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12話 枯れた花
しおりを挟む人間の言う普通や常識、正しさ、価値観とは一体なんだろうか…
それが少しでも違えばその相手を非難する。
僕もそうだ。
また頭痛とともに昔のことを思い出す。
昔から僕は人とは違う見た目をしていたらしい。
特に髪型が違ったらしい。
僕は中学生まで髪はオールバックにしていた。癖毛ということもあったからである。
それがおかしかったのか、ずっといじめにあっていた。
小学3年の頃だったか。何故か地味な嫌がらせを受けていた。
怪我をして痛がっていたら笑われていた。
痛い時に変に体を刺激された。
そしてその当時から家のこともあり、宿題をするのも億劫になって何度も忘れていたら、当時の担任が僕に席を立たせてクラス皆の前で公開処刑をして怒るということをした。それを受けたのは覚えている限り僕だけだった。
心配もされず、ただサボっただけの子の1人にしか数えられなかった。
4年に上がった時は、いじめもが酷くなっていく。
身に覚えのないことを恨まれて暴力を何度も受けて、悪口も酷く、僕が係の仕事で宿題の答え合わせをするために教卓に立ったら、沢山の非難が飛んでくる。
結局同じ係の子と交代した途端に皆真面目にしだす。
社会見学に行った時も普通に暴力を受けたが、僕も自己防衛のためにやり返したら後に倍返しをされた。
学校で普通に座って課題をしていたら間近でゴムを飛ばされ痛めつけられた。
僕が何かを言えば相手は泣いたふりをして僕が全部悪いという扱いになる。
耐えかねた僕は学年が上がって、前と違う担任に助けを求めたが、何もしてくれなかった…
5年生でも変わらず、いじめられ、初めの方は僕が理不尽にビンタをされた時、その時また違う担任に言ったら、その子に怒りはしたものの何故かやられた僕にも怒ってきた。
なんでかさっぱり分からなかった。
6年生でも修学旅行の時にジェットコースターに乗れない人は別の班と行動しなければいけないという謎の決まりがあった。
僕はジェットコースターに乗れないため、そうしなければいけなかったが、当時友達もいなかった上、いじめられていた時だったため、無理だったので、待っていたら、同じ班の女子たちに沢山文句を言われた。
更にはあからさまに僕と行動したくないという発言に僕は泣いてしまった。
その後も何度もいじめられていたが、一時は先生のおかげで落ち着いていたが、別の暮らすから酷く言われたり、貸したものをめちゃくちゃにされて返されたりもした。
その時に助けてくれると思った先生は
「どういうふうに返してほしいのかちゃんと言わないといけない」と言った。
ショックだった。
時が経ち、中学生になる時に凄く楽しみにしていたが、小学生の頃のいじめがそのまま中学でも起きてしまう。
嫌な噂を流されて、僕をゴミのように扱ってきた。辛すぎて泣けば笑われていた。
それを指摘すれば、「なんで笑ったらアカンの?」と言われた。
言い返す気力もなくなっていた。
部活はソフトテニスに入っていたが、必ず泣かされてそれを笑われる日々を過ごしていた。
自慢した覚えのないことを自慢してると言われたりもした。
挙句、テニスコートのことでひとつを人数の少ない先輩達に取られて、数の多い1年がもう片方のコートに詰められた時、元から使っていた僕は普通に入れたけど、変わるのが遅かったので、それを言ったら、
「なんでそんな言い方されないとダメなんだよ」
と逆ギレされる。その上交代して僕がやっている間もずっと死ねなどの悪口を言ってきた。
そのことを言えば悪いのはお前と何度も言われた上、また死ねと言われた時僕は
(こいつ殺そう)
と心の中で思い、テニスラケットで撲殺しようとしたが、何故か手を止めたが、怒りを抑えられず、相手のラケットを蹴ってしまうと、周りにいた皆が敵になった。
その時にまた泣いてしまったが、相手は
「理不尽に怒られたのはこっちだから俺は悪くない」
とずっと言っていた。
結局部活はを辞めることにしたが、それでいじめが無くなるわけではなかった。
ある時肩を脱臼した時は、痛すぎて痙攣を起こしている僕を見て、皆笑っていた。
2度目の脱臼の時は、
「またかよ」
と呆れられる。中学最後の体育祭の前だったので、僕は見学で終わる。
そうして中学を卒業したが、自分の頭には疑問が残っていた。
