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二章

五話 天職と転職

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『ーーーー昨日午後4時半ごろ、〇〇区のファミリーレストランでアザーズによる強盗事件が発生しました。
“サンダー”こと吉田容疑者の身柄を『COT』が無事確保。
現場には当初客と従業員あわせて50人以上いましたが、最後まで店に残った18歳のアルバイト女性がひとり軽症を負ったとのことです』


『今回のことで『COT』の活躍を称賛する声が増える一方、未成年の従業員を置き去りにした店長に対する非難の声が上がっており――――』




 バイト先のファミレスがアザーズに襲われた翌日。
 報道された通り軽傷で済んだ私は、自宅のリビングで無料のバイト情報誌とにらめっこをしていた。

 というのも、

『――――なお、被害にあった店舗は損傷がひどく営業再開まで未定ということです』

 そう。
 あの雷野郎のせいで店がほぼ全壊状態となってしまったため、新しい職場を探す必要ができてしまったのである。
 

「何これ……未経験OKってなると、夜の仕事ばっかりじゃない」

 タイミングが悪いのか、狙っていた飲食店や販売の募集は遠方ばかり。
 通える距離でかつ健全な仕事となると、警備だったり運送だったり私にはむずかしい職種だけだ。

「はあ、困ったなぁ……」

 うんうん唸っていると、頭の上から声がした。
 
「お姉ちゃん、いったん休んで朝ご飯食べたら?」

 ダイニングの椅子に腰掛けている私を、穏やかな微笑みで見下ろしているのは弟の陽である。
 
「そうだね。陽は何食べたい?」

「ボクの分はいらないよ。もう食べたから」

 その返答に、私は残念な気持ちで弟を見上げる。
 
「また先にひとりで食べちゃったの?」
 
「だってお姉ちゃん起きるのいつも遅いんだもん」
 
「そりゃ前のバイトは夜遅くまでだったから、起きる時間は遅かったけど……今日は早かったよ?」
 
「1時間だけね」

 そう言って苦笑した陽が、私の反対側に座って頬杖をつく。
 そして、私をまじまじと見てきた。
 
「ん? どうかした?」
 
「あ……うん。無事で本当によかったなって思って」
 
「陽……」

 心配をかけたことを申し訳なく思いながら、あの時のことを思い出す。


 アザーズに『メイトか?』みたいなことを言われて、攻撃されて、逃げて――――

 そのあと結局攻撃があたってしまい、気を失ったようだ。
 気がついたら、『COT』が現場を制圧したあとだった。 
 
「ねえ、お姉ちゃん。ボクお願いがあるんだ」

 テーブルに視線を落とし、振り絞るような声で陽が言葉を紡ぐ。
 聞かずとも、何をいいたいのかわかった。
 
「今度の職場はぜったい安全な場所にして。……ファミレスでも危ないくらいだから、たぶんどこでも危ないとは思うけど……。それでも、できるだけセキュリティがしっかりしてるところとか、早い時間に帰られるところにしてほしんだ」

 わがまま言ってごめんね。と、最後にはうつむいてしまう。
 私は椅子から立ち上がって身を乗り出し、そんな弟の頭を優しくなでる。

「大丈夫だよ。できるだけ危険の少ない仕事を選ぶから」

『最悪、どこも見つからなかったら夜間警備に応募してみるか』……という考えが頭の隅にあったけど、即抹消。
 本当にダメだな。
 つい家計を支えることを優先して、陽とした『自分を大事にする』という約束を忘れてしまいそうになる。 
 椅子に腰をおろしてから、私は安堵した表情になった陽に尋ねた。
 
「……そういえば、今日はお母さんの具合どう?」
 
「うん……まあ、いつもと同じかな。特に悪化してはないけど、起き上がるのはやっぱりつらいみたい」
 
「そっか」

 本当は直接顔を見てたしかめたいけど、そうすることができない。
 なぜなら病気になってからというもの、母が私のことを避けているから――――。

 もともと仲がよかったわけじゃない。
 でも……それは会話が少なかったり、一緒に出かけることがなかったりするくらいで、今のように『顔をあわせたくない』と言われるほどではなかった。
 きっと、あまり好きではない私に面倒を見られるのが嫌なのだろう。

