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第6幕 世界の優先順位
37 カケラの共鳴
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すかさずハンドガンを取り出して構えた。
それよりも早くミハイルは手の平をこちらに向けてくる。
俺のベアリングボールを受け止めたその掌から銃口らしき穴が開いた。
ヤバい・・・・機械式の義手か!?
装備の分の悪さを察して、数発の牽制射撃を撃ったのみ、すぐに回避行動に移行する。
予測通り、俺の発砲はミハイルの腕に当たっても大したダメージを与えれていないようだった。
対して、ミハイルから返ってきたのは機銃の如き連射弾。
咄嗟に加速意識を展開した俺は、数えきれない程の実弾を目にする。
身体強化もブーストしてその銃弾の雨を交わした。
まだ獲得していないリガントレスの【衝撃無効】は消耗が激しいため、身体強化と【ブーストトリガー】で避ける事に徹した。
その場で避けきる事は難しいので後ろに下がりつつ、距離を取りながら避けきっていく。
「素晴らしい! この銃弾を避けられるとは、適合者というのは本当に優秀な兵士と成りうるのダナ」
ミハイルは俺の動きを称賛するが、さらにその限界域を試そうと、周囲にいるギアーズ兵にまでライフル斉射を合図した。
俺の周辺にはさらに数を増した銃弾が縦横無尽に飛び交い出す。
こんなの避けきれるわけない、というくらいに密集した弾群。
『球形衝撃波』!!
銃弾も兵士達も根こそぎ吹き飛ばすつもりで斥力異能を発動した。
周囲の地面は俺を中心にしてひっくり返りながら異能の攻撃は全てを巻き込んでいった。
全方位に及んだ力は配備されていた兵士へダメージを与える。
だが博賀は異能によって朧化し衝撃波を通り抜け、ミハイルに至っては正面から受けきったにも関わらず平然と立っていた。
「化け物かよ・・・・」
「S級適合者から化け物扱いとは光栄ダヨ」
ミハイルの服は破れ、そこから見えるものは肌ではなく、機械質感ばかりが体の表面積を占めていた。
まるで歩く重装車。
博賀の異能も正体がわからないので厄介な存在であり、仕組みを探る手立てもない。
斎藤達からの進軍が間に合えば包囲網が作れるが。
それまで耐えるには、未来で得る未取得の異能をここで使うべきなのだろう。
だが認識できていない異能は使えず、ここを打破できるようなものはまだ考えついていない。
俺は握っていたエレメンタルアーツの欠片を覗く。
この異粒子結晶を使った、極大衝撃波を放つのが最適解だろうか。
果たしてこの二人に対しどこまで効果があるかはわからないが・・・・。
すると状況は一変した。
「どうやら始まったようダナ」
空気が震え出した。
振り返ってみると虚層塔が光を放ち出している。
数Km先にある巨大な黒い構造物。
俺たちの予測したこの日、この瞬間、日本で二回目の終末大転移がついに始まった。
発動時特有の物理現象の変異、それによってミハイル達の銃器は機能しなくなっており、火薬弾丸から特殊弾丸に装備を換装している。
警視庁特殊部隊が装備していたものと同じ様な弾をギアーズ重工は当然開発していた。
この隙をつくのは当然の戦略だった。
だが俺はもうひとつ・・・・自分の手のひらに異変が起きている事に気付き、意識を向ける。
持っていたエレメンタルアーツの破片が共鳴していた。
さらに意識を破片に集中していくと、高濃度の異粒子が遠方に感じ取ることが出来た。
(この高濃度は・・・・エレメンタルアーツだ!)
