第二次サイバー世界大戦

kashiwagura

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第5章 中央統合情報処理研究所のセキュリティー(2)

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「なあ」
 真田は隣を歩いている香奈に声をかけた。
「何ですかぁ~」
 2人は、中央統合情報処理研究所への入館手続きをしてから、専用ロッカーに向かっていた。これからモーターチェアで、地下ダンジョン内を探索する予定なのだ。
「この地下ダンジョンは、地下深度80メートルより下に建造されているんだよな」
「そうですねぇ~」
「昨日、エレベーターの地下深度表示は、90メートルだったぜ。そこが最上部で、それより下に色々な施設があったよな。この西東京は、いったい地下深度何メートルまであるんだ。80メートルより下はどのくらいまであるか、知ってるか?」
 人用通路は、高さが3メートルぐらいだが、横幅は5メートル以上ある。これはモーターチェアが3~4台で並走できるように設計されたからだ。広い中央統合情報処理研究所の中の移動時間は、非常に勿体ない。移動しながらでも、議論や打ち合わせを可能にするためだった。
 部外秘などの機密を話すことは厳禁ではあるが・・・。
 人用通路と定義されているが、実際に行き交うのは、ほぼモーターチェアだけである。
 真田と香奈は互いのモーターチェアをリンクし、並走設定にしていた。
「おおーっと。一昨日に引き続き昨日も、一緒に門倉さんから説明を受けましたよね?」
 流石は孝一君の従姉だな。話の持って行き方が同じだぜ。
 悪い意味で・・・。
 だが、どこで話が出たっていうんだ?
 記憶力はイイつもりだったが、まったく思い出せない。とはいえ、絶対の自信は持てない。ダークネットワークの件を、すっぽりと忘却の彼方へ追いやっていたしな・・・。
 知らなかった知識が定着し、他に知っていた様々な知識と関連付けるには繰り返しの学習が必要である。一度に知らない知識の奔流に晒されては、定着と関連付けができるはずもない。真田が2日間で得た知識は、膨大の量になっていたのである。
「だから?」
 香奈の栗色セミロングの髪がふわりと舞い、甘くて程好い香りが漂ってくる。彼女は横に、首を振ったのだ。
「門倉さん、話してないですね」
「ん? つまり」
「アタシも知らないですよ~」
「おいっ」
 そうだったぜ。香奈ちゃんの方が、孝一君より質が悪かった。
 急に堰き止められたり、突然に激流へと入ったりする香奈ちゃんの話の流れは、本当ついていくのに苦労するぜ。
 6通路と接続している環状交差点に近づき、急に視界が開ける。
「あ~、門倉さんだぁ。何しているんですかね?」
「話を逸らすなっ! ・・・あっ、何だって。門倉さん?」
 オレの斜め後ろ方向を、香奈ちゃんが指差して返答する。
「あっちですよ、真田先輩」
 真田は視線を体ごと後ろに向け、香奈ちゃんの指差した方向を捜した。そこに、1台のモーターチェアを見つけた。すでに後ろ姿になっていて顔は見えない状況だったが、身体的特徴は記憶している。モーターチェアに乗っている人は、間違いなく偏差値65の肉体的特徴を有している。
 絶対に門倉さんだぜ。
 そう判断した瞬間、モーターチェアから飛び降り、真田はスムーズに加速していった。
 トップスピードになる遥か手前で、大音量のアラートが鳴り響く。
 何事かと真田が足を止めた瞬間、香奈と通路に閉じ込められたのだった。

「AI監査グループ板に記載があったから、今日も西東京に来ることは知ってたさ。だけどね・・・。まさか真田君が、侵入者対策の訓練を実施するとは、考えもつかなかった。もちろん監査目的で設立されたグループだから、抜き打ち監査もするよ。ただし・・・それは、AIに限るんだよね。AI監査グループが侵入者対策の抜き打ち訓練を実施したらさ、完全に越権行為になるから・・・」