 看病を弟ひとりに任せるのは忍びないとはいえ、無理やりにでも手伝うのは気が引けた。
 ……というより、また面と向かって拒否されるのが怖いかった。

「元気になったらきっとお姉ちゃんに会いたがるよ」

 面に出さないようにしていたのに。
 陽は私の心を読んだように、元気づけるための言葉をかけてくれた。
 
「そうだね」

 正直、お母さんが元気になったところで和解はできないと思う。
 話をしてくれたとしても、それは陽を安心させるためであって私のためじゃない。

 暗澹たる気分をどう誤魔化そうかと考えていた時、プルルルと電話が鳴った。
 
「お姉ちゃん出てくれる?」
 
「ん」

 しっかり者の弟だが、妙にシャイなところがあって電話や訪問者の応対を私に任せてくる。
 そんなところも可愛いと思いつつ、私はダイニングから離れてサイドテーブルにおかれた親機の受話器を取った。
 
「もしもし、天羽ですけど」
 
『あっ、天羽さん!
身体は何ともないですか!?』 

 あまりの声量に、受話器を耳から少し遠ざけて返事をする。
 
「また瑞樹か。大丈夫って昨日から何回も言ってるじゃない」

 事件のあと、家に帰ってきてからすぐ電話がかかってきて、それから一時間おきにかかってきて、夜中にもかかってきた。
 もはや嫌がらせレベルだ。
 
『ほら、時間差で身体に影響が出ることもあるじゃないですか。
だから心配で何回か電話してたんですけど……まあ声の感じからして大丈夫そうですね』
 
「うん。全然平気。じゃあまた」

 通話を終えようとすると、『待ってください!』と慌てた声が受話器から聞こえてくる。
 
『今日は他にも用があってかけたんです!』
 
「用?」
 
『天羽さんのことだから、昨日の今日で新しいバイト探してると思うんですけど。
条件がいいところがなくて困ってるんじゃないですか?』
 
「そうだけど……」

 まるで見ていたかのような正確な指摘に、思わず部屋を眺めて隠しカメラを探す。

『言っておきますけど、盗撮なんてしてませんよ』

 やっぱり盗み見しているんじゃないか……と思わせる前置きをした瑞樹が本題を切り出した。

『エンタメが廃れたとはいえ、情報社会であることにはかわりませんからねっ。
無料の情報誌よりネットのアルバイト募集サイトの方がたくさん載ってるんです。
今時まだ固定電話を使ってる天羽さんが、ロクな情報を手に入れられてないことくらい簡単に想像できますよ!
……ですから、そんな時代遅れな先輩のために色々調べておきました!』
 
「おお」

 よけいな一言はこの際おいておくとして、厚意は素直にありがたい。
 いくつかの候補を聞き、よさそうな場所の連絡先を聞いてから電話を切った。









――――数日後。

 私は採用となったコンビニのレジに立っていた。 
 並んでいた客の会計をすべてを終えると、隣りにいた店長が話しかけてくる。 

「天羽さん、仕事覚えるの本当に早いよね
即戦力になるからすごく助かるよ」
 
「……ありがとうございます。学生やってるよりも、仕事する方が向いているみたいです」

 フランクな店長とはすっかり打ち解けた中だ。
 冗談で返すと、明るい笑い声が返ってきた。

「あはは、人には向き不向きがあるからね。
学校で教えてくれることも大事だけど、ここでも学べることはたくさんあるよ。君が望むならいずれ社員に推薦してもいいし、この調子で頑張ってね」

