19 / 66
蹂躙 ★
しおりを挟む文書をめくる音と、ペン先が滑る音だけが響く執務室。何事もなく執務は進み、昼食の時間をそろそろ迎えようとしていた。
ふと魔筆を止めたカーティスが、赤く点滅する通信盤に唇を吊り上げた。
「来たか。キリアン、ノーラとマルクスを連れ、部屋を出ていろ。来たら入室させていい。」
「はい。」
「陛下?お嬢様は……」
「今すぐ出ろ。」
「ですが……」
剣呑な鋭い視線にマルクスとノーラは押し黙り、アルヴィナを振り返りながら退室していく。
突然二人にされた室内で、アルヴィナは呆然としながらカーティスを見つめた。
「陛下……どうされたのですか?」
「アルヴィナ、こちらへ来い。」
突然の不穏な空気に戸惑いながら、アルヴィナはカーティスに近づいた。一歩分の距離まで近づくと、攫うように抱き寄せられた。そのまま唇がアルヴィナの口を塞ぐ。
「んっ!……ふぅ……へ、陛下!」
驚きながら抗議の声を上げた唇は、先程よりも深く塞がれる。滑るように身体のラインを辿り始めた手に、ぞくりと震えが走った。
ドンドンと胸板を必死に叩き、アルヴィナは閉じ込められた腕から必死に逃れようとした。
「何を……!お離しください!外には……あっ!」
扉の外にはキリアンもマルクス達も控えているはず。必死に抵抗する衣擦れの音が、やけに扇情的に室内に響いた。
「アヴィー、大人しくしていろ。」
カーティスが寝台にいる時だけ呼ぶ愛称で、低音の囁きを吹き込む。ぞくりと肌が粟立つ。
(まさか、ここで……?)
アルヴィナは青ざめた。なぜか突然、ここで抱こうとしていることに気付き、アルヴィナは腕から逃れようと身をよじる。
「陛下!どうかおやめください……!なぜ急に……陛下!」
身をよじったアルヴィナは、そのまま背後から抱きすくめられた。巻き付いた腕は揺るぎなく、裾をたくし上げる手は、白い太腿を撫でながら上ってくる。
「お願いです!陛下!陛下!……あぁっ!」
するりと侵入した手は、一切の躊躇なくアルヴィナの花芯を捏ね始める。ぞくりと奥が熱を孕んで、疼きを増した。
「あっあっあっ……いや……です……お願い……だめ……」
性急な仕草で一向に緩む気配のない責め立て。突然始まった行為の理由は分からなくても、カーティスがやめる気がないことははっきりと分かった。
声を上げそうになる口を、アルヴィナは自分の両手で必死に塞いだ。
「んっ!……ふっ……んんっ……!」
カーティスは満足げに目を細め、耳元を舐めあげて囁いた。
「アヴィー、しっかり立っていろ。」
ふっと背後の気配が消え、次の瞬間全身が粟立つような快楽が駆け抜ける。
王国一高貴な男は跪き、ドレスの裾をたくし上げ、アルヴィナの潤んだ秘裂に舌を這わせた。
「ひっ!あぁっ!んんーーー!!」
きつく押さえつけた手のひらを押さえつけ、口内で必死に悲鳴を噛み殺す。緊張と羞恥に、一気に熱は高まり、ぬるぬると蠢く舌に腰は止めようもなく揺れる。
じゅくじゅくと響く水音に、開かされて立つ足がガクガクと震えた。
「ふぅっ!!んんっ!!んっ!はっ!」
陽はまだ高く、執務室は明るい陽射しが差し込んでいる。扉一つを隔てて側近達が控えている。国政の最重要機密を扱うこの場での、自分の姿に羞恥と背徳がせり上がってくる。
「んんっ!んっ!んんんんんーーーー!!」
あっさりと昇り詰めたアルヴィナに、濡れた唇を舐めながらカーティスが立ち上がった。
獰猛な獣の笑みを浮かべながら、執務机に縋るアルヴィナを、後ろから突き刺した。執拗に快楽を教え込まれた身体は、悦んで迎え簡単に快楽に解け始めた。
「あああーーー!!」
穿たれた楔の熱さに、アルヴィナは抑えようもなく悲鳴を上げた。
「やぁ!やぁ!ああっ!!」
立て続けの快楽に、がくがくと痙攣するアルヴィナに構わず、カーティスは両手で掴んだアルヴィナの腰を揺らしながら、容赦なく犯した。熱く反り立った楔は、隘路を押し広げて最奥を何度も突きあげる。
「あぁっ!だめ!だめ!カーティス!カーティス!」
熟した果実のようにじゅくじゅくと蕩けたそこは、歓喜の蜜を溢れさせ、膣壁は擦られるたびに媚びて蠕動する。
激しく揺さぶられるたびに、快楽が理性を染めていき、ここがどこで何をしていたか、高まる熱に思考が溶かされる。
「あぁっ!あっあっあっ!ああ!いやぁ!」
ガタガタと執務机が音を立てた。ぐちゅぐちゅと何度も掻き回される快楽に、腰を自ら揺らしながら、アルヴィナは与えられる快楽を追い始めた。艶かしく身悶える痴態に、カーティスは口の端を吊り上げた。
「アヴィー、いやなら抵抗しろ。」
「あっ!あああ!!」
「中が痙攣しているぞ?もういくのか?」
最奥に突き立てられた楔を、抉るように押し上げられ、アルヴィナが仰け反って美しい銀の髪を振り乱した。
目前まで追い詰められ、自分を貫き蹂躙する熱杭の動きが鮮明になるほど締め付ける。
「あぁ!アヴィー!いけ!中に出す!そのまま果てろ!」
一際強く奥へと穿たれ、アルヴィナは衝撃に息が止まり、直後に灼熱の飛沫が叩きつけられた。アルヴィナはその熱さに身を震わせながら、深く絶頂する。
「…………っ!!………はぁ……あぁ……はぁ……はぁ……」
硬直した身体が貪欲に余韻を貪りながら、ゆっくりと弛緩し始める。声を取り戻したアルヴィナは、小さく喘ぎながら荒く呼吸を繰り返した。
「………アヴィー……」
快楽の余韻に震える身体をカーティスが抱き起こし、振り返らせた唇に唇を重ねた。何度も落とされる唇に、アルヴィナもぼんやりと応える。
ゆっくりと呼吸が収まり始めたころ、扉の前が騒がしくなった。揉めるような声が聞こえたと思ったその直後、予告なく扉が開け放たれる。
(……えっ……?)