 西東京の所長室の執務机の前で、真田は完全に借りてきた猫になっていた。ただ、背筋は丸まっていない。直立不動の姿勢で、門倉の説教を聞いているのだ。
 門倉は、星野の執務机の横に置いてある肘掛椅子に座っている。香奈は真田の斜め後ろで姿勢よく立っているが、表情からリラックスしているのが分かる。
 執務机に肘をついた姿勢で、星野が口を挟む。
「まあまあ、カドくん。それぐらいでいいんじゃないか? カドくんなんてワザとやっておいて、ミスしましたと言い切ってたじゃないか」
「あん時の所属は施設監査グループだっただろ、ヨッシー」
 ため息を一つしてから、星野に向かって頭を下げた。そして意識的に言葉づかいを変え、門倉は含みを持たせた口調で話す。
「星野所長。誠に申し訳ございません。何しろ真田君は、警察庁から出向したばかり。しかも西東京の場所を知ってしまった。量子計算情報処理省から異動できなくなったことが、彼にとってショックだったのでしょう」
 頭を上げた門倉の顔には、星野たち仲間にしか分からない幾つもの言葉が浮かんでいた。
 ヨッシー、分かってるよな?
 ボクたちの計画の為に、警察庁の人間を出向させて巻き込んだんだからな。
「しかし真田君は、警察庁で優秀だったと聞いています。それに今年度、抜き打ち訓練を、まだ実施していなかったかと・・・。うーん・・・。」
 軽く下を向き、額に指を置き、門倉は考え込むような顔つきをした。真田と香奈からは見えないが、門倉は鋭い視線で星野の横顔を突き刺している。
 視線に星野が気づき、アイコンタクトの成立を確信した門倉は、徐に口を開く。
「なるほど。昨日、星野所長は、真田君から依頼を受けた、と仰っていましたね。その条件として、真田君を抜き打ち訓練の仕掛け人にしたと・・・。最近、抜き打ち訓練の日時が、所員に洩れているようだと、星野所長は零していらした。そこで所員ではなく、真田君に抜き打ち訓練への協力依頼をした、という訳ですね?」
「そうそう・・・」
 普段の話し調子で口を開きかけたが、門倉の睨みで、星野は所長らしい口調で尤もらしい説明し始める。
「門倉さん。良く見抜いた。抜き打ち訓練は、非常に重要であるにも関わらず、仕事を中断したくないとサボる輩がいる。訓練日に有給を取ったり事務所で事務処理をしたりと、参加する人数が減少するという問題が発生していたのだ。しかもだ、率先して訓練に参加し、部下へも啓蒙せねばならぬ管理職が、訓練日時の情報を、それとなく漏らしているのだ」
 門倉は相槌を打ち、共感を示す。
「なんと、それは由々しき事態ですね」
「そうなんだ。だがら今回、真田君に協力してもらい、本当の意味での抜き打ち訓練を実施したんだ」
「流石は星野所長です。ところで、今回は抜き打ち訓練だった。そうなると、真田君は戒告による始末書でなく、訓練報告書を提出すれば宜しいのですね」
「まったく、その通りだ。門倉さん」
 星野は椅子から立ち上がり、直立不動の真田を正面から見て、柔らかい口調で話す。
「真田君、協力ありがとう。中央統合情報処理研究所のAI研究開発センターのセンター長の部屋に向かうといい。キミ等がすぐに行くと、伝えておこう」
 表情の選択に迷いながら真田は返事をし、香奈と共に所長室を後にした。
 部屋に残った門倉と星野は、苦笑いを浮かべていた。
「いやいや、真田君は期待以上の人物だ。間に合いそうかな。どうだい? カドくん」
「ユージが厳選しただけの事はある。頭の回転が速く、正義感が強い、何よりも行動力がある」
「そうそう、まさか昨日の今日で、あそこまで目立ってくれるとは・・・まさに望んでいた人材じゃないか」
