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第4章 ハッカー”児玉孝一”(2)
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「ああぁああ、失敗したぁあああーー」
突然、孝一が叫び声をあげた。
「どうしたの?」
尋ねた綾に顔を向けようともせず、孝一は呆然としている。
すでに学校は夏休みに入っていた。しかし2人の通う学校は、希望者のみという名目の、強制参加の夏期講習会が午前中にある。完全な夏休みは、8月の中程に2週間あるだけだった。
夏期講習の後、孝一と綾は事務所兼ラボのマンションで順番にシャワーを浴び、制服から部屋着に着替えていた。2人は買ってきた弁当で昼食すませ、ディスプレイの前で作業を開始しようとしている時だった。
ディスプレイの縦は約1メートルあり、長さ約7メートルある。横幅でないのは、上から俯瞰するとディスプレイが半円の形状をしているからだ。
この形状の曲面ディスプレイは、複数人が同一プロジェクトを効率的に作業する為、開発されたものである。その特殊ディスプレイを孝一たちは、贅沢にも2人で使用している。
孝一は半円形の曲面ディスプレイの右側を、綾は左側を使用するようイスに座っている。そして互いが参照したり議論するための情報は、ディスプレイ中央から左寄りに表示させていた。
「何があったの?」
綾はキャスター付きのイスを滑らせて、孝一の隣に行き、肩を揺らし尋ねた。
茫然自失から立ち直った孝一は、綾に顔を向け気付いてしまった事実を話す。
「後期のシステム開発が完了してるって、ツカッダーにバレてたじゃん」
生徒たちは塚田先生を、ツカッダーと親しみを込め呼んでいるのだ。
「うん、そうだね」
「後期の・・・後期の実習時間が・・・」
気付いてしまった事実の重大さに、孝一は慄き呟いた。
次いで、少し高いトーンの声が3LDKのマンション内に響く。
「ああぁあああーー、自分の為だけの・・・超、超、超貴重な時間がぁあぁあああ」
「だから私、言ったよね。ちゃんとシステム開発しようって。WBSの予定通りに進めれば良いでしょって! どうせ朝の1時間ぐらいで終わるんだから、その後に仕事すれば良いんじゃないのって!!」
「効率悪いんだよ、それだとさぁ。あんぐらいのシステムなんかさ、気分が乗った時に、だーっと作れば、すぐに終るじゃん」
「そうだけどっ。そうだったけど。そうじゃないでしょ」
「だいだい綾は、頭固いんだよ。満遍なく勉強して学年3位なんて、相変わらず優等生すぎんじゃんないのか。もう少しメリハリつけた方がいい」
字面だけでは、綾の何処が悪いのか分からない。しかし孝一の口調には、揶揄の成分しか入っていなかった。
「怠惰な天才様は、言うことが違いますねっ。碌に勉強もしないのに、学年50位以内から転落したことないでしょ。しかも得意科目は、いっつも1位だよね。一回くらい転落すれば良いのに・・・。いっそ、急降下すればいいんじゃない!」
知能の高い2人が、それに見合わない低レベルの言い争いを始めたのだ。
「時間がないんだって! 綾、知ってんじゃん。別にサボってないし・・・」
「今年の1月は学校サボってたよね」
「公式発表ではインフルエンザA型、ノロウイルス、インフルエンザB型と連続で罹患したから、3週間学校を休んだだけだしぃーーー」
孝一は口を尖らせ、子供のように言い訳した。
「公式発表って、自分発表だよねっ。それに、フラフラだったけど病気じゃなかったし、単に寝不足で元気だったよねっ。しかも、ここで私にまで休みなしで協力させたじゃん」
「いやぁー、あん時はマジ助かったよ。ありがとうございましたっ!」
頭を下げ殊勝な態度で感謝の言葉を述べた孝一だったが、すぐに自己正当化を謀る。
「だけどさ、仕方ないじゃん。年度末近いと忙しいし、1ヶ月の間に納期が7社も重なってたから・・・。それにさ、綾のバイト代は奮発したし、お礼にプレゼントも買ったし・・・休みなしって言っても、夜10時までには家へと送ったじゃん」
しかも、結構良い値段のネックレスだった。
