91 / 130
七章 最高のクリスマスプレゼント
86話 脱獄(キュリア視点)
しおりを挟む
「いい加減何か喋れ!! 一ヶ月以上も黙秘を続けるとはどういうつもりだ!?」
何十回、いや百を超えるかもしれない取り調べの真っ最中。担当の刑事が机を叩きオレを威嚇する。
だが自分より弱い存在が騒いでても目障りでしかなく、オレは大きな欠伸をかき体を伸ばす。
美咲にも生人達に負けたらりゅーちじょとかいう場所で静かにしてろって言われてるし、多分こいつらも殺したらだめなんだよな……面倒臭いなぁ……
それにそろそろだと思うのに全く来る気配ないし。いつまで待たせんだよ。
「どうします工藤さん? こいつ全く口を割ろうとしませんよ?」
隣にいた静かめな男が先程机を叩いた大柄な男に話しかける。
「そうだが……殴って吐かせようにも今回上からは禁止されてるんだよ。クソ!! 何でこんなガキを上は庇うんだ!?」
「政治家の息子辺りかと思いましたが、こいつどれだけ調べても経歴が一切分からないんですよ」
当たり前だろ。オレは人間じゃないんだからな。
はぁアホらし。退屈だし留置所で誰かに寄生して遊ぼっかな。
退屈さに押し潰され気がおかしくなりそうになっている時、いきなりオレの背後の壁が突き破られる。
壁を破ったのは新しい新型のランストを装備した美咲だ。
「な、何だこいつは!?」
刑事達は腰を抜かし面白いくらいに怯え出す。
「迎えに来たよキュリア君」
「やっと来たか。遅せぇんだよ」
オレは椅子から立ち上がりやっとここから出れることについ笑みを溢してしまう。
「それより約束の物は? ちゃんと言いつけ通り静かにしてたし何も喋ってないんだ。さっさと渡せよ」
「相変わらずせっかちだな君は。親の顔が見てみたいよ」
「一応お前だろ。生人のサンプルからオレを作ったんだから」
小言を吐く美咲にオレは例のアレを寄越すよう促す。
「分かってるよ忘れてないさ。ほら、君のおかげで無事改良はできてある」
渡してくれたのはオレの特製のランスト、ダイアだ。
見た目は前とは何も変わっていないが、触っただけで分かる。確実に性能が上がっており、そして頼んでおいたアレもきっとできるのだろうと。
「これでまた生人と最高の戦いができる。あぁ……今からワクワクが止まらねぇよ……!!」
オレは握り潰しそうなほど手に力が入ってしまい、壊してしまっては元も子もないと落ち着く。
「じゃあ行こうか。まだまだ研究したいことは山ほどある。付き合ってくれるかい?」
「お前が生人と戦える場を用意してくれるならな」
「じゃあ問題ないね」
オレ達は突き破られた穴から飛び降りる。
美咲は新たな研究をし好奇心を満たすために、そしてオレはまた生人と戦い楽しむために、各々の目的を抱え落下していくのだった。
何十回、いや百を超えるかもしれない取り調べの真っ最中。担当の刑事が机を叩きオレを威嚇する。
だが自分より弱い存在が騒いでても目障りでしかなく、オレは大きな欠伸をかき体を伸ばす。
美咲にも生人達に負けたらりゅーちじょとかいう場所で静かにしてろって言われてるし、多分こいつらも殺したらだめなんだよな……面倒臭いなぁ……
それにそろそろだと思うのに全く来る気配ないし。いつまで待たせんだよ。
「どうします工藤さん? こいつ全く口を割ろうとしませんよ?」
隣にいた静かめな男が先程机を叩いた大柄な男に話しかける。
「そうだが……殴って吐かせようにも今回上からは禁止されてるんだよ。クソ!! 何でこんなガキを上は庇うんだ!?」
「政治家の息子辺りかと思いましたが、こいつどれだけ調べても経歴が一切分からないんですよ」
当たり前だろ。オレは人間じゃないんだからな。
はぁアホらし。退屈だし留置所で誰かに寄生して遊ぼっかな。
退屈さに押し潰され気がおかしくなりそうになっている時、いきなりオレの背後の壁が突き破られる。
壁を破ったのは新しい新型のランストを装備した美咲だ。
「な、何だこいつは!?」
刑事達は腰を抜かし面白いくらいに怯え出す。
「迎えに来たよキュリア君」
「やっと来たか。遅せぇんだよ」
オレは椅子から立ち上がりやっとここから出れることについ笑みを溢してしまう。
「それより約束の物は? ちゃんと言いつけ通り静かにしてたし何も喋ってないんだ。さっさと渡せよ」
「相変わらずせっかちだな君は。親の顔が見てみたいよ」
「一応お前だろ。生人のサンプルからオレを作ったんだから」
小言を吐く美咲にオレは例のアレを寄越すよう促す。
「分かってるよ忘れてないさ。ほら、君のおかげで無事改良はできてある」
渡してくれたのはオレの特製のランスト、ダイアだ。
見た目は前とは何も変わっていないが、触っただけで分かる。確実に性能が上がっており、そして頼んでおいたアレもきっとできるのだろうと。
「これでまた生人と最高の戦いができる。あぁ……今からワクワクが止まらねぇよ……!!」
オレは握り潰しそうなほど手に力が入ってしまい、壊してしまっては元も子もないと落ち着く。
「じゃあ行こうか。まだまだ研究したいことは山ほどある。付き合ってくれるかい?」
「お前が生人と戦える場を用意してくれるならな」
「じゃあ問題ないね」
オレ達は突き破られた穴から飛び降りる。
美咲は新たな研究をし好奇心を満たすために、そしてオレはまた生人と戦い楽しむために、各々の目的を抱え落下していくのだった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる