94 / 130
八章 ボク
89話 邪魔
しおりを挟む
奴の胸部の円が高速で回転し、色が青色と緑色とで半円ずつ共有したものに変化する。
手に持っていた槍は持ち手が青色の斧に変化する。刃の部分と柄の部分の間は水で繋がっており、この前のウォーターランスのことを考えると恐らく斧で遠距離攻撃ができるようになっているのだろう。
[スキルカード ドールアタック]
椎葉さんが新しいスキルカードを使用する。虚空から三体のゴスロリ人形が現れ奴に掴みかかっていく。
「邪魔だどけ!!」
予想通り奴は斧の柄の部分の水を噴射させ、リーチを伸ばしたそれで薙ぎ払い人形達を斬り裂く。
人形達は腹部を裂かれたが、ダメージを受けたのはキュリアの方だ。腹部に人形達同様の切り傷ができており奴はその場に踏み止まる。
椎葉さんの取り出す人形にはダメージ反射効果があり、人形自体には戦闘能力はないが受けたダメージをそのまま反射することができる。
相手が強ければ強いほどダメージが増す敵に回したら厄介な能力だ。
[必殺 ホーリーカット]
隙ができた瞬間風斗さんが攻め時と判断し必殺カードを挿入する。
剣は神々しい光を纏い、それをキュリアに振り下ろす。
[combine……ウィンドソード レベル50]
奴はその一撃を斧で受け止めつつ違う形態へと変身する。
また円の色が変わり斧が剣に変形する。刀身には黄緑色のオーラが渦を巻いて纏っていて、それに変わった途端風斗さんの剣が弾かれる。
それから二人は数回お互いの剣をぶつけ合う。剣がぶつかり合う度に、まるでトランポリンを跳ねているかのように風斗さんの剣が弾かれる。
何回めかのぶつかり合いの果て。弾かれた隙を突かれ風斗さんの腹目掛けて突きが放たれる。彼はそれを後ろに跳んで紙一重のところで躱す。
「真太郎さん。アタシ達四人で連携しましょ。一人じゃとてもじゃないけど敵わないよ」
椎葉さんの言う通り奴の成長は計り知れない。それは鎧を着ていたとしても容易にわたくし達の命を刈り取れるほどに。
「雑魚が鬱陶しいな……オレは生人とやりたいのに……次はこれでいくか」
[combine…… グラウンドファイター レベル50]
キュリアの剣が拳に纏わりつき、黄色のグローブへと変わる。その直後に地面を殴りそこに小さな亀裂を発生させる。
それはわたくし達へダメージも衝撃も与えるものではない。一体何をしたいのだろうかと不思議に思ったが、それはすぐ分かることになる。
奴は亀裂に吸い込まれるように消えていき地面に潜る。
生人さんがすぐに跳び上がり宙に舞う。
「みんな地面から離れて!!」
わたくし達は伝えたいことを理解して、咄嗟に跳躍や飛翔で地面から離れようとする。
しかし生人さんはキュリアの射程外に出れていたが、わたくしはまだその中にいてしまい、奴の拳が地面から伸びてきてわたくしのふくらはぎの辺りを捉える。
ゴリッという鈍い音共にわたくしは打ち上げられるが、逆にそのおかげで上空へと逃げ去ることができる。そのまま翼を展開して宙に留まりながらスキルカードをセットする。
[スキルカード ショックウェーブ]
鎌に衝撃波を纏い、それを飛ばし殴ってきたその拳にぶつける。
特にブレなく命中したもののダメージはあまりないようで、奴はまた地面に潜ってしまう。
仕方ないのでわたくしは地面に落ちていこうとする生人さんを回収してそのまま空中で待機する。風斗さんと椎葉さんは古びた廃屋の屋根の上に登っているので大丈夫だろう。
「奴が地面に潜行するというのなら……わたくしは空間に潜行するまでです」
わたくしはこのアーマーの能力を使い、自分の右手の周りに円状の紫色のゲートを発生させる。そこに手を突っ込むことでわたくしは不思議な感覚に見舞われる。
視界がもう一個増え、それが宙を自由自在に動いているのだ。分かりやすく言えば目が三つあるような感覚だ。
宙にはもう一つ紫色のゲートが浮いており、それと視界を共有している。
わたくしはそれを地面に潜らせ、そこに潜んでいるキュリアを探し当てる。
「はぁっ!!」
そしてゲートを通じてキュリアの眼前に手を出現させそのまま殴り抜く。
奴はたまらず地上に飛び出してきてわたくしの方を見て一瞬で状況を理解する。
「へぇ……お前らみんな中々面白れぇ能力持ってるんだな。これは案外楽しめそうだ。さぁこれから第二ラウンド……」
「キュリア君! 逃げる準備は整った! 退くぞ!」
