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良い子悪い子
第1話
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『次のニュースです。
都内のあるマンションから4歳児の遺体が発見されました。
発見されたのは岡本優君4歳で、体に無数の傷がある事から虐待という事で警視庁は捜査を進める方針で…』
突如、何者かの手によってテレビから聞こえていた音が最大から最小に下げられた。
膝を抱えテレビを眺めていた夕真が音量を下げた主を見た。
パチッ。そんな音と共に部屋の明かりがつけられる。
「ったく…。
言いたいことは山ほどあるが…まず、テレビの音量を考えろ、耳を痛める。
次に電気だ。
いい加減電気をつけるという習慣をつけろ。
目も悪くなるぞ」
夕真はつけられた明かりに目を細め不機嫌そうに口を開いた。お腹が空いたんだけど、と。
すると春斗は、はぁ、とため息をついた後、呆れたように微笑んで晩飯にするか、と言い床に座る夕真の頭を撫でた。
しかし、夕真はすぐにその手を払った。
「僕、今日はお寿司の気分だから、お寿司にしてよ」
「寿司か…そういや最近食ってねぇな。
…よし
わかった
俺がとびきり美味い寿司を作ってやるよ」
春斗は少し考えるとそう言った。
夕真とは逆に、いつもよりも機嫌のいい春斗に不審な目を向ける。
春斗はその視線に気づいていた。
しかし、何も言わずに部屋を出ていった。
また一人になった夕真はリモコンで電気を消し、無音となったテレビをを再び凝視して意味ありげに口角を上げた。
3210年。
日本からは家族が日々消えつつある。
人間の仲間意識というものが年を重ねる事に薄くなって来ているものが原因だ。
しかし、心の弱い現代の日本人は日々ストレスを貯めていった。
ストレス発散のため、当時は通り魔やら強盗やらが横行していた。
だが、警察の監視が厳しくなるとそのストレス発散は、すぐに何も出来ない子供へと向けられた。
そのため、数十年前までは児童虐待、誘拐が多発していた。
今からちょうど五年前、警視庁に虐待防止・保護カウンセリング科というものが設立された。
通称、救世主。
子供たちの救世主という意味だ。
もちろんメシアと名付けたのは彼らの初めての子供、雪成という少年だった。
彼は当時十六歳だったため、今はもう成人している。
メシアはみんな子供を誘拐されたり、殺された親で作られた科。
そのため、彼らは子供のためにと日々精進していた。
しかし、メシアが設立され二年後、今から三年前の事だ。
その日救い出された少年は血で染まったカッターナイフを持って楽しそうに笑っていた。
そして、少年の前には母親だったモノが床に原型を止めず散らばっていた。
少年はメシアに言った。
「お母さんが、僕を傷つけると楽しいって言ってた。
だから、僕もお母さん、楽しかった」
その子の父親は恐らく何日も帰っていないのだろう、机の上には二日分の料理が置いてあった。
その子の事はすぐにマスコミに知れ渡り、その子は母親を殺した悪魔の子、と呼ばれるようにった。
その子をきっかけに悪魔の子のは増えていった。
都内のあるマンションから4歳児の遺体が発見されました。
発見されたのは岡本優君4歳で、体に無数の傷がある事から虐待という事で警視庁は捜査を進める方針で…』
突如、何者かの手によってテレビから聞こえていた音が最大から最小に下げられた。
膝を抱えテレビを眺めていた夕真が音量を下げた主を見た。
パチッ。そんな音と共に部屋の明かりがつけられる。
「ったく…。
言いたいことは山ほどあるが…まず、テレビの音量を考えろ、耳を痛める。
次に電気だ。
いい加減電気をつけるという習慣をつけろ。
目も悪くなるぞ」
夕真はつけられた明かりに目を細め不機嫌そうに口を開いた。お腹が空いたんだけど、と。
すると春斗は、はぁ、とため息をついた後、呆れたように微笑んで晩飯にするか、と言い床に座る夕真の頭を撫でた。
しかし、夕真はすぐにその手を払った。
「僕、今日はお寿司の気分だから、お寿司にしてよ」
「寿司か…そういや最近食ってねぇな。
…よし
わかった
俺がとびきり美味い寿司を作ってやるよ」
春斗は少し考えるとそう言った。
夕真とは逆に、いつもよりも機嫌のいい春斗に不審な目を向ける。
春斗はその視線に気づいていた。
しかし、何も言わずに部屋を出ていった。
また一人になった夕真はリモコンで電気を消し、無音となったテレビをを再び凝視して意味ありげに口角を上げた。
3210年。
日本からは家族が日々消えつつある。
人間の仲間意識というものが年を重ねる事に薄くなって来ているものが原因だ。
しかし、心の弱い現代の日本人は日々ストレスを貯めていった。
ストレス発散のため、当時は通り魔やら強盗やらが横行していた。
だが、警察の監視が厳しくなるとそのストレス発散は、すぐに何も出来ない子供へと向けられた。
そのため、数十年前までは児童虐待、誘拐が多発していた。
今からちょうど五年前、警視庁に虐待防止・保護カウンセリング科というものが設立された。
通称、救世主。
子供たちの救世主という意味だ。
もちろんメシアと名付けたのは彼らの初めての子供、雪成という少年だった。
彼は当時十六歳だったため、今はもう成人している。
メシアはみんな子供を誘拐されたり、殺された親で作られた科。
そのため、彼らは子供のためにと日々精進していた。
しかし、メシアが設立され二年後、今から三年前の事だ。
その日救い出された少年は血で染まったカッターナイフを持って楽しそうに笑っていた。
そして、少年の前には母親だったモノが床に原型を止めず散らばっていた。
少年はメシアに言った。
「お母さんが、僕を傷つけると楽しいって言ってた。
だから、僕もお母さん、楽しかった」
その子の父親は恐らく何日も帰っていないのだろう、机の上には二日分の料理が置いてあった。
その子の事はすぐにマスコミに知れ渡り、その子は母親を殺した悪魔の子、と呼ばれるようにった。
その子をきっかけに悪魔の子のは増えていった。
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