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アウルとリオは、洞窟の端の壁沿いにどんどん歩いて行く。途中何度も大きい魔獣とすれ違ったが、一瞥もされることなく通り過ぎることができていた。
蜥蜴は全く見当たらない。
「そう簡単には、見つからない、ね……」
「硝子蜥蜴は、どのような場所に巣を作るのでしょうか?」
「岩の影とか、小さな穴の中とか……、あ」
岩壁に、大きめの、細く長い亀裂が入っている。
「ここ、怪しい……入ってみよう」
リオは余裕で通れた。アウルもつっかえながらもどうにか身体を捻じ込むことができた。
「中は結構広いですね……」
「うん……わ、足元水溜まりだ……そんなに深くなさそうだけど、気をつけて」
「は、はい」
しばらく進んだが、変わり映えのしない岩肌の間ばかりを通り過ぎてゆく。アウルは奇妙な違和感を感じはじめていた。脳の奥が何だかふわふわしているようで、変な感じだ。
ふと気がつくと、隣にいたはずのリオの気配がなかった。
「は……?」
慌てて周囲を見回したが、リオはどこにもいない。
激しい焦燥に襲われる。散々偉そうなことを言って、結局リオを守れないのか。
誰かを守るだなんて、烏滸がましいことだったかもしれない。
(俺は弱い……誰も守れない……)
最初は見た目に惹かれた。今はそれだけじゃない。
リオはとてもとても綺麗で、アウルとは全然違う。でも、少しだけ、昔のアウルと似ているところがある。だからだろうか。
探さないと。どこにいる、リオはどこに……。
「酷いわアウル……」
目の前に、一人の女が佇んでいる。
「どうして、助けてくれなかったの?」
その瞬間、アウルはやっと気がついた。
(あ、これ……夢だ)
* * *
「アウル様っ、アウル様……っ!」
「っ……!」
アウルは少しの間、意識を飛ばしてしまっていたようだ。それがリオをどれだけ不安にさせたか、顔を見れば一目瞭然だった。
「ごめん……」
激情のまま、自分の頭を力一杯殴りつける。鈍い音が響き、頭に巣食っている何かが、少しだけ消えたような気がした。
「ア、アウル様……?」
「流石に、一筋縄ではいかない、ね……」
アウルは一層気を引き締めた。
蜥蜴は全く見当たらない。
「そう簡単には、見つからない、ね……」
「硝子蜥蜴は、どのような場所に巣を作るのでしょうか?」
「岩の影とか、小さな穴の中とか……、あ」
岩壁に、大きめの、細く長い亀裂が入っている。
「ここ、怪しい……入ってみよう」
リオは余裕で通れた。アウルもつっかえながらもどうにか身体を捻じ込むことができた。
「中は結構広いですね……」
「うん……わ、足元水溜まりだ……そんなに深くなさそうだけど、気をつけて」
「は、はい」
しばらく進んだが、変わり映えのしない岩肌の間ばかりを通り過ぎてゆく。アウルは奇妙な違和感を感じはじめていた。脳の奥が何だかふわふわしているようで、変な感じだ。
ふと気がつくと、隣にいたはずのリオの気配がなかった。
「は……?」
慌てて周囲を見回したが、リオはどこにもいない。
激しい焦燥に襲われる。散々偉そうなことを言って、結局リオを守れないのか。
誰かを守るだなんて、烏滸がましいことだったかもしれない。
(俺は弱い……誰も守れない……)
最初は見た目に惹かれた。今はそれだけじゃない。
リオはとてもとても綺麗で、アウルとは全然違う。でも、少しだけ、昔のアウルと似ているところがある。だからだろうか。
探さないと。どこにいる、リオはどこに……。
「酷いわアウル……」
目の前に、一人の女が佇んでいる。
「どうして、助けてくれなかったの?」
その瞬間、アウルはやっと気がついた。
(あ、これ……夢だ)
* * *
「アウル様っ、アウル様……っ!」
「っ……!」
アウルは少しの間、意識を飛ばしてしまっていたようだ。それがリオをどれだけ不安にさせたか、顔を見れば一目瞭然だった。
「ごめん……」
激情のまま、自分の頭を力一杯殴りつける。鈍い音が響き、頭に巣食っている何かが、少しだけ消えたような気がした。
「ア、アウル様……?」
「流石に、一筋縄ではいかない、ね……」
アウルは一層気を引き締めた。
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