このマンションは物理的セキュリティが厳しく、断熱と防音が国内最高クラスという触れ込みだった。事実、ここを事務所兼ラボとして借りて良かったと考えている。
そのマンションの1ヶ月分の家賃に相当する額のネックレスなのに・・・。
何故、マンションの家賃が分かるのかというと、孝一の会社で借りているからだ。
孝一は、中学卒業と同時に起業した。
父親の影響で小学生の内からコンピューターに親しみ、いつの間にか生活の一部となった。中学生になると、コンピューターの知識とプログラミングスキルを活かして金銭を得るようになっていた。
多くの企業で、自社ウェブサイトのセキュリティホールを発見するために、定期的に報奨金をかけている。ただ、本物のウェブサイトに、アタックさせる訳にはいかない。
本物のウェブサイトと同じ構成にする。つまり同じハードウェア/ソフトウェア等で構築するのだ。その後、ダミーデータをインポートし、TheWOCとインターネットへの回線を残して、物理的に切断する。
もちろん企業が外部のデータセンターを利用していたとしても、同様の処理の実行を依頼する。ただしアタックされる為、その企業は通常料金ではなく、割増料金を支払うのだが・・・。
孝一は報奨金だけで、毎年の確定申告が大変なことになっていた。その上、中学3年の春には名指しで、企業からサイバーセキュリティのチェックを請け負うようになっていた。
中学生が企業相手に渡り合える訳もなく、父親が間に入って交渉したのだ。
幸か不幸か、取引先と売上、利益が順調に伸び、父親に家を追い出された。
それは孝一が・・・という訳でなく、会社が追い出されたのだ。
中学3年の冬に、孝一の部屋はコンピューターで一杯となり、立ち入るスペースがなくなった。作業は家のリビングで部屋のコンピューターにリモート接続して行い、寝るときはシュラフに包まってリビングにころがっていた。
高校に入学する前に今のマンションを借り、事務所兼ラボにしたのだ。こうして仕事はマンション、生活は自分の家となった。
「彼氏として家に送ったんじゃなく、従業員の福利厚生として、ここにタクシー呼んだだけじゃん。今度は指輪を買ってよね」
ネックレスの次は、指輪が欲しいと?
しかし孝一は、綾の笑顔にアッサリと陥落した。
「・・・了解だよ」
「ふふっ、ありがとうね」
抱きついてきた綾を、孝一はイスに座ったままの態勢で、しっかりと受け止めた。
綾は細身だが、とても柔らかい。
そして、良い香りがする。
今日、急いで仕事しなくても、きっと間に合う・・・はず。
もう、今日はイイっか。
孝一は陥落寸前だった。しかし、危ういところで今年最大の失態を思い出した。
昨年末から綾と付き合い始め、色惚けで時々仕事中にボケっとし、WBS通りに作業が進捗しなかった。その所為で3週間も学校休んでしまったのだ。納期が重なったのは言い訳にすぎなかった。
このこと綾に伝えると、きっと喜ばれるだろう。だが、《私の魅力の所為でゴメンね》と言われ、精神的優位を奪われるに違いない。
孝一は表情を引締めてから、綾の肩に手を優しく置き引き離す。
「それじゃあさ。さっさと、第一次サイバー世界大戦の調査を完了させよう」
「ねぇ、孝一。研究は終わったんだし、調査いらないよね。発表資料を作成すれば完了でしょ。だからね?」
綾は艶やかな表情と甘い声音で、デートしたいと言外に匂わせていた。
分かるけどぉー。だって、自分もだからぁー。
「発表資料の作成は綾に任せた。自分は調査しないと・・・。サイバーセキュリティの世界は技術進化が速いんだよ」
しかし孝一は、己の欲望と綾の誘惑に負けなかった。
ただ、その所為なのか、言い訳じみた口振りだった。
「孝一。それじゃ意味わかんないよ」
「世界史の試験でも、自分1位を取り続けてんじゃん」
「そうね。自慢?」
少し醒めた眼つきに冷静な口調で、綾は言い放った。
「違う。・・・経験じゃなく、歴史に学ばないといけないんだよ」
綾が不思議そうな表情を浮かべている。
