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第2章 紅蓮の炎

第18話 覚醒奥義

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「このレベルまで強くなってくるとは……驚いた……」

「1週間で何度も死にかけたからな……」

ぶつかり合う剣は最初は互角だったが、次第に海都に押され始めた。

このままだとまずいと思い、1度距離を取る。
離れる直前、海都が追撃をしてきたところをギリギリで避けた。

「あっぶな」

「よく今のを避けたな」

パワーは劣るがスピードはこっちが上、一気に勝負を決める。

「いくぞ!!」

僕は3m程の距離を一瞬で詰め、海都に斬りかかった。

海都の腹の辺りを目掛けて狙った僕の攻撃を海都は炎剣でガードし、続けて繰り出した攻撃は魔力を込めた左手のパンチで僕の剣を破壊した。

鋼鉄の破片が飛び散る。

海都の追撃で飛んできた剣撃を僕はしゃがんで避け、腹に目がけて右手のパンチを放った。

直撃の瞬間、周辺一帯が熱風で包まれた。海都のバリアが展開された。

「ここだぁぁぁぁぁぁぁ」

僕は拳に魔力を纏わせた

「まさか、、この魔力の流れは……」

バリアに触れる瞬間、ジョーとの修行の時のことを思い出した。












「いっっってぇぇぇぇ なんで僕の作り出した剣を一撃で分解?できるんだよ!!」

「君は『覚醒奥義』を知らないのか??」

「わかりません!!」

ジョーは僕の言葉を聞いて驚いた。

「よく、3(サード)に奥義なしで挑もうとしたもんだ……」

(え、もしかしてそれないと勝てない感じ???)

僕はキョトンとした。

「奥義ってのは自分の魔力を正確に、武器や拳に乗せ威力を高めるもので」

「なるほど~」

「最大のメリットは、相手の能力攻撃に対して奥義をぶつけると能力を『影響』を受けずに攻撃ができる点だ」

「ただし、常に奥義を纏っていると体力の消耗が激しいから、ここで決めるって時に使いなさい」

(影響を受けずに攻撃できる、ということは海都のバリアも破ることができるってことか)

「能力で覆われた奴にも攻撃できるのか??それ」

「そうだ、君はこれができれば3(サード)に勝てる可能性は格段に上がる」

これなら僕も勝てる、あいつを超える。

「早速教えてくれ!!」

「ああ…… そのつもりだ、まずは魔力を的確な量、拳または武器に纏わせる」

前に武器に纏わせた時に、壊れてしまったのは量が多すぎってことか

「的確ってのはどんくらいですか??」

「これは感覚で覚えるものだ、俗に言う慣れ、みたいなもんだ」

ふーんと僕は頷いた

「実際、どのくらいできる人がいる??」

「少なく見積もっても3(サード)全員、軍の最高幹部は全員できる感じだな 東西南北と中央都市込みで、20人以下は確定だな」

(こんな無限に人がいるのに、20人以下って相当少ないな……)

「早速、練習といこう陽翔ついてこい」

そういうとジョーさんは、森の中に入っていった。

僕はジョーさんの後ろについて行き、過酷な修行が始まった。




奥義を纏った僕の拳は、海都の腹に直撃し、雷が落ちたようなエフェクトを発生させて海都を3mほど遠くにぶっ飛ばし、地面に倒れた。

「……貴様も使えるのか、『奥義』を、、、」

「はぁ……はぁ……、一撃出すのがやっとだけどな……」

「いや、これだけできれば十分だ……」

(奥義を決めて初めて海都のやつにダメージを与えたのはいいが、今ので結構魔力を使ってしまって、次の攻撃を防げる気がしない……)


「……少し話をしよう、城ヶ崎陽翔」

海都が倒れていた体を起こし、その場に座り込んだ。

反撃が怖いから、少し距離を置いたところに僕も座った。

「桜華の件は元々、10人の2(セカンド)犯罪組織の幹部を倒すことで、3(サード)になれるはずだった。だが俺様の父親である軍の最高幹部の1人『時雨龍我』は桜華を殺すことに条件を変えやがった……」

海都は、力を軽く込め地面を叩いた。

「軍の奴らが全員でくりゃ、この街も潰すことができる……だから俺様は桜華を殺したことを偽装し、あの跡をつけ、軍のやつに写真を渡した。」

「やりたくなかった、実の妹だ、でも仕方なかった……俺様にはどうすることもできなかった。」

海都は今まで見たことがない、悔しい表情を僕に見せた。

「……そうだったのか」

僕がそういうと、遠くから誰かが走ってきた。




「お兄ちゃん!!」

紫音と桜華ちゃんが走ってきた。

「なんでここに?」

「桜華ちゃんが、魔力の衝突??で街が危ないかもって言って、走り出したからついてきた!!」

「危ないから、紫音は離れてて!!」

「う、うん」

紫音は僕から少し離れた。

「……桜華、俺のこと恨んでるか??」

「いや、兄さんの苦労は私も知ってる、、から大丈夫……」

桜華ちゃんの表情は悲しそうな顔をし、泣いてしまった。

紫音が桜華ちゃんの頭を撫でて、慰めた。

「……桜華、すまない……こんな兄で、、他に方法が見つからなくて……」

「クソがぁぁぁ!!軍のやつ!!能力で支配なんて狂ってやがる……!!!」

海都は険しい顔をし、何度も地面を叩いた。
先週、ジョーさんに街の闇について、軽く教えてもらって僕の考えが確信になった。

「なあ、海都 この街をどう思う??」

「腐ってやがる、だがこのシステムを変えることは、俺様にはできない……」

「僕もこんな街は嫌だ、変えたい、だから協力してくれ」

僕の言葉を聞き、海都と桜華ちゃんは驚いた。

「つまり、軍を倒すってことか??そんなの無茶だ!! お前如き一瞬でやられる……」

「うん、僕だけじゃ無理だ! だけど『僕たち』 ならできると思う!!」

僕は、海都の手を握った。

「力を貸してほしい、時雨海都!!」

海都は立ち上がり、鼻で笑った後に、手を離し拳に力を込めた。

「ん、つまり俺らが『互角』だと??笑わせるな!!」

海都は拳に奥義を纏わせて僕の顔面を殴った。
僕の体はぶっ飛ばされ、裏校舎の外壁に直撃した。

「一発は一発だ、入部は許可してやる!! だが最強はこの俺様だ、調子に乗るな!!」

海都はそういい、学校へ向かった。






「桜華に謝る機会ができたのはいいが、なんなんだあいつは……」

「海都、陽翔君に感謝しないといけないね」

「う、うるせぇな雫、それより明日からの活動だが……」

「そ~れ~よ~り、外壁やら直すのが 先なんじゃないです??」

「俺が手配します、、、はぁ……」








「いってて、あの野郎、何すんだよ!!」

「お兄ちゃん!!大丈夫??じゃなさそう……」

「陽翔さん、すみませんうちの兄が……」

紫音と桜華ちゃんが、壁に埋まっている僕の体を出してくれた。

「あ、ありがとう それより桜華ちゃん、お兄さんは君のことが嫌いなんじゃない、守りたい、そう思ってるからこそ こんなことをしたんだと思う……」

「そ、そうですかね……」

桜華ちゃんは喜んでいた。

「うん、今日は手料理でもご馳走してあげな」

「私がいつもお兄ちゃんに作ってあげてるレシピを後で送るね!!」

「二人とも、ありがとう……私先に帰るね、最後に陽翔さんっっ!!」

桜華ちゃんが立ち止まった。

「ん、どうしたの??」

「命をかけて、私や兄を救ってくれてありがとうございました!!」

「いや、気にしなくていいよ ただ僕は家族を大切にしないことが許せなかった、それだけだ」

「…… そ、そうですよね ……い、いえ、、な、なんでもないです!!失礼します!!」

桜華ちゃんは、恥ずかしそうに走っていった。

「紫音、なんだったんだろ??今の」

「何か伝えたそうだったけど、なんだろね~」

僕が立ち上がると、紫音が左腕に抱きついていた。

「し、紫音さん、、これはど、どういう感じ??」

紫音が笑顔でこっちを見た。

「決まってるじゃない~ 私が1週間どれだけ心配してたと思うか…… っ……、ぅ…… お兄ちゃんのバカ!!」

紫音は途端に泣き出してしまった。
ジョーさんに鍛えてもらったとき、毎日遅かったし、傷だらけで帰っていた。

(……仕方ない、紫音に心配かけすぎたな)

「すみませんでした……」

僕は紫音の頭を撫で、通学路を進んだ。

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