 家庭の事情をすべて知った上での発言。
優しくて親切な店長は、私がもう一度礼を言うと、「ちょっとトイレ行ってくるね」と告げて奥へと向かって行った。
 

「ふう」

 心地よい疲れを感じながら、そっと息を吐く。
 ここは本当にいい職場だ。
 他のスタッフもいい人ばかりだし、アクセスも便利で給料もけっして悪くない。
 この仕事を紹介してくれた瑞樹に、心の中であらためて感謝する。

――と、その時。
 自動ドアが開いて、見覚えのある男が入ってきた。
 
「あ……!」

 つい声を上げてしまう。
 
 やたら綺麗な外国人の男。
 間違いない。事件の時、いつの間にか姿を消していたカップルの片割れだ。 
 
「…………」

 金髪の男は、特に驚くでもなく無表情のまま私の方を見ている。
 

――そっか。ふつう店員の顔なんて覚えてないよね

 そうは思ったものの、今さら「何でもありません」じゃ不自然なので話しかける。
 
「いきなりすみません。えっと私、この間までファミレスで働いていて……その、アザーズに襲われた店なんですけど」
 
 まだ無言を貫く男。

――――いいから何でもいいから喋って!…………って、あ。

 相変わらず無言をつらぬく男を見て、私はようやく気づいた。
 もしかして日本語がわからないだけなのかもしれない。 
 
「え、えと。アイム・ワーク・イン・レストラン。ワンウィークビフォー……」

 さっき、店長が学校の勉強だけがすべてじゃないと言ってくれたばかりなのに。さっそく英語の授業を適当に受けていたことが悔やまれる事態に遭遇してしまった。

 つたない英語で一生懸命伝えると、金髪男の表情がようやく変わる。……ひどく怪訝そうなものに。
 
「言っている意味がまったくわからないんだが。ふざけているのか?」

 日本語話せるの!?
 しかもペラペラだし。めちゃくちゃはずかしい……!

 たぶん顔が赤くなってるだろうけど、焦ったらよけいに恥ずかしい気がして、できるだけ平静を装う。
 
「事件の時、急にいなくなったので気になってたんですけど……大丈夫でしたか?」
 
「大丈夫じゃなかったら、今ここにこうしていないだろう」

 うわ。何かいちいちムカつくな、この人……。
 話しかけたことを後悔し、「そうですか。ならよかったです」と、精一杯の接客スマイルで話をしめくくる。

 商品を見にいくのかと思いきや、金髪男はそのままレジの方に近づいてきた。
 高級そうなスーツ姿からしてホットスナックを食べそうなイメージではないし、目当てはタバコだろうか。
 
 いくら待っても、男は私の目の前に立ったまま何も言葉を発さない。
 こちらをじっと眺める薄紫色の瞳を見つめながら、私はデジャビュを覚える。

 会計をせずに、何も言わない客……だなんて、アザーズの雷野郎に襲われた時そっくりだ。

「何にしますか?」

 じれったくなって、私の方から用件を聞くと、
 
「モノを買いにきたんじゃない」

 言うなり、男が私の片腕をつかんだ。


――――また強盗……!?


 バイト先を変えて三日目にして、二度目の強盗被害にあうなんて。
……己の不幸を呪う。
 経験したばかりだからか、私は冷静な声で告げた。  
 
「離してください」

 次の瞬間。
 金髪の男は、驚いた表情で私から手を離した。 
 これも前回とまったく同じ展開だった。
 
――――いったい何なの?  今度はちゃんと敬語を使ったじゃない。声のトーンだって低くないのに……。

 離してと言って、実際に相手が離したら奇妙に思うのは変な話かもしれない。
 でも、あまりに素直に従うのだ。まるで自分の過ちにとつぜん気づいたように。ーーあるいは、操られたかのように。
 何かがおかしい。

