな。それが今じゃあ5分だ……いや、流石に進歩しすぎだろ。
「――できました。こちらが、あなたの探索者免許となります。ここからは、探索者に関する説明と注意事項をご説明させていただきますね」
今は亡き父の事を考えている間に、探索者証の発行は完了していた。5分も考え事してたかな……?まぁ、あんまり気にしなくていいか。
「まず、ランクに関する説明です。ダンジョン、モンスター、そして探索者には、それぞれF、E、D、C、B、A、Sと、7段階のランクが設定されています。
攻略を推奨されているダンジョンは、自分と同じか、1つ上のランクとされています。登録したばかりはFランクですので、FランクとEランクのダンジョンですね。
ランクは深さによって決まりますので、上層はどこのダンジョンでもあまり万位度は高くありません。Sランクのダンジョンでも、潜る階層を見誤らなければ、まったく問題ありません。早く経験を積みたいのであれば、高ランクのダンジョンに潜ってみるのも良いかも知れませんね。
次に、ダンジョン内で使用する武器や防具に関してです。これらは、ダンジョン協会が認可している専門店へ赴き、探索者証を提示すれば購入可能です。支払いは、現金やクレジットカードの他にも、口座登録をしている探索者証で支払うこともできます。
武器をダンジョン外へ持ち出すこと自体は許されていますが、緊急時や、使用を許されている場所以外での使用、またはそのような素振りをしてしまうと、正当防衛以外では犯罪となりますので、お気をつけください。
最後に、ダンジョンから産出されたアイテムに関してです。ダンジョンから産出されたアイテムの所有権は入手した人にありますので、お近くの売却所で売却するのも、自分のものとして使用するのも、ご自由です。
ですが、あまりにも危険なものは、機関から買い取り申請が来る場合もございます。前例としまして、ある探索者様が持ち帰り、鑑定を依頼したポーションが周りにも感染する致死毒であったため、機関が買い取り、処分したという例もございます。
この申請に了承するかどうかは任意ですが、そのアイテムによって民間人の死者が発生してしまうと、懲役を科される場合もございますので、了承しないというのはあまり推奨しておりません。
ここまででなにか質問はございますか?」
ふむ、全部聞いたことのある話だな……だけど、これまでに前例がなかったせいで、どこを見ても記述されていない点が一つだけあるんだよな……
「……新しいダンジョンを偶然発見した場合などは、どうなるのでしょうか?」
これは、俺が一番気になっていたことだ。昨日の……今日というべきか?……夜に表示されたお知らせに、しれっと俺の家にダンジョンが出現したって書いてあったけど、正直、どうすりゃいいのかわからなかったからな。
「ダンジョンを発見した場合でも、報告の義務はありません。しかし、それを秘匿して攻略をせず、『迷宮災害』が起こってしまった場合には、アイテムの場合と同じく、懲役が科される場合がございますので、こちらも報告を推奨しています」
うーん......どうしよ。しばらくは報告しなくてもいいかな?報告書とかを書く羽目になりそうだし、接収されて、俺の家がなくなるのは流石に厳しい。
「なるほど、ありがとうございます」
「ご質問はもう大丈夫でしょうか?」
「はい。聞きたかったことは、さっきのものだけでしたので」
「それでは、これで探索者としての登録は終了です。ダンジョンへ進入する際は、くれぐれも気をつけてくださいね」
「はい。ありがとうございました」
そうお礼を言って、俺は立ち上がる。あとは装備を買って、ダンジョンでモンスターを倒してステータスを得たら、今日やるべきことは終わりだ。
さて、武器はどんなものを使おうか。大剣、槍、槌、短剣、片手剣、刀、弓、杖……あげだしたらきりがないな。
専門店に行って、お店の方に色々聞いてみるか。きっと、そういうことに関しては詳しいだろう――――
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