壊れた王のアンビバレント

宵の月

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蹂躙 ★

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 文書をめくる音と、ペン先が滑る音だけが響く執務室。何事もなく執務は進み、昼食の時間をそろそろ迎えようとしていた。
 ふと魔筆を止めたカーティスが、赤く点滅する通信盤に唇を吊り上げた。

 「来たか。キリアン、ノーラとマルクスを連れ、部屋を出ていろ。来たら入室させていい。」
 「はい。」
 「陛下?お嬢様は……」
 「今すぐ出ろ。」
 「ですが……」
 
 剣呑な鋭い視線にマルクスとノーラは押し黙り、アルヴィナを振り返りながら退室していく。
 突然二人にされた室内で、アルヴィナは呆然としながらカーティスを見つめた。

 「陛下……どうされたのですか?」
 「アルヴィナ、こちらへ来い。」

 突然の不穏な空気に戸惑いながら、アルヴィナはカーティスに近づいた。一歩分の距離まで近づくと、攫うように抱き寄せられた。そのまま唇がアルヴィナの口を塞ぐ。

 「んっ!……ふぅ……へ、陛下!」
 
 驚きながら抗議の声を上げた唇は、先程よりも深く塞がれる。滑るように身体のラインを辿り始めた手に、ぞくりと震えが走った。
 ドンドンと胸板を必死に叩き、アルヴィナは閉じ込められた腕から必死に逃れようとした。

 「何を……!お離しください!外には……あっ!」

 扉の外にはキリアンもマルクス達も控えているはず。必死に抵抗する衣擦れの音が、やけに扇情的に室内に響いた。

 「アヴィー、大人しくしていろ。」

 カーティスが寝台にいる時だけ呼ぶ愛称で、低音の囁きを吹き込む。ぞくりと肌が粟立つ。
 
 (まさか、ここで……?)

 アルヴィナは青ざめた。なぜか突然、ここで抱こうとしていることに気付き、アルヴィナは腕から逃れようと身をよじる。

 「陛下!どうかおやめください……!なぜ急に……陛下!」

 身をよじったアルヴィナは、そのまま背後から抱きすくめられた。巻き付いた腕は揺るぎなく、裾をたくし上げる手は、白い太腿を撫でながら上ってくる。

 「お願いです!陛下!陛下!……あぁっ!」

 するりと侵入した手は、一切の躊躇なくアルヴィナの花芯を捏ね始める。ぞくりと奥が熱を孕んで、疼きを増した。

 「あっあっあっ……いや……です……お願い……だめ……」

 性急な仕草で一向に緩む気配のない責め立て。突然始まった行為の理由は分からなくても、カーティスがやめる気がないことははっきりと分かった。
 声を上げそうになる口を、アルヴィナは自分の両手で必死に塞いだ。

 「んっ!……ふっ……んんっ……!」

 カーティスは満足げに目を細め、耳元を舐めあげて囁いた。

 「アヴィー、しっかり立っていろ。」

 ふっと背後の気配が消え、次の瞬間全身が粟立つような快楽が駆け抜ける。
 王国一高貴な男は跪き、ドレスの裾をたくし上げ、アルヴィナの潤んだ秘裂に舌を這わせた。

 「ひっ!あぁっ!んんーーー!!」

 きつく押さえつけた手のひらを押さえつけ、口内で必死に悲鳴を噛み殺す。緊張と羞恥に、一気に熱は高まり、ぬるぬると蠢く舌に腰は止めようもなく揺れる。
 じゅくじゅくと響く水音に、開かされて立つ足がガクガクと震えた。

 「ふぅっ!!んんっ!!んっ!はっ!」

 陽はまだ高く、執務室は明るい陽射しが差し込んでいる。扉一つを隔てて側近達が控えている。国政の最重要機密を扱うこの場での、自分の姿に羞恥と背徳がせり上がってくる。

 「んんっ!んっ!んんんんんーーーー!!」

 あっさりと昇り詰めたアルヴィナに、濡れた唇を舐めながらカーティスが立ち上がった。
 獰猛な獣の笑みを浮かべながら、執務机に縋るアルヴィナを、後ろから突き刺した。執拗に快楽を教え込まれた身体は、悦んで迎え簡単に快楽に解け始めた。

 「あああーーー!!」

 穿たれた楔の熱さに、アルヴィナは抑えようもなく悲鳴を上げた。

 「やぁ!やぁ!ああっ!!」

 立て続けの快楽に、がくがくと痙攣するアルヴィナに構わず、カーティスは両手で掴んだアルヴィナの腰を揺らしながら、容赦なく犯した。熱く反り立った楔は、隘路を押し広げて最奥を何度も突きあげる。

 「あぁっ!だめ!だめ!カーティス!カーティス!」

 熟した果実のようにじゅくじゅくと蕩けたそこは、歓喜の蜜を溢れさせ、膣壁は擦られるたびに媚びて蠕動する。
 激しく揺さぶられるたびに、快楽が理性を染めていき、ここがどこで何をしていたか、高まる熱に思考が溶かされる。

 「あぁっ!あっあっあっ!ああ!いやぁ!」

 ガタガタと執務机が音を立てた。ぐちゅぐちゅと何度も掻き回される快楽に、腰を自ら揺らしながら、アルヴィナは与えられる快楽を追い始めた。艶かしく身悶える痴態に、カーティスは口の端を吊り上げた。

 「アヴィー、いやなら抵抗しろ。」
 「あっ!あああ!!」
 「中が痙攣しているぞ?もういくのか?」

 最奥に突き立てられた楔を、抉るように押し上げられ、アルヴィナが仰け反って美しい銀の髪を振り乱した。
 目前まで追い詰められ、自分を貫き蹂躙する熱杭の動きが鮮明になるほど締め付ける。

 「あぁ!アヴィー!いけ!中に出す!そのまま果てろ!」

 一際強く奥へと穿たれ、アルヴィナは衝撃に息が止まり、直後に灼熱の飛沫が叩きつけられた。アルヴィナはその熱さに身を震わせながら、深く絶頂する。

 「…………っ!!………はぁ……あぁ……はぁ……はぁ……」

 硬直した身体が貪欲に余韻を貪りながら、ゆっくりと弛緩し始める。声を取り戻したアルヴィナは、小さく喘ぎながら荒く呼吸を繰り返した。

 「………アヴィー……」

 快楽の余韻に震える身体をカーティスが抱き起こし、振り返らせた唇に唇を重ねた。何度も落とされる唇に、アルヴィナもぼんやりと応える。
 ゆっくりと呼吸が収まり始めたころ、扉の前が騒がしくなった。揉めるような声が聞こえたと思ったその直後、予告なく扉が開け放たれる。

 (……えっ……?)

 思わず振り返り、見つけた姿に一気に血の気が引く。回されていた腕が、アルヴィナを強く引き寄せ、ドレスの影で繋がったままだった楔が引き抜かれた。

 (どう、して………)

 ガタガタと震え始めたアルヴィナを、素早く反転させカーティスは胸の中に抱き込んだ。

 「王妃。お前は執務室はおろか、翠蒼宮への立ち入りも許されていない。いつになったら覚えるんだろうな?」

 押し付けられた胸元から、カーティスの嘲笑する声が室内に響く。せせら嗤うような笑みを湛え、カーティスは怒りに目を血走らせたセレイアを、蔑むように鋭く見据えている。

 (あぁ……)

 アルヴィナは絶望の中で、前触れもなく始まった行為の理由を悟った。
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