思わず振り返り、見つけた姿に一気に血の気が引く。回されていた腕が、アルヴィナを強く引き寄せ、ドレスの影で繋がったままだった楔が引き抜かれた。
(どう、して………)
ガタガタと震え始めたアルヴィナを、素早く反転させカーティスは胸の中に抱き込んだ。
「王妃。お前は執務室はおろか、翠蒼宮への立ち入りも許されていない。いつになったら覚えるんだろうな?」
押し付けられた胸元から、カーティスの嘲笑する声が室内に響く。せせら嗤うような笑みを湛え、カーティスは怒りに目を血走らせたセレイアを、蔑むように鋭く見据えている。
(あぁ……)
アルヴィナは絶望の中で、前触れもなく始まった行為の理由を悟った。
0
お気に入りに追加
327
あなたにおすすめの小説
愛を乞う獣【完】
雪乃
恋愛
「愛してる、ルーシー」
違う誰かの香りをまとって、あなたはわたしに愛をささやく。
わたしではあなたを繋ぎ止めることがどうしてもできなかった。
わかっていたのに。
ただの人間のわたしでは、引き留めることなどできない。
もう、終わりにしましょう。
※相変わらずゆるゆるです。R18。なんでもあり。
絶倫獣人は溺愛幼なじみを懐柔したい
なかな悠桃
恋愛
前作、“静かな獣は柔い幼なじみに熱情を注ぐ”のヒーロー視点になってます。そちらも読んで頂けるとわかりやすいかもしれません。
※誤字脱字等確認しておりますが見落としなどあると思います。ご了承ください。
婚約破棄のその先に悪魔が笑って待っていた。
ノワール
恋愛
伯爵令嬢リシュベルには麗しい騎士の婚約者がいた。
だが、策略により、大勢の前で婚約破棄を宣言されてしまった。愛されていると思ったのに。
あまりのショックでその場に倒れてしまったリシュベルを、じっと見つめる人物がいた。
どうやら、悪魔に捕獲されることは初めから決まっていたようです。
ずっと不幸だったリシュベルが、幸せ?になっていくシンデレラストーリーです。
但し、そこで待ち受けていたのは、優しい王子様ではなく、残酷な悪魔だった。
*流行りの婚約破棄ものではありません。
*R18は予告なく
*人外(悪魔)は出てきません。
*ネタバレになるためタグは随時追加です。
⭐︎なろう様でも公開中です。
最低ランクの冒険者〜胃痛案件は何度目ですぞ!?〜
恋音
ファンタジー
『目的はただ1つ、1年間でその喋り方をどうにかすること』
辺境伯令嬢である主人公はそんな手紙を持たされ実家を追放された為、冒険者にならざるを得なかった。
「人生ってクソぞーーーーーー!!!」
「嬢ちゃんうるせぇよッ!」
隣の部屋の男が相棒になるとも知らず、現状を嘆いた。
リィンという偽名を名乗った少女はへっぽこ言語を駆使し、相棒のおっさんもといライアーと共に次々襲いかかる災厄に立ち向かう。
盗賊、スタンピード、敵国のスパイ。挙句の果てに心当たりが全くないのに王族誘拐疑惑!? 世界よ、私が一体何をした!?
最低ランクと舐めてかかる敵が居れば痛い目を見る。立ちはだかる敵を薙ぎ倒し、味方から「敵に同情する」と言われながらも、でこぼこ最凶コンビは我が道を進む。
「誰かあのFランク共の脅威度を上げろッッ!」
あいつら最低ランク詐欺だ。
とは、ライバルパーティーのリーダーのお言葉だ。
────これは嘘つき達の物語
*毎日更新中*小説家になろうと重複投稿
あめふりバス停の優しい傘
朱宮あめ
青春
雨のバス停。
蛙の鳴き声と、
雨音の中、
私たちは出会った。
――ねぇ、『同盟』組まない?
〝傘〟を持たない私たちは、
いつも〝ずぶ濡れ〟。
私はあなたの〝傘〟になりたい――。
【あらすじ】
自身の生い立ちが原因で周囲と距離を置く高校一年生のしずくは、六月のバス停で同じ制服の女生徒に出会う。
しずくにまったく興味を示さない女生徒は、
いつも空き教室から遠くを眺めている不思議なひと。
彼女は、
『雪女センパイ』と噂される三年生だった。
ひとりぼっち同士のふたりは
『同盟』を組み、
友達でも、家族でも恋人でもない、
奇妙で特別な、
唯一無二の存在となってゆく。
process(0)
おくむらなをし
青春
下村ミイナは、高校1年生。
進路希望調査票を紙飛行機にして飛ばしたら、担任の高島先生の後頭部に刺さった。
生徒指導室でお叱りを受け、帰ろうとして開けるドアを間違えたことで、
彼女の人生は大きく捻じ曲がるのであった。
◇この物語はフィクションです。全30話、完結済み。
◇この小説はNOVELDAYSにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる