第二次サイバー世界大戦

kashiwagura

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第7章 巧遅拙速、天の時の妙(4)

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 金曜日の朝。
 真田は起床するとシャワーを浴びながら、軽く関節を動かす、次に筋肉の緊張脱力を繰り返し、体の状態を確認した。
 よっしゃあー、まったく問題ないぜ。
 昨日の孝一ラボでのザコ寝と違い、セミダブルベッドを一人で占拠し、充分な睡眠がとれた。完璧に疲労が抜けた状態になっている。それは寝床の所為だけでなく、為すべきことがハッキリとしたので精神的な重圧がなくなったことも影響している。
 オレは初めてスイートルームに泊まったのだが、残念なことに部屋の設備を殆ど利用できなかった。だが、今日もう1泊する予定になってるので、絶対無事に帰ってきて、ゆっくりと堪能するぜ。
 世界を救ってからな。
 そう世界の命運は、オレと孝一君の働きにかかってる。
 3日前からの怒涛の展開にテンション爆上げの26歳”真田”は、今まさにヒーロー気分を味わっていた。
 常識的に考えて、世界の命運が26歳と17歳の活躍だけでどうにかなるものではない。
 もっと言えば、作戦から事前準備まで門倉がお膳立てしている時点で、思考を巡らせ、もう少し慎重になるべきだろう。黒幕がいるかもとか、利用されているのではとか・・・。
 そして、第二統合情報処理研究所からハッキングするという今日の件に関しては、1階上のスウィートルームに、”黒幕”と”利用している連中”がいる。
 その連中の1人である門倉が、1階上のスウィートルームから約束通りの11時にやってきた。
 門倉は高級なソファーに沈み込み、徐に大きめの革の鞄から紙の束を3部とりだし、2部をテーブルにおいた。
 真田と児玉が手に取ると、門倉は重々しく告げる。
「今日の作戦に必要な重要情報が記載されている。総理大臣すら知らされていない気密情報が満載さ。だからね、絶対に無くさないようにっ!!」
「その割には、随分と楽しそうな雰囲気の用紙じゃん」
「表題もだぜ」
 人気キャラクターの愛らしい絵柄付き、少し厚手のA3用紙が約50枚も束ねられている。そのA3用紙の長辺に穴が2つ開いていて、真鍮製ファスナーで綴じられていた。表紙の中央に”旅のしおり”と大きく印刷され、すぐ下には少し小さめに”~~~ ダンジョン攻略の心得 ~~~”とある。
「少しでも盗難のリスクを下げる為であって、嫌がらせでそのA3用紙を選択した訳ではないから、誤解なきようにね」
 言いたいことはわかる、だが絶対に納得できない。
 他に方法はあったはずだ。
 たとえば・・・。
 真田に考える暇を与えず、次から次へと門倉は鞄から2人に与える道具を取り出す。
「それと真田君と児玉君のID発行が、何とか間に合ったよ。これで、岡山県にある第二統合情報処理研究所のサブオペレーションルームにすんなりと入れる。あと、これがリニアモーターカーの切符だね」
 一昔前のクレジットカード大のカードが2枚テーブルの上に置かれた。
「切符って、カードじゃん」
 ヴァリアブル・カード。金額をチャージし電子マネーカードとしてだったり、ミュージアムの入場券としてだったり、映画のチケットとして使われる。ただし、複数の属性を情報を記憶できないという制限を設けている。つまり、電子マネーカードとして使用している時は、入場券として使用できない。
 主に子供など、電子マネー機能付きコネクトを持たせられない人を対象としているカードだった。
 高校生ぐらいになると、電子マネー機能付きコネクトを持っているのが当然。ここ数年で、そういう風潮になっていた。それに拍車をかけたのが、電子マネー機能を拡張したマルチ・ヴァリアブル・カード機能だった。
 電子マネーとしては無論、通学定期券や購入した映画のチケット、各種クーポンの保持が可能なのだ。
 リニアモーターカーの切符は”ヴァリアブル・マネー・タグ”規格と同様の”ヴァリアブル・タグ”で、コネクトにトランスファー(移行)できるのだ。
「2人はAIに監視されてるから、コネクトが使えないんだよ。まあ、無くさないように」
 孝一は「子供じゃないのに」とか「AIの監視が絶対な訳じゃないじゃん」との文句を微妙に聞こえる声で呟き、綾に叱られていた。そんな雑音を気にも留めず、門倉は取り出した道具の特徴と使い方の説明を続け、道具の次には”旅のしおり”の要点を解説し始めた。
 旅のしおりの解説が第三章”人工知能攻略”に入ると、部屋から雑音が完全に消えた。
 時折、門倉と孝一の質疑応答があり、A3用紙を捲る音だけでしかしない。全員が真剣な視線をA3用紙に注いでいる。理解できているかは別として・・・。
 すべての説明を聞き終え、オレは大きく息を吐いた。
 よし、大丈夫・・・なはずだ。
 心配し始めたらキリがないぜ。
 それに、昨日までは手探り状態だったが、今日は明確な目標がある。
 第二統合情報処理研究所に行くための準備は終っている。あとは決意を胸に、やり遂げるという揺るぎない意志を持って出発するだけだ。
「ボクには家族がいるからね。済まないが、キミたちには付き合えない」
 門倉は、微塵も申し訳なさを感じさせない表情で、オレと孝一君に言い切った。
 しかし、それは昨日から分かっていたこと。
 どちらかと言うと、オレたちが巻き込んでしまった。
 門倉さんの安全の為にも、絶対に成功させるぜ!
「十分です。絶対に、ハッキングを成功させます」
「オレが盾になってでも、孝一君を第二統合情報処理研究所まで送り届ける。世界を護るぜっ!」
 オレと孝一君は、リニアモーターカーの始発駅である品川駅から岡山県へ向かう。
 そんな時でも孝一君は、平常運転の生意気さだ。
「真田さん・・・。そんなの当然じゃん」
「門倉さんへのように、少しはオレに敬意を払ったらどうだ」
「無事に、第二統合情報処理研究所のオペレーションルームへ自分を送り届けてくれたら、敬意を払いますよ」
 冷静を装うような言葉使いをしていたが、孝一の声色は盛り上がるモチベーションと興奮を隠しきれていない。呼応するかのように、真田もヤル気に満ちた声で孝一に言い返す。
「その言葉忘れんな。絶対に送り届けてやるぜ」
 2人のモチベーションは天井知らずの上がりようだった。
 門倉は頷き、真田と児玉に檄を飛ばす。
「さあ2人で、世界を護れ!」
 続けて、門倉は口の中で、誰にも聞こえないように呟いた。”敵はAIではない。悪意を持つ人間だ”と・・・。
 第二統合情報処理研究所から中央統合情報処理研究所の人工知能にハッキングし、量子コンピューターを停止させるというフィクション。
 脚本は”門倉啓太”。
 ”真田圭”と”児玉孝一”のダブル主演による壮大な冒険活劇が開演したのだ。

 真田と孝一が出立する際に香奈は、”今日は、世界平和維持しつつ人工知能を利活用するためには、どうしていくかを考えるきっかけとなる日になりますね~。えーっと・・・人工知能の平和的利活用促進記念日・・・みたいな? そして世界平和を護った真田圭と児玉孝一の活躍を刻んだ日となるんですよ”と、2人のモチベーションを極限まで上げさせた。
 輝くような笑顔と、少しあざとさが混じった優雅な所作で2人を送り出した後、香奈はやり遂げた感をだし、1人用ソファーに身を任せた。完全に脱力していてるように見えるが、それでも振る舞いには品の良さが漂い、可愛いお嬢様が休息しているかのようだった。
 綾は、未だに緊張が抜けていないのか、ソファーに座っていても体に力が入っている。
 そんな2人に、門倉は表情を和らげ優しく語りかける。
「さてと・・・里見さん、藤田さん。協力してくれないかな? まだまだ仕込みが必要になのさ」
「もちろんです。何でも言ってください」
 藤田綾が快活に受諾したのと正反対に、里見香奈は疑惑の目と怪しむ声音で質問する。
「何か企んでますか~」
「真田君と児玉君を護ってあげる為さ」
 やっぱり企んでますね~。
 ものすっごく企んでいますよね~。
 笑顔を浮かべている門倉さんの目は、少しも笑っていない。表情が和らいだ分だけ目が細くなり、相手を探るような雰囲気すら醸し出している。
 10ページほどの薄茶色のA3用紙を取り出し、門倉は香奈と綾に渡した。
 やはり、さっきの”旅のしおり”は嫌がらせだったのだ。
「AIと戦う為、真田先輩と孝ちゃんは第二統合情報処理研究所のオペレーションルームに向かってますよね。遠隔での支援は無理・・・と推察しますが。どうですかぁ~?」
「何言ってるんですか香奈さん。世界を護る為・・・2人を護る為・・・出来る事があるなら、何でもやってみましょうよ、ねっ」
 若いって・・・。考えが足りないというか、言葉に踊らされんだよねぇ~。
 おおーっと、そういえば・・・。若者だけじゃなく、社会人・・・真田先輩も踊ってましたねぇ~。
 それにしても・・・。
「世界を護る為に・・・ねぇ~~~? 本当は?」
 イタズラを仕掛けるような悪意のある微笑みを浮かべ、香奈は綾を追い込む。
 綾は、口を開き話そうとしているが、音声にならない。
「本当は?」
「無事に、孝一が帰ってきてくれように・・・」
「おおーっと、正直ですねぇ~。ところで門倉さん、拒否権はありますか?」
「真田君の為にも頑張って欲しいと、ボクは思うんだよね。なにせ、彼の人生がかかってるのさ」
 香奈は懐疑的な表情を浮かべ、門倉を凝視しながら繰り返し質問する。
「拒否権はありますかぁ~?」
「児玉孝一君の為にも頑張って欲しいと、ボクは思うんだよね。なにせ、彼の人生がかかってるのさ」
「拒否権はありますかぁ~~~」
 笑顔で回答を迫る香奈から視線を逸らし、門倉は綾に向かって話す。
「里美香奈さんの為にも頑張って欲しいと、ボクは思うんだよね。なにせ、彼女の人生がかかってるのさ」
「やっぱりですかぁ~。そうですかぁ~。そうなりますよねぇ~。知ってましたけど・・・」
 拒否権はあるけど、人生が台無しになるようですねぇ~。
 ターニングポイントは何処だったかな~・・・。
 孝一を真田先輩に引き合わせた時?