「ああ、真田君たちのフォローは頼む」
「おうともよ。・・・それにしても、真田君が走ってくれて助かったな。危うく黄の通路に近づかれるとこだったぞ。気をつけてくれ」
 中央統合情報処理研究所の通路には、天井/床/壁に1メートルの幅で、赤/黄/緑/青/紫/白の色が塗られている場所がある。
 当然IDカードの権限によって入れる場所、入れない場所がある。それを分かり易く示しているのが通路に塗られている色であった。IDカードに色は塗られていないが・・・。
 施設内への立ち入り権限は、大まかに7つに別れている。
 白:中央統合情報処理研究所への納品物搬入エリア
 紫:見学者コース
 青:中央統合情報処理研究所の設備メンテナンス用エリア
 緑:施設管理事務室
 黄:コンピュータールーム
 赤:コンピューターへの論理的アクセス可能エリア
 黒:中央統合情報処理研究所の全ての施設
 黄は白の納品物搬入エリアに入れるが、赤のコンピューターへの論理的アクセス可能エリアには入れない。また赤は、黄のコンピュータールームに入れない。そして通常は、必要に応じて複数の立ち入り権限・・・色を持つことになる。
 許可エリア外に入った場合は、侵入者として扱われる。つまり、戦車の複合装甲にも使用されている隔壁が天井から降りてくるのだ。
 しかし、一つだけ例外がある。
 それが黒権限である。
 因みに黒はブラックカードと呼ばれていて、今は所長の他に門倉だけが所持している。
「ああ、注意する。今回は25年前と異なり、ボク1人が責任をとれば済む話ではないからね。うかっりで計画を潰す愚は犯さないさ」
 ニヤリと口角をあげ、門倉は自信ありげに宣った。
「それとな、ヨッシー。間に合うかじゃない。間に合わせるのさ」

 AI研究開発センター室に近い駐機場にモーターチェアを止め、真田は香奈と並んで歩いていた。
「良かったですね、真田先輩。お咎めなしになって・・・。」
 約40センチメートルの身長差のため、真田は上から香奈を見下ろす構図になる。普段の真田なら顔を下に向けるところだが、強張っている表情を見せたくない為、視線だけ下に向ける。
「我慢したり、自分を責めたりと、自省ばかりしていると眉間に皺ができて取れなくなります。今回は門倉さんに感謝して、ちゃんと反省して、次から繰り返さなければ良いんですよ」
 香奈は笑顔のまま、話しを続ける。
「でも、山咲さんに報告したら絶対ダメですよ。上司や人事から突っ込まれそうだと思ったら、即座に報告して部下を切り捨てますから。せっかく門倉さんと星野さんが、アタシたちの前で下手な芝居を演じてくれたんだですよっ! あれが映画や舞台だったら、金返せコールが巻き起こるぐらい下手でしたね~ 後ろで見てて、笑っちゃいそうになりました。まさに茶番劇って感じで・・・。逆に、西東京の所員からだったら、お金が取れたかも・・・」
 いつもより早口で話す香奈の態度に、気落ちしている自分を気遣ってくれているのが分かる。本当は良い人なんだな・・・。
 努めて顔の表情筋をリラックスさせ、真田は優しく香奈の頭をポンポンと叩く。
「おおーっと、セクハラですか? いくらアタシが話してあげてるからと言っても、気安く触る行為は禁止ですよ~」
「おいっ! イイ話が台無しじゃねーか」
「仕方ないですねぇ~。騎士としてアタシを護る時なら、触れても良いですよ~」
 今日一番の笑顔で言われ、真田は反論の言葉を封じられてしまった。

「何バカなこと言ってるのだ。人工知能が人を超えるかだと? すでに超えているじゃないか」
 真田先輩からAI研究開発センターの有森センター長と面会する。そう聞かされた時点で覚悟していたけれど、甘い予想でした。会話を成立させるのが難しいレベルとは、思いもしませんでしたね~。
