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雨の降り続く日曜日の午前2時、その部屋には彼女がいた

その1 雨の降り続く日曜日の午前2時、その部屋には彼女がいた 5

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Kー02:今日はゆり44さんといろんな話が出来て楽しかったです

ゆり44:ワタシもすごく楽しかった。本当に Thank you!

Kー02:本当にありがとうございました

ゆり44:こちらこそ!またいつかこうして2人でお話が出来る事があったらいいね!

Kー02:そうですね

ゆり44:それじゃ、オヤスミ。ゆっくり眠るんだよ^^

kー02:おやすみなさい

ログアウトした後、ノートパソコンから顔を上げると、本当に自分がどこか別の世界から現実の自分の部屋に戻って来た様な気がした。

机の上のデジタル時計は5:12を表示していた。

僕は立ち上がり窓際に行ってすっかり明るくなった窓の外を眺めて見る。

ずっと降り続けていた雨は少し弱くなり、昨日の日中からずっと低く垂れ込めていた厚い雨雲は消え去って今はうっすらとした白い雲が高い空一面に広がっている。

下を見下ろすと路上に出来た大きな水溜まりが空の白さを映し出しているのが見えた。

僕は数時間の内に心がずいぶん軽くなって爽やかな気分になっているのを感じて、ついさっきまで架空の場所で長い間会話を続けていた遠くにいる知らない歳上の女性に感謝した。

...

PCの電源を落とした後、私は少し疲れて大きな溜め息を吐いた。

しばらくぼんやりした後、カーテンを少し開けて、すっかり明るくなった窓の外を眺めて見る。

所々、青空も見えるが空の殆どは大小様々な雲に覆われている。

空の下に一面に広がった田植えが終わったばかりの水田の水面は空の白さを写して真っ白だった。

私が東京の会社を辞めて、この実家に戻って来てからもう半月になる。

私はここに帰って来てから今日まで殆ど外出せず、何もする気が起こらないので、ずっと部屋に引きこもったままで過ごしている。

昨晩は一晩中、暇潰しに入会登録した仮想空間の中で過ごしてしまった。

ブログなんてとても書く気にはなれなかったので殆どの時間をチャットルームの中で過ごした。

何気なしに、適当に幾つかのチャットルームに入室してみたりしたけれども立て続けに不快な思いをさせられて、余計に嫌な気分にさせられてしまった。

だけど最後の一人とだけは、ちゃんと普通に話をする事が出来たのは嬉しかった。

遠い場所にいる、顔も名前も知らない7つも年下の男の子だったけれども、誰かとあんなにたくさんいろんな話をする事が出来たのは私には本当に久し振りの事だった。

仮想空間の中では少しだけ違う自分になる事が出来るのかも知れない。

それにしても時々ちょっと変わった事を言う少し面白い男の子だった。

そう言えば、こんな事を言っていたっけ。

Kー02:水溜まりの水と涙はいつかは乾く

とにかくあの子には何だか新しい一歩を踏み出す元気を少し貰えた様な気がする。

顔も名前も知らない、もうあの場所でも会う事が無いかもしれない7つも年下の男の子だけど

私は少し可笑しくなってカーテンを閉めながら笑ってしまった。
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