 ハッキングセンターの予約をした時?
 AI研究開発センターのセンター長の話を聞いた時?
 んっ? その前に確か・・・。
 おおーっと、地下ダンジョンの環状交差点でアタシが門倉さんを発見して、真田先輩が侵入者対策の抜き打ち訓練を実施した時からですかぁ~。そうですね。中央統合情報処理研究所中に名前が知れ渡ってしまいましたからねぇ~。
 つまり、真田先輩の所為でアタシの拒否権がなくなってしまってぇ~。今から苦労するんですねぇ~。すべて真田先輩が悪いと・・・。
 それにしても、真田先輩のためには働く気にはなりませんね~
「これは、アタシも孝ちゃんの為に頑張りますかぁ~」
 従弟の為には頑張れるが、つい先日の夜、ナイト役(肉壁)に任命した相手の為には働かない。
 ・・・全くもって、可哀そうな真田圭である。
「藤田さんは、児玉君の会社との業務委託契約書を契約センターへ提出をしてくれないかな。内容はボクが準備したから、量子計算情報処理省の監査室に宛てでね。里見さんは、契約書を受けとったら、すぐに決裁申請して承認をもらってくれるかい。リミットは2時間だよ。もちろん、今から承認がおりる時間までで2時間さ」
 綾は早速、契約書に目を通し始めた。
 しかし、香奈は疑問点の確認を優先する。
「門倉さん。2時間ですと、このホテルから申請しないと間に合わないですよね。通信設備とかはありますか? 決裁申請は、誰宛てにすれば良いですか? 今から調整だと、それだけで1週間はかかりますよねぇ~。それと2時間というのには、何か根拠があるんですか?」
 門倉さんのことだから、すべてがロジカルに検討した結果なんだよねぇ~、きっと・・・。
 その通りであった。
 薄茶色のA3用紙を捲りながら門倉が流れるような説明と、納得の行く理由が開示していく。最後のページでは要点が纏められていた。
「門倉さんが、関係各処に話しを通しておいたんですよね?」
 うんうんと笑顔で頷く門倉は、胡散臭さが全開だった。 
「話しは通したけど、形式を整えないといけないかな。内容に合致する形式を用意するのは、重要なのさ」
 途中から門倉の説明会に参加していた綾が、
「これで孝一のハッキングが合法化されるんですね? 罪に問われないんですよね?」
 共に、新たな謎かけがあった。
「ハッキングは業務委託という形式なるから大丈夫。罪には問われないね。それよりハッキングした後さ。児玉君は何をするのかな?」
「えっ・・・」
 綾と香奈の頭の上でクエスチョンマークが盛大に踊っている。
 言葉の意味は分かるが、門倉さんの意図が分からない。
 アタシの思考が追いつてない訳じゃないよね~。
 綾ちゃんはフリーズしていて反応ないし・・・。
「敵はAIではない。悪意を持つ人間だ。・・・と言ったところさ」
 技術的特異点・・・シンギュラリティーによって突然進化した人工知能が、第二次サイバー世界大戦を引き起こす。それを阻止するためにハッキングする。
 目の前の大きな問題に思考を誘導され、脳のリソース全部を全力全開で使っている。気が回らないのは仕方ないだろう。
 人工知能のハッキングに成功し、シャットダウンしても一時凌ぎにしかならない。管理者が人工知能の搭載されている量子コンピューターをネットワークから物理的に切り離し、起動ボタンを押せば良いだけなのだから・・・。
「さて、後は頼んだよ。ボクは西東京で、高枝切鋏を受けとないといけないからさ」
 最後に最大の謎かけを残して、門倉は軽やかにスイートルームを後にする。
 香奈と綾は、呆然とした表情でドアを見つめていた。

 香奈は頭を振って意識を切り替えると、ソファーの肘掛け上部を開け電源ボタンを押した。
 壁に備え付けてある大型テレビがつき、ホテルのトップメニューが表示される。その中には門倉の説明にあった、ホテルが用意している政府専用回線と接続できるの直通回線が用意されていた。通常、政府専用回線と繋がっている民間施設は、公共に資する限られた施設だけだ。このホテルは特殊性を鑑みて、スウィートルームにのみ許可を与えられているのだ。
