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ライバル
2嫌な奴
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―二年前。
人気女性向け雑誌の表紙を撮影してる日の事。秋風が冷たくなり始めた頃、冬の足音を誰もが聞いたであろうこの日、俺は彼と出会ったのだ。まだ十代だった俺らは学生気分が抜けず、上下関係に縛られていた。
撮影が終わると、マネージャーの弘樹さんが俺の元に一人の少年を連れてきた。名は雪城芙吹。先日事務所に入社したそうでまだ高校生だという。
しかし彼の容姿は高校生にしては小柄で身長も確かな数字は分からなかったが160cm程に見える。
目は新緑から透き通る光のように澄んでいて、その澄み方は、まるでこの世の汚いものなど、何一つも映すことはないようである。肌は雪のように白く、陶器のように滑らかで芙吹という雪を連想させる名前がとても良く似合う。
しかし性格には難があった。どうにもツンケンとした素っ気ない態度で挨拶をしてくるのだ。
”先日入った雪城芙吹です。”と。
歳下ならば例え一歳の差であれどこちらを立てるべきではないのか。
よろしくお願いしますの一つもない彼の第一印象は最悪だ。
それからというもの、事務所に行けば挨拶こそ交わされるものの、何ら他の会話に発展することもないし、それどころか五分と同じ空間にいる事はない。
半年が経過する頃には何となくではあるが芙吹の性格がわかってきていた。
どうやら彼は総領の甚六であるようでいつもマネージャーに身の回りのことをしてもらっているのをよく見かける。
それに加えて彼は利己主義なのだ。
マネージャーに飲み物を買ってこさせ、その水が富士の水では無ければ要らない、と床に捨てたりなど現場での話しはよく弘樹から聞いている。
芙吹のマネージャー、郁はそんな事なんでもないかのように振舞ってはいるが、辛くない筈が無いのだ。
そんな彼でもモデルは見た目。
世間からの評価はうなぎ上りである。
けれどまだまだ自身の足元にも及ばない、とこの時の俺は玉座に胡座をかいていた。
そんな関係が変わり始めたのは、出会って一年が経過する頃の事だった。
人気女性向け雑誌の表紙を撮影してる日の事。秋風が冷たくなり始めた頃、冬の足音を誰もが聞いたであろうこの日、俺は彼と出会ったのだ。まだ十代だった俺らは学生気分が抜けず、上下関係に縛られていた。
撮影が終わると、マネージャーの弘樹さんが俺の元に一人の少年を連れてきた。名は雪城芙吹。先日事務所に入社したそうでまだ高校生だという。
しかし彼の容姿は高校生にしては小柄で身長も確かな数字は分からなかったが160cm程に見える。
目は新緑から透き通る光のように澄んでいて、その澄み方は、まるでこの世の汚いものなど、何一つも映すことはないようである。肌は雪のように白く、陶器のように滑らかで芙吹という雪を連想させる名前がとても良く似合う。
しかし性格には難があった。どうにもツンケンとした素っ気ない態度で挨拶をしてくるのだ。
”先日入った雪城芙吹です。”と。
歳下ならば例え一歳の差であれどこちらを立てるべきではないのか。
よろしくお願いしますの一つもない彼の第一印象は最悪だ。
それからというもの、事務所に行けば挨拶こそ交わされるものの、何ら他の会話に発展することもないし、それどころか五分と同じ空間にいる事はない。
半年が経過する頃には何となくではあるが芙吹の性格がわかってきていた。
どうやら彼は総領の甚六であるようでいつもマネージャーに身の回りのことをしてもらっているのをよく見かける。
それに加えて彼は利己主義なのだ。
マネージャーに飲み物を買ってこさせ、その水が富士の水では無ければ要らない、と床に捨てたりなど現場での話しはよく弘樹から聞いている。
芙吹のマネージャー、郁はそんな事なんでもないかのように振舞ってはいるが、辛くない筈が無いのだ。
そんな彼でもモデルは見た目。
世間からの評価はうなぎ上りである。
けれどまだまだ自身の足元にも及ばない、とこの時の俺は玉座に胡座をかいていた。
そんな関係が変わり始めたのは、出会って一年が経過する頃の事だった。
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