また熾烈な戦いが始まろうとしたが、それをプレハブ小屋から出てきた美咲さんが制止する。
「はぁ!? 今いいところなんだぞ!?」
「今はデータを取る準備が整っていない! 本格的にやるならそれからだ!」
「ちっ……」
キュリアは拳を振るわせ握り締め、わたくし達にも聞こえるくらい大きな舌打ちをする。
「クソがっ!!」
そして地面を強く殴りつけそこから尖った岩を数個飛び出させる。
雑な攻撃でそれらは一つもわたくし達に当たることはなかったが、その隙に二人はどこかへ逃げ出してしまう。
「待ちなさい!!」
飛行能力があるわたくしが生人さんを抱えたまま追いかけるが、二人が裏路地に入った瞬間そこから煙が噴き出してくる。
幸い有毒なものではなかったが、わたくし達の視界を遮るには十分すぎるもので二人に完璧に逃げられてしまうのだった。
手に持っていた槍は持ち手が青色の斧に変化する。刃の部分と柄の部分の間は水で繋がっており、この前のウォーターランスのことを考えると恐らく斧で遠距離攻撃ができるようになっているのだろう。
[スキルカード ドールアタック]
椎葉さんが新しいスキルカードを使用する。虚空から三体のゴスロリ人形が現れ奴に掴みかかっていく。
「邪魔だどけ!!」
予想通り奴は斧の柄の部分の水を噴射させ、リーチを伸ばしたそれで薙ぎ払い人形達を斬り裂く。
人形達は腹部を裂かれたが、ダメージを受けたのはキュリアの方だ。腹部に人形達同様の切り傷ができており奴はその場に踏み止まる。
椎葉さんの取り出す人形にはダメージ反射効果があり、人形自体には戦闘能力はないが受けたダメージをそのまま反射することができる。
相手が強ければ強いほどダメージが増す敵に回したら厄介な能力だ。
[必殺 ホーリーカット]
隙ができた瞬間風斗さんが攻め時と判断し必殺カードを挿入する。
剣は神々しい光を纏い、それをキュリアに振り下ろす。
[combine……ウィンドソード レベル50]
奴はその一撃を斧で受け止めつつ違う形態へと変身する。
また円の色が変わり斧が剣に変形する。刀身には黄緑色のオーラが渦を巻いて纏っていて、それに変わった途端風斗さんの剣が弾かれる。
それから二人は数回お互いの剣をぶつけ合う。剣がぶつかり合う度に、まるでトランポリンを跳ねているかのように風斗さんの剣が弾かれる。
何回めかのぶつかり合いの果て。弾かれた隙を突かれ風斗さんの腹目掛けて突きが放たれる。彼はそれを後ろに跳んで紙一重のところで躱す。
「真太郎さん。アタシ達四人で連携しましょ。一人じゃとてもじゃないけど敵わないよ」
椎葉さんの言う通り奴の成長は計り知れない。それは鎧を着ていたとしても容易にわたくし達の命を刈り取れるほどに。
「雑魚が鬱陶しいな……オレは生人とやりたいのに……次はこれでいくか」
[combine…… グラウンドファイター レベル50]
キュリアの剣が拳に纏わりつき、黄色のグローブへと変わる。その直後に地面を殴りそこに小さな亀裂を発生させる。
それはわたくし達へダメージも衝撃も与えるものではない。一体何をしたいのだろうかと不思議に思ったが、それはすぐ分かることになる。
奴は亀裂に吸い込まれるように消えていき地面に潜る。
生人さんがすぐに跳び上がり宙に舞う。
「みんな地面から離れて!!」
わたくし達は伝えたいことを理解して、咄嗟に跳躍や飛翔で地面から離れようとする。
しかし生人さんはキュリアの射程外に出れていたが、わたくしはまだその中にいてしまい、奴の拳が地面から伸びてきてわたくしのふくらはぎの辺りを捉える。
ゴリッという鈍い音共にわたくしは打ち上げられるが、逆にそのおかげで上空へと逃げ去ることができる。そのまま翼を展開して宙に留まりながらスキルカードをセットする。
[スキルカード ショックウェーブ]
鎌に衝撃波を纏い、それを飛ばし殴ってきたその拳にぶつける。
特にブレなく命中したもののダメージはあまりないようで、奴はまた地面に潜ってしまう。
仕方ないのでわたくしは地面に落ちていこうとする生人さんを回収してそのまま空中で待機する。風斗さんと椎葉さんは古びた廃屋の屋根の上に登っているので大丈夫だろう。
「奴が地面に潜行するというのなら……わたくしは空間に潜行するまでです」
わたくしはこのアーマーの能力を使い、自分の右手の周りに円状の紫色のゲートを発生させる。そこに手を突っ込むことでわたくしは不思議な感覚に見舞われる。