俺は電子機械が使えなくなる最後のタイミングで、無線を接続し最後の通信を送った。
「古ヶ崎!虚層塔から北西・・・・10時方向2kmのポイントだ!」
「ガガ‥‥聞こえたわ‥‥すぐ‥‥‥ブツッ」
ギリギリの所で座標を伝えられた。
「まだ援軍がいたか。だがそこに配備しているのはDIACではないぞ。だれが相手か知らんがギアーズの真の適合者達の力をそこで思い知るがいい!」
「雅はこちらの中でもとっておきのカードだ。対適合者戦で遅れを取ることはない。教主のいるその場所が勝負をつけるポイントだとして温存していたんだ」
この発言に博賀が怒りの顔を向けきていた。
アーツと教主を隠していた場所が判明してしまったことで冷静さを欠いている様子だ。
「貴様、なぜ場所が分かった?」
「エレメンタルアーツがあんな離れた場所にあって幹部共がここにいたってことは、お前達は陽動役だったんだろうな。
だがこの場でアーツの場所を認識出来た以上、この離れた布陣は俺にとって有利な状況となるワケだ」
「ここからお前を逃がしはしないぞ」
俺はアーツの欠片の力を引き出す共鳴を始めた。
「それは・・・・エレメンタルアーツの欠片か! まさかテレキネイサーの所有していたもの?」
通常の適合者でのエレメンタルアーツアーツ共鳴では異粒子エネルギー暴走により臨界突破暴発を引き起こす。
新宿虚層塔実験でギアーズが引き起こした事故がそれだ。
キクチカズマは俺達との闘いで異粒子切れを起こし、その際の切り札として欠片の暴発を利用し、そして消滅させた。
だが俺は異世界の適合因子を持っている事で、ホークスから渡されたこの欠片から力を引き出す事ができる。
異粒子結晶解放『極大衝撃波』!!
共鳴させたアーツの欠片から高濃度異粒子エネルギーが分泌され、体のマギオソーム細胞がこれを吸収し大量のエネルギー結合を始める。
「ぐごおおあおおああああ!」
テレキネイサー最強の技だ。
これにはミハイルも耐えきれず、ついにその体躯を吹き飛ばすまでに至れた。
しかし博賀はまたしても朧化して衝撃波をかわす。
そしてその実体の捉えきれない姿は俺を囲うように広がっていき、俺を異能で捕らえようとしてきた。
「貴様だけはここに縛り付ける。メシュアの元へは辿りつけさせん!」
朧化していてその表情を捉える事は出来なかったが、かなり必死であることは察っする事が出来た。
「悪いが・・・・俺も必死なんだよ!」
『黒豹跳躍』
博賀は俺の周囲を囲おうとしていたようだが、上空のケアはしていなかった。
新宿大転移の時に討伐した二級異生物から取得した空中跳躍を持つ異生物の異能。
空中を駆ける能力によって上部からこの捕縛を抜け出し、そして・・・・
異粒子結晶解放『身体強化』!!
再びアーツの力を利用し、異粒子エネルギーを補充。
教主のいるポイントに向かって高速移動を行いこの場を切り抜けた。
それよりも早くミハイルは手の平をこちらに向けてくる。
俺のベアリングボールを受け止めたその掌から銃口らしき穴が開いた。
ヤバい・・・・機械式の義手か!?
装備の分の悪さを察して、数発の牽制射撃を撃ったのみ、すぐに回避行動に移行する。
予測通り、俺の発砲はミハイルの腕に当たっても大したダメージを与えれていないようだった。
対して、ミハイルから返ってきたのは機銃の如き連射弾。
咄嗟に加速意識を展開した俺は、数えきれない程の実弾を目にする。
身体強化もブーストしてその銃弾の雨を交わした。
まだ獲得していないリガントレスの【衝撃無効】は消耗が激しいため、身体強化と【ブーストトリガー】で避ける事に徹した。
その場で避けきる事は難しいので後ろに下がりつつ、距離を取りながら避けきっていく。
「素晴らしい! この銃弾を避けられるとは、適合者というのは本当に優秀な兵士と成りうるのダナ」
ミハイルは俺の動きを称賛するが、さらにその限界域を試そうと、周囲にいるギアーズ兵にまでライフル斉射を合図した。
俺の周辺にはさらに数を増した銃弾が縦横無尽に飛び交い出す。
こんなの避けきれるわけない、というくらいに密集した弾群。
『球形衝撃波』!!
銃弾も兵士達も根こそぎ吹き飛ばすつもりで斥力異能を発動した。
周囲の地面は俺を中心にしてひっくり返りながら異能の攻撃は全てを巻き込んでいった。
全方位に及んだ力は配備されていた兵士へダメージを与える。
だが博賀は異能によって朧化し衝撃波を通り抜け、ミハイルに至っては正面から受けきったにも関わらず平然と立っていた。
「化け物かよ・・・・」
「S級適合者から化け物扱いとは光栄ダヨ」
ミハイルの服は破れ、そこから見えるものは肌ではなく、機械質感ばかりが体の表面積を占めていた。
まるで歩く重装車。
博賀の異能も正体がわからないので厄介な存在であり、仕組みを探る手立てもない。
斎藤達からの進軍が間に合えば包囲網が作れるが。
それまで耐えるには、未来で得る未取得の異能をここで使うべきなのだろう。
だが認識できていない異能は使えず、ここを打破できるようなものはまだ考えついていない。
俺は握っていたエレメンタルアーツの欠片を覗く。
この異粒子結晶を使った、極大衝撃波を放つのが最適解だろうか。
果たしてこの二人に対しどこまで効果があるかはわからないが・・・・。
すると状況は一変した。
「どうやら始まったようダナ」
空気が震え出した。
振り返ってみると虚層塔が光を放ち出している。
数Km先にある巨大な黒い構造物。
俺たちの予測したこの日、この瞬間、日本で二回目の終末大転移がついに始まった。
発動時特有の物理現象の変異、それによってミハイル達の銃器は機能しなくなっており、火薬弾丸から特殊弾丸に装備を換装している。
警視庁特殊部隊が装備していたものと同じ様な弾をギアーズ重工は当然開発していた。
この隙をつくのは当然の戦略だった。
だが俺はもうひとつ・・・・自分の手のひらに異変が起きている事に気付き、意識を向ける。
持っていたエレメンタルアーツの破片が共鳴していた。
さらに意識を破片に集中していくと、高濃度の異粒子が遠方に感じ取ることが出来た。
(この高濃度は・・・・エレメンタルアーツだ!)
俺は電子機械が使えなくなる最後のタイミングで、無線を接続し最後の通信を送った。
「古ヶ崎!虚層塔から北西・・・・10時方向2kmのポイントだ!」
「ガガ‥‥聞こえたわ‥‥すぐ‥‥‥ブツッ」
ギリギリの所で座標を伝えられた。
「まだ援軍がいたか。だがそこに配備しているのはDIACではないぞ。だれが相手か知らんがギアーズの真の適合者達の力をそこで思い知るがいい!」
「雅はこちらの中でもとっておきのカードだ。対適合者戦で遅れを取ることはない。教主のいるその場所が勝負をつけるポイントだとして温存していたんだ」
この発言に博賀が怒りの顔を向けきていた。
アーツと教主を隠していた場所が判明してしまったことで冷静さを欠いている様子だ。
「貴様、なぜ場所が分かった?」
「エレメンタルアーツがあんな離れた場所にあって幹部共がここにいたってことは、お前達は陽動役だったんだろうな。
だがこの場でアーツの場所を認識出来た以上、この離れた布陣は俺にとって有利な状況となるワケだ」
「ここからお前を逃がしはしないぞ」
俺はアーツの欠片の力を引き出す共鳴を始めた。
「それは・・・・エレメンタルアーツの欠片か! まさかテレキネイサーの所有していたもの?」
通常の適合者でのエレメンタルアーツアーツ共鳴では異粒子エネルギー暴走により臨界突破暴発を引き起こす。
新宿虚層塔実験でギアーズが引き起こした事故がそれだ。
キクチカズマは俺達との闘いで異粒子切れを起こし、その際の切り札として欠片の暴発を利用し、そして消滅させた。
だが俺は異世界の適合因子を持っている事で、ホークスから渡されたこの欠片から力を引き出す事ができる。
異粒子結晶解放『極大衝撃波』!!
共鳴させたアーツの欠片から高濃度異粒子エネルギーが分泌され、体のマギオソーム細胞がこれを吸収し大量のエネルギー結合を始める。
「ぐごおおあおおああああ!」
テレキネイサー最強の技だ。
これにはミハイルも耐えきれず、ついにその体躯を吹き飛ばすまでに至れた。
しかし博賀はまたしても朧化して衝撃波をかわす。
そしてその実体の捉えきれない姿は俺を囲うように広がっていき、俺を異能で捕らえようとしてきた。
「貴様だけはここに縛り付ける。メシュアの元へは辿りつけさせん!」
朧化していてその表情を捉える事は出来なかったが、かなり必死であることは察っする事が出来た。
「悪いが・・・・俺も必死なんだよ!」
『黒豹跳躍』
博賀は俺の周囲を囲おうとしていたようだが、上空のケアはしていなかった。
新宿大転移の時に討伐した二級異生物から取得した空中跳躍を持つ異生物の異能。
空中を駆ける能力によって上部からこの捕縛を抜け出し、そして・・・・
異粒子結晶解放『身体強化』!!
再びアーツの力を利用し、異粒子エネルギーを補充。
教主のいるポイントに向かって高速移動を行いこの場を切り抜けた。
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