「えーっと、だ・・・。一人の経験は限られていて、考えが至らないことの方が多い。だけど、先人達の膨大な経験に基づく多くの考え方や知恵は、非常に参考となる。技術革新なんていっても、所詮は今までの技術の延長線上であり、技術の組み合わせなんだよ。人間の能力や思考なんて時を経ても、それほど変わらない。技術の設計思想を理解し、仕様を把握する。そうすれば、最適な技術を組み合わせて、求めるシステムを開発できる」
「設計思想・・・なんで?」
「設計思想は・・・」
偉そうに語っていたが、そもそも父親に教えられた知識であり、まだ完全に消化し切れていない。人に教えられる程、理解を深めていない。
「もの凄く大事なんだよ。思想・・・そう、要は考え方だ。たとえば表計算用のソフトウェアをデータベースとしては使用するのはムリがある。似たような事が出来たりするけど、目的が違う製品だから色々とムリがあるじゃん。えーっと、表計算とデータベースは設計思想が違うからなんだよ」
自分の理解を全力で綾に伝えたが・・・。
「・・・うん、分かんない。孝一が第一次サイバー世界大戦の調査するのって・・・結局は興味本位でしょ! とにかく発表資料の作成担当なのは理解したから、夏休み中に指輪買ってよね」
全く伝わらなかった。
逆に綾の願望は、もの凄く伝ってきたが・・・。
「分かったって・・・今度のデートの時で良いよな?」
「仕方ないね」
そう言うと綾は、自分のイスに座り、ディスプレイの前に戻った。
しかし自分は、話の流れに何とも言えない違和感を覚えた。
実習の開発だって殆ど自分がやったし、第一次サイバー世界大戦研究は半々ぐらいで分担したし・・・。
ロジカルに考えると、指輪を買わなきゃいけない理由ってないじゃん。
それを口にして論破するのは簡単なんだけど・・・。
論破したら綾が拗ねるのと分かっているので、孝一は黙って調査を開始したのだった。
2時間ほど静かな時が流れ、時刻は16時の少し前。
「動作が・・・不自然だ」
孝一が呟いた。
セキュリティチェック契約は17社。その内11社に不可解な動作がみえる。孝一は定期的なセキュリティチェックで、詳細な動作を記録している。その記録と比較しても微かな違いでしかないのだが・・・。
「孝一。どうしたの?」
「契約企業のウェブサイトの動作が妙なんだ。なんていうか、前回チェックした時と微妙に異なるんだよ」
「仕変があったんじゃないかな? それか、設定値の変更があったとか・・・」
仕変とは仕様変更。
そして仕様とは、コンピューターの動作やスペックなどである。仕様を決定し、その通りに造るのだ。特にソフトウェアは頻繁に改善改修や改良があり、動作に変更がある。
またソフトウェアには動作を制御するための各種設定値がある。ソフトウェア毎にある設定機能を使用するか、統合パラメーター管理ソフトウェアを使用する方法がある。統合パラメーター管理ソフトウェアは設定値の変更、追加、削除を各ソフトウェアに反映させるのと、それらの履歴を管理している。
「仕変があったら連絡が来んじゃん。それに契約企業の対象サイトのソフトウェアなら、何が使用されているか把握している。だから設定値に変更があっても、ある程度どういう動作をするか推測できんだよ。そういう動作じゃなくて、リクエストした内容に対してレスポンスの際、不要なパケットがあるんだよ」
「AIで処理してるからじゃないの?」
「まあFAQのサイトは、それようのAIを使用しているけど、学習により回答が洗練されていくだけじゃん。それに不要なパケットの中にさ、クライアントとは別のアドレスにパケットが送信されてるんだよ。しかも1ヶ所じゃなく、調査した限りでは5万を越えてる」
「ということは?」
ため息と共に綾が尋ねてきた。
「ハッキングされたんだよ」
「そうじゃなくって! 今日どうするか知りたいんだよねっ」
中学2年と高校1年で同じクラスになり、付き合ってから8ヶ月、アルバイトを頼んでから6ヶ月が過ぎた。いい加減、綾の考え方も把握できてきた。
綾は、仕事よりも自分との時間を優先して考えている。
だから、ため息と共に訊かれれば、これから今日どうするのかを知りたいというのは推察できる。
でも仕事の話をしている時に、その思考の切り替え方はダメじゃないか?
話の流れがブツ切れになってんじゃん。
色々ツッコミたい衝動に駆られたが、他人事のような口調で答えることにした。
「徹夜だろうなぁ」
「分かった・・・。私は6時半には帰るから、そのぐらいで出来そうな仕事をする方針で良い?」
「ありがとう、綾。それじゃあ、早速頼みたいことがある。リストに記載した契約先企業からサーバーのIDとパスワードを、使い捨て時間制限付きで、いつもの様に提供してもらってくれ」
契約でセキュリティチェックの為の攻撃とネットワークログの参照は、いつ実施しても構わないとなっている。しかし、いつでもサーバーの公開サイトしていない中にアクセスできるようにするのは、お互いにリスクが大きい。そのため、一時的にしか使用できないIDとパスワードに、アクセス権を必要な範囲で付与してもらっている。
「権限は参照のみで良いよね? その他にはある?」
「一応、仕変があったかどうかも確認して欲しい。ただし、仕変があったとしても検証はするからID/パスワードの提供は必須で」
「了解、社長」
「社長は止めろって」
綾は早速作業に取りかかる。
半円形ディスプレイの中央に連絡のあった企業のIDとパスワードが表示されている。
「綾。契約先からリストにある実行ファイルを手に入れてくれ」
孝一は実行ファイルのリストを綾の方で表示させた。
「うわぁー、すごい数だね」
「どれが当たりか分かんないし・・・いくつも当たりがあるかも知れないじゃん。疑わしいファイルは、全部貰っておくことにしたんだよ」
それから綾は各契約企業と連絡をとり、19時までかけて孝一が指示した実行ファイルを入手したのだ。
「明日は何時ぐらいに来れば良いの?」
綾はダイニングで、楽な部屋着から制服に着替えながら孝一に尋ねてきた。
「夏期講習が終わってからでいいよ。温かい食事付きで来て欲しいかなー」
「それは遠回しに、私の手料理が食べたいっていうこと?」
綾は自分の作業が一段落したので、家への帰り支度をしていたのだが、手を止め真顔になっていた。その表情を見ず、作業をしながら答えていたのが良くなかったようで、孝一は本音を漏らしてしまう。
「今の言葉は見逃して欲しいんだけど・・・」
「どういう意味? 孝一は、彼女の手料理が食べたくないっていうのっ?」
積極的には食べたくない。
超優等生の綾だが、料理の腕は、通っている高校の女子の平均ぐらいだと言っていた。料理の実習がないため、完全自己申告によるものだ。
しかも通っている高校は県内トップクラス。入学試験の偏差値こそトップ高に及ばないが、理系としての授業内容は間違いなく県内トップである。毎年、深く考えず志望校を1ランク落として受験し、入学する生徒がいる。その生徒たちは例外なく、成績が最底辺を漂うことになる。
男子も女子も理系脳の生徒が、日々授業以外の時間も勉強しているのだ。
料理の腕前を上げる為に時間避ける女子生徒は、料理研究会に入っている極々一部に限られる。そして超優等生の綾は、趣味のイラストとピアノ。その時間以外は、勉強の予習復習に余念がない。
「いやぁー、夜はディナーでも、と考えていたんだよ? 18時までには完了させてみせる」
玄関へと足を運び、綾を見送る。
「明日は、12時は過ぎると思う」
そういうと、綾が玄関で抱きついてきた。しばし別れを惜しんでいると、綾が少し顔を離して口を開く。
「ねぇ、先生に聞かれたら、どう言えばいい?」
首を傾げて可愛く聞いてくる綾に、孝一は完全に気を許していた。
「そうだなぁー、親しい知り合いが不幸な事故に遭い、父親は仕事もあり対応できないので、母親と2人揃って奮闘している、とでもメールしとくよ。もし訊かれたら、そんな感じで・・・」
親しい知り合いとは契約企業であり、不幸な事故とはサイトがハッキングされたことである。奮闘する2人は自分と綾なのだが、自分と母親だろうと推測するよう誘導している。
このような言葉遊びに近い言い訳は、孝一の性格が歪んでいるとか、人の悪さによって編み出したもので・・・はない。
企業との付き合いと、父親のアドバイスにより身に付けたのだ。
それが、何時でも誰にでも通用するなんて、自分はそんなお気楽なこと考えていない。仕方なく、マジ仕方なく使っている・・・つもりだった。
綾の質問の奇妙な点に、ようやく孝一は気が付く。
「んん? なんで綾が訊かれんだ?」
「1月の20連休が拙かったんじゃない? 孝一が休むと、先生に訊かれるよ。サボりじゃないかって」
高校の先生には、通用しなくなってきたらしい。
「仕事だよ、仕事。サボってなんかない。大体の企業は土日休みなんだから、打ち合わせが平日になるのは仕方ないじゃん」
打ち合わせはネットワーク越しのみと、契約書にも明記している。相手と直接会わなくても、ビデオ通話で、まったく不自由はない。ネットから企業サイトのサイバーセキュリティ検査の請負なので実際に会う必要性を感じない。
「アルバイトは禁止でしょ」
「アルバイトじゃないしぃーーー」
綾がイラっとした表情をみせる。
仕事だから、自分は仕方ないと思うんだけど・・・。
「それじゃあーさぁーあっ、先生に言ってみる? 起業して社長やってますって」
厳しい口調で、可愛く凄まれた。
「すみませんでしたぁー。先生には宜しく言っておいてください」
「それとね。先生たちの間では、孝一のことを最初は、怠惰な天才って少し好意的に言ってたらしいんだけど。最近は天才がとれて、否定的な感じで怠惰って孝一のこと呼んでるらしいんだよね」
怠惰ねー。天才ねー。見えている面でしか、しかも学校の勉強でしか評価してないじゃん。
頭が良いといっても、まだまだ孝一は少年。貶されたり批判されたりすると、どうしても反発してしまう。それ故、学校は教育機関であり、生徒の学力をテストなどで評価する場であると理解しているのに、頭の中から抜け落ちていたのだった。
「それじゃあ、頑張ってねぇー」
突然、孝一が叫び声をあげた。
「どうしたの?」
尋ねた綾に顔を向けようともせず、孝一は呆然としている。
すでに学校は夏休みに入っていた。しかし2人の通う学校は、希望者のみという名目の、強制参加の夏期講習会が午前中にある。完全な夏休みは、8月の中程に2週間あるだけだった。
夏期講習の後、孝一と綾は事務所兼ラボのマンションで順番にシャワーを浴び、制服から部屋着に着替えていた。2人は買ってきた弁当で昼食すませ、ディスプレイの前で作業を開始しようとしている時だった。
ディスプレイの縦は約1メートルあり、長さ約7メートルある。横幅でないのは、上から俯瞰するとディスプレイが半円の形状をしているからだ。
この形状の曲面ディスプレイは、複数人が同一プロジェクトを効率的に作業する為、開発されたものである。その特殊ディスプレイを孝一たちは、贅沢にも2人で使用している。
孝一は半円形の曲面ディスプレイの右側を、綾は左側を使用するようイスに座っている。そして互いが参照したり議論するための情報は、ディスプレイ中央から左寄りに表示させていた。
「何があったの?」
綾はキャスター付きのイスを滑らせて、孝一の隣に行き、肩を揺らし尋ねた。
茫然自失から立ち直った孝一は、綾に顔を向け気付いてしまった事実を話す。
「後期のシステム開発が完了してるって、ツカッダーにバレてたじゃん」
生徒たちは塚田先生を、ツカッダーと親しみを込め呼んでいるのだ。
「うん、そうだね」
「後期の・・・後期の実習時間が・・・」
気付いてしまった事実の重大さに、孝一は慄き呟いた。
次いで、少し高いトーンの声が3LDKのマンション内に響く。
「ああぁあああーー、自分の為だけの・・・超、超、超貴重な時間がぁあぁあああ」
「だから私、言ったよね。ちゃんとシステム開発しようって。WBSの予定通りに進めれば良いでしょって! どうせ朝の1時間ぐらいで終わるんだから、その後に仕事すれば良いんじゃないのって!!」
「効率悪いんだよ、それだとさぁ。あんぐらいのシステムなんかさ、気分が乗った時に、だーっと作れば、すぐに終るじゃん」
「そうだけどっ。そうだったけど。そうじゃないでしょ」
「だいだい綾は、頭固いんだよ。満遍なく勉強して学年3位なんて、相変わらず優等生すぎんじゃんないのか。もう少しメリハリつけた方がいい」
字面だけでは、綾の何処が悪いのか分からない。しかし孝一の口調には、揶揄の成分しか入っていなかった。
「怠惰な天才様は、言うことが違いますねっ。碌に勉強もしないのに、学年50位以内から転落したことないでしょ。しかも得意科目は、いっつも1位だよね。一回くらい転落すれば良いのに・・・。いっそ、急降下すればいいんじゃない!」
知能の高い2人が、それに見合わない低レベルの言い争いを始めたのだ。
「時間がないんだって! 綾、知ってんじゃん。別にサボってないし・・・」
「今年の1月は学校サボってたよね」
「公式発表ではインフルエンザA型、ノロウイルス、インフルエンザB型と連続で罹患したから、3週間学校を休んだだけだしぃーーー」
孝一は口を尖らせ、子供のように言い訳した。
「公式発表って、自分発表だよねっ。それに、フラフラだったけど病気じゃなかったし、単に寝不足で元気だったよねっ。しかも、ここで私にまで休みなしで協力させたじゃん」
「いやぁー、あん時はマジ助かったよ。ありがとうございましたっ!」
頭を下げ殊勝な態度で感謝の言葉を述べた孝一だったが、すぐに自己正当化を謀る。
「だけどさ、仕方ないじゃん。年度末近いと忙しいし、1ヶ月の間に納期が7社も重なってたから・・・。それにさ、綾のバイト代は奮発したし、お礼にプレゼントも買ったし・・・休みなしって言っても、夜10時までには家へと送ったじゃん」
しかも、結構良い値段のネックレスだった。
このマンションは物理的セキュリティが厳しく、断熱と防音が国内最高クラスという触れ込みだった。事実、ここを事務所兼ラボとして借りて良かったと考えている。
そのマンションの1ヶ月分の家賃に相当する額のネックレスなのに・・・。
何故、マンションの家賃が分かるのかというと、孝一の会社で借りているからだ。
孝一は、中学卒業と同時に起業した。
父親の影響で小学生の内からコンピューターに親しみ、いつの間にか生活の一部となった。中学生になると、コンピューターの知識とプログラミングスキルを活かして金銭を得るようになっていた。
多くの企業で、自社ウェブサイトのセキュリティホールを発見するために、定期的に報奨金をかけている。ただ、本物のウェブサイトに、アタックさせる訳にはいかない。
本物のウェブサイトと同じ構成にする。つまり同じハードウェア/ソフトウェア等で構築するのだ。その後、ダミーデータをインポートし、TheWOCとインターネットへの回線を残して、物理的に切断する。
もちろん企業が外部のデータセンターを利用していたとしても、同様の処理の実行を依頼する。ただしアタックされる為、その企業は通常料金ではなく、割増料金を支払うのだが・・・。
孝一は報奨金だけで、毎年の確定申告が大変なことになっていた。その上、中学3年の春には名指しで、企業からサイバーセキュリティのチェックを請け負うようになっていた。
中学生が企業相手に渡り合える訳もなく、父親が間に入って交渉したのだ。
幸か不幸か、取引先と売上、利益が順調に伸び、父親に家を追い出された。
それは孝一が・・・という訳でなく、会社が追い出されたのだ。
中学3年の冬に、孝一の部屋はコンピューターで一杯となり、立ち入るスペースがなくなった。作業は家のリビングで部屋のコンピューターにリモート接続して行い、寝るときはシュラフに包まってリビングにころがっていた。
高校に入学する前に今のマンションを借り、事務所兼ラボにしたのだ。こうして仕事はマンション、生活は自分の家となった。
「彼氏として家に送ったんじゃなく、従業員の福利厚生として、ここにタクシー呼んだだけじゃん。今度は指輪を買ってよね」
ネックレスの次は、指輪が欲しいと?
しかし孝一は、綾の笑顔にアッサリと陥落した。
「・・・了解だよ」
「ふふっ、ありがとうね」
抱きついてきた綾を、孝一はイスに座ったままの態勢で、しっかりと受け止めた。
綾は細身だが、とても柔らかい。
そして、良い香りがする。
今日、急いで仕事しなくても、きっと間に合う・・・はず。
もう、今日はイイっか。
孝一は陥落寸前だった。しかし、危ういところで今年最大の失態を思い出した。
昨年末から綾と付き合い始め、色惚けで時々仕事中にボケっとし、WBS通りに作業が進捗しなかった。その所為で3週間も学校休んでしまったのだ。納期が重なったのは言い訳にすぎなかった。
このこと綾に伝えると、きっと喜ばれるだろう。だが、《私の魅力の所為でゴメンね》と言われ、精神的優位を奪われるに違いない。
孝一は表情を引締めてから、綾の肩に手を優しく置き引き離す。
「それじゃあさ。さっさと、第一次サイバー世界大戦の調査を完了させよう」
「ねぇ、孝一。研究は終わったんだし、調査いらないよね。発表資料を作成すれば完了でしょ。だからね?」
綾は艶やかな表情と甘い声音で、デートしたいと言外に匂わせていた。
分かるけどぉー。だって、自分もだからぁー。
「発表資料の作成は綾に任せた。自分は調査しないと・・・。サイバーセキュリティの世界は技術進化が速いんだよ」
しかし孝一は、己の欲望と綾の誘惑に負けなかった。
ただ、その所為なのか、言い訳じみた口振りだった。
「孝一。それじゃ意味わかんないよ」
「世界史の試験でも、自分1位を取り続けてんじゃん」
「そうね。自慢?」
少し醒めた眼つきに冷静な口調で、綾は言い放った。
「違う。・・・経験じゃなく、歴史に学ばないといけないんだよ」
綾が不思議そうな表情を浮かべている。
「えーっと、だ・・・。一人の経験は限られていて、考えが至らないことの方が多い。だけど、先人達の膨大な経験に基づく多くの考え方や知恵は、非常に参考となる。技術革新なんていっても、所詮は今までの技術の延長線上であり、技術の組み合わせなんだよ。人間の能力や思考なんて時を経ても、それほど変わらない。技術の設計思想を理解し、仕様を把握する。そうすれば、最適な技術を組み合わせて、求めるシステムを開発できる」
「設計思想・・・なんで?」
「設計思想は・・・」
偉そうに語っていたが、そもそも父親に教えられた知識であり、まだ完全に消化し切れていない。人に教えられる程、理解を深めていない。
「もの凄く大事なんだよ。思想・・・そう、要は考え方だ。たとえば表計算用のソフトウェアをデータベースとしては使用するのはムリがある。似たような事が出来たりするけど、目的が違う製品だから色々とムリがあるじゃん。えーっと、表計算とデータベースは設計思想が違うからなんだよ」
自分の理解を全力で綾に伝えたが・・・。
「・・・うん、分かんない。孝一が第一次サイバー世界大戦の調査するのって・・・結局は興味本位でしょ! とにかく発表資料の作成担当なのは理解したから、夏休み中に指輪買ってよね」
全く伝わらなかった。
逆に綾の願望は、もの凄く伝ってきたが・・・。
「分かったって・・・今度のデートの時で良いよな?」
「仕方ないね」
そう言うと綾は、自分のイスに座り、ディスプレイの前に戻った。
しかし自分は、話の流れに何とも言えない違和感を覚えた。
実習の開発だって殆ど自分がやったし、第一次サイバー世界大戦研究は半々ぐらいで分担したし・・・。
ロジカルに考えると、指輪を買わなきゃいけない理由ってないじゃん。
それを口にして論破するのは簡単なんだけど・・・。
論破したら綾が拗ねるのと分かっているので、孝一は黙って調査を開始したのだった。
2時間ほど静かな時が流れ、時刻は16時の少し前。
「動作が・・・不自然だ」
孝一が呟いた。
セキュリティチェック契約は17社。その内11社に不可解な動作がみえる。孝一は定期的なセキュリティチェックで、詳細な動作を記録している。その記録と比較しても微かな違いでしかないのだが・・・。
「孝一。どうしたの?」
「契約企業のウェブサイトの動作が妙なんだ。なんていうか、前回チェックした時と微妙に異なるんだよ」
「仕変があったんじゃないかな? それか、設定値の変更があったとか・・・」
仕変とは仕様変更。
そして仕様とは、コンピューターの動作やスペックなどである。仕様を決定し、その通りに造るのだ。特にソフトウェアは頻繁に改善改修や改良があり、動作に変更がある。
またソフトウェアには動作を制御するための各種設定値がある。ソフトウェア毎にある設定機能を使用するか、統合パラメーター管理ソフトウェアを使用する方法がある。統合パラメーター管理ソフトウェアは設定値の変更、追加、削除を各ソフトウェアに反映させるのと、それらの履歴を管理している。
「仕変があったら連絡が来んじゃん。それに契約企業の対象サイトのソフトウェアなら、何が使用されているか把握している。だから設定値に変更があっても、ある程度どういう動作をするか推測できんだよ。そういう動作じゃなくて、リクエストした内容に対してレスポンスの際、不要なパケットがあるんだよ」
「AIで処理してるからじゃないの?」
「まあFAQのサイトは、それようのAIを使用しているけど、学習により回答が洗練されていくだけじゃん。それに不要なパケットの中にさ、クライアントとは別のアドレスにパケットが送信されてるんだよ。しかも1ヶ所じゃなく、調査した限りでは5万を越えてる」
「ということは?」
ため息と共に綾が尋ねてきた。
「ハッキングされたんだよ」
「そうじゃなくって! 今日どうするか知りたいんだよねっ」
中学2年と高校1年で同じクラスになり、付き合ってから8ヶ月、アルバイトを頼んでから6ヶ月が過ぎた。いい加減、綾の考え方も把握できてきた。
綾は、仕事よりも自分との時間を優先して考えている。
だから、ため息と共に訊かれれば、これから今日どうするのかを知りたいというのは推察できる。
でも仕事の話をしている時に、その思考の切り替え方はダメじゃないか?
話の流れがブツ切れになってんじゃん。
色々ツッコミたい衝動に駆られたが、他人事のような口調で答えることにした。
「徹夜だろうなぁ」
「分かった・・・。私は6時半には帰るから、そのぐらいで出来そうな仕事をする方針で良い?」
「ありがとう、綾。それじゃあ、早速頼みたいことがある。リストに記載した契約先企業からサーバーのIDとパスワードを、使い捨て時間制限付きで、いつもの様に提供してもらってくれ」
契約でセキュリティチェックの為の攻撃とネットワークログの参照は、いつ実施しても構わないとなっている。しかし、いつでもサーバーの公開サイトしていない中にアクセスできるようにするのは、お互いにリスクが大きい。そのため、一時的にしか使用できないIDとパスワードに、アクセス権を必要な範囲で付与してもらっている。
「権限は参照のみで良いよね? その他にはある?」
「一応、仕変があったかどうかも確認して欲しい。ただし、仕変があったとしても検証はするからID/パスワードの提供は必須で」
「了解、社長」
「社長は止めろって」
綾は早速作業に取りかかる。
半円形ディスプレイの中央に連絡のあった企業のIDとパスワードが表示されている。