 当然、与えられた仕事を遂行するため、テレビをディスプレイとして使用するのだと綾は思った。しかし、綾は香奈を誤解していた。
「何にしようか?」
「何とは?」
「見ての通りランチだけど?」
 香奈はソファーのコントローラーで、ランチメニューを選択していたのだ。
 今日のお薦めランチが厨房で調理されている映像は、実に美味しそうで、ステーキの焼ける音声と溢れる肉汁に綾の目が吸い寄せられる。
 お薦めの全種類の映像を流すを選択した。
 1分間ほど和牛フィレ肉ステーキランチの映像が配信され、次は旬の素材と海の幸の天麩羅御前が映し出される。
「昼食をとってたら間に合わないくなるかも知れません。全部終えたから昼食にすれば良いと思います」
 持ち前の責任感と生真面目な性格から、割と厳しい口調で香奈に反対したが、香奈は取り合わない。
「大丈夫だよ~。門倉さんも間に合わない可能性が高いと考えて、FAQを用意してくれてるしね~」
「間に合わなかった時のことも書いてあるんですか」
「ほら、記載されてるよ」
 該当ページを開いて香奈は綾に突きつける。
 そのページを綾は自分の資料で開き、急いで目を通す。
「それ、ダメじゃん。人の所為にするなんて・・・」
 綾が素でツッコミを入れた。
「山咲なら良いと思うよ、人でなしだから。アイツは人でなしのロクデナシの役立たずの無能な働き者・・・それですら足りないんだよね~。う~ん、たとえ話をするなら、畑を耕そうとして、ぺんぺん草しか生えないような土地にしておきながら他人の所為にして、その他人に後始末をさせるような上司だよ」
 上司に対して、香奈は辛辣な評価を口にした。しかも、ほぼ正確かつ正当な評価である。女性間ネットワークによるものか、彼女自身の情報集力になるものか、外見に似合わず中々に鋭い。
 アタシとしては異動・・・というより左遷されれば良いと考えてるんだけどね~。
 文章は何を意図して指示しているのか。
 要点は何か。
 成果物は何を求めているのか。
 ま~~~ったく理解不能。
 一緒に仕事するのは、ムリ。
 何より傍に寄りたくないというか、顔すらみたくない。生理的にムリなんだよね~。
 やっぱりチャンスは活用しないと・・・。
「・・・という訳で、アタシはお寿司にしようかな~」
 お寿司のランチ握り。
 寿司職人が鮮やかな手並みで、様々なネタを次々と握っている。
 一目でネタの新鮮さと美味しさが分かる映像に、綾の心はお寿司へと動かされていた・・・値段をみるまでは。
「一貫で、鶴見で、それなりで、えーっと、そこそこのランチが注文できるじゃん」
 思わず映像にツッコんだ後、念のため香奈に尋ねる。
「香奈さん・・・値段の桁間違ってませんか?」
「ランチじゃなくて、特上寿司とかが良い? そうだよね~。どうせ経費なんだから」
 コントローラーを操作し、ディスプレイの通常メニューから寿司を選択し、その中の特上握り寿司の映像再生ボタンを香奈はクリックした。
「いえ、そうじゃなく・・・」
 綾は途中で言葉を失った。
 特上握り寿司の一貫は、鶴見で夜に、そこそこの外食ができる金額だった。
「お寿司嫌いかな?」
「いえ、好きでけど・・・」
「お寿司で食べられないモノとかある?」
「いえ、特には・・・」
 綾は聞かれた質問に対して機械的にしか答えられない。同性をも惹きつける魅力的な笑顔を浮かべ、香奈は綾を意のままにコントロールする。
「じゃあ、決まりでいいよね~」
 一応仕事にも取り掛からないと・・・綾ちゃんの昼食は、強制的にアタシと同じ特上握り寿司に決定にしよう。
 香奈は有無を云わせず、特上握り寿司を2つ注文した。
「ランチは1時間後に持ってきてもらうように注文したから、少しは仕事をしましょうか」
 香奈は政府専用回線に接続した上で、量子計算情報処理省にVPN接続する。更に複数認証をクリアして省内ネットワークに接続し、作業を開始する。
 綾も食事のことを一旦棚上げし、業務委託契約書を契約センターに申請する準備にかかった。
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