魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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恵の恋愛相談

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「ふうん。その鈴木博人くんっていう人は王子って言われるほどかっこいいのね」
真理は恵の話を聞いて何度もうなずき、さらに話を聞き出そうと適度に相槌を打った。
「かっこいいわ。背が高くてさわやかで勉強もスポーツもできるの。完璧な男子だから王子って言われるのよ。私みたいに地味で根暗な女子とは真逆なの」
恵は王子の話をするときは笑顔になり、自分の話になるとうつむいた。
「あら? 恵さんは真面目そうだからみんなに頼られてるんでしょ。とても魅力的よ」
「私は頼まれると嫌って言えないだけ。でも王子に頼みごとをされるとうれしいわ」
恵は話をしながら明るくなったり暗くなったりと落ち着かなかった。
「なるほどね。要するに恵さんは王子に恋をしているのね。それは素敵なことだわ」
「……恋っていうか憧れてるだけ。私はそれだけでいいの。それだけで十分なの」
「恵ちゃんさあ。暗いよ! 恋愛なんて当たってみればどうなるかわからないんだよ!」
恵の話を聞いていた未来が聞いていられないと言わんばかりに鼻息を荒くした。
「未来ちゃん。当たってみるって何? 私は王子とたまに話ができればいいのよ」
「だからさあ。告白だよ恵ちゃん。告白してみたら案外オーケーかもよ? 告白!」
未来がケラケラと笑い、恵の背中を叩いたので恵は紅茶を少し吹き出してしまった。
「ごほっごほ。告白なんて絶対無理。100パーセントふられる。そんなの嫌」
「……恵さん。私も未来さんと同意見よ。悩んでないで前に進んでみましょう」
真理が恵の手を握って顔を覗き込むと、恵の瞳からぽろぽろと涙がこぼれだした。
「他人事だからって軽く言わないで。フラれて噂になったら恥ずかしいでしょ!」
「そんなこと気にしてたんだ恵ちゃん。噂なんて無視すればいいじゃん。そうでしょ?」
恥ずかしそうに顔を赤らめている恵を見た未来はうきうきと楽しそうに言った。
「未来さんの言う通りよ恵さん。たとえ噂になったとしても気にしなければいいのよ」
真理が優しく言うと恵は泣き止み、未来の顔と真理の顔を交互に見て考え始めた。
「……じゃあちょっとだけ。王子が私のことどう思ってるかだけ聞いてみてもいいかな」
恵がそう言うと真理は立ち上がり、らんらんと目を輝かせて自分の胸を叩いた。
「私に任せて。告白のシチュエーションをセッティングするわ。恵さん勇気を出して」
恵は真理の言葉が理解できず、めまいを覚えて眠り込んでしまった。
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