魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

文字の大きさ
上 下
4 / 122

魔王子と聞いて

しおりを挟む
グロウ村の中央にある大きな魔法樹の切り株は村民の会議の場になることが多かった。メリー、マリー、ミリーの三姉妹は復活したモモを切り株の上に置いて囲み、モモがグロウ村にやって来た目的を聞くことにした。
「そやから言うてるやん。魔法帝国の憲法が一方的に改正されたからあんたら魔法熟女は大変なことになるねんで。いや、魔女のお姉さまたちが大変なことになるねん」
魔法熟女という単語に反応した三姉妹を見てモモは言い直し、続けた。
「この魔法帝国が魔王によって統治されとることは知ってるやろ? ほんで魔法帝国憲法はたった三か条やったんや。それをあいつらが……」
モモの説明に興味がないミリーはあくびをしていた。モモの説明が長くなりそうなのでイライラし始めたメリーは酒を飲み始めた。
「魔王だの帝国憲法だのは常識だから飛ばして。あいつらという核心を詳しく教えなさい。姉さんやミリーには私が後で説明する」
マリーが冷静に言うと、モモは一気に説明した。
「人間界から来た三人の魔法少女が魔王を幽閉して権力を握りよった。そんで憲法を勝手に変えて四〇歳を超えた魔女の人権を大幅に制限することにしたんや」
モモの説明を聞いたマリーはうなずいて聞き返した。
「確かに姉さんは四八歳で私が四十六歳でミリーは四三歳よ。憲法改正によって人権が制限される年齢に該当するというのね。でもなぜお前はそれを私たちに知らせに来たの?」
マリーは表情こそ変えなかったが、モモの小さな体を握り締めて揺さぶった。
「……い、いやのう、帝国でも有名な中年魔女、いや美しい魔女三姉妹なら魔法少女どもの横暴な決定に異を唱えて立ち上がるやろと思たんや。どやろ?」
モモが三姉妹を見るとミリーは寝ていてメリーは酔っていた。
「人権を制限するというのはどの程度なんだ? それを聞いてから考えよう」
マリーの言葉にモモは喜び、羽ばたいて飛び回った。
「あんたら魔法熟女を魔女とは認めず人間以下の存在として扱うことになるらしいねん」
モモの言葉にマリーは反応し、再びモモを捕まえて説明を続けさせた。
「あんたら魔女は魔族の次に偉い存在やったけど四〇歳超えた魔女は怪物や人間より下の存在ちゅうことにするってこっちゃで、気の毒になあ」
「扱いなどどうでもいい。私たちはこの村で平和に暮らし続けるだけだ」
「まあ、そう言わんと。とりあえず魔王子ダイヤさまに会って話聞いてくれへんか?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」  静寂をかき消す、衛兵の報告。  瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。  コリウス王国の国王––レオン・コリウス。  彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。 「構わん」……と。  周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。  これは……彼が望んだ結末であるからだ。  しかし彼は知らない。  この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。  王妃セレリナ。  彼女に消えて欲しかったのは……  いったい誰か?    ◇◇◇  序盤はシリアスです。  楽しんでいただけるとうれしいです。    

樹属性魔法の使い手

太郎衛門
ファンタジー
魔族のみがいる世界。 通称、魔界。 様々な魔法が飛び交うその世界で難病を抱えた青年は余命が残り僅かであった。 そんな彼の楽しみは毎日の読書。 それも大好きな魔界植物全書ばかりを読みふけっていた。魔界の植物なら全てを暗記した。その道の知識だけは豊富で、幻と言われる植物を一目でいいから見たいと常々考えてた。 青年はこのままではただ夢だけを見て命を落としていくだろう。 それを不憫に思う、魔界の賢者と呼ばれる老魔法師は彼に問う。 ワシの秘術で人生をやり直すか?と。 ただし、転生することになるが、それはこの世界ではなく異世界である。 こことは違う世界であるが、健康な体に生まれ変わることができると。 彼は迷わず転生をすることに。 転生先の世界は人種、獣人、エルフや魔族など多くの種族がおり、前世と同じく魔法が存在しているのであった。 そして青年は健康な体を手に入れ人生をやり直すのだが、その世界では不遇属性と呼ばれる樹属性の使い手として生を受ける。 しかし、青年は魔界で暗記した植物を使い圧倒的な強さを手に入れていく。 そんな青年の物語である。

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

処理中です...