あいつらは、どういう価値観でものを見ているのか…どうしてこんなことが出来るのか…
不思議で仕方なかった。
そして高校生になり、新しく自分を帰るために前髪を下ろして、一人称も俺に変える。
周りはそれが"普通"だと言っていたからである。
初めの頃は上手くいっていたが、また部活のことで色々大変なことが起こる。
1年からきちんとしない男子部員達を注意ばっかりしていたが、何も変わらず、学校生活はまだ大丈夫だったが、2年に上がった時から崩れ始める。
部活でも後輩が入ってきたが、俺と同じく先輩になったあの男子部員達と仲良くなっていき、その分だらしがなくなったり、ふざけるようになっていた。
俺は何とかしようと怒ったり注意したり、まだ真面目な子と話をしたりとしてきたが、酷くなっていく一方である。
学校生活でも孤立しており、常に1人だった。校外学習や体育の時の2人1組を自由に決めるやつなんかは死ぬほど嫌だった。
部活でも俺はただ、うるさく怒っている先輩としか思われず、挙句の果てに同じく真面目にしていた同級生からも敵視される始末。
自分なりに頑張ってやっていたことを、女子が集団になって攻めてきたりもした。
顧問も自分のやり方を俺たちに押し付けてくる。
結局部活でも孤立してしまい、ほんとの意味で1人になった。
高校の修学旅行も全く楽しくなく、ただ、お土産を買うことだけ考えていた。
3年になり、校外学習でまた自由に班を決めるという苦痛がやってきた。
俺はどうしようと悩んでいると、担任に急かされて、かろうじて話したことのある班に入れてもらうことをお願いしたら、班の人間達は渋々「良いよ」と言ったが、その中心にいる人間がずっとため息をついていたので、
「ああ、邪魔なんだな俺は」
とわかってしまう。
そういった本来楽しみにするはずのものを俺は早く終われと思っていた。
その後、ある日勉強しようとしたら、前したところがわからなくなっていただけで、尋常ではない程の焦りが出てきた。
更には何だか身体がぐったりとしていて、ボーッとすることも多かった。
家族に内緒で病院に行ってみたらうつ病だった。
だが、はっきりとした病名は分からなかった。
こんなこと、お母さんに相談は出来なかった。この時には両親は既に離婚しており、俺の家は母子家庭になった。
高校2年生の時に、心臓病があると聞かされ、ストレスを与えてはいけないからと言われたからだ。それともうひとつ、このことを言えば、「強くなれ」とか「あんたが弱いだけよ」と言われることがわかっていたからである。
だが、1番初めの病院の先生は
「親に言うのが"普通"で"正しい"」
と言ってきた。
そしてその後、その病院には行かなくなり、次にスクールカウンセラーの先生に紹介してもらった病院に行くことにした。
そして行く日は、高校最後の体育祭の日だった。
特別、俺は高校になんの思い入れもなく、ただ、孤立しており、高校の人間も俺のことは空気としか思っていなかったと思う。
だから、俺は2度目の最後の体育祭を棄権して、病院に行った。
これまで、家、学校、部活様々なところで沢山の苦痛を与えられた。今思い出したこと、それ以外のことも。
まだ19年間という短い期間だけで…
その中で最も疑問に思ったのは
"普通"、"常識"、"正しさ"
この3つを人間は普通に口にするけれど、俺は、この3つに"正解"はないと思っている。
人によって普通、常識、正しさは違うもの。
正解の普通と常識と正しさは絶対にないと思う。
1番大事なのは、それを人に押し付けず、話し合って、「それもあるね」と耳を傾けることだと思う。
人間はそうとは知らずに、自分の価値観だけで他を傷つける。
俺は…僕は…少し見た目やすることが違うと言うだけで「気持ち悪い」や「人間じゃない」と言われ続け、扱われてきた。
ああ…お前たちはそこまで自分を責めるのか…そこまで自分を厭うのか…
そこまで自分を蔑むのか…
姿形、肉体も心も同じはずなのに…
人間?人形?化け物?
そんなもの自分は知らない!
なのにそう言われ、在り方を決められてきた…
見た目が違うゆえに変だと、行動が違うゆえに気持ち悪いと。
全てお前たちが定めたことだ!
勝手に決めたことだ!
そう強いられ、そう追いやられた!
お前たち人間に!
そう思った時にはもう既に自分という花は枯れてしまっていたことに気がつく。
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