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七章 最高のクリスマスプレゼント
78話 あの日の真実(田所視点)
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「やぁ田所君。こんなところに私を呼び出して何のつもりだい?」
とある廃工場のベルトコンベアの上で待っていると、待ち合わせをしていた美咲がやっと来てくれる。
言葉の節々に不満が込められており、研究中に無理矢理呼び出されてイラついているといったところだろう。
「悪いな。この場所で、それに二人っきりでどーしても話したいことがあってな」
自分はベルトコンベアから降りゆっくりと美咲に詰め寄る。
そして明確な敵意を持って彼女を睨みつける。
「なんだいその目は? まるで私が悪人かのような……」
「あぁその通りだ。お前は悪人だ。それもとんでもない極悪人だ」
「確かに私は非合法なことをやってはいるさ。でもそれは……」
自分は上手な演技で白を切ろうとする彼女に既にカードから出しておいた銃を突き付ける。
「なぁ? もうそういうのやめようぜ? 災厄の日を引き起こした張本人さん?」
雨が降り始めたのか、このボロい工場の天井に雨粒が当たり音がただひたすらに工場内に響く。
「ふっ……ふふふふ」
美咲の声質がガラリと変わり、彼女は非常に楽しそうに笑みを溢し笑い声を上げる。
あぁこれが彼女の本性なのだと。やはりこっちが現実なのだと自分は再認識する。
「よく分かったじゃないか。裏で色々調べたのかい? これでも情報は厳重に管理してたはずなんだけどねぇ……」
「俺は元警察だ。生憎調べるのは得意でね」
それでも十年かけてやっと美咲の尻尾を掴めた。彼女は狡猾で慎重で、必死に毎日調べてもこれだけ時間がかかってしまった。
「じゃあ私の悪事を突き止めたご褒美としていくつか質問に答えてあげよう」
銃を突きつけられ不利な状況だというのに、窮地だというのに一向にそのムカつく態度は変わらない。
「いくつかさせてもらうぞ。まず生人ちゃんに対して何をしようとしてる? いくら寄生虫といってもあの子の心は間違いなく人間だ。もうこれ以上あの子に関わるな」
「大丈夫さ。嘘に聞こえるかもしれないが、これでもちゃんとあの子への愛情はあるし、絶対にあの子だけは死なせたりはしない。
何をしようとしているかは……まぁランスト関連の研究に利用させてもらってるよ。キュリア君のダイアも生人君の生体サンプルから作ったものだ」
正直信じられなかったが、とりあえずこの話は多分美咲は生人ちゃんのことは大事にしているんだなくらいに思い留めおくことにする。
本題は次の質問だ。
「次だ。何でお前は災厄の日を起こした?」
災厄の日。十年前に起きた史上最悪の災害事件。大量のダンジョンが一斉に出現し、自分もその事件の対応をした。
それは悲惨で残酷な災害であり、当時いた六名のDOのメンバーの内四人は精神を病んで辞めてしまい、そして一人は、自分の親友は死んでしまった。
「もちろんダンジョンの研究を活発にさせるためさ」
「犠牲が出ることは分かってただろ……!!」
「そうだね。それがどうかしたのかい?」
自分は今の一言で頭に血が昇ってしまい引き金を引きそうになってしまう。しかしこいつにはまだ聞き出したいことがあるのでギリギリのところで踏み止まる。
「犠牲……それはあの君の親友のことかい?」
「最後の質問だ。お前は災厄の日どこで何をしていた?」
最後の最後に、自分は本命の質問を出す。
やっと、やっと真実が知れる。親友の死の真相に辿り着くことができる。
そのことが今自分の胸を奮い立ててくれている。
「君の親友は……非常に感が良かった……そして愚かだった」
「テメェ……!!」
「まさに今の君のように真相に迫ろうとした。だから私が殺したんだよ!!」
ついに言った。言い切った。
この世界史上最悪のクズ野郎の口から親友の死の真相を聞き出せた。
途端に全身が震え出し、殺気が止められなくなる。奴を殺したいという衝動が自分を支配する。
「私を殺すのかい? 君も私と同じになるつもりか?」
「あぁ……どうせお前は司法じゃ裁けない。どうせ手を回しているだろうからな。
それに智成さんからももし犯人なら迷わず撃ってくれと、娘を止めてくれと言われてるんでな」
自分が智成さんの、奴の父親の名前を出すなり奴は目を見開きこちらを睨みつけてくる。
「あのゴミ野郎……私の邪魔を……」
恨めしさを吐き捨てる奴のことなど無視して、自分は引き金を引こうとする。
しかしその直前に奴がカードを一枚取り出しそこから楕円形の物体を取り出す。
それは両端に緑色の半円があり、真ん中は透明なクリアパーツのようなものが長方形を型どっている。
[earth]
「怪しい動きをするんじゃねぇ!!」
自分はこいつがどうにかして逃げようとしていることを察知して引き金を引く。それは奴が楕円形の物を下腹に押し付けたのと同じタイミングだった。
そしてその一撃は奴に命中することはない。
「何だ……あれ……!?」
突然奴の背後に巨大な青と緑で構成された球体が出現し、それに弾が吸い込まれてしまう。
「冥土の土産だ。見せてあげよう。私の研究の成果を……集大成を!! そして私の研究の踏み台となり闇の底に落ちていくがいい!!」
ベルトが奴に巻き付き、デッキケースから一枚のカードを取り出す。
次に奴は楕円形の左の半円を中心にスライドさせる。透明の部分が上に飛び出し、そこにカードをセットする。
「動くなっつってんだろうがぁ!!!」
[マシンガンモード]
全身で危機を察知し、謎の装置に光弾を乱射するがそれらも全て球体に吸い込まれてしまう。
「変……身!!」
[open……キュリシティ レベル 35]
とある廃工場のベルトコンベアの上で待っていると、待ち合わせをしていた美咲がやっと来てくれる。
言葉の節々に不満が込められており、研究中に無理矢理呼び出されてイラついているといったところだろう。
「悪いな。この場所で、それに二人っきりでどーしても話したいことがあってな」
自分はベルトコンベアから降りゆっくりと美咲に詰め寄る。
そして明確な敵意を持って彼女を睨みつける。
「なんだいその目は? まるで私が悪人かのような……」
「あぁその通りだ。お前は悪人だ。それもとんでもない極悪人だ」
「確かに私は非合法なことをやってはいるさ。でもそれは……」
自分は上手な演技で白を切ろうとする彼女に既にカードから出しておいた銃を突き付ける。
「なぁ? もうそういうのやめようぜ? 災厄の日を引き起こした張本人さん?」
雨が降り始めたのか、このボロい工場の天井に雨粒が当たり音がただひたすらに工場内に響く。
「ふっ……ふふふふ」
美咲の声質がガラリと変わり、彼女は非常に楽しそうに笑みを溢し笑い声を上げる。
あぁこれが彼女の本性なのだと。やはりこっちが現実なのだと自分は再認識する。
「よく分かったじゃないか。裏で色々調べたのかい? これでも情報は厳重に管理してたはずなんだけどねぇ……」
「俺は元警察だ。生憎調べるのは得意でね」
それでも十年かけてやっと美咲の尻尾を掴めた。彼女は狡猾で慎重で、必死に毎日調べてもこれだけ時間がかかってしまった。
「じゃあ私の悪事を突き止めたご褒美としていくつか質問に答えてあげよう」
銃を突きつけられ不利な状況だというのに、窮地だというのに一向にそのムカつく態度は変わらない。
「いくつかさせてもらうぞ。まず生人ちゃんに対して何をしようとしてる? いくら寄生虫といってもあの子の心は間違いなく人間だ。もうこれ以上あの子に関わるな」
「大丈夫さ。嘘に聞こえるかもしれないが、これでもちゃんとあの子への愛情はあるし、絶対にあの子だけは死なせたりはしない。
何をしようとしているかは……まぁランスト関連の研究に利用させてもらってるよ。キュリア君のダイアも生人君の生体サンプルから作ったものだ」
正直信じられなかったが、とりあえずこの話は多分美咲は生人ちゃんのことは大事にしているんだなくらいに思い留めおくことにする。
本題は次の質問だ。
「次だ。何でお前は災厄の日を起こした?」
災厄の日。十年前に起きた史上最悪の災害事件。大量のダンジョンが一斉に出現し、自分もその事件の対応をした。
それは悲惨で残酷な災害であり、当時いた六名のDOのメンバーの内四人は精神を病んで辞めてしまい、そして一人は、自分の親友は死んでしまった。
「もちろんダンジョンの研究を活発にさせるためさ」
「犠牲が出ることは分かってただろ……!!」
「そうだね。それがどうかしたのかい?」
自分は今の一言で頭に血が昇ってしまい引き金を引きそうになってしまう。しかしこいつにはまだ聞き出したいことがあるのでギリギリのところで踏み止まる。
「犠牲……それはあの君の親友のことかい?」
「最後の質問だ。お前は災厄の日どこで何をしていた?」
最後の最後に、自分は本命の質問を出す。
やっと、やっと真実が知れる。親友の死の真相に辿り着くことができる。
そのことが今自分の胸を奮い立ててくれている。
「君の親友は……非常に感が良かった……そして愚かだった」
「テメェ……!!」
「まさに今の君のように真相に迫ろうとした。だから私が殺したんだよ!!」
ついに言った。言い切った。
この世界史上最悪のクズ野郎の口から親友の死の真相を聞き出せた。
途端に全身が震え出し、殺気が止められなくなる。奴を殺したいという衝動が自分を支配する。
「私を殺すのかい? 君も私と同じになるつもりか?」
「あぁ……どうせお前は司法じゃ裁けない。どうせ手を回しているだろうからな。
それに智成さんからももし犯人なら迷わず撃ってくれと、娘を止めてくれと言われてるんでな」
自分が智成さんの、奴の父親の名前を出すなり奴は目を見開きこちらを睨みつけてくる。
「あのゴミ野郎……私の邪魔を……」
恨めしさを吐き捨てる奴のことなど無視して、自分は引き金を引こうとする。
しかしその直前に奴がカードを一枚取り出しそこから楕円形の物体を取り出す。
それは両端に緑色の半円があり、真ん中は透明なクリアパーツのようなものが長方形を型どっている。
[earth]
「怪しい動きをするんじゃねぇ!!」
自分はこいつがどうにかして逃げようとしていることを察知して引き金を引く。それは奴が楕円形の物を下腹に押し付けたのと同じタイミングだった。
そしてその一撃は奴に命中することはない。
「何だ……あれ……!?」
突然奴の背後に巨大な青と緑で構成された球体が出現し、それに弾が吸い込まれてしまう。
「冥土の土産だ。見せてあげよう。私の研究の成果を……集大成を!! そして私の研究の踏み台となり闇の底に落ちていくがいい!!」
ベルトが奴に巻き付き、デッキケースから一枚のカードを取り出す。
次に奴は楕円形の左の半円を中心にスライドさせる。透明の部分が上に飛び出し、そこにカードをセットする。
「動くなっつってんだろうがぁ!!!」
[マシンガンモード]
全身で危機を察知し、謎の装置に光弾を乱射するがそれらも全て球体に吸い込まれてしまう。
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