ドS編集M男と少し売れてる漫画家A子

北条丈太郎

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君といつまでも

A子の願いを聞くM男

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精密検査の結果、M男は心臓疾患を抱えているという結論が出された。
「……心臓疾患かあ。俺は昔から長距離走とかが苦手だったんだよなあ。親父も心臓病で死んだしなあ。遺伝なのかもしれないな。さて、とりあえず会社に連絡を入れなくちゃなあ」
M男は病室のベッドで半身を起こし、ベッド脇のテーブルにある携帯電話をとろうとした。
「おいM男！　無理するなよ。事情はA子先生から聞いた。お前はしばらく休め。命令だ」
いつの間にか編集長がM男の病室に来ていた。M男はそのことに気付いていなかった。
「命令ですか？　命令なら仕方ないから休みますよ。仕事は大丈夫ですかね？　仕事は……」
「大丈夫だ。とりあえずお前は医師の診断書をもらうんだ。それを俺に提出してくれ、頼む」
M男は言われたとおりに医師の診断書をもらった。そして、再びやってきた編集長に提出した。
「よし、この書類を見ろ。これは休職命令書だ。お前は当分の間休職することになった」
M男が会社から命令書を受け取るのは初めてのことであった。そしてM男は命令に従った。
……M男はほどなくして退院した。退院後、M男は出社するわけにもいかず、自宅でぼんやりと日々を過ごした。
ときどきA子が自宅を訪れ、M男の世話をした。M男は文句を一切言わなかった。
「……M男さん。しばらく私の家で暮らしませんか？　ぜひそうしてください。お願いです」
「……そうだな、それもいいかもしれないな。情けないけど俺は弱っちまった。頼むよ」
M男はA子の申し出を受けた。今や売れっ子になったA子の自宅兼仕事場は立派なものであった。
「……こんな部屋に住んでるとはなあ。よかったなあA子先生。もう見事な売れっ子だよ」
弱々しくつぶやくM男の言葉を聞いたA子は涙ぐんだ。
「M男さん！　そんなこと言わないでください。また私を叱ったり怒鳴ったりしてくださいよ」
「もう無理だな。会社に来るなと命令された俺は不要な人間になったんだよ……」

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