「……なるほど、そういう能力か」

 金髪の男は納得したかのように呟き、懐から拳銃を取り出した。

「ちょっ……」
 
「大事な話がある。僕についてこい」
 
「話?」

 銃で脅すような奴に、無理やり連れて行かれるような場所で聞かされる話がまともなわけない。

「お断りよ。今すぐ出て行って」

 睨みつけながら告げると、男は銃口をこちらに向けたままチラリと店の奥の方を見やる。
  
「仲間が人払いをしたから客は入ってこない
……が、店の中には他にも従業員がいるんだろう? 巻き込みたくないなら、大人しく話を聞いたほうがいい」

「…………っ」

 トイレには店長がいる。
 出てきたら金髪男の言うとおり、危険に巻き込んでしまうことになってしまう。
 かと言って、このままついていくのも危険だ。

 どうしよう。

 ない頭で必死に考えるうちに気づいた。
 手荒な方法で脅しているわりに、人払いをしたり、目撃者が増えるのをさけたりと、男は出来るだけ事を穏便に済まそうとしている。
 本気で私を撃つ気はないのだろう。

「わかった。ついて行く」

 殺される心配がないなら、騒ぎを大きくしないのが一番だ。
 そう結論づけて、レジカウンターから出る。
 
「いったい何が目的なの? 行く前にそれだけでも今教えて」

「さっき言っただろう。話をするためだ」

「どんな話よ?」
 
「込み入っていて簡単には説明できないが……ひとことでいうなら、スカウトの件だ」
 
「はぁ!? スカウト!?」

 目的を聞いて唖然とした。

「銃出す必要あった……!!?」
 
「従わせるには、脅すのが一番手っ取り早い」

 うんうん、そうだよね。
 わかるわかる。


…………って、そんなわけあるか!!


 頭の中でブチっと何かが切れる音がした。
 

「そんなことで銃つきつけたわけ? 客を追い出して、人払いして……営業妨害したわけ?」

「断られたら困るからな」

 こともなげに答える男の背中に蹴りを入れる。
 もちろんお客が相手ならこんなことはしないし、危険な相手に対しても無駄な抵抗はしない。
 でも、この男がただのスカウトマンだと聞いて、つい身体がうごいてしまった。
   
 だってこのご時世、商売するのは大変なのだ。
 ……それだというのにコイツときたら、手っ取り早く話を終わらすためだけに集客を減らすようなマネをした。
 私にとてもよくしてくれている店長のコンビニで!
 許せるはずがない!!
 
「おい! 何をするーー」

 男が言葉を切ったのは、奥から店長が出てきたからだった。

「何かトラブルでもあったのかい?」

 この人ヤバいんです。
 どこの企業の人かわからないけど、スカウトごときで銃で脅されたんです。今すぐ警察を呼んでください。

 ……たぶん、そう答えるべきだったんだろう。
 でも、

「えーっと……何か道に迷っちゃったらしいんですけど。私英語できないんで、困っちゃって」

 巻き込みたくない一心で、そんなことを口走っていた。
 店長はいつの間にか銃をしまっていた外人を一瞥して「なるほど」と、顎に手をやる仕草をする。

「うーん、どうしよう。ボクも英語はからっきしダメなんだよねぇ……」

「Excuse me, I seem to be lost.
Could you tell me the way to the Shibuya Station?」

 涼しい顔でさらっと話をあわせて、英語で店長に話しかける男。

「ん、渋谷? キミ、渋谷駅に行きたいのかい?」
 
「Yes,Shibuya! I want to go there.」

「それならすぐそこだよ。そこって英語で何だっけ? ……そうだ。天羽さん、今店だいぶ暇だし案内してあげたら?」
 
「え……っ」

 この人、適当に言っているだけですよ……とは言えず。
 人のいい店長らしい提案に、私はしぶしぶうなずくことしかできなかった。

「いってらっしゃ~い」

  笑顔の店長に見送られて、金髪男と店を出る。

 大通りから一本入ったところにあるし、人払いをしたせいもあって、自動ドアの前に立っているのは黒髪の女だけだった。 
 あの事件の時、男の恋人だと思っていた長身の美女だ。 

「あっ、ハルさん」

 女は私を見るなり目を丸くする。
 
「彼女がここにいるってことは……“合格”だったんですね」
 
「何を驚いている? もとはといえば君が言い出したことだろう」
 
「そうではなくて。まさか、ハルさんひとりで説得に成功するとは思っていなかったので……」
 
「どういう意味だ」
 
「いえ、その……ハルさんのことだから、「面倒だ」とか言って、説明を省いた上に手荒なことをしたんじゃないかと」
 
「すごい。大正解だよ、お姉さん」

 私は深くため息をついて、腰に手を当てながら二人を交互に見る。
 
「私が出てきたのは、この迷惑な外人さんを追い出すため。……っていうか、アナタたちいったいどこの人なの? スカウトって言ってたけど、どういうこと?」

 私の質問に、黒髪の女があたりを見まわす。
 誰も近くにいないことを確認してから、小声で話をはじめた。
 
「わたしと彼は、とある組織に所属している者です。万が一のことを考えてここでは詳しいことが言えないのですが、そうですね……慈善団体のようなものと考えてもらってかまいません」
 
「慈善団体……。どうして私が必要なの?」

「適性があるからです」
 
「適正って?」
 
「話せるのはそこまでだ。あとは本部に来てから説明する」

 女のおかげでだいぶ事情は呑み込めたものの、肝心のところをはぐらかされてしまっては納得できない。

 結局、私は何でどこかの慈善団体に勧誘されることになったのだろう。

 悪い人たちではないことはわかったけれど、かといって素直について行く気にもなれなかった。
 そもそも、私には慈善事業のためにタダ働きをする暇なんてないのだ。 
 
「悪いけど力にはなれない。うちは貧乏で、私の収入だけが頼りなの。バイト三昧だからボランティアをしている余裕は……」
 
「誰が無給だと言った?」
 
「給料が出るの!?」

 男の言葉につい反応してしまう。
 勢いよく振り向いた私に、外人は信じがたいことを告げてきた。
 
「組織を作った人間がとある富豪でな、多額の報酬を毎月出してくれる」

 多額の報酬と聞いて、思わず心をひかれる。
 週七で働いたところで何とかやっていける程度。どうしたって家計は苦しい。

「参考までに……どれくらい?」
 
「そうだな。君の給料の3倍以上はあるはずだ」
 

「3倍以上……!」
 

――――もしそれが本当なら……。

 陽にもっと美味しいものが食べさせられるし、将来いい大学に行かせることだってできる。
 原因不明で自宅療養しているお母さんを、有名な先生に見せることも。
 父さんのバカ高い保釈金だって払うことも可能になる。


 あまりに魅力的な話だった。
 
「…………わかった。詳しい話を聞きたいからついて行く」
 
「本当ですか!?」
 
 ほっとした顔を浮かべる黒髪の女に、待てのポーズをする。

「ただし、仕事が終わってからね。新人とはいっても、いきなり抜けたら迷惑になるし」
 
「この話を内密にして頂ければかまいません。終業時間になったら、あらためてお迎えにあがりますね」

 あくまで秘密にしたがることにきな臭さを感じつつも、私はバイトが終わる時間を教えてから店の中へと戻った。



 人払いのおかげで途絶えていた客も、ようやくチラホラ入ってくるようになった。
 レジ打ちをしながら頭の中で呟く。


――――私にある『適正』って、何なんだろう?  と。





 まあ、その疑問も仕事が終わったら答えがわかるだろう。
 
 

……今日こそ、陽と一緒に夕飯食べられると思ったのにな
 深夜に終了するファミレスのバイトから、夜六時には上がれるコンビニに職を変えてから3日。

 昨日とおとといは陽がお泊りだったので、結局ご飯はひとりで寂しく食べた。
 ようやく久しぶりに一緒に食事ができると楽しみにしていたけれど、今日も無理そうだ。



 『あとで陽に電話しなきゃ……』と考えながら、時計の針が6時を指すのを待った。










……to be continued


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