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2章

潜む悪意

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 王島さんからの告白を断った俺は、校門で待っている宇佐美の方へ向かう。俺に気がつくと宇佐美は俺に手を振ってここにいるよ~とアピールする。

 おいおい、可愛すぎだろ……。

 宇佐美の様子に俺は苦笑しながらも、早足で駆け寄っていく。

「ハル君、手紙の件は終わった?」

「ああ、予想通り告白だったよ。まぁ、事前に言っといた通り、断ったけどな」

「ふふっ、そうですか。ちょっと安心しました」

 宇佐美の言葉に、俺は胸をドキッとさせる。このセリフってそういうことだよな? いや、期待しすぎるのはやめよう。まずは、俺自身を鍛え直してからだ。

 俺が改めて宇佐美に相応しくなるための努力をすることを決意していると、校門を少し出た所で宇佐美から声をかけられる。

「ハルく~ん、早く帰ろー!」

「ああ!」

 宇佐美の言葉に、俺は勢いよく頷き、宇佐美のいる方へと駆け出していくのだった。



ーーーーーーーーーー



《王島英梨香視点》

 場所は王島家所有のお屋敷。広大に広がる部屋に豪奢な椅子に座る王島英梨香と側に控える執事、そして、王島英梨香から少し離れた所に何人もの執事が控えていた。

「あの男の、周王春樹の弱味はなにか見つからないの?」

 王島英梨香はイライラした様子で、側に控えている執事に乱暴に問う。

「もっ、申し訳ございません、英梨香様。あと数日ほどお待ちいただければ、必ずやあの男の弱味を掴んでみせます!」

「期待しておりますわよ?」

「はっ! お嬢様!」

 そう言って、報告をしていた執事が下がる。と、同時に後ろで静かに控えていた何人もの執事が、王島英梨香の側に膝をついて跪く。

「お嬢様、紅茶です」

「そこへ置いて」

 控えていた一人の執事が紅茶の入ったティーカップの乗ったトレーを持って彼女に近づく。そして、彼女が指を差したテーブルの上にトレイを置く。

「チッ! 思ったより上手くいかないものね」

 そう言って、彼女はトレイの上に乗っていたティーカップを取り、口を付ける。

「ッ! なにこれ、ぬるい! 私が飲む紅茶は60~65度だっていつも言ってるでしょ!」

「そっ、そう言われましても、先程の報告の際に紅茶が冷えてしまってーー」

「言い訳は聞きたくないわ」

 激昂した彼女は、そう言って、紅茶を持ってきた執事の顔を蹴る。蹴られた執事はその衝撃で軽く後ろに飛び、蹴られた場所を手で押さえる。

「ああ、もうイライラするわ! あなた達、順番に私の前に跪きなさい!」

「「「はっ!」」」

 彼女から命じられた執事達は、命じられるがまま、一人ずつ彼女が座っている椅子の前に跪く。そして、跪いた執事達、一人ずつの頭を彼女は足で踏み、悦に入る。

「ハハハハハ! 最っ高に気分が良いわ!!!」

 王島英梨香の知られざる趣味、それは複数人の男を侍らせることであった。さらに言えば、侍る男たちの条件は容姿が優れていることなどではなく、どれだけ、家柄が良いかが重視されていた。

 実は、彼女の側に侍るほとんどの男が元々、執事をやっていた訳ではなかった。その多くが、元々は会社の御曹司であったり、良家の子息であったり、執事とは縁遠い人物たちばかりであった。

 しかし、彼女が無理矢理、会社を乗っ取ったり、彼らの実家に圧力をかけるなどして、無理矢理に自分の執事になることを強制したのである。彼女の側に侍る執事たちが苦渋の顔を作っているのは珍しくなく、また、彼女もその屈辱に顔を歪める姿を楽しんでいた。

 侍らせていた執事達、全員の頭を足蹴にし終え、彼女は満足そうに頬を吊り上げる。

「ああ! 楽しかった!」

 やっぱりストレス発散には、執事達の頭を踏むに限るわね! あの、屈辱に顔を歪める姿……! そこいらにいる執事じゃ絶対に実現しないわ! 苦労して手に入れた甲斐があるってものね!

 彼女はコレクションを眺めるように、未だに自身の目の前で跪く執事たちを見渡す。

 宇佐美杏……! あんたもいずれこの中に加えてあげるわ! ホントは女子禁制なのだけど、あなたなら特別に許してあげるわ!

「フフフフフフフフフフ……!」

 今にも漏れ出ししまいそうな笑い声を押し殺すように、王島英梨香はいつまでも笑うのだった。
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