28 / 35
雨の降り続く日曜日の午前2時、その部屋には彼女がいた
その1 雨の降り続く日曜日の午前2時、その部屋には彼女がいた 5
しおりを挟む
Kー02:今日はゆり44さんといろんな話が出来て楽しかったです
ゆり44:ワタシもすごく楽しかった。本当に Thank you!
Kー02:本当にありがとうございました
ゆり44:こちらこそ!またいつかこうして2人でお話が出来る事があったらいいね!
Kー02:そうですね
ゆり44:それじゃ、オヤスミ。ゆっくり眠るんだよ^^
kー02:おやすみなさい
ログアウトした後、ノートパソコンから顔を上げると、本当に自分がどこか別の世界から現実の自分の部屋に戻って来た様な気がした。
机の上のデジタル時計は5:12を表示していた。
僕は立ち上がり窓際に行ってすっかり明るくなった窓の外を眺めて見る。
ずっと降り続けていた雨は少し弱くなり、昨日の日中からずっと低く垂れ込めていた厚い雨雲は消え去って今はうっすらとした白い雲が高い空一面に広がっている。
下を見下ろすと路上に出来た大きな水溜まりが空の白さを映し出しているのが見えた。
僕は数時間の内に心がずいぶん軽くなって爽やかな気分になっているのを感じて、ついさっきまで架空の場所で長い間会話を続けていた遠くにいる知らない歳上の女性に感謝した。
...
PCの電源を落とした後、私は少し疲れて大きな溜め息を吐いた。
しばらくぼんやりした後、カーテンを少し開けて、すっかり明るくなった窓の外を眺めて見る。
所々、青空も見えるが空の殆どは大小様々な雲に覆われている。
空の下に一面に広がった田植えが終わったばかりの水田の水面は空の白さを写して真っ白だった。
私が東京の会社を辞めて、この実家に戻って来てからもう半月になる。
私はここに帰って来てから今日まで殆ど外出せず、何もする気が起こらないので、ずっと部屋に引きこもったままで過ごしている。
昨晩は一晩中、暇潰しに入会登録した仮想空間の中で過ごしてしまった。
ブログなんてとても書く気にはなれなかったので殆どの時間をチャットルームの中で過ごした。
何気なしに、適当に幾つかのチャットルームに入室してみたりしたけれども立て続けに不快な思いをさせられて、余計に嫌な気分にさせられてしまった。
だけど最後の一人とだけは、ちゃんと普通に話をする事が出来たのは嬉しかった。
遠い場所にいる、顔も名前も知らない7つも年下の男の子だったけれども、誰かとあんなにたくさんいろんな話をする事が出来たのは私には本当に久し振りの事だった。
仮想空間の中では少しだけ違う自分になる事が出来るのかも知れない。
それにしても時々ちょっと変わった事を言う少し面白い男の子だった。
そう言えば、こんな事を言っていたっけ。
Kー02:水溜まりの水と涙はいつかは乾く
とにかくあの子には何だか新しい一歩を踏み出す元気を少し貰えた様な気がする。
顔も名前も知らない、もうあの場所でも会う事が無いかもしれない7つも年下の男の子だけど
私は少し可笑しくなってカーテンを閉めながら笑ってしまった。
ゆり44:ワタシもすごく楽しかった。本当に Thank you!
Kー02:本当にありがとうございました
ゆり44:こちらこそ!またいつかこうして2人でお話が出来る事があったらいいね!
Kー02:そうですね
ゆり44:それじゃ、オヤスミ。ゆっくり眠るんだよ^^
kー02:おやすみなさい
ログアウトした後、ノートパソコンから顔を上げると、本当に自分がどこか別の世界から現実の自分の部屋に戻って来た様な気がした。
机の上のデジタル時計は5:12を表示していた。
僕は立ち上がり窓際に行ってすっかり明るくなった窓の外を眺めて見る。
ずっと降り続けていた雨は少し弱くなり、昨日の日中からずっと低く垂れ込めていた厚い雨雲は消え去って今はうっすらとした白い雲が高い空一面に広がっている。
下を見下ろすと路上に出来た大きな水溜まりが空の白さを映し出しているのが見えた。
僕は数時間の内に心がずいぶん軽くなって爽やかな気分になっているのを感じて、ついさっきまで架空の場所で長い間会話を続けていた遠くにいる知らない歳上の女性に感謝した。
...
PCの電源を落とした後、私は少し疲れて大きな溜め息を吐いた。
しばらくぼんやりした後、カーテンを少し開けて、すっかり明るくなった窓の外を眺めて見る。
所々、青空も見えるが空の殆どは大小様々な雲に覆われている。
空の下に一面に広がった田植えが終わったばかりの水田の水面は空の白さを写して真っ白だった。
私が東京の会社を辞めて、この実家に戻って来てからもう半月になる。
私はここに帰って来てから今日まで殆ど外出せず、何もする気が起こらないので、ずっと部屋に引きこもったままで過ごしている。
昨晩は一晩中、暇潰しに入会登録した仮想空間の中で過ごしてしまった。
ブログなんてとても書く気にはなれなかったので殆どの時間をチャットルームの中で過ごした。
何気なしに、適当に幾つかのチャットルームに入室してみたりしたけれども立て続けに不快な思いをさせられて、余計に嫌な気分にさせられてしまった。
だけど最後の一人とだけは、ちゃんと普通に話をする事が出来たのは嬉しかった。
遠い場所にいる、顔も名前も知らない7つも年下の男の子だったけれども、誰かとあんなにたくさんいろんな話をする事が出来たのは私には本当に久し振りの事だった。
仮想空間の中では少しだけ違う自分になる事が出来るのかも知れない。
それにしても時々ちょっと変わった事を言う少し面白い男の子だった。
そう言えば、こんな事を言っていたっけ。
Kー02:水溜まりの水と涙はいつかは乾く
とにかくあの子には何だか新しい一歩を踏み出す元気を少し貰えた様な気がする。
顔も名前も知らない、もうあの場所でも会う事が無いかもしれない7つも年下の男の子だけど
私は少し可笑しくなってカーテンを閉めながら笑ってしまった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
蝶々結びの片紐
桜樹璃音
ライト文芸
抱きしめたい。触りたい。口づけたい。
俺だって、俺だって、俺だって……。
なぁ、どうしたらお前のことを、
忘れられる――?
新選組、藤堂平助の片恋の行方は。
▷ただ儚く君を想うシリーズ Short Story
Since 2022.03.24~2022.07.22
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
桜のように散りゆく君へ
桜蛇あねり
ライト文芸
俺、大樹(たいき)と彼女の美桜(みお)は毎年、桜が満開になる時期に合わせて、桜を見に来ている。
桜が好きな美桜は、綺麗に咲いて、綺麗なまま散っていく桜のようになりたい、といつもつぶやいていた。
桜のように散りたがりな君と、散らせたくない俺の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる