彼女の危機と何とか彼女を守りたかった僕の話

河内ひつじ

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1984年(昭和59年)11月25日(日曜日)

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正面スタンド前の最初の直線で先頭に立ったカツラギエースは2馬身程のリードを取って第1コーナーに差し掛かり少しずつ後ろとの差を広げながらコーナーを曲がって行った。その後ろをほぼ一塊になった馬群が追走しやや離れて今年の桜花賞馬ダイアナソロン更にその後ろを1番人気のミスターシービーが最後に1コーナーを曲がって行くのがモニターに映った。
その後先頭のカツラギエースが2コーナーから向こう正面の直線を単騎疾走している姿が映った後で画面が後方にスライドして後続が映し出された時には先頭カツラギエースから2番手追走の米国馬ウィン迄は優に10馬身は離れていた。
その後ろを更に4、5馬身離れて10頭のが固まって追走し、そこから大きく離れて3番ダイアナソロン、更に離れた最後方をミスターシービーが追走している。
僕はこのレース展開を見てなる程と思った。
恐らくカツラギエースはこのレース前半で奪った大きなリードを最後まで守り切ってこのレースを逃げ切り勝ちするのだろうと思った。
僕は隣にいる加奈に視線を向けたが、彼女はモニター画面に釘付けになっていた。
先頭のカツラギエースが更に後続に15馬身近い差を付けて残り1000mの標識を過ぎて第3コーナーに差し掛かりかけた頃には競馬場内の観客から大きなどよめきが起こっているのがモニターからでもわかった。

(カツラギエースぼつんと飛ばします。15馬身とリードを開きました。玉砕的にカツラギエース飛ばします!)

レース開始前のゲート入りの時に加奈がカツラギエースに大きな声援を飛ばしていた為だろう。
モニターの周辺に群がった人だかりの中で何人かが加奈を驚きの目で見ていた。
しかし3コーナーから4コーナーに差し掛かる頃になると後続馬が追い上げを開始して徐々にその差が縮まり始めた。
4コーナーから最後の直線に差し掛かる手前で一気にその差が無くなってカツラギエースのすぐ真後ろにほぼ一団になった後続馬が殺到しているのを見て僕は思わずギョッとした。
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