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STAY GOLD(黄金旅程)

STAY GOLD(黄金旅程) 7

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15時40分になって京都市消防音楽隊によるファンファーレ演奏の様子がテレビ画面に映し出された。
フェンファーレの後、出走各馬のゲート入りが始まる。
枠入りは順調でどの馬も落ち着いた様子で係員の誘導を受けゲートの中に収まっていって最後に外枠18番デスペラードがゲート入りを始めようとしていた。

(さあ近年一筋縄では行かないこの春の天皇賞、今年は・・)

実況アナがそんな事を言っている時、突然馬の嘶きが聞こえてきた。
馬の嘶きと言うよりは猛牛が吠えている様な凄まじさだった。
ゴールドシップがゲート内で前脚を跳ね上げて暴れている様子が映し出される。

「凄い!あっあっゴールドシップが・・・ほ、吠えてます!吠えて立って、はい)

スタート地点リポートの女性が慌てた声で言う。

「ちょっ、ちょっ、ちょっと、あああ!」

僕の向かい側でも杏子センパイが吠えながら立ち上がりかけていた。
それでも何とか体制が完了して、係員の合図でゲートが開いた。
各馬が一斉にゲートから飛び出したが一頭だけ葦毛の馬が大きく出遅れた。

(ああっ!出遅れたあ!地鳴りの様な喚声!どよめき!いやこれはむしろ悲鳴が挙がりました!ゴールドシップなんと殿(しんがり)です!・・・レース序盤からいきなり不穏な空気が立ち込めました)

「ひゃーっ!」

僕の向かいで杏子センパイが実況通りに悲鳴を挙げていた。
3200mの長丁場のレースなので、18頭の馬達は長い行列になって向正面から、1週目の第3コーナー第4コーナーを回って、まるでパレードみたいに正面スタンドの前を通過して行き、第1コーナーに入って行った。

(・・・人気どころはまだいない、あーっ、後方から2頭目にキズナ、そして殿追走から何とゴールドシップ、人気どころは後方追走です・・・)

各馬は長い隊列のまま、第2コーナーから、再び向正面に入って行った。

(先頭は3番のサトノノブレス、2番手にアスカクリチャンが続いて、・・・3番手
ヒットザターゲット、その後ろに・・・さらにはアドマイヤフライト・・・少し差が付きました。内から連覇を賭けるフェノーメノ・・・さらには)

キズナ、ゴールドシップ、ウィンバリアシオンは、5頭の最後方の集団の中で9番タニノエポレット13番オーシャンブルーなどとひと塊になって走っていた。
先頭は坂を登りきって、第3コーナーの坂の頂上を過ぎて、坂を下って第4コーナーに向かって行ったがこの辺りで各馬が少しずつ動き始めた。

(キズナはいつ動く?ゴールドシップはいつ動く?・・・まだ先頭とは10馬身くらいの差がある・・・)

坂を下りきった第4コーナーの手前辺りで距離を詰めて来た各馬はひしめくような集団になり、横に広がりながら第4コーナーから最後の直線に向かって殺到して行った。

(ウィンバリアシオンとキズナは外に行った!一方のフェノーメノは内にいる!そして一番外から白い馬体が踊って来るゴールドシップ!・・・直線を向いた!)

各馬、最後の直線に入って最後の追い比べになった。
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