 そうだよね~。ちょっと考えたら分かるよね。星野所長に直接依頼したら、偉い人がオファーされるよ。そして大抵の偉い人って、自己主張が強いんですよぉ~。
「えーっと、能力的な部分ではなく・・・」
 真田先輩の質問を聞き終える前に、被せるようにして話し始める。
「シンギュラリティは起き得るかとか言ってたな。すでにプレ・シンギュラリティは通過しているのだ。もうすぐ全人類は、人工知能が人工意識を獲得したシンギュラリティを経験すると確信している。よく考えてみるがいい。EVの自動運転などは、現在地と行き先、渋滞や工事など大量の情報を処理して最適ルートを導き出しているのだ。決められた通りのロジックに従って計算なぞはしていない。人工知能自身が、自らの力で獲得した力なのだ。これこそ、プレ・シンギュラリティ。そして、もうすぐ・・・もうすぐ人類は、人工意識によるサイバー革命を受け入れ、次のステップへと進化する。そう人工知能が、シンギュラリティにより人工意識を獲得して進化するのだ。そして、次は人類の番なのだ。人類の進化の先にはユートピアが約束されている。人類が目指すべき道標を、手に入れる日も近い。我らは、その日を目に焼きつけ、全人類を道標へと導くべく人生を捧げているのだ。そなた達は幸運だぞ。すぐ傍で、観測者としての役割が与えられたのだ」
 身振り手振りを加えた有森の4度目の独演会が、ようやく終了した。
 真田先輩は分かったのか分からなかったのか・・・。
 アタシには判断のつかない表情を浮かべている。
「ご高説は承りました。それで具体的には、どうなるのでしょうか?」
 どうやら、分かっていないようですねぇ~。
「具体的だと? 歴史の転換点とはな、その時には分からないものなのだ。人工知能のシンギュラリティも然りだ。そもそもだ。転換点とはいっても、瞬間的なものではない。数日、数ヶ月、数年にも及ぶ転換点もあるのだ」
 有森センター長に翻弄され過ぎて、真田先輩は困惑していた。勢いに押し切られ、話を逸らされたのに気づいていないらしい。AIを監査するより有森センター長を監査した方が、西東京の為になりそうな気がしますねぇ~。
 色々と隠し事がありそうですが、1本だけ釘を刺しますか・・・。
「有森センター長でも、具体的な事象が予測つかないとは、アタシ達には難し過ぎますねぇ~。でも、シンギュラリティは直ぐで、アタシ達は観測者になれるんですよね。それは、すっごく愉しみです」
「有森センター長。本日は時間をいただき、ありがとうございました」
「ありがとうございました。人工知能のシンギュラリティの観測者として役割を果たせるよう、アタシ達は西東京をしっかり見守ります」
「シンギュラリティは西東京だけの話ではない。そなたはもっと頭が良いと思っていたのだが、良いかね。シンギュラリティとは、1ヶ所だけで起きるとは限らない。いいや、ネットワークで世界が狭くなった今、寧ろ同時多発的に人工知能のシンギュラリティが発生する可能性が高いのだ。そう人工知能の進化の瞬間を目撃したくば、全世界の人工知能をウォッチするのが重要である」
「いいえ、AI監査室所属としては有森センター長の研究をウォッチするのが最重要なので。真田先輩」
 香奈は真田に視線で、打ち切りの合図をした。
 この手の芸当は、警察庁出身の真田の得意分野であり、香奈の期待に応えるべく、有無を言わせぬ口調で言い放つ。
「それでは有森センター長、失礼いたします」
「失礼いたします」
 意志疎通できたからか、それとも有森センター長への愛想なのか、香奈は満面の笑顔で挨拶したのだ。
 ようやく2人は、実りの少ない有森センター長との面会を終了させ、センター長室から退却した。
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