東京電脳探偵団

蜜柑

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第1話 僕が7人目!?

P.9

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「ただいま、…ってまたケンカしてるの?」
「俺はしたくてしてるわけじゃないんだよ!」
 じゃあしなければいいじゃんと思った人は僕だけではないと思う。玄関から僕よりも身長の高い爽やかな声をした男の影が見えた。あの人が隼人という人なんだろうな。男が部屋に入ってくると、甘はまるで子供のように男に駆け寄った。
「おかえり!甘の欲しいもの売ってた…?」
「もちろん、買えたよ。ほら!」
 そう言って男が差し出したのは、とても巨大なぬいぐるみ。もともと持っているやつと顔が似ているからそのシリーズ版だろうか。それにしてもただでさえブッサイクな顔なのにでかいから顔の威圧感がとてつもない。甘はそれを抱き抱え、ソファにそれを座らせ自分も座る。
「あれ?お客さん?」
「新メンバーになる予定」
 予定ってなんだよ。まだ僕はなるだなんて…。そう思いながらも僕は自己紹介した。男はそれを見て笑顔で自己紹介しかえしてくれた。
「初めまして。黒田隼人くろだはやとって言います。何日か前から君のことは聞いてるよ。聞いていた通りしっかりした高校生だね」
 そんな身も心も好青年みたいな人に言われるとなんか照れてしまう。隼人は前髪センターわけでとてもすらっとしてて多分モテるんだろうな。もちろんとも言っていいが、隼人にも左目にプラスアイが存在していた。やはりこの事務所にはそういう人ばかりが集まるんだろうか。
 …あと、隼人の言った「聞いていた通り」とは誰から聞いたのだろうか。メンバーが全員揃ったらしく、久美は立ち上がって僕に話しかけてきた。
「冬希はなんでこんな所に連れてこられたのか、実はこれはある人からの依頼でね」
 依頼?誰が?どんな?なんで?久美は誰からかは教えてくれなかった。でも見せてくれた依頼の紙で察しがついた。

『東京電脳探偵団さん
     どうか息子を探偵社で引き取ってください。』

 僕のことを息子なんていうのは親しかいない。僕のお父さんは僕が小さい頃に他界している。つまりこれが書けるのはお母さんしかいない。2日前から僕はお母さんがどこにいるか知らない。手紙には『引き取って』と書いてあるんだ。僕は捨てられたと思った方がいいのだろうか。
 …知りたい。知りたい知りたい知りたい!!!僕はなんでこんな依頼をこの探偵社に出したのか知りたい…!!
「お願いがある…。探偵の君たちはお母さんどこにいるか知ってる?会って話がしたい」
 僕は探偵団に依頼を出した。周りは静かになる。メンバー同士で見合わせたり僕に真剣な目を向けてくれたり。そしてある1人が口を開いた。

「報酬は?」
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