「綾。契約先からリストにある実行ファイルを手に入れてくれ」
孝一は実行ファイルのリストを綾の方で表示させた。
「うわぁー、すごい数だね」
「どれが当たりか分かんないし・・・いくつも当たりがあるかも知れないじゃん。疑わしいファイルは、全部貰っておくことにしたんだよ」
それから綾は各契約企業と連絡をとり、19時までかけて孝一が指示した実行ファイルを入手したのだ。
「明日は何時ぐらいに来れば良いの?」
綾はダイニングで、楽な部屋着から制服に着替えながら孝一に尋ねてきた。
「夏期講習が終わってからでいいよ。温かい食事付きで来て欲しいかなー」
「それは遠回しに、私の手料理が食べたいっていうこと?」
綾は自分の作業が一段落したので、家への帰り支度をしていたのだが、手を止め真顔になっていた。その表情を見ず、作業をしながら答えていたのが良くなかったようで、孝一は本音を漏らしてしまう。
「今の言葉は見逃して欲しいんだけど・・・」
「どういう意味? 孝一は、彼女の手料理が食べたくないっていうのっ?」
積極的には食べたくない。
超優等生の綾だが、料理の腕は、通っている高校の女子の平均ぐらいだと言っていた。料理の実習がないため、完全自己申告によるものだ。
しかも通っている高校は県内トップクラス。入学試験の偏差値こそトップ高に及ばないが、理系としての授業内容は間違いなく県内トップである。毎年、深く考えず志望校を1ランク落として受験し、入学する生徒がいる。その生徒たちは例外なく、成績が最底辺を漂うことになる。
男子も女子も理系脳の生徒が、日々授業以外の時間も勉強しているのだ。
料理の腕前を上げる為に時間避ける女子生徒は、料理研究会に入っている極々一部に限られる。そして超優等生の綾は、趣味のイラストとピアノ。その時間以外は、勉強の予習復習に余念がない。
「いやぁー、夜はディナーでも、と考えていたんだよ? 18時までには完了させてみせる」
玄関へと足を運び、綾を見送る。
「明日は、12時は過ぎると思う」
そういうと、綾が玄関で抱きついてきた。しばし別れを惜しんでいると、綾が少し顔を離して口を開く。
「ねぇ、先生に聞かれたら、どう言えばいい?」
首を傾げて可愛く聞いてくる綾に、孝一は完全に気を許していた。
「そうだなぁー、親しい知り合いが不幸な事故に遭い、父親は仕事もあり対応できないので、母親と2人揃って奮闘している、とでもメールしとくよ。もし訊かれたら、そんな感じで・・・」
親しい知り合いとは契約企業であり、不幸な事故とはサイトがハッキングされたことである。奮闘する2人は自分と綾なのだが、自分と母親だろうと推測するよう誘導している。
このような言葉遊びに近い言い訳は、孝一の性格が歪んでいるとか、人の悪さによって編み出したもので・・・はない。
企業との付き合いと、父親のアドバイスにより身に付けたのだ。
それが、何時でも誰にでも通用するなんて、自分はそんなお気楽なこと考えていない。仕方なく、マジ仕方なく使っている・・・つもりだった。
綾の質問の奇妙な点に、ようやく孝一は気が付く。
「んん? なんで綾が訊かれんだ?」
「1月の20連休が拙かったんじゃない? 孝一が休むと、先生に訊かれるよ。サボりじゃないかって」
高校の先生には、通用しなくなってきたらしい。
「仕事だよ、仕事。サボってなんかない。大体の企業は土日休みなんだから、打ち合わせが平日になるのは仕方ないじゃん」
打ち合わせはネットワーク越しのみと、契約書にも明記している。相手と直接会わなくても、ビデオ通話で、まったく不自由はない。ネットから企業サイトのサイバーセキュリティ検査の請負なので実際に会う必要性を感じない。
「アルバイトは禁止でしょ」
「アルバイトじゃないしぃーーー」
綾がイラっとした表情をみせる。
仕事だから、自分は仕方ないと思うんだけど・・・。
「それじゃあーさぁーあっ、先生に言ってみる? 起業して社長やってますって」
厳しい口調で、可愛く凄まれた。
「すみませんでしたぁー。先生には宜しく言っておいてください」
「それとね。先生たちの間では、孝一のことを最初は、怠惰な天才って少し好意的に言ってたらしいんだけど。最近は天才がとれて、否定的な感じで怠惰って孝一のこと呼んでるらしいんだよね」
怠惰ねー。天才ねー。見えている面でしか、しかも学校の勉強でしか評価してないじゃん。
頭が良いといっても、まだまだ孝一は少年。貶されたり批判されたりすると、どうしても反発してしまう。それ故、学校は教育機関であり、生徒の学力をテストなどで評価する場であると理解しているのに、頭の中から抜け落ちていたのだった。
「それじゃあ、頑張ってねぇー」
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