東京電脳探偵団

蜜柑

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第1話 僕が7人目!?

P.6

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 桃園久美…東京電脳探偵団…そんなことより!その名刺に書かれてることより気になるのは、探偵社への勧誘!?僕に!?なんで!!疑問しか浮かばなかった。
「なんでかはまた事務所に着いたら説明するから」
 そう言って彼女はまた歩いていき、僕はついていった。事務所に着くまで僕らは一切会話しなかった。なんで何も説明してくれないんだ?不親切な人だ。本当に仕事やってる身なのか?少しくらい会話してくれても…そんなこと思っていたら着いていた。
「ここが探偵事務所。そこからずっと奥はメンバーが暮らしてる部屋よ」
 そこはマンションの2階。しかもその先も探偵事務所と関係のある部屋だという。完全に2回を占拠している東京電脳探偵団。こんなにマンションの部屋をもらっているのに名前は今日初めて知った。知り合いからそんな名前を聞いたことすらない。常連さんが多いため知られてないのかただ単に有名じゃないのか。
「さあ、入って」
 僕は言われた通り事務所の部屋に入った。彼女が扉を開けた瞬間目の前は真っピンクだった。ははは…随分独特な事務所…ってなるか!!!僕の顔には訳のわからないクッション素材のものがかぶさっていた。
「ちょっと、甘の大事なもの投げないでよ。アンタ本当は頭も成長してないんじゃないの?」
「うるせえ!こう見えても俺はお前より年上だって言ってるだろ!?」
「華織よりも低いくせに?」
「身長は関係ないって何度言ったらわかるんだよチビ!!」
「うわー、ブーメランだー」
 奥からギャーギャー騒ぐ声が聞こえる。僕は顔にかぶさるものを取ると、玄関前にはゆるーくウェーブのかかったセミロングの久美より少し小さい女の子が立っていた。
「リリー」
「はい?」
 リリー?とはこの僕が手に持ってるもののことか?クッション素材のものはぬいぐるみであって、顔を見ると近年稀に見るブッサイクな顔をしたぬいぐるみだ。なんて名前とは不釣り合い。僕はリリーを女の子に返した。
「ありがとっ。私のリリーはね、隼人が買ってくれたんだ♪かわいいでしょ~?」
 お世辞でも言わなきゃ!可愛いって!そうだよ、趣味は人それぞれなんだ!センスも人それぞれなんだ!女子にとってはそれが可愛いかもしれないじゃないか!そう思ってたのだが、久美の罵倒で僕のそんな優しい考えが消滅しかけた。
「甘の趣味は本当変ね。それのどこが可愛いのよ」
「久美には分からないのよ。そこまでおしゃれに気をつかったことない人が」
「まあ、趣味は人それぞれだし…」
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