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第一章 聖騎士様の信仰心
飢えた獣 ★
しおりを挟む二人分の体重に、寝台がギシリと軋んで沈む。口内を思うさま蹂躙した舌がようやく唇を解放しても、アンナに休憩は与えられなかった。
「あっ!……待って、リュカ! リュカエル! ああっ……!!」
首筋に熱い吐息を吹きかけながら、吸い付いて牙を立てる飢えた獣。貪るような口づけに立ち上がっていた、胸の突起を摘ままれる。ビリっと駆け抜けた電流のような快楽に、アンナの声が甘く翻った。
「アンナ……アンナ……僕の、アンナ……好き、大好き……」
酩酊したように囁きかける声に、理性の響きは消えかけていた。唇を押し付け肌を食み舐る合間に、繰り返し囁かれる切実で切迫した告白に、アンナの脳が声に絡めとられるように痺れていく。
「はぁ……あぁ、リュカ……んんっ……」
知らずアンナの声も蕩け始めた。制止なのか誘惑なのか。曖昧になっていくアンナの声に、リュカエルは進んで理性を手放した。
「アンナ……好き……大好きだよ、アンナ……」
手のひらに収まる膨らみの、手触りを確かめるように揉みしだく。うっとりと目を細め、陶然とした呟きを落としながら色を濃くした蕾に吸い付いた。
「ああ! リュ、カ! 待って!」
跳ね上がったアンナの白い肢体を抱きしめ、肌を擦り合わせながら口に含んだ突起を吸い舐る。滑らかな甘い肌、優しい体温、鼓膜を震わせるアンナの声。それを自分以外が先に知った。自分以外がアンナに教えた。湧き上がったどす黒い嫉妬に任せて、舌で転がしていた蕾に歯を立てた。
「やっ! あぁっ! あああああーーーー!!」
与えられた強い刺激に、アンナが頤を晒してのけ反りながら絶頂した。ぞくぞくと余韻に震える身体が、焼けるような熱を帯びた逞しい身体に抱きすくめられる。その肌の熱さに息を詰めている間に、節立った長い指先がアンナの秘部にぬるりと押し入った。
「あっ! ああっ! リュ……!!」
ぞわりと湧き上がった快楽に、下腹部が引き絞られ、上げかけた嬌声はリュカエルの唇に吸い取られる。溢れ出した蜜を塗りこめられ、ぬるぬると花芯と中を探る指の動きにアンナが身体をしならせる。
「あぁ……アンナ……好き……アンナの中……すごく熱い……」
動き回る指の動きと、吹き込まれた熱く掠れた声にアンナの理性が溶け始める。温度を上げ続ける熱に、もどかしさが募り、堪えようにも腰が勝手に揺れ始める。揺らしてしまえば、快楽はより鮮明になり、もう止めることさえ考えられなくなった。
「アンナ……大好き……僕のアンナ……」
うっとりと呟くように絶えず愛を囁きながら、リュカエルの指がアンナの反応を学習し始める。肌に口づけを落としながら、リュカエルがゆっくりと身体をずらしていく。
「あぁん……はあ……あぁ……あっあっ……」
アンナの身体が忘れかけていた快楽が呼び覚まされ、嬌声は止められず後戻りできない熱に翻弄される。ぐちぐちと音を立てて押し込められた指がアンナの中を犯し、膣壁が押されるたびに腰が揺れた。
「アンナ……好き……」
蜜壺を指で蹂躙する様を見つめながら、ひと際甘く囁いたリュカエルが、溢れ出した蜜に濡れた秘部に舌を這わせた。
「あっ! あああああーーー!!」
熱い舌がねろりと指を飲み込んだ淵を辿り、ピンと立ち上がった花芯に吸い付いた瞬間、溜め込んだ熱が弾けアンナが絶頂する。膣壁が圧力を増し肉壁を押し当てながら、リュカエルの指を奥へと引きずり込むように蠕動する。ギチギチと締め付けてくるアンナの中を愛おしげに撫でまわしながら、リュカエルはアンナの秘裂が零す蜜を味わった。
「ダメ……リュカ……いって、るの……ダメ……」
絶頂したことで僅かな刺激にも、過敏に反応してしまう身体。休みなく指で舌で、絶え間なく与えられる愛撫に惑乱しながら、アンナはリュカエルに懇願した。刺激から離れようとよじる身体を捉えられ、銀の髪を身も世もなくかき乱しながらの願いもリュカエルは聞き入れなかった。