視界がもう一個増え、それが宙を自由自在に動いているのだ。分かりやすく言えば目が三つあるような感覚だ。
宙にはもう一つ紫色のゲートが浮いており、それと視界を共有している。
わたくしはそれを地面に潜らせ、そこに潜んでいるキュリアを探し当てる。
「はぁっ!!」
そしてゲートを通じてキュリアの眼前に手を出現させそのまま殴り抜く。
奴はたまらず地上に飛び出してきてわたくしの方を見て一瞬で状況を理解する。
「へぇ……お前らみんな中々面白れぇ能力持ってるんだな。これは案外楽しめそうだ。さぁこれから第二ラウンド……」
「キュリア君! 逃げる準備は整った! 退くぞ!」
また熾烈な戦いが始まろうとしたが、それをプレハブ小屋から出てきた美咲さんが制止する。
「はぁ!? 今いいところなんだぞ!?」
「今はデータを取る準備が整っていない! 本格的にやるならそれからだ!」
「ちっ……」
キュリアは拳を振るわせ握り締め、わたくし達にも聞こえるくらい大きな舌打ちをする。
「クソがっ!!」
そして地面を強く殴りつけそこから尖った岩を数個飛び出させる。
雑な攻撃でそれらは一つもわたくし達に当たることはなかったが、その隙に二人はどこかへ逃げ出してしまう。
「待ちなさい!!」
飛行能力があるわたくしが生人さんを抱えたまま追いかけるが、二人が裏路地に入った瞬間そこから煙が噴き出してくる。
幸い有毒なものではなかったが、わたくし達の視界を遮るには十分すぎるもので二人に完璧に逃げられてしまうのだった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説

元勇者の俺と元魔王のカノジョがダンジョンでカップル配信をしてみた結果。
九条蓮@㊗再重版㊗書籍発売中
ファンタジー
異世界から帰還した元勇者・冴木蒼真(さえきそうま)は、刺激欲しさにダンジョン配信を始める。
異世界での無敵スキル〈破壊不可(アンブレイカブル)〉を元の世界に引き継いでいた蒼真だったが、ただノーダメなだけで見栄えが悪く、配信者としての知名度はゼロ。
人気のある配信者達は実力ではなく派手な技や外見だけでファンを獲得しており、蒼真はそんな〝偽者〟ばかりが評価される世界に虚しさを募らせていた。
もうダンジョン配信なんて辞めてしまおう──そう思っていた矢先、蒼真のクラスにひとりの美少女転校生が現れる。
「わたくし、魔王ですのよ」
そう自己紹介したこの玲瓏妖艶な美少女こそ、まさしく蒼真が異世界で倒した元魔王。
元魔王の彼女は風祭果凛(かざまつりかりん)と名乗り、どういうわけか蒼真の家に居候し始める。そして、とあるカップルのダンジョン配信を見て、こう言った。
「蒼真様とカップル配信がしてみたいですわ!」
果凛のこの一言で生まれた元勇者と元魔王によるダンジョン配信チャンネル『そまりんカップル』。
無敵×最強カップルによる〝本物〟の配信はネット内でたちまち大バズりし、徐々にその存在を世界へと知らしめていく。
これは、元勇者と元魔王がカップル配信者となってダンジョンを攻略していく成り上がりラブコメ配信譚──二人の未来を知るのは、視聴者(読者)のみ。
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…

友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!
果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。
次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった!
しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……?
「ちくしょう! 死んでたまるか!」
カイムは、殺されないために努力することを決める。
そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る!
これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。
本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる