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1984年(昭和59年)11月25日(日曜日)
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「ここにいると寒いからさ、とにかくここを出よう」
僕は加奈と公園を出て再び池袋の街中に向かって歩き始めた。
サンシャイン60通り迄戻って連休最後の夜の雑踏の中を歩いた。
僕は通りを行き交っている人々を眺めながら今僕の視界の中に映っている人々は恐らく全て僕の知らない人達だろうから、今の時代を普通に生きてる僕も彼女と同じ様に知らない人々の中を歩いているんだと感じた。
(知る者のいない人混みの中を1人で歩いている時ほど強く孤独を感じる事はない)
確かゲーテだかがそんな事を言っていた様な気がする。
そう考えると昨晩の彼女がどんな気持ちでこの街を歩いていたのかは想像を絶する。
僕と加奈も行き交う人々も皆白い息を吐きながら歩いている。
夜の寒気の中の人混みは、もう今年もいよいよ終わりに近付き始めているんだなという事を僕に実感させた。
(今僕の隣を歩いている加奈ちゃんはクリスマスや年越しを一体どの時代でどの様に過ごす事になるんだろう?)
そう思うと今の現状を現実的に考えた時、17歳のか弱い少女に過ぎない彼女がとても可哀想になってくる。
q「もうクリスマス迄あと1ヶ月位なんだね」
加奈が目の前を行き交う人々を眺めながら言った。
「そうだね」
僕は短く答えた。それ以上この話題を続けるのは今は気が進まなかった。
加奈もそれ以上は何も言わなかった。
彼女も同じ様に考えたのかもしれない。
今、僕の財布には50枚以上の紙幣が入っていて中身はパンパンに膨れているのだけれどそんなものは今の僕らにはあまり気休めにはならない様な気がした。
何とかして彼女の力になってあげたいと思っている僕と彼女自身はこの大きな社会の中では無力でまだ何も知らない只の17歳の高校生の2人でしかない。
そんな僕らが東京というこのとてつもなく大きな街の中で2人の力だけで今の状況から目の前にある問題を一つずつ解決して一時的にでも乗り越えて行こうとするのは生易しい事ではないだろう。
僕ら2人の前途には様々な困難が待ち構えているに違いない。
しかしいつまでも考えあぐねて何もしないというわけには行かないだろう。
幾つかの物事にはタイムリミットが刻々と迫って来ている。
そろそろ彼女と2人で一時的な今後の事について少しずつでも具体的な話を進めて行かなくてはならないと思った。
僕は加奈と公園を出て再び池袋の街中に向かって歩き始めた。
サンシャイン60通り迄戻って連休最後の夜の雑踏の中を歩いた。
僕は通りを行き交っている人々を眺めながら今僕の視界の中に映っている人々は恐らく全て僕の知らない人達だろうから、今の時代を普通に生きてる僕も彼女と同じ様に知らない人々の中を歩いているんだと感じた。
(知る者のいない人混みの中を1人で歩いている時ほど強く孤独を感じる事はない)
確かゲーテだかがそんな事を言っていた様な気がする。
そう考えると昨晩の彼女がどんな気持ちでこの街を歩いていたのかは想像を絶する。
僕と加奈も行き交う人々も皆白い息を吐きながら歩いている。
夜の寒気の中の人混みは、もう今年もいよいよ終わりに近付き始めているんだなという事を僕に実感させた。
(今僕の隣を歩いている加奈ちゃんはクリスマスや年越しを一体どの時代でどの様に過ごす事になるんだろう?)
そう思うと今の現状を現実的に考えた時、17歳のか弱い少女に過ぎない彼女がとても可哀想になってくる。
q「もうクリスマス迄あと1ヶ月位なんだね」
加奈が目の前を行き交う人々を眺めながら言った。
「そうだね」
僕は短く答えた。それ以上この話題を続けるのは今は気が進まなかった。
加奈もそれ以上は何も言わなかった。
彼女も同じ様に考えたのかもしれない。
今、僕の財布には50枚以上の紙幣が入っていて中身はパンパンに膨れているのだけれどそんなものは今の僕らにはあまり気休めにはならない様な気がした。
何とかして彼女の力になってあげたいと思っている僕と彼女自身はこの大きな社会の中では無力でまだ何も知らない只の17歳の高校生の2人でしかない。
そんな僕らが東京というこのとてつもなく大きな街の中で2人の力だけで今の状況から目の前にある問題を一つずつ解決して一時的にでも乗り越えて行こうとするのは生易しい事ではないだろう。
僕ら2人の前途には様々な困難が待ち構えているに違いない。
しかしいつまでも考えあぐねて何もしないというわけには行かないだろう。
幾つかの物事にはタイムリミットが刻々と迫って来ている。
そろそろ彼女と2人で一時的な今後の事について少しずつでも具体的な話を進めて行かなくてはならないと思った。
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