「やだ! やだ! できない……お願い……もうやめて……リュカ……リュカ……!!」
中をかき乱す淫らな水音に、アンナの微塵の余裕もない悲鳴が混じる。徐々に切実さを増すアンナの嬌声と、しなやかに揺れる痴態に愉悦しながらリュカエルが花芯に強く吸い付いた。
「ああっ! やあああああーーーーー!!」
休息を許されなかった二度目の絶頂は、苦しさを伴ってより深くアンナを快楽に落とし込んだ。深すぎた快楽に、見開いた瞳からぼろぼろと涙がこぼれた。余韻が小刻みに身体を痙攣させ、呼吸を貪る唇から不随意に小さな喘ぎがこぼれる。
「アンナ……かわいい……」
しっとりと汗に濡れた白いアンナの肢体にのしかかり、腕の檻に閉じ込めながらリュカエルがアンナを見下ろす。愛おし気に名前を呼びながら、リュカエルがアンナに覆いかぶさった。
「愛してる……アンナ……大好き……」
リュカ……ぐったりと身を投げだしているアンナが、音にならない声で名前を呼ぶのを見つめ、リュカエルはゆっくりとアンナの中に押し入った。
「ア、ンナ……アンナ……」
もう抵抗する力さえなくアンナは、ゆっくりと押し入ってくるリュカエルに、ぞくぞくと身を震わせた。
「アンナ……好き……大好き……アンナ……アンナ……」
ぐっと最奥を押し上げるように、全てを収めたリュカエル。快楽と衝動に打ち震えるように、何度も名前を呼ぶたびこらえきれないように腰を揺らし出す。
「あ……ああ……ふぁ……」
「好き……好き……愛してる……アンナ……」
圧倒的な熱と張り詰めた質量が、隘路を切り拓くように押し広げるたび、脊髄が慄くように震える。揺らされるたびに、肚の奥から痺れるように快楽が広がり痴態を取り繕うことすらできなかった。
「気持ちいい……アンナ……いい……」
リュカエルの噛み殺し切れなかった喘ぎに、アンナの身体は歓喜するように肌が粟立つ。力強い律動に揺すぶられ、勝手に零れる嬌声とリュカエルの喘ぎが絡み合う。シーツを掴んでいた手にリュカエルの手が重なり、指を絡め合うように握られた。
「アンナ、僕を見て……名前を呼んで……アンナ、お願い……」
泣き出しそうな声にアンナが薄っすらと瞳を開けて、自分と繋がるリュカエルを見上げた。切なげに眉根を寄せて、情欲に熱く潤んだ瞳。
「はあ……あ……リュカ、エル……」
自分を抱く男に向けた呼びかけに、リュカエルが息を詰めたまりかねたように律動を早めた。
「……っ!! アンナ……! アンナ……!」
無遠慮な抽送に、熱杭に吸い付く膣壁が容赦なく絡みつく。最奥に灯った焼け付くような熱が、膨張するように膨れ上がった。
「リュカ……! ああっ! いく……! いく! リュカ! あああああーーーー!!」
「う、ああ……アンナ! アンナ!!」
弾けて浮き上がるような快楽に、ダメ押しするように灼熱を浴びせかけられる。視界が一瞬たわんで揺れて、現実から遠ざかるような多幸感が胸を満たした。
「愛してる……アンナ……」
汗ばむ髪に節だった長い指を梳き入れられた感覚に、ふわふわと浮いていた感覚に現実味が戻り始める。ゆっくりと上げた視線が、泣きそうな笑みを浮かべたリュカエルを捉えた。
「愛してるよ……」
自分を見つめ、縋るように囁かれた声にアンナは目を閉じた。すうっと吸い込まれる意識の底で、微笑みを浮かべた気がした。愛おしいと明確に告げるリュカエルの瞳を、見つめながら落ちていく眠りは、泣きたくなるような余韻をアンナの胸に灯した。
―――ああ、神よ……きっと僕はこの瞬間のために生まれてきた……
拝跪する心地で瞳を閉じたアンナの額に、リュカエルが口づけを落とす。焦がれ続けたアンナを手に入れた幸福感に、リュカエルはうっかり心の底から神に